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2022.10.24

顧客のベネフィットを最大化するAIソリューションに迫る | ギリア株式会社

最終更新日:

ギリア株式会社は、2017年に設立された、人工知能のみならず応用技術全般を用いて顧客にとって最適なソリューションを多くの企業に提供している、今注目のAIスタートアップ企業です。

ギリアは、企業向けトータルAIソリューションサービス「Ghelia Ray(ギリア・レイ)」の提供を中心に、深層学習技術をあらゆる人が自在に使いこなせるOSを含む統合AIプラットフォームの開発も行っています。

今回はギリアの概要や事業内容を紹介しつつ、同社の強みや動向について解説していきます。

 

ギリア株式会社とは

企業概要

社名 ギリア株式会社(GHELIA INC.)
設立 2017年6月30日
所在地 本社

〒110-0016 東京都台東区台東4-19-9 山口ビル7 8F

長岡支店 AIUEO

〒940-0066 新潟県長岡市東坂之上町2-1-1 ファース長岡ビル 5F 

取締役 代表取締役社長兼CEO 齋藤 真

取締役副社長兼CFO 数藤 剛

取締役COO 増田 哲朗

取締役 柿沼 太一

取締役 内海 州史

執行役員 VPoE (Vice President of Engineering) 秀島 裕介

執行役員 VPoT (Vice President of Technology) 西村 光平

執行役員 VPoS (Vice President of Strategy) 大竹 葉月

常勤監査役 奥山 成美

監査役 石戸 奈々子

監査役 武藤 章

ファウンダー 北野 宏明

株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長、所長

ファウンダー・顧問 清水 亮

社員数 114名〔60名〕(2021年12月時点)

※従業員数は就業人員(社外から当社への出向者を含む)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む)は、年間の平均人員を〔 〕外数で記載しております。

資本金 9,000万円

ビジョン(バリュー)

“ヒトとAIの共生環境の実現”

「ヒトとAIの共生環境の実現」を目指して、社会や暮らしの様々な場面において、AIによる能力拡張を実現し、課題解決や効率化だけでなく、AI技術による喜び・発見・感動体験を提供することをミッションとして、最先端の深層学習技術をあらゆる人が自在に使いこなせるトータルAIソリューションプラットフォームの開発を行っています。

出典:ギリア株式会社HP

このビジョンを見ると、”義理と愛情のギリア”らしく、GHELIAは社会に寄り添いながら、ヒトとAIの共生を起点として、「互いを高め合う環境の実現」を目指す会社だと分かります。GHELIAはビジョンを掲げるだけでなく、それがきちんと事業内容や組織論に落とし込まれています。ビジョンがどのように体現されているのかについては、GHELIAの事業内容や特徴の部分で詳しく解説します。

沿革

2017年6月 株式会社UEI・株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所の二社が合弁によりギリア株式会社(GHELIA INC.)設立
2017年10月  WiL,LLCへの第三者割当増資実施
2017年12月 ギリア株式会社本社を東京都台東区台東で運営開始
2018年5月 東京海上日動火災保険株式会社への第三者割当増資実施
2018年7月 みずほFinTech投資事業有限責任組合、株式会社シグマクシスへの第三者割当増資実施
2018年10月 Cogitai(コジタイ)社と戦略的なビジネスパートナーシップとして合意
2019年4月 株式会社トライグループ、株式会社みずほ銀行への第三者割当増資実施
2019年5月 「業務効率化」ソリューションの商品化に成功し、「製造」や「電気機器」市場向けに提供開始
2019年9月 株式会社図研への第三者割当増資実施
2019年10月 日経 x TECH EXPO AWARD 2019準グランプリ教育AI賞を受賞
2020年1月 新潟県長岡市に長岡支店を設置2020年4月株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズへの第三者割当増資実施「診断AI」の商品化に成功し、「教育」市場向けに提供開始
2020年8月 「問題AI(的中AI)」の商品化に成功し、「教育」市場向けに提供開始
2020年11月 農林中央金庫、SMBCベンチャーキャピタル株式会社、三菱UFJキャピタル株式会社、新生企業投資株式会社への第三者割当増資実施「将来の予測」ソリューションの開発に成功し、建設業や土木業をはじめとする多様な市場向けに提供開始
2021年1月 YouTubeに「Ghelia Channel」を開設

業績推移

この表から分かる通り、2017年会社設立後、純利益・利益剰余金・総資産すべてで飛躍的な伸びを示しており、GHELIAの事業は順調に成長していると推察できます。

出典:官報決算データベース

 

株式会社ギリアの事業内容

ギリアでは、製造や社会インフラ、教育、運輸、医療、金融といった法人に対して、新たな価値を創造するためのソリューションを企画提案から開発、運営までワンストップで提供しています。実際に提供したソリューションを、5つの技術領域に分けて、解説していきます。

画像解析

一般的に、画像解析とは、動画や画像の中から、対象物を認識する技術のことを言います。

AIによる画像処理の機能は、大きく「分類」「検出」「生成」の3つに分けられます。

まず、画像や動画の中の撮影対象を人物や自動車などのカテゴリーで「分類」します。次に、何が写っているのかを把握したのち、その位置を「検出」します。最後に、白黒の写真からカラー写真への変換や視認性の低い映像を鮮明化するなど、特定の画像から新たな画像を「生成」するという流れとなります。

ギリアでは、様々な領域で画像解析技術を活用した取り組みを行っており、設備の外観変状検出による点検業務、製品出荷前の検査業務、衛星写真解析、人物の検出や追跡によるセキュリティ業務、がん細胞検出にいたるまで多岐にわたります(参考:ギリア公式HP)。

人物カウント・解析システムの開発

展示会やイベントを開催する企業に対する導入事例です。

当初、クライアントは来場者数のカウントを人間の目視で行っていたため、目視によるカウントは人件費が高い割に精度が低く、かつ天候の影響を受けやすいという課題を抱えていました。

そこで、ギリアは画像解析技術を活用した人物カウント・解析システムを開発しました。このシステムは、大きく以下の3点の機能があります。

 

  • 人物の検出
  • 同一人物の追跡(ダブルカウントやカウント漏れを防ぐ)
  • 通行者の属性(性別、大人/子供、歩行者/自転車など)の自動推定

 

システム導入の結果、従来に比べ人件費の削減、調査精度の向上、屋外労働環境の問題がなくなることにつながりました。

深層強化学習

深層強化学習とは、具体的な⾏動に対する教師データを必要とせず、シミュレーション環境を用いた学習により⻑期的な戦略を構築できる技術です。

ギリアでは「スケジュール最適化」「配置最適化」「ルート最適化」などの場面で深層強化学習を活用しており、人材の最適配置や資材の最適調達、計画業務など、幅広い分野で応用が可能です。

工事計画立案の自動化

建設現場での工事計画など、深い知識と技能が必要な計画策定業務の課題に対する導入事例です。深層強化学習を用いることで、AIが工事順序の計画を策定し、全体の計画策定者の業務をサポートできるシステムを構築しました。これにより、課題であった熟練者による属人性の高さや移動・運搬コストなどが解決され、短い期間で最適化された工事計画を高精度で立案・実行することが可能になりました。

自然言語処理

ギリアでは、独⾃で自然言語処理のアルゴリズム技術を開発しており、捉え方によって意味が変化するような表現や、単語表記が異なっても同じ意味として使用している社内用語など、⽂脈を的確に解釈することができます。

文章における重要な意味をもつ語句をAIによって抽出するモジュールを提供しており、保有しているドキュメントの中から、キーワードで検索し、業務に関連性の高いドキュメントを分類・自動提示することが可能です。

ナレッジ活用促進ソリューションの開発

ITソリューションメーカーの株式会社図研プリサイトの事例です。

図研プリサイトでは、膨大なナレッジを保持しているものの、ナレッジマネジメントの導入・実践ができていないという課題を抱えていました。そこで、仕様書やレポートなどの社内文書を作成している際に、企業で管理している文書群の中から、AIが重要度を評価した参考資料をプッシュ通知でお知らせするシステム「Knowledge Explorer」を開発しました。

このシステムの導入後、速やかに参考資料を探し出すことが可能になり、ユーザーエクスペリエンスの向上に成功しました。

姿勢・視線解析

こちらは、人物や動物の動きをAIに学習させることでき、人間では捉えきれない繊細な情報を映像から読み取ることができる技術です

一般的なAIソリューション企業では、解析結果を数値化・可視化して、マーケティングに活用できるソリューションを提供するまでにとどまることが多いものの、ギリアでは、お客様サービスの要望に沿ったUI・システムの開発までを一貫して提供しています。ここからも、ギリアの”お客様に寄り添う”という社風が見えてきます。

サイネージの視聴データ解析

電子機器の受託開発・製造サービスを行っている企業に対する導入事例です。

近年、屋外広告にデジタルサイネージを採用するケースが増加しているなかで、サイネージに対する視聴者および視聴行動データ等の取得が難しく、設置箇所の交通量概算などを指標とするほかにKPIを設定する方法がないという課題がありました。

そこでギリアは、デジタルサイネージにカメラを設置し、独自のAI視線推定エンジンで解析する手法を取りました。その結果、視聴者の属性や視聴時間の集計、視聴者の注目する箇所や視界に入った領域のカウントも可能になりました。これにより、広告主がKPIの設定およびPDCAを最適に回せる仕組みが出来上がりました。

データ解析

データ解析とは、データ分析した結果を受けて、なぜこのような結果になるのか原因や理由を解明するためのプロセスのことです。

ギリアでは、多種多様な業界において、顧客データを活用したマーケティング分析や購買予測、センサーデータを⽤いた時系列分析、熟練技術者の技術継承を目的とした新しいソリューションの開発など、ビッグデータ活⽤の支援を幅広く行っています。

学力診断システムの開発

家庭教師サービスと個別指導塾の株式会社トライグループの導入事例です。

従来の学力診断テストでは、1教科あたり約2時間を要してしまうことから、生徒の学力を測る教師と受験する生徒の双方にとって多大な負担となっていました。

そこでギリアは、学習のつまずきを個別に捉えるのではなく、学力を網羅的に測定することで全体像を把握し、生徒一人ひとりの弱点を総括して診断するデータ解析方法を用いたことで、従来と比較して約10分の1の時間で的確な学力把握が可能になりました。

また、生徒一人ひとりに対して、個人の学力別にカスタマイズされた学習計画が提供できるため、効率的かつ短期間での学力向上を実現しました。

 

株式会社ギリアの特徴

ギリアでは、ギリアメソッドという7つの特徴をもった独自手法を用いています。どの特徴も顧客に真に寄り添うことが重視されています。その中でも、特筆すべき4つの特徴について解説します。

現場からお客様が解決すべき本当のペインを見つける

ギリアは必ず責任者が実際に現場に伺い、担当の方々からヒアリングやディスカッションを重ねペイン(課題)を探ります。最初に伺っていたお客様の課題が、実際に業務に携わる方々のリアルな現場から見てみると違っていたり、さらに根源的な課題が見つかったりする場合があるからです。AIを導入すれば解決できると思っていた課題が、実際には他のテクノロジーで解決する方が効率的にもコスト的にも有利な場合もあります。ギリアは先入観にとらわれず、ありとあらゆる方法でお客様の課題の解決方法を探り、お客様のベネフィットを最大化するAIソリューションをご提案します。

引用:ギリアのAI|ギリア株式会社

ギリアはお客様とのコミュニケーションを重視しています。先入観にとらわれずお客様に寄り添うことで、表面的な問題ではなくその原因となる根源的な課題を探り、最適なソリューションを提供することを心がけていることが見て取れます。

品質の高いデータを作る

最終的なソリューションをどういうものにしたいかによって、データのとり方は変わってきます。お客様がお持ちのデータが、課題解決のためにフィットしない場合もあります。

そんなとき、ギリアは品質の高いデータそのものを作るところから始めます。目的のデータを正しく収集し、正確に加工する専門の部署がギリアにはあります。AIに精通した職人的な経験を積んだスタッフが、ソリューションの精度を上げる品質の高いデータを作ります。また、データ作成そのものにもAIを活用し、効率よく短時間でデータを作り出します。お客様の要望に迅速に対応するために、AIニーズの高い事業領域では、あらかじめ求められそうなデータセットを用意しておくことも行っています。

引用:ギリアのAI|ギリア株式会社

ここから、訓練データの不足が課題である若い中小企業なども、ギリアがあらかじめ用意しているデータセットを用いればAIソリューションを適用できるということが見て取れます。また、データは膨大にあるが品質が低いといった課題も解決してくれるため、どんな領域でも対応可能だというギリアの柔軟性を感じます。

お客様の課題に最適な技術を選択する

AIソリューションの世界は、何でも最先端だからいいというものではありません。

あえて古いとされる技術を採用することで安定的で効率の良い解決策になる場合もあります。現場で使ってみたら処理が重たくて使えない、開発コストがやたら高くついてしまう、という失敗を避けたい。目的はお客様の課題解決であって、AIソリューションパッケージを売ることではありませんから、ギリアは自社のAIソリューションパッケージをあえて作りません。常にお客様の課題に合わせてオートクチュールでご提案します。ギリアにはAIしか知らないという技術者はいません。広い視野で、古い科学技術論文を読んでヒントを得て解決策を思いつくこともあります。考えられる方法を徹底的に試して、最適なものを探り出す根性のある技術者も多いです。新しいものから古いものまでテクノロジーは全方位で検討し、本当に必要な技術を選定してご提案してまいります。

引用:ギリアのAI|ギリア株式会社

ギリアはお客さんに寄り添った提案を第一に考えているため、もしお客さんの課題解決にとって、AIが最適な解決策とは言えない場合、他の技術分野の知見を用いて最適なプランを提案してくれるということが読み取れます。これは、顧客の立場からすると、とても安心できる良い特徴でしょう。

業務改革から新規事業まで、広い視野でAIの活用をご提案

環境やエネルギー、人権やウェルネスな働き方など、大きな価値観の変革を求められる時代です。AIはこのような分野にも有効にご活用いただけるとギリアは考えています。お客様の事業の効率改革に加えて、社会的な潮流に合わせたESG視点からの様々な改善策も、AIを使うからこそ客観的に数値化でき、事業価値をより一層高めるようなご提案が可能です。ぜひこの分野でもご相談ください。

引用:ギリアのAI|ギリア株式会社

近年、SDGsへの取り組みが企業価値評価に大きな影響を与えるようになりました。また、新型コロナウイルスの蔓延後、急速にリモートワークが進むなど、ビジネス環境も刻々と変化しています。そのような変革期にある現代でこそ、ギリアの「広い視野のAIの活用」というメソッドが企業・事業価値の向上の大きな原動力となるでしょう。

 

株式会社ギリアの今後

今後もGHELIAは高い専門性を武器に社会や暮らしの課題解決を実現させていくと予想されます。また、現在GHELIAでは当社やAI自体についての理解を深めてもらうためのYouTube運営もしており、あくまで社会に寄り添いつつ、技術提供を行う会社だと分かります。ギリアは様々な業種と連携して、課題解決に取り組んでいるため、いつかGHELIAの開発したシステムを持つことが当たり前になるかもしれません。

ギリア公式YouTubeチャンネルはこちらから

 

株式会社ギリアの採用情報

ギリアではエンジニアの新卒採用を行っています。

詳しい募集要項は以下の表のとおりです。

募集職種

  • AI開発エンジニア
  • サービス開発エンジニア

応募概要(新卒)

試用期間

3ヶ月

給与

月給291,700円 (基本給215,800円+職務手当75,900円)

※なお、職務手当は時間外労働に対する割増賃金45時間相当分として支払うものとする。また、職務手当を超える残業手当が発生した場合は、差額を支払うものとする。昇給年1回(1月)

福利厚生

【保険制度】
  • 健康保険 ※関東ITソフトウェア健康保険組合
  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 労災保険 

【福利厚生・社内制度】

  • 在宅勤務手当支給
  • 健康診断/年1回 ※再検査項目があった場合、別途費用補助あり
  • インフルエンザ予防接種補助
  • カラダ安心検査制度(3年に1度健康に関する検査費用を補助)
  • 運動time制度
  • 懇親会費用補助
  • 技術書籍購入制度/規定あり
  • 時短勤務制度
  • 屋内全面禁煙

休日

  • 完全週休2日制(土日)
  • 祝日
  • 年次有給休暇
  • 年末年始休暇
  • 夏期休暇
  • 慶弔休暇
  • 生理休暇
  • 裁判員休暇
  • 特別休暇
  • 自分休暇

採用フロー

  1. 書類選考
  2. コーディングテスト
  3. 面接(3回)

詳しい採用情報は公式HPからどうぞ

 

さいごに

今回は、ギリア株式会社について紹介してきました。AIによって既存のビジネスを根底から変革することを目指すギリア、DX化が進むにつれて、同社の注目度はより一層上がっていくでしょう。

また、同社の時価総額がどのくらい増加するのか、上場した場合の株価はいくらになるのかという部分にも注目です。

ギリアの取り組みを知ることで、AIに関する知識を深めることができるため、今後も同社の動向を追ってみると良いでしょう。

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