データサイエンティスト人材が不足しているという話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
この記事では、データサイエンティストが不足している現状を紹介し、不足している原因から解決する方法までを解説していきます。
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目次
データサイエンティストって何?
そもそもデータサイエンティストとはどのような職業なのかわからないという人も多いでしょう。
データサイエンティスト協会では「データサイエンティストとは、データサイエンス力、データエンジニアリング力を ベースにデータから価値を創出し、ビジネス課題に答えを出すプロフェッショナル」と定義されています。
簡単に言うと、データサイエンティストは、データを分析・解析し、ビジネスに活かせる知見を提供できる人材のことを指します。
データサイエンティストに必要なスキル
ただデータ活用に詳しいだけでは、データサイエンティストになることはできません。以下のように、さまざまな知識やスキルが必要とされます。
- ビッグデータの知識
- 分析や統計の知識とスキル
- コンサルティングスキル
- ビジネススキル
- マネジメントスキル
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
特に、ビジネス力、データエンジニアリング力、データサイエンス力は3要素とされており、データサイエンティストには必須の能力となっています。
▶データサイエンスの3要素を解説 – 基礎から活用事例まで紹介>>
日本のデータサイエンティスト不足の現状
現在、日本ではデータサイエンティストの人材が不足していると言われています。以下では、このデータサイエンティスト不足の現状について、詳しく紹介します。
それぞれ解説します。
データサイエンティストの不足人数
まずは、データサイエンティストが現在どれだけ不足しているのか紹介します。
2019年、経済産業省が発表した『IT人材需給に関する調査』によると、現状でIT人材は108万人いる一方で32.5万人が不足しており、AI人材の需要の増加に伴い、AI人材も不足しているとされています。
また、この人材の需要ギャップも今後増加していくことが予想できます。
データサイエンティストがいる国内企業の割合
次に、データサイエンティストがいる日本の国内企業が、全体の何割なのかを紹介します。
2019年、データサイエンス協会が行った「データサイエンティストの採用に関するアンケート調査」によると、
- データサイエンティストが在籍している企業は29%
- 在籍者数の内訳としては、1~2人の企業が22%、3~5人が26%、6~10人が22%
- 企業のDS需要は高まっているものの、DS採用予定企業の58%が目標としていた人数を確保できていない
ということがわかります。
これからの需要予測
そして、これからの需要予測も紹介していきます。
高位シナリオ:年平均成長率 4.4%程度(企業向けアンケート結果)
中位シナリオ:年平均成長率 2.7%程度(高位と低位の中間)
低位シナリオ:年平均成長率 1%程度(民間の市場予測等に基づく)
今後もデータサイエンティスト人材の需要は増えていくことが予想されます。
「IT人材需給に関する調査」では図のように、高位シナリオでは2030年時点で約79万人が、低位シナリオでも約16万人が不足することが予測されています。
また、1年に 3.54%の労働生産性上昇を実現した場合には、2030 年時点の IT人材の需要と供給は均衡することも見込まれるため、今後この需要ギャップがなくなる可能性もあるでしょう。
しかし、2010年代の日本の労働生産性上昇率は外国と比べても低く、このままでは年3.54%の労働生産性上昇は見込めません。そのため、今後労働生産性を向上させていく必要があります。
日本でデータサイエンティストが不足している原因
では、なぜ日本ではデータサイエンティストが不足しているのでしょうか?
簡単に言うと、需要が増えている一方でデータ分析を学べる教育機関が少なく、経験者も少ないからということが原因としてあげられます。
アメリカでは、いろいろな分野を渡り歩いて、最終的にコンサルタントとして独立するという人も多くいます。しかし日本では学問も縦割りで、一度データサイエンティストとは関係のない職業に就いた人がデータサイエンティストになるという機会はほとんどありません。
McKinsey社が過去に集計したデータによると、データ分析を学習したことがある大学卒業生はアメリカでは2万5,000人いるのに対し、日本ではわずか3,400人しかいません。
他の国と比べても、日本ではデータサイエンティスト人材になるために必要な知識を持つ人が非常に少ないことがわかります。
データサイエンティスト人材不足の解決方法
では、次にこのデータサイエンティスト人材不足を解決するためにはどうすればいいのかを紹介していきます。
それぞれ解説します。
データサイエンス教育
1つ目の方法はデータサイエンス教育です。
以上でも見てきたように、外国では大学などの教育機関でのデータサイエンス教育が充実しています。
そこで、日本でも文部科学省が主体となり、未来のデータサイエンティストを育成するためのカリキュラムが大学に広がっています。そのため、企業としては今後、新卒採用などの機会でデータサイエンス教育を受けた学生に着目することで、人材不足を解消するきっかけとなるでしょう。
企業での人材育成
2つ目の方法は企業で人材を育成することです。
データサイエンス教育が大学で広まっていると言っても、まだまだその数は多くありません。そのため、企業内でデータサイエンティストの人材を育成するという方法もあります。
データサイエンティスト人材の採用方法
ここでは、データサイエンティスト人材を採用する方法を紹介します。主な方法としては以下の3つあります。
それぞれ解説します。
▶《2022年版》AI採用とは?導入のメリットやツールを紹介!>>
リファラル採用
1つがリファラル採用です。
リファラル採用とは、自社の社員から友人や知人などを紹介してもらう手法のことです。リファラル(referral)は、「推薦」や「紹介」という意味があり、人手不足が深刻になっている中、注目を浴びつつある手法となっています。
縁故採用とも似ていますが、少し違っています。リファラル採用も人材を紹介してもらう点では同じですが、候補者の人材としての適性や本人が持つスキル、企業理念に対する理解を判断の上、採用するか否かを決定します。
リファラル採用では採用コストを削減できる、理想の人材が簡単に見つかるといったメリットもあるため、おすすめの採用方法となっています。
スカウト型採用
2つ目がスカウト型採用です。
スカウト型採用とは、企業が自ら動き、自社に合った人材を探してアプローチをかけるという採用手法です。応募者が経歴やスキルを公開し、企業側が応募者にアプローチします。
スカウト型採用でも、選考の手間が省ける、採用コストが少ない、優秀な人材に直接出会えるというようなメリットがあります。
フリーランス採用
3つ目がフリーランス採用です。
フリーランス採用とは、事業推進に必要な人材を直接採用できる手法を指します。フリーランスは企業や団体に所属せず、個人のスキルを提供する対価として報酬を受け取る人材のことです。
即戦力となる人材が採用できる、既存社員が業務に集中できる、採用コストが少なくなるといったメリットがあります。
データサイエンティスト人材の育成方法
では、次にデータサイエンティスト人材を育成する方法を紹介します。
それぞれ解説します。
▶DX人材を育成する4ステップ−企業での育成事例を3つ紹介>>
社内研修
1つは社内研修です。
この方法は、既に社内にデータサイエンティスト人材がいる場合におすすめです。低コストで、社内事情を踏まえた、より実務を想定した研修が行えるというメリットがあります。
外注のデータサイエンス研修を活用
2つ目は人材育成プログラムを活用することです。
この場合、研修を外注するための費用はかかりますが、教えることに慣れたプロによる研修が受けられるため、失敗の可能性は低いと言えるでしょう。
オンライン学習サービスを利用
最後に、オンライン学習サービスを利用することです。
この場合費用はかかりますが、研修を外注するよりはコストを押さえられます。おすすめのオンライン学習サービスを2つ紹介します。
▶AI講座17選|未経験・転職におすすめの講座、大学で開講している講座も紹介>>
TechAcademy(テクアカデミー)
未経験でも最短3ヶ月でPythonやAIの基礎知識から、機械学習やディープラーニングを用いたWEBアプリ開発、データ分析など仕事に必要な知識・スキルを学べ、AI人材を目指せる人気のプログラミングスクールとなっています。
datamix(データミックス)
これまで数多くの企業においてデータドリブンな文化づくりを支援してきたノウハウをもとに、企業のDX実現に向けた現在のフェーズや人材育成のニーズに合わせて、全社横断的なデータサイエンス人材の「計画・育成・採用・評価」を支援するサービスもあります。
まとめ
この記事では、データサイエンティスト人材が不足している現状と課題から、各企業がどうやって人材を採用、育成すればいいのかを解説しました。
データサイエンティスト人材不足について気になったときは、この記事を読んでみてください。