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AINOW編集部です。
今回は「人工知能」「機械学習」「自然言語処理」に関する特許・実用新案の発行状況を調べてみました。
調査方法は、以下の通りです。
(1)特許情報プラットフォームで「人工知能」「機械学習」「自然言語処理」を検索
(2)検索ワードごとの検索結果を「特許発行年数」と「筆頭出願人」に注目して集計
*出願内容・筆頭出願人の名称のゆらぎは一切考慮せずに集計しています。参考程度にご活用ください。
(編集:2/20 20:48 グラフタイトルの一部に誤植がありましたので修正いたしました。ご指摘ありがとうございます)
「特許」「実用新案」発行数の年次推移
1993年〜2016年の「人工知能」に関する特許発行数は、473件でした。
年次推移のグラフを見てみると、全体的に2016年にかけて右肩上がりの推移で、3つほど盛り上がりが見えます。
1つ目の山は1990年代の前半。おそらく「エキスパートシステム」が流行した第2次AIブームの余波でしょうか。2つ目の山は2003〜2008年。「技術的特異点(シンギュラリティ)」で話題になったレイ・カーツワイルの『The Singularity Is Near:When Humans Transcend Biology』が発表した翌年2006年には、特許発行数はグラフ中でピークを迎えています。その後少し落ち着いて、2015〜2016年と大きく伸びています。
1994年〜2016年の「機械学習」に関する特許発行数は、985件でした。
年次推移のグラフを見てみると、2002年から綺麗に右肩上がりの推移。2012年以降は、ディープラーニング研究の急速な発展に合わせて件数を大きく増やしています。
1993年〜2016年の「自然言語処理」に関する特許発行数は、469件でした。
インターネットの商用利用に合わせて1990年代半ばにかけて、また、機械翻訳の急速な発展が見られた2000年代の半ばにかけて盛り上がりを見せています。その後、特許発行数は落ち着いているようです。
筆頭出願人ごとの集計
「人工知能」に関する特許発行数1位は、マイクロソフトでした。同社が人工知能に関する特許を取得開始したのは2004年のようです。
2位の宮崎洋彰氏は、元三菱電気で、人工衛星の軌道や姿勢の制御を担当し、2016年に人工知能の研究開発を行うオメガ・レゾンを設立。「言語入力により自律的に知識を拡大する人工知能装置」や「自己組織的に処理能力を拡大する人工知能装置」で特許を取得しています。
「機械学習」の1位は日本電信電話株式会社(NTT)。1996年から機械学習に関する特許を取得開始。2014〜2016年はさらに注力したようで3年で20件も取得しています。3位の富士ゼロックスは、機械学習に関する研究の学会発表も活発ですが、同社発行の「テクニカルレポート」も興味深いです。
10位には日本放送協会(NHK)。人物認識(検出)や視聴状況の確認に関する技術で取得しているようです。
自然言語処理TOP3はキヤノン・東芝・富士ゼロックスと複合機が浮かぶ顔ぶれ。やはり文書管理に強みを持つ会社が、昔から積極的に特許を取得しています。最近だと、17位のヴァル研究所は乗り換え案内サービスの「駅すぱあと」を運営する企業。経路検索に関連して特許を取得しています。
編集後記
特許の視点から「人工知能」「機械学習」「自然言語処理」のキーワードでレポートしてみました。各企業がどのような研究開発に注力しているのが見えて面白いですね。
細かく内容を精査していないため、参考程度にご活用いただけますと幸いです。