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2022年末に「ChatGPT」のリリースから始まった生成AIブームは、2023年にさらなる飛躍を見せた。しかし、生成AIの実際の導入率は24.2%程度とするデータもあり、まだまだ導入が進んでいるとは言い難い。企業では現在も生成AIをいかに導入し、社内で普及させ生産性向上につなげるべきか、試行錯誤が続いている最中だ。
そこでAINOWでは、企業や自治体において生成AIを導入している事例をまとめた。ぜひ一読し、生成AI導入を推進する上での助けとしていただければ幸いだ。
なお、AINOWでは引き続き導入事例を募集している。導入事例を本記事へ掲載したい企業・団体はぜひ下記フォームへ。(掲載を確約するものではありません)
目次
- 日清食品ホールディングス株式会社
- 株式会社ベネッセコーポレーション
- ディップ株式会社
- 株式会社みずほフィナンシャルグループ
- 農林水産省
- パナソニック株式会社
- 株式会社サイバーエージェント(広告)
- 株式会社サイバーエージェント(LLM)
- 伊藤忠商事株式会社
- 学校法人武蔵野大学
- 東京都
- アサヒグループホールディングス株式会社
- KDDI株式会社
- 株式会社日立製作所
- 旭鉄工株式会社
- ソフトバンク株式会社
- 株式会社大和証券グループ本社
- 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
- 株式会社三井住友銀行
- 日本電信電話株式会社
- 西日本旅客鉄道株式会社
- 日本コカ・コーラ株式会社
- 三菱電機株式会社
- 株式会社クレディセゾン
- GMOインターネットグループ株式会社
- ライオン株式会社
- 第一生命保険株式会社
- 株式会社テレビ東京
- 株式会社フジテックス
- 東京都教育委員会
- スマートソーシャル株式会社
- 株式会社建設システム(KENTEM)
- 明治安田生命保険相互会社
日清食品ホールディングス株式会社
概要
日清食品ホールディングスは、自社開発のAIチャットアプリ「NISSIN AI-chat」の使用をグループの約4000人で開始しました。このアプリは、Microsoft Power Platform/Power AppsとAzure OpenAI Serviceを使用して開発され、約30の営業業務に生成AIを活用することで、営業部員1人あたり年間400時間の労働時間削減を見込んでいます。様々なユースケースでの活用が開始され、社内のスキルやノウハウの標準化・平準化に寄与しています。
課題・導入経緯
- 日清食品グループは中長期成長戦略において「NBX (NISSIN Business Transformation)」を全社活動テーマとして掲げ、純粋なデジタル化に留まらないビジネスモデル自体の変革を目指した取り組みを推進している
実装方法
- Microsoft Power Platform/Power AppsとAzure OpenAI Serviceを利用して開発
- 同社キャラクター「ひよこちゃん」による注意喚起
- レベル別プロンプトエンジニアリング研修も実施
効果(または見込み)
- 約30の営業業務に生成AIを活用することで、営業部員1人あたり年間400時間の労働時間削減を見込む
参考リンク
セキュリティ対策を施したMicrosoft Azure上で独自システムを開発!対話型AI「NISSIN-GPT」をグループ社員3,600人に向け4月25日(火)に公開
日清食品グループにおける生成AI活用の現在地
株式会社ベネッセコーポレーション
概要
ベネッセは、小学生とその親向けに「自由研究お助けAI」サービスを2023年7月25日から無償提供を開始。安心・安全に配慮し、Microsoftの「Azure OpenAI Service」をベースに開発された生成AIです。小学生の興味関心の広がりと思考力向上を目指し、自由研究のアイデアやテーマ提案を行います。利用には保護者の承認が必要で、不適切な内容の回避や情報リテラシーの学習も含まれています。
課題・導入経緯
- ベネッセが独自に小学生親子に行った「ChatGPTの利用に関する意識調査」では「ChatGPTを利用してほしくない」と考える保護者も一定数存在しており、その約半数が「自分で考えなくなりそうだから」といった思考力低下に関する懸念を持っていることが明らかに
- そこで「進研ゼミ小学講座」は、小学生向けに安心・安全に配慮し、子ども自身の思考力の向上や興味関心を広げるため、夏休みの自由研究をテーマに、ベネッセが学習向けに独自にカスタマイズした生成AI「自由研究お助けAI」を開発
実装方法
- Microsoft社の「Azure OpenAI Service」をベースに、入力内容を再学習に利用しない方式で提供
- 企画部門と開発部門が密に連携して開発
効果(または見込み)
- 利用者の8割を超えるユーザーから自由研究の役に立ったと回答
- システムの不具合も報告されず
参考リンク
ベネッセ、小学生親子向け生成AIサービスを7/25から無償提供
注目の生成AIを自社プロダクトに導入 子どもの期待に技術で応え続ける
ディップ株式会社
概要
ディップ株式会社は、AI技術の活用に重点を置くプロジェクト「dip AI Force」を開始しました。このプロジェクトでは、200以上のChatGPTプロンプトを整備し、現場に250名のアンバサダーを配置することで、全社の生産性向上と業務効率化を目指しています。この取り組みにより、AI技術の実践的な応用を進め、社内のAI活用が加速することが期待されています。
課題・導入経緯
- DX推進・AIの適切な活用とともにその可能性を最大限に引き出すことで生産性向上を目指す
実装方法
- 250人のアンバサダーを設置
- 利用ガイドラインを策定、全社員への教育体制を構築
- 「ChatGPT」などの費用を補助
- 200以上のプロンプトデータベースを作成し、全社員へ公開
効果(または見込み)
- 営業社員が抱える業務の約60%にわたる原稿作成等の事務作業時間を削減
- 商談の質を向上させ、3年で営業生産性 1.8倍に引き上げていくこと目指す
参考リンク
200以上のChat GPTプロンプト整備、現場に250名のアンバサダーを配置 全社横断のプロジェクトチーム「dip AI Force」始動
株式会社みずほフィナンシャルグループ
概要
みずほフィナンシャルグループは、テキスト生成AI「Wiz Chat」を導入し、業務効率化を図っています。このAIはAzure Open AIを基に開発され、要約・翻訳、文章作成、プログラミングなど多岐にわたる機能を提供。新入社員が業務に役立つ相談相手として活用したり、ドキュメント作成やアイデア出し、データ整理などに利用されています。さらに、将来的には事務手続き照会対応や融資稟議書ドラフト作成など、より幅広い業務への応用を検討しています。
課題・導入経緯
- テキスト生成AIの導入が経営面でも非常に重要なトピックとして位置づけられた
実装方法
- Azure Open AIを活用し「Wiz Chat」を開発
- 慎重にセキュリティ面の対策を施しつつ、現場の担当者と一丸となってスピーディに判断を進めた結果、4ヵ月弱で導入に至った
効果(または見込み)
- 稟議書や契約書の作成サポート、事務手続やシステムに関する社員からの照会対応、自然言語を介した金融に関するデータ収集やプログラミング言語のコード生成など、あらゆるシーンでの活用を見込む
参考リンク
黒島結菜が〈みずほ〉の生成AI活用の現場を訪問(MIZUHO DX)
みずほFG、日常業務での生成AIの利用を週内に開始
デジタル・トランスフォーメーション(DX)加速に向けた、日本マイクロソフト株式会社のAzure OpenAI Serviceの活用検討開始について
農林水産省
概要
農林水産省は、数千ページに及ぶ補助金申請マニュアルの改訂や修正に対話式AI「ChatGPT」を活用することを決定しました。これまで毎年業者に委託していた作業の負担を軽減し、利用者にとって分かりやすいマニュアル作成を目指します。ChatGPTの使用は、公開文書の簡略化に限られ、機密情報は含まれません。
課題・導入経緯
- 「農林水産省共通申請サービス(eMAFF)」の利用者向けのマニュアル改定作業では、補助金の制度変更などにあわせて数千ページに上るマニュアルの改訂や修正を毎年業者に委託していた
- しかし、短期間で作業を終える必要があるため業者の負担も大きく、文章の表現が一部分かりにくくなってしまっていることが課題だった
実装方法
- 「Azure OpenAI Service」を受託事業者が契約してChatGPTを利用する見込み
効果(または見込み)
- 不明
参考リンク
農水省が4月中にも中央省庁初のChatGPT利用、先陣切って実際の業務で使うワケ
数千ページのマニュアル改訂「ChatGPT」活用へ 農林水産省
パナソニック株式会社
概要
パナソニックグループは4月、AIアシスタントサービス「PX-GPT」を国内約9万人の全社員に展開しました。Microsoft社のAzure OpenAI Serviceを活用しており、社内イントラネットからアクセス可能です。PX-GPTは、生産性向上と業務プロセスの進化を目指し、技術職だけでなく様々な部門における新しいビジネスアイデアの創出を促進します。セキュリティ面にも配慮されており、社員がAI技術を学習し活用できる環境を提供します。
課題・導入経緯
- パナソニックグループではDXへの取り組みを「Panasonic Transformation(PX)」としてITシステム面の変革に留まらない経営基盤強化のための重要戦略と位置づけ。「IT変革」「オペレーティング・モデル変革」「カルチャー(企業文化)変革」の3階層で全社的に推進しており、今回の「PX-GPT」もその活動の一環
- グループ会社のパナソニック コネクトでは、2023年2月17日から多くの社員が「ConnectGPT」を業務で活用し、パナソニック コネクト以外のパナソニックグループの社員からもAIアシスタントサービスの業務活用の可能性の評価・検証や業務効率化のためのAI活用の要望が挙がってきていたため、全社導入を決定
実装方法
- Azure OpenAI Serviceを活用
- Microsoftが提供するGTP3.5の法人向けサービス(API提供型)のAIエンジンをベースに開発し、入力した情報の二次利用や第三者提供がされない仕様
- 入力した情報は一定期間を過ぎたら消去するなど、セキュリティ面に配慮
- ユーザーインターフェースには使用に際しての注意喚起を明記
- 英語で質問した方がより精度の高い回答が得られることから、自動翻訳機能も搭載
効果(または見込み)
- 「PX-GPT」を国内全社員に広く提供することで、技術職だけでなく製造・営業など様々な部門の社員の生産性向上と業務プロセスの進化を実現すとともに、社員のアイデア・夢の実現や新たなビジネスアイデア創出への挑戦を促進する
- 社員が最先端のAIテクノロジーに日々自由に触れられる環境を提供することで、IT部門だけでなく全部門の社員に、AIの活用方法を加速度的に学習させ、新技術を利活用できる人材を育成を狙う
参考リンク
AIアシスタントサービス「PX-GPT」をパナソニックグループ全社員へ拡大 国内約9万人が本格利用開始
株式会社サイバーエージェント(広告)
概要
サイバーエージェントは、「極予測AI」において生成AIを活用して商品画像を自動生成する機能を開発し、2024年1月から運用を開始します。広告効果が高い商品画像の大量制作を実現し、広告業界における生産性の向上に寄与することが期待されており、より効率的かつ効果的な広告素材の作成が可能になります。
課題・導入経緯
- 従来の広告クリエイティブ制作において、商品画像の撮影は多くの時間と費用を要していた
- ロケーションや天候を考慮しながら1つ1つのシーンに合わせたセットや機材を用意し撮影を行うため、必要な時間や費用に対して広告として使用できる商品画像の量が見合わないという課題があった
実装方法
- 不明
効果(または見込み)
- 本機能により、従来の撮影で必要とされていた機材やセット、ロケーションを用意せずとも、あらゆるシチュエーションと商品画像の組み合わせを大量に自動生成することが可能に
参考リンク
極予測AI、生成AIを活用した商品画像の自動生成機能を開発・運用開始へ
株式会社サイバーエージェント(LLM)
概要
サイバーエージェントは、70億パラメータ・32,000トークン対応の日本語LLM(Large Language Model、大規模言語モデル)を公開。同社はかねてより日本語LLMの開発に取り組んでおり、2023年5月には国内の自然言語処理技術の発展への寄与を目的とし、「CyberAgentLM」を一般公開しました。その後もLLMに関する研究開発を続け、同社が提供する「極予測AI」をはじめとするサービスにおいて活用を進めています。
課題・導入経緯
- 不明
実装方法
- モデルは、日本語および英語データで事前学習を行なった70億パラメータのベースモデルであるCyberAgentLM2-7Bと、チャット形式でのチューニングを行ったCyberAgentLM2-7B-Chatの2種類
- CyberAgentLM2-7B-Chatは入出力の長さとして32,000トークンに対応しており、日本語の文章として約50,000文字を一度に処理可能
- モデルは商用利用可能なApache License 2.0で提供されており、こちらのURLから利用可能
効果(または見込み)
- 国内に置ける自然言語処理(NLP)の発展への寄与
参考リンク
独自の日本語LLM(大規模言語モデル)のバージョン2を一般公開 ―32,000トークン対応の商用利用可能なチャットモデルを提供―
伊藤忠商事株式会社
概要
伊藤忠商事は2023年7月25日より、「ChatGPT」を約4200人の従業員に導入しました。業務の生産性向上を目的としており、商社業界における生成AIの活用に新たな可能性を提示しています。ChatGPTを利用した議事録の作成や調査業務などへの応用を検討しており、将来的には特化した生成AIの開発も視野に入れています。
課題・導入経緯
- 「総合商社としてChatGPTが業務の生産性向上につながるかどうか」を確認するために導入を検討
実装方法
- 資本業務提携関係にあったブレインパッドと共同で検討していくことを決定し、「生成AI研究ラボ」を立ち上げ
- 伊藤忠内の担当部門に加え、ブレインパッド、資本業務提携を結ぶ戦略コンサルタントのシグマクシス、システムインテグレーターの伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)などが参加メンバー
- 各社の知見、ノウハウを集めてシステム開発や伊藤忠社内での検証を行い利用状況の分析やシステムの改善を行いつつ、「生成AIのビジネス利用に向けた実証研究を進める」ことを目標とする
- 伊藤忠社内ではAzureを導入していたことから、検証過程でAzure OpenAI Serviceで導入する方針を決定
効果(または見込み)
- 伊藤忠社内のビジネスチャット「Benefitter」のUIを生かし、ChatGPTとAPI連携することで、ビジネスチャットを使うように生成AIを利用できるように
- 伊藤忠固有の契約書、規程類、商社として貿易業務に関する各種書類などのデータをAPIでGPTと連携し、問い合わせに対してAPI経由でデータを取り込みGPTの回答に活かすことを狙う
参考リンク
伊藤忠商事が「社内版ChatGPT」を4200人に導入開始…“商社が使う生成AI”への期待
ChatGPT等の生成AIを用いた企業の業務変革や新規ビジネス開発支援を行う「生成AI研究ラボ」の設立について
学校法人武蔵野大学
概要
武蔵野大学は、学生や非常勤講師のために「学内ChatGPT」を開発し、学内システムやICT機器に関する質問に対応しています。このプロジェクトは、以前同大学が使用していたシナリオ型チャットボットの限界を超えるために、生成AIを用いて実施されました。開発にはMicrosoftのAzure OpenAI Serviceを利用。実際の利用者数はまだ数百人程度ですが、学生の満足度は高まっています。
課題・導入経緯
- 武蔵野大学では、2022年度にPCのBYODを始めたことをきっかけに、AIを使わないシナリオ型のチャットbotを導入
- ICT環境に関する学生からの質問に答える用途で使っており、1年間で約1万件の質問があった
- しかし、事前に想定した応対以外はできないシナリオ型だったこともあり、学生からの多様な質問に対応し切れる訳ではなく、結局は職員に相談がいき、満足な効果が得られていなかった
実装方法
- 「Azure OpenAI Service」の利用により、セキュリティ対策と利用者のプライバシー保護など安全性を配慮
- 大学生約1万人に加え、まだ学内のICT環境に不慣れな非常勤講師など約1500人向けに提供(11月1日時点)
効果(または見込み)
- 提供開始から約3カ月たった11月1日時点では利用人数は数百人程度。今後の入学シーズンなどに向け利用は増える見通し
- 将来的には利用者との対話履歴や蓄積した個人データを活用し、パーソナライズされた情報の提供やアドバイスを行う“AI-Ready-University”を実現する
参考リンク
“学内ChatGPT”で学生1万人からの問い合わせに対応──武蔵野大学が生成AIで挑戦 取り組みの現在地
【武蔵野大学】国内大学で初!生成AI搭載のICTヘルプデスクチャットボットが誕生
東京都
概要
東京都は、約5万人の都職員に対して対話型AI「ChatGPT」の業務利用を解禁しました。2023年8月23日から開始され、文章の要約やキャッチフレーズ作成などに利用されています。利用ガイドラインには個人情報や機密情報を入力しないよう定められており、都はChatGPTを利用して得られる新たなアイデアや都民サービスの質向上に期待しています。
課題・導入経緯
- 東京都では、4月にデジタルサービス局内に検討プロジェクトチームを設置し、文章生成AIの利活用について議論を重ねてきた
- 8月からは文章生成AIを共通デジタルツールとして全局に導入
- 併せて職員向けに「文章生成AI利活用ガイドライン」を公開
実装方法
- Microsoftの「Azure OpenAI Service」を利用し、職員が業務で活用するためのより安全な利用環境を共通基盤として整備
効果(または見込み)
- 行政サービスの質を高め、都政のQOS(Quality of service)向上につなげる
参考リンク
東京都 職員のChatGPT利用を解禁
「文章生成AI利活用ガイドライン」の策定について
アサヒグループホールディングス株式会社
概要
アサヒグループホールディングスは、MicrosoftのAzure OpenAI Serviceを活用した「Asahi Chat」を2023年9月から試験的に導入。アサヒグループホールディングス全部門の約300名に展開し、業務品質と生産性向上を目指しています。セキュリティ対策も施し、データの安全管理に注力しています。このAI導入は、同グループのDX戦略の一環であり、組織のデジタル化とITスキルの普及を目指しています。
課題・導入経緯
- アサヒグループでは、『中長期経営方針』のコア戦略の一つにDX戦略を掲げており、新たな価値提供を可能にするビジネスの変革を目指している
- DX戦略で定めている「Business Innovation」「Process Innovation」「Organization innovation」の3つの領域のうち、「Organization innovation」では生成AIの導入などによるデジタルネイティブ組織への変革を進める
- 生成AIなどのITやデータ活用スキルを専門組織だけのものではなく、全ての機能組織が、当たり前のスキルとして持つことを目指している
実装方法
- Azure OpenAI Serviceの最新の基盤技術「GPT-4」を活用
- 入力した情報の二次利用や第三者提供はせず、「Asahi Chat」の利用の都度データが削除される仕様
- 海外も含めたグループ全社に向けて、Chat GPTの使用上の注意事項などをまとめた「ChatGPTの利用ガイド」を制定し、一般的な生成AIの利用を促進
効果(または見込み)
- 多量の情報を要約する業務や文書を作成する業務などで、これまで以上に業務品質や生産性の向上、業務プロセスの改善ができると想定
- 「Asahi Chat」の効果を検証し、生成AIの更なる活用を検討
参考リンク
KDDI株式会社
概要
KDDI株式会社は2023年5月24日から、約1万人の社員を対象に生成系AIを活用した「KDDI AI-Chat」の実業務利用を開始しました。このAIサービスは、企画業務のリサーチやアイデア出し、文書作成支援などに使用されます。今後、社員による様々なユースケースを検証し、社員のAIスキル向上と業務効率の最大化、AIを活用したビジネス展開を目指しています。
課題・導入経緯
- KDDIはデータドリブン経営やファーストパーティデータのビジネス活用を推進できる体制の構築を進めており、変化の激しい環境下やKDDIのビジョンを踏まえ、生成系AIの「機会とリスク」を認識し、ビジネス革新につなげるために実施
実装方法
- 新たな社内体制を2023年5月8日から構築し、全社の部門横断の体制となり、生成系AIの取り組みを推進
- KDDI独自の環境を構築して利用するため、秘匿情報が外部に流出しないことが担保され、安心安全にAIを利用できる環境を構築
- KDDIグループでは、2021年8月に「KDDIグループAI開発・利活用原則」を策定しており、生成系AIに関しても、本原則に則りリスクを評価した上で活用を進めている。また、生成系AIに特化した社内ガイドラインなどの整備を実施していく
効果(または見込み)
- 企画業務におけるリサーチやアイデア出し、クリエイティブ業務支援、文書作成支援などで利用
- 今後、社員によるさまざまなユースケースを検証し、社員のAIスキル向上、業務効率の最大化、生成系AIを活用したビジネス展開を目指す
- 9月5日からは「Azure OpenAI Service」を法人向けに提供開始
参考リンク
社員1万人が「KDDI AI-Chat」の利用を開始
生成AI「Azure OpenAI Service」の法人向けトータルサポート開始
株式会社日立製作所
概要
日立製作所は、生成AI技術の利活用を推進するため「Generative AIセンター」を2023年5月15日に新設しました。このセンターは、文章作成・要約、翻訳、ソースコード生成など多様な業務でAIを活用し、日立グループ全体の生産性向上を目指します。加えて、顧客へのコンサルティングサービスも提供し、Azure OpenAI Serviceと連携した環境構築支援を行います。
課題・導入経緯
- これまで毎年100件以上のAI・データアナリティクスプロジェクトを推進してきた一方で、AIにはプライバシーや倫理的に重大な影響を及ぼすリスクも存在
- 社会インフラを担う同社として「プライバシー保護諮問委員会」設置や「AI倫理原則」の策定など、専門組織による事業支援とガバナンスの改善に取り組んできた
実装方法
- 「Generative AIセンター」は、生成AIに対して知見を持つデータサイエンティストやAI研究者、社内IT、セキュリティ、法務、品質保証、知的財産などのスペシャリストを集結し、リスクマネジメントしながら活用を推進するCoE (Center of Excellence)組織
- リスクをふまえた業務利用ガイドラインを策定し、23年4月末に第一版を発行。継続的にアップデートしていくほか、社員向け相談窓口を設置し、ガイドラインではカバーが難しい相談にも対応
- Azure OpenAI Serviceなどを活用した社内利用環境「Generative AIアシスタントツール」を整備し、23年5月末より利用開始。「Generative AIセンター」がその社内活用をサポート
効果(または見込み)
- 同組織を中心に文章の作成・要約や翻訳、ソースコード作成など、生成AIをグループ32万人のさまざまな業務で利用を推進し、生産性向上ノウハウの蓄積および顧客にも利用環境提供を目指す
- 生成AIの利用を検討する企業に対し、AIの活用に関する知見やセキュリティ・知的財産などの専門知識を組み合わせ、生成AIのユースケースや価値創出を支援するコンサルティングを23年6月から提供
- 同社のDX支援事業「Lumada」にも生成AIを取り込んでいく
参考リンク
新組織「Generative AIセンター」により、生成AIの社内外での利活用を推進し、Lumada事業での価値創出の加速と生産性向上を実現
旭鉄工株式会社
概要
中堅自動車部品メーカーの旭鉄工とグループ会社であるi Smart Technologiesは、生成AIとIoT技術を活用し、製造現場の改善活動を進めています。製造現場での改善活動のノウハウを横展アイテムリストとしてChatGPTでカタログ化し、現場での改善を促進。これにより、改善サイクルの高速化と属人的な管理の解消を目指しています。
課題・導入経緯
- IoT活用で改善のサイクルは早まったが、改善方法そのものは属人的に管理されており、個人が紙やファイルで保存している状況で、実績のある改善パターンなども共有されていなかった
- そこで、改善ノウハウを共有し、問題の対策の早期化と人材育成の早期化を目指し、ノウハウを抽出して「横展アイテムリスト(ノウハウ集)」を作成
- しかし、事例が増えることで目的に合致する事例を探し出すことが難しくなり、ここにChatGPTを使えないかと考えた
実装方法
- ChatGPTに横展アイテムリストの内容を読み込ませ、ChatGPTに自然言語で質問することで、最適な改善事例を回答できるように
効果(または見込み)
- 現状ではシステム面での制約もあり、まだ製造現場での本番環境で活用するまでは至っていないものの、活用できそうな手応えを感じている
- システム面での制約が解消された段階で「カイゼンGAI(Generative AI)」としてi Smart Technologiesで外販するソリューションにも組み込む方針
参考リンク
ChatGPTで製造現場カイゼンを簡単に、過去事例や注意点を引き出す生成AI活用事例
製造業での活用〜カイゼンノウハウは生成AIに聞け!〜
ソフトバンク株式会社
概要
ソフトバンク株式会社は、全従業員約2万人を対象に、社内向けの生成系AIチャットサービスの利用を2023年5月29日から開始しました。文章作成や翻訳などの業務効率化、生産性向上、営業・マーケティング領域での企画・アイデア立案やサービス開発支援を目的としています。また、AI倫理とガバナンスを重視し、従業員の生成系AI利用に関する教育プログラムも提供する予定です。
課題・導入経緯
- ソフトバンクは、2023年2月ごろから生成系AIの業務利用を開始するなど、業務効率の向上などをはじめ、広く生成系AIの利用を推進してきた
実装方法
- ソフトバンク版AIチャットは、ソフトバンクの全従業員が生成系AIをより積極的かつ安全・安心に業務で活用することを目的に、セキュアな環境で構築された社内向けAIサービス
- 利用開始に合わせて、2022年7月12日に策定した「ソフトバンクAI倫理ポリシー」に基づき、AI倫理およびガバナンスに特化した「AIガバナンス基本規程」を新たに制定し、2023年7月に施行
- 「AIガバナンス基本規程」と併せて、従業員が生成系AIなどを業務で利用する上で必要な知識を身に付けることを目的に、AI倫理に関する教育プログラムを、ソフトバンクの全従業員向けに2023年6月中に提供
効果(または見込み)
- 文章の作成や翻訳などの既存業務の効率化や生産性の向上につなげることができる他、営業・マーケティング領域での企画・アイデアの立案やサービス開発における各種プログラミングのサポート、コールセンターの業務など、あらゆる業務に応用することを目指す
参考リンク
ソフトバンク版AIチャットの利用を開始~全従業員約2万人を対象に、セキュアな環境で生成系AIの業務利用を促進~
株式会社大和証券グループ本社
概要
大和証券は、全社員約9,000人を対象に、対話型AI「ChatGPT」を導入しました。安全な環境で業務に利用可能で、データやデジタル技術の知見を活用し迅速に導入。期待される効果には、英語での情報収集サポート、資料作成時間の短縮、各種ドキュメント作成の支援などがあります。社員による正確性の確認を前提とし、新たな活用方法の探索と金融・資本市場における新技術の先駆けとしての役割を担います。
課題・導入経緯
- ChatGPTは計り知れない可能性を秘めており、迅速に広く活用することで、新たな活用方法のアイデアを探ることが最も有益だと考え、これまで大和証券グループに蓄積してきたデータ・AIやクラウド等のデジタルへの知見を活かして早期導入へ
実装方法
- 「Azure OpenAI Service」を利用し、情報が外部に漏れないセキュアな環境により、全ての業務に利用可能
効果(または見込み)
- 英語等での情報収集のサポートや、資料作成の外部委託にかかる時間の短縮や費用の軽減
- 各種書類や企画書等の文章、プログラミングの素案作成に用いることで、顧客と接する時間や企画立案等、本来業務に充てる時間の創出
- 幅広い社員が利用することによる、さらなる活用アイデアの創出
参考リンク
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
概要
三菱UFJフィナンシャル・グループは、安全な環境下で行内のあらゆるユースケースに対応するため、自社版「ChatGPT」の開発を進めています。このプロジェクトは、業務効率化と顧客サービス向上を目指し、稟議書作成アシストや金融レポート要約など110以上のユースケースに応用可能です。また、全行員が使いこなせるような環境を整備し、行員のデジタルリテラシーを高めることにも注力しています。
課題・導入経緯
- ChatGPT以前も自然言語処理の分野では様々なサービスが出ていたものの、精度や能力といった機能面が不足していた
- しかし、OpenAI社のChatGPTは機能面が非常に優れていたため、銀行内でも導入したいという声が挙がっていた
- 当初はセキュリティ面に不安があったものの、前述の通りマイクロソフト社のAzureでの環境が整ったのを皮切りに、役員を中心に話し合いが行われ、急遽体制を整えて開発を開始することになり、2023年4月にキックオフ
実装方法
- すでに導入済みのマイクロソフト社のAzureの基盤上に、Azure OpenAI Serviceと連携したアプリを構築することで、安全な環境でChatGPTと同等のサービスを利用できるように
- 生成系AI独自のリスクへは、元々DX室にAIのリスクを管理するメンバーが在籍しており、その知見を著作権や誤情報といった生成系AI独自のリスクにも転用することで対処
- Azureの開発環境については行内では知見が足りなかったため、マイクロソフト社をはじめ、マイクロソフト製品を扱うベンダーにも協力をあおいだ
- 行内でも役員レベルが力を入れるトップ案件ということもあり、マネジメント層からも予算確保を後押し。CDTO含む役員宛への報告は、システム企画部とDX室から週一回メールで行うなど密に連携
効果(または見込み)
- 2023年内に全行員が利用できる環境を整えることが目標
- 稟議書の作成アシストや金融レポートの要約、行内手続き照会など、すでに110以上のユースケースが集まっている(日本マイクロソフト株式会社主催のMicrosoft Build Japanで発表)
参考リンク
MUFG版「ChatGPT」の開発秘話 DX化を加速させる新たなオープンイノベーション
株式会社三井住友銀行
概要
SMBCグループは、Microsoft Azureの専用環境で「SMBC-GPT」というAIアシスタントツールの実証実験を開始しました。このAIは、文章作成、要約、翻訳、ソースコード生成などをチャット形式で行うことが可能で、社内でのみ利用されます。目的は、従業員の情報収集時間を削減し、生産性向上を図ることです。また、日本総研とNECは、AIモデルの調整・最適化とシステムインフラの整備に取り組んでいます。
課題・導入経緯
- SMBCグループは、AIのリスクに対する取り組みと同時に、先進的な技術の活用にも積極的に取り組んでおり、技術の進歩を追いかけるだけでなく、新しい技術を取り入れることでより良いサービスを提供することを目指している
実装方法
- 「SMBC-GPT」は、Azure OpenAI Serviceを活用したグループ専用環境上で動作するチャットツールとして、情報が社外に流出しないプロトタイプを構築し、社内従業員のみ利用可能
- 日本総研、NEC、日本マイクロソフト株式会社と共に、SMBCグループの独自情報について回答を可能とすることに加え、更なる回答精度の向上に向け、AIモデルの調整・最適化を行う
- 従業員の幅広いニーズに対応した汎用的なAI学習を実現するためのシステムインフラを整備し、自然言語処理だけではなく、画像認識、音声認識、開発高度化などの分野でも幅広く活用していけるよう様々な機能レベルアップを進め、「SMBC-GPT」を多様な分野に活用できる金融AIへと推進
効果(または見込み)
- 顧客が希望する手続に対し、従業員が「SMBC-GPT」を活用し、迅速な案内が可能となるツール等の開発を進めている
- AIが収集・分析した市場動向や外部環境などの情報を活用し、各種企画資料やお客さまへの情報提供資料の作成をサポート
参考リンク
SMBC グループの専用環境におけるAI アシスタントツール「SMBC-GPT」の実証実験の開始について
SMBCグループの専用環境におけるAIアシスタントツール「SMBC-GPT」の実証実験の開始について
SMBC独自開発、従業員専用「生成AIアシスタント」の利用開始、グループへ展開!
日本電信電話株式会社
概要
NTTは、高い日本語処理能力を持つ軽量大規模言語モデル「tsuzumi」を開発しました。このモデルはエネルギー効率とコストを考慮し、6〜70億のパラメタサイズで英語と日本語に対応し、特定の業界や企業組織へのカスタマイズが可能です。また、マルチモーダル機能の追加で新しい価値創出を目指しています。
課題・導入経緯
- ChatGPTを始めとする大規模言語モデルが注目されているが、これらは膨大な知識をモデル内に有することで高い言語処理性能を示す一方、学習に要するエネルギーは、原発1基1時間分の電力量が必要とも言われる
- 運用には大規模なGPUクラスタを必要とし様々な業界に特化するためのチューニングや推論にかかるコストが膨大なことから、サステナビリティおよび企業が学習環境を準備するための経済的負担面で課題があった
- NTTはこうした課題を解決するためにLLMの研究開発を進め、軽量ながら世界トップレベルの日本語処理性能を持つ大規模言語モデル「tsuzumi」を2024年3月の提供開始を発表
実装方法
- 不明
効果(または見込み)
- パラメータサイズが6~70億と軽量のため、市中のクラウド提供型LLMの課題である学習やチューニングに必要となるコストを低減
- 英語と日本語に対応し、1GPUやCPUでの推論動作を実現。また、視覚や聴覚といったモーダルに対応し、特定の業界や企業組織に特化したチューニングが可能
参考リンク
NTT版大規模言語モデル「tsuzumi」
満を持してデビュー!大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」記者会見速報
西日本旅客鉄道株式会社
概要
JR 西日本グループは生成 AI を活用した働き方改革に取り組んでいます。生成AIチャットボットサービスの本社社員への展開をはじめ、業務の効率化と品質の向上によるさらなる価値創出を進めており、グループ全体でイノベーションを生み出し続ける働き方の変革に挑戦しています。
課題・導入経緯
- JR 西日本はデジタルツールの活用を通じた組織風土や文化の変革により、社員のやりがい向上と、高頻度で社会に対する新たな価値や変化を創出する 「Work Smile Project」という働き方改革プロジェクトを推進しており、その一環として生成AIを活用
実装方法
- Microsoft の「Azure OpenAI Service」を利用し同社社員が環境を構築
効果(または見込み)
- 各種業務を遂行する際のパートナーとして社内向けチャットボットを使い、社員の業務効率化、業務品質の向上により新たな価値創出を図る
- 社内向けの生成AI環境を整えることで社員のリテラシーを高め、生成AIを活用する新たなシステムの構築や業務変革やサービス向上への布石とする
参考リンク
生成 AI による働き方改革への挑戦~高頻度で社会に対する新たな価値や変化を創出~
日本コカ・コーラ株式会社
概要
日本コカ・コーラは、画像生成AIツール「Create Real Magic」を公開しました。18歳以上のユーザーが無料で利用でき、日本を含む44カ国でのグローバル施策として展開されています。ユーザーはアカウントを作成し、テーマやシーン、スタイルの選択肢からクリスマスカードを生成できます。また、コカ・コーラの過去の広告データを利用して画像を生成することも可能で、生成された画像の一部は、コカ・コーラの屋外広告やソーシャルメディアで紹介される予定です。
課題・導入経緯
- コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーと「ChatGPT」開発・運営のOpenAI社が立ち上げた枠組みにコカ・コーラが参画して制作
実装方法
- OpenAIが開発した「GPT-4」と「DALL・E」を使用
- 生成にはコカ・コーラの広告のデータも使用。1931年〜64年にコカ・コーラのクリスマス・キャンペーンに使用されたハッドン・サンドブロムによる「サンタクロース」や、1993年に「Always Coca-Cola」キャンペーンで使用されたポーラーベア(ホッキョクグマ)の家族などが含まれる
効果(または見込み)
- ツール利用者が生成した画像の一部は、コカ・コーラの屋外広告やソーシャルメディアアカウントで紹介
- 「Create Real Magic」上で「共有可能」に設定すると、コカ・コーラが選定して「Instagram」や「Facebook」で紹介したり、OOHに表示したりする
参考リンク
三菱電機株式会社
概要
三菱電機は、社内業務に生成AIの活用を開始しました。国内グループ全従業員、約12万人を対象とし、文書作成、プログラムコードの作成などに利用され、業務効率化と生産性向上に貢献することが期待されています。AIの利用ガイドラインも策定し、セキュリティ対策としてマイクロソフトの「Azure OpenAI Service」を利用。今後は社外向けのサービス利用も計画しているとのことです。
課題・導入経緯
- CIO、CTO、CROが連携した社内横断の「AIデジタルガバナンスチーム」を組成。生成AIの利活用などについて検討を重ねる
実装方法
- Microsoftの「Azure OpenAI Service」を利用
効果(または見込み)
- 文章作成、校正、要約、翻訳やアイデアの立案、情報検索や分析、プログラムコード作成などの社内業務に活用
参考リンク
三菱電機がグループ12万人対象に活用開始、「生成AI」の使い方
株式会社クレディセゾン
概要
株式会社クレディセゾンは、全社員が利用可能な生成AIツールを内製開発し、業務プロセスの見直しを進めています。2023年11月からはAIアシスタントサービス「SAISON ASSIST」を提供開始し、12月には社内情報回答チャットボット「アシストくん」のテスト運用を開始しました。2024年度中には、議事録作成システムの導入も予定しています。
課題・導入経緯
- 2023年11月より、生成AIによる業務効率の向上や、安全な環境での生成AIの利用を目的にOpenAI API/Azure OpenAI Serviceを利用したAIアシスタントを全社員を対象に提供を開始
実装方法
- OpenAI API/Azure OpenAI Serviceを利用
効果(または見込み)
- より多くのビジネス課題解決に向け、内製で構築したLLM活用基盤で業務知識が必要な問い合わせなども生成AIが作成した文章で回答できるように開発し、全社をあげて生成AIを前提とした業務プロセスの見直しに取り組む
- 社内での活用から得られたノウハウや、当社が保有するデータやAI技術と組み合わせ、新たなサービスの創出も目指す
参考リンク
生成AIを軸とした業務プロセスの見直しを推進 ~全社員が活用できるAIツールを内製開発~
GMOインターネットグループ株式会社
概要
GMOインターネットグループは生成AIを活用し、国内従業員の約10%に相当する600人月分となる約96,000時間/月の業務時間を創出したと発表しました。同社は「AI活用No.1企業グループ」を目指しており、全従業員がAIを利用できる環境を整備。AIの活用により、業務効率化、新サービスの創出、既存サービスの質向上などが期待されています。
課題・導入経緯
- GMOインターネットグループは2023年4月に「AI(愛)しあおうぜ!プロジェクト」を立ち上げ、様々な施策を通じてグループ全従業員のAI活用による生産性向上や、既存サービスへのAI機能実装、AI産業への新サービス提供を進めている
- 今回、プロジェクトの一環として、国内のパートナーを対象にChatGPTなど生成AIの活用実態を調査
実装方法
- 不明
効果(または見込み)
- 71%のパートナーが、「業務において”AI”を活用している」と回答。また、66%(3,606人)が「”生成AI”を業務に活用している」と回答
- 生成AIを業務に活用していると回答したパートナーの96%が生成AIの活用により15分/日以上の業務時間を創出したと回答。1時間/日を創出したパートナーが31%と最も多かった
- 国内パートナーの66%が生成AIを活用したことにより、ひと月あたり約9万6,000時間、国内パートナー数の約10%にあたる600人相当の業務時間を創出
- 生成AIを業務に活用しているパートナーのうち、95%が「生成AI活用で仕事のアウトプットの質向上につながっている」と感じている
参考リンク
生成AI活用により9万6,000時間/月、国内パートナー数の10%にあたる600人月相当の業務時間を創出~「AI活用No.1企業グループ」に向けて調査を実施~
ライオン株式会社
概要
ライオン株式会社は、マイクロソフトのAzure OpenAI Service を活用して自社開発した対話型生成AI「LION AI Chat Powered by ChatGPT API(LION AI Chat)」を同社グループの国内従業員約5,000人に向けて公開。企画資料の作成サポートや、専門用語を理解しやすい一般的な言葉に翻訳することで社内外コミュニケーションを円滑にするなど、さまざまなシーンで業務効率化を図るとしています。
課題・導入経緯
- ライオンは「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」というパーパスを起点に、経営ビジョン「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」の実現に向けた企業活動を進めている
- 2021年に策定した中長期経営戦略フレーム「Vision2030」では、経営戦略のひとつとして「成長に向けた事業基盤への変革」を設定し、既存業務の革新と効率化に取り組でいる
実装方法
- マイクロソフトのAzure OpenAI Service を活用
- 公開にあたっては対話型 AI に興味関心の高い従業員を募り、具体的な業務への活用アイデアを出し合うワークショップを実施
- デジタル意識の高い従業員が先行して活用事例を示すことで「LION AI Chat」を有効活用できる人材の育成を進める
効果(または見込み)
- 企画資料の作成サポートや、専門用語を理解しやすい一般的な言葉に翻訳することで社内外コミュニケーションを円滑にするなど、さまざまなシーンで業務効率化を図る
参考リンク
Azure OpenAI Service を活用した対話型生成 AI を国内従業員約 5,000 人に公開
第一生命保険株式会社
概要
第一生命は、自社のAI活用プラットフォームを用いて、社内業務向けのAIアプリケーションの開発と実証に取り組んでおり、2024年内にこれらを社内に展開する予定です。主なアプリケーションにはレポート作成と書類のひな型生成があり、レポート作成では、AIが社内外の情報を統合し、必要なレポートを自動で生成。書類のひな型生成では、AIが法令や社内ガイドラインに基づいて文書のひな型を提案し、日々の業務の自動化を支援します。
課題・導入経緯
- 第一生命では、ChatGPTをはじめとした生成AIは多くの課題解決に効果を発揮するため、安全かつ効率的な活用環境を整備することを重要な経営課題として捉えている
- 一方で生成AIは利便性をもたらすと同時に、秘密情報・個人情報の漏えいや、誤りを含む情報を提示する事象(ハルシネーション)を引き起こす懸念が存在
- こうした背景から、AI利用に関するリスクコントロールを図りながら、AI開発における俊敏性・迅速性を高める仕組みを構築することで、生成AIを幅広い業務へ適用する体制作りを進めることとなった
実装方法
- エクサウィザーズのAIソフトウェア開発環境「exaBase Studio」を活用
効果(または見込み)
- レポート作成:社員の設定した内容に基づいて、社内の各種のデータソース(データベース、Excelなど)に保持されている情報と、インターネット上にある外部の情報を統合し、生成AIが社員の様々な活動に必要となるレポートを自動で作成。重要顧客の訪問前に情報を得ておき、商談の確度を向上させることを想定
- 書類のひな型生成:社員が行政など外部に提出するドキュメント(申請書類等)の種類を指定すると、生成AIが各種法令や社内のガイドライン、過去の書類などをもとにしてチェックを行い、ひな型となる文書を提案。日々の業務の自動化を推進
- これらの活用で約50%の開発生産性の向上を見込む
参考リンク
第一生命がエクサウィザーズのAI開発環境 「exaBase Studio」を採用
株式会社テレビ東京
概要
テレビ東京は「いしとほし StoneStars Project powered by GPT-4」という新事業で、生成AIを使ってユーザーがVtuberの個性を形成することを可能にしています。2023年9月にサービスを開始し、7人のVtuberキャラクターを発表。ユーザーは応援NFTを購入し、キャラクターの性格などの設定を提案して参加できます。運営側がこれらの提案を審査し、生成AIを用いて各AI Vtuberの個性を育成していくシステムです。
課題・導入経緯
- 不明
実装方法
- エクサウィザーズがAI Vtuberに過去の会話履歴などの記憶を持つ仕組みを実装することで、キャラクターが一貫した受け答えを保てるように
効果(または見込み)
- 様々な性格を持つAI Vtuberを短期間に開発できた
参考リンク
エクサウィザーズ、テレビ東京による 生成AIを活用したVtuber新事業に参加
株式会社フジテックス
概要
総合商社フジテックスは、紙や衛生商材から機械や装置に至るまで、国内外合わせて5,000点以上の商材を扱っています。これまで全商材の知識習得と顧客ニーズに基づいた提案には約10年の経験が必要でした。2023年8月には企業向けChatGPTを導入し、自社営業データを学習させることで、特化した生成AI環境を構築。これを営業の提案活動に活用し始めています。
課題・導入経緯
- 同社が扱う商材は国内外を含めて5000点を超えるため、全ての商材の知識を獲得し、顧客のニーズに基づく適切な提案ができるまでには、10年近くの経験が必要とされていた
- 経営環境の変化から、売り上げ高の拡大に向けた施策も求められていた
実装方法
- エクサウィザーズがexaBase 生成AI powered by GPT-4で提供する「データ連携機能」を活用
効果(または見込み)
- ChatGPTに顧客のニーズや課題を入力するだけで、適切な商材や事例が提示される生成AI環境を構築し、データの登録や修正、管理を容易にできるように
- 新入社員など経験の浅い担当者でも、10年目の社員と同等の提案が可能となり、営業担当は知識の習得に時間をかけるのではなく、顧客のニーズ理解に集中できるようになった
参考リンク
東京都教育委員会
概要
東京都教育委員会は、法人向け生成AIサービス「exaBase 生成AI powered by GPT-4」を採用し、都立高等学校、中等教育学校(後期課程)、特別支援学校(高等部)の9校で授業に継続的に使用しています。これは全国的にも珍しい試みで、授業での教科学習やAIリテラシー向上に役立てています。対象校には両国、小岩、井草、日野、砂川(通信制)、立川国際中等(後期)、墨東特別支援(高等部)、光明学園、青鳥特別支援学校が含まれ、生徒と教員には個別IDが発行されています。
課題・導入経緯
- 東京都では2023年9月、都立高等学校、都立中等教育学校(後期課程)、特別支援学校(高等部)における生成AI活用に向けたパイロットを開始し、都内9校を指定し生成AI研究校の事業を進めてきた
- 同年12月には各校に随時exaBase 生成AIを導入し、生徒と教員に個別のIDを発行。生成AIのリテラシー教育、各教科の授業での活用を開始
実装方法
- エクサウィザーズグループであるExa Enterprise AIの「exaBase 生成AI powered by GPT-4」を活用
効果(または見込み)
- 生徒自身が利用し、わざとハルシネーションを起こして、生徒同士で議論するなど、リテラシーが向上
- 今後各教科で使うことで、都だけでなく全国での授業における生成AI活用の重要なリファレンスとなる可能性がある
参考リンク
東京都教育委員会が「exaBase 生成AI」を採用 〜9校の都立学校で各生徒と教員にIDを発行、AIリテラシーの指導、各科目の授業で活用〜
スマートソーシャル株式会社
概要
スマートソーシャル株式会社は、自社オウンドメディア運営におけるライターのコスト、時間、品質の問題に直面しました。これを解決するため、従業員が「AI Performer」という生成AIリスキリング研修を受講し、ChatGPTの活用方法を習得しました。その後、社内エンジニアがChatGPTを使用してプログラムを組み、対談形式の記事を制作。これにより、取材から記事完成までのプロセスが大幅に改善し、取材翌日に記事が完成するようになりました。
課題・導入経緯
- 同社は当初、自社でオウンドメディアを運営することを考えていたものの、ライターを雇うコストや時間、コンテンツ品質の問題に直面
実装方法
- ChatGPTを活用
効果(または見込み)
- 生成AIを活用した結果記事の大量生産が可能となり、HPへの流入は3月時点ではほぼなかった状態から、一気に3倍に増加
- ブログ経由の問い合わせが爆増し、0件だったところから今では60件以上もの問い合わせを獲得し、ここから獲得した案件も生まれた
- 今後は記事内で使用する画像もAIで生成することも検討中
- 生成AIを活用することで、これまでおざなりになっていたオウンドメディアの運営を、時間とコストをかけずに改善できた
参考リンク
ブログ経由の問い合わせが0→64件!AI Performerでオウンドメディアを劇的に改革したスマートソーシャル株式会社
株式会社建設システム(KENTEM)
概要
KENTEMは、業務効率化のために生成AIのプロンプト情報を集める取り組みを進めています。各従業員がプロンプトの内容、効果、年間の費用削減額をリストに追加し、社内で共有しています。さらに、生成AIの利用による時間短縮とコスト削減の計算を行い、その結果に基づいてさらなる展開を検討しています。各部署が他の部署のプロンプトも活用し、最適な使用方法を見つけることで、ナレッジマネジメントを進め、組織のサイロ化を防いでいます。
課題・導入経緯
- ChatGPT使用者が増える中、社内ではガイドラインを設け、適切な運用をする必要が出てきた
実装方法
- シンシアリー社「AI Performer」を受講
- ギブリー社「法人GAI」を活用
効果(または見込み)
- 各部署が法人GAIを活用し、どのプロンプトでどういった結果が得られたのかを報告
- 報告には生成AIを使ったことによる効果も書いてもらうことで、既存のやり方では60分かかっていた業務が30分に削減できた、などの成果が多数寄せられる
- 他部署でもそのプロンプトを活用できないか検討し、部署ごとに最適な使い方を見つけることで生成AIのナレッジマネジメントを推進。こうした体制が組織のサイロ化を防いでいる
- 今後は効果の大きさや汎用度を評価し、それをもとにカテゴリー分けを行い、改善効率が高いものを選び出し、社内での利用を進めていく予定。現在はすでに100程度のナレッジを蓄積している状態
参考リンク
明治安田生命保険相互会社
概要
明治安田生命は、ELYZAが開発した生成AIサービスを実業務に導入しました。このサービスは、コミュニケーションセンターの応対メモ作成業務を自動化するもので、業務時間を約30%削減し、表現の統一化を図ることでわかりやすさが向上することが期待されています。特に金融業種での生成AI導入は希少な事例であり、セキュリティや実務要件を満たすために独自のモデルが採用されています。
課題・導入経緯
- 明治安田生命において、顧客からの電話での問い合わせを受け付けているコミュニケーションセンターでは、年間約55万件の照会に対応しており、通話終了後に照会内容を要約した応対メモを手作業で作成している
- そこで、ELYZAが独自に開発した日本語に特化した生成AIに、明治安田生命が保有する過去の応対メモを学習(=fine tuning)させ、通話のテキストデータから応対メモを自動作成するサービスを開発
実装方法
- 大規模言語モデルを業務にいち早く接続するためのLLM実用化基盤サービス「ELYZA App Platform」を利用。認証機能、権限管理、利用環境の制限、監査ログ等の出力機能、個人情報等の情報に対する非保存機能等をそなえており、保険業種での利用にも耐えうるセキュリティ基準
- 基盤にはELYZAが独自開発したクローズドなモデルを利用し、入力情報が学習に使われ外部からアクセス可能な状態になってしまう等のリスクを回避し、セキュリティ要件の基準をクリア
- また、今回の業務に特化しfine tuningした必要十分なサイズのモデルを用いることで、実業務利用に足る生成速度を実現し、利用体験の基準をクリア
- 「ELYZA App Platform」を利用することで、実用化に必要な性能の良いAIモデルの構築、複数のAI処理フローの設計やユーザーに届けるシステム(UI)の設計、またそれらを提供する環境構築を高速に進め、AIモデル開発完了後、実利用環境の構築までを約1ヶ月で実現
効果(または見込み)
- 応対メモ作成業務にかかる時間を約30%削減できる見込み
- 作成者によって微妙に異なる表現が統一化され、わかりやすさの向上にも期待