HOME/ AINOW編集部 /「認識率99.3%」より大切な、Cogent.Labsが「Tegaki」で起こす日本に必要なイノベーションとは!?
2017.03.08

「認識率99.3%」より大切な、Cogent.Labsが「Tegaki」で起こす日本に必要なイノベーションとは!?

最終更新日:

はじめまして。配属6日目の中川です。
使い手と技術の橋渡しをするUI/UXデザイナーをめざし、日々お勉強中です。
どうぞよろしくお願いいたします。

TechCrunchの記事で大反響になっている「Tegaki」を開発しているCogent Labsへお邪魔して社長の飯沼さんにお話を伺ってきました。

TechCrunchの記事はコチラ

手書き情報をデータ化する「Tegaki」とは!?

「Tegaki」は、人工知能による手書きの認識サービスで、従来のOCRよりも高い精度で文字を認識することができるそうです。OCR技術はあるけれど、そこまで精度も高くないし、手書きのドキュメントをデータ化することを諦めている方も多いのではと思います。
これがあれば、今まで人が作業していた事務処理も一気に片付くこと間違いありません。現在は4月末のリリースを目指して、開発の最終段階とのこと。リリースまでしばらくお待ち下さい!


<手書きの分析イメージ>
PDFなどの画像化された文字を「Tegaki」にリクエストするとデータ化して応答してくれるそう。

「Tegaki」が生まれた仕組みと馳せる想い

中川

凄く話題になっていますね!「Tegaki」を始めた背景を教えてください。

飯沼さん

約1年間、具体的な製品開発に入る前から様々な業界の方々とミーティングを行いました。2015年半から相当にAI と言うキーワードが企業内で飛び交っていたのを覚えています。でも具体的には各企業とも調査段階と言う感じが多かったです。

テクノロジーの理解や機械学習と深層学習って何が違うの?みたいな質問が多かったですね。Tegakiが生まれた背景は実の顧客ニーズにあると思います。勿論徹底的な市場分析も行いました。日本市場の問題、各種業界の課題、政策と実態のズレ、もちろんビジネス規模の算出、現行技術含めたプロセス理解等々。あとはこの Tegakiをステップとした将来ゲームプランの組み立てですね。みんなで話してアイデアがワークすると判断したので、取り掛かりました。 僕らはこのプロセスを仕組みにしてプロダクト開発を考えています。

個人的なことでもありますが、埼玉県の川口市にある鋳物工場が実家で、小さいときから工場を見て、夏はバイトしたり、工場と一緒に育ちました。
町の工場には優れた技術があり、大企業の日本のモノ作りを支えていたわけですが、その裏では、受注書などの書類処理は昔のままであった事を思い出し、小さな町工場を人工知能で支えされたらクールだなとも思っていますし、結構本気で考えていますよ。

BPO業界はすでに1200億~1300億程度のマーケットが成立しており、中小企業が支える立場にありますが、ただでさえ人材が不足する中、申込書などの処理、行き場のない大量の紙データもその課題のひとつです。
今後、労働人口が減少する日本において人のコスト削減は難しい。人で解決することがむずかしいにも関わらず、イノベーションが必要なのに誰も手を付けていない。
この「Tegaki」は多くの可能性を秘めていると思います。日本が世界に誇るものは何かを考えた時に、日本のものづくりを支える中小企業をAIによって改善したい。そのための第一弾としても「Tegaki」はあるそうです。

認識率99.3%のヒミツ

中川

SNSのコメントを見ると、認識精度や技術的解決方法に注目が集まっていました。

飯沼さん

この部分は、昨年の手書き文字の認識アプローチとは全く別の方法を取っています。前回は、OCR技術で、ひとつのキャラクターをどう読めるかという実験でした。

中川

前回の応用が今回のプロダクトに繋がっていると思っていました。

飯沼さん

今回はやり方を変えていますね。詳しくはお話できませんが、OCRで全体を読み取り、特徴点を抽出して、そこに記載されているモノが何かを認識しています。人間が単語の文字を読む時に、一部が欠けていても、全体を補完して読むようなアプローチを人工知能にやらせています。

現在のAIマーケットと目指すポジション

中川

人工知能マーケットの中で、ビジネスのポジションもしっかり考えられていそうですね。

飯沼さん

現在のマーケットは慎重な段階にあると考えています。第3時ブーム、第4時ブーム…と言われていますが、そもそも何故、過去にブームとして終わりを迎えているのか。過去の歴史と失敗を踏まえて、ビジネス領域を決めています。

飯沼さん

市場からは、パーソナルAIやSFに出てくるような人工知能を作りたいという声も多いけれど、期待値が高いと、その分失望の落差も大きくなるので過度な期待に乗りたくありません。

中川

確かに、昨年はAI○○なサービスやプレスも多かったのですが、その後の効果事例はなかなか聞きませんね。

飯沼さん

はい。今、人工知能は目の前のコスト解決にあてはめるステップだと考えています。
すぐに、ちょっとずつ。小さく成果出すことで、人工知能が「使えるぞ」と思ってもらえることを提示していきたいです。

人工知能を導入に対する時、効果測定がとても難しいという飯沼さん。
期待値が高いとき、効果測定が遅いと失望のインパクトも大きいなってしまう。人工知能を導入したが効果がイマイチという企業も少なくないはず、その結果「人工知能は使えない」というレッテルを貼られてしまうとマーケット全体が育たなくなるので、課題感が大きい問題ではなく、人工知能で負荷を軽減/削減する方向にビジネスの舵を取りたいとのこと。

誰もが人工知能の恩恵を受けられるサービスを目指す

中川

今後のサービス展開が楽しみですが、ロードマップはあるのでしょうか?

飯沼さん

大きな産業の中で人工知能が活躍してきているが、身近な人間では解決困難な課題に対して、人工知能を用いて解決する世の中を作りたいので、まずは、誰もが人工知能の恩恵を受けられるサービス展開を目指したい。

まずは、APIを公開してサードパーティがアプリ開発してサービスを広げていく展望を描いているそう。そして、WEBサービス化も展開して、中小企業がブラウザなどでカンタンに使用できるレベルまでに落とし込みたいとのこと。

社員の8割が外国人、イノベーションが生まれる風土作り

中川

オフィスを見ると日本人の方がほとんどいないですね?

飯沼さん

社員の8割は外国人ですね。天文物理、量子物理学、統計学、脳科学、機械学習など様々な研究分野のリサーチャーを集めています。
ミクロの世界と宇宙の世界を突き詰めていた人たちがAIを作るとしたら、今までにないものが生まれる可能性が高い、そんな新しい化学反応が起こる事を期待しています。

やはり人が1番大事という飯沼さん。外国人の方も過ごしやすいようにオフィス環境も整えられています。ウォールホワイトボードは憧れますよね。ソファスペースも複数あって、こんな環境で仕事ができてとても羨ましかったです。

中川

日本人は、どのような人材を集めたいのですか?

飯沼さん

そうですね、「かたよらないこと」が重要だと思っています。
おなじ考え・技術をもったメンバーだけがあつまってもスケールしない。違う分野のメンバーがあつまって課題にとりくむほうが真似できないものができあがるので、今年は日本人のリサーチャーとエンジニアに、ここに混ざってもらいたい。

飯沼さん

日本のリサーチャーが、どう考えていてどんなレベルなのかを知りたいので、まずは入ってもらいたい。いいアルゴリズムや人工知能ができあがった時、UIやUX設計のできるエンジニアも必要になるのでデザイン性、ユニーク性あるメンバーが欲しいですね。

まとめ

昔からあるのに誰も解決できていない課題に対し、AIという最先端の技術でアプローチした「Tegaki」。書類処理の手間にやきもきすることのない未来が待ち遠しい…。私達ヒラ社員の悩みを解決すると同時に、多くの企業・働く人のあり方も「Tegaki」が変えていきそうです。企業だけでなく、学校や病院など紙を扱うすべての人々に影響を与えそうです。漠然とした”すごいことができるらしい”AIが、いよいよ身近なものに感じられました。

無料メールマガジン登録

週1回、注目のAIニュースやイベント情報を
編集部がピックアップしてお届けしています。

こちらの規約にご同意のうえチェックしてください。

規約に同意する

あなたにおすすめの記事

生成AIで“ウラから”イノベーションを|学生起業家が描く、AIを活用した未来

特許技術×AIでFAQを次のステージへ|Helpfeel

GPUの革新からAI時代の主役へ|NVIDIA

あなたにおすすめの記事

生成AIで“ウラから”イノベーションを|学生起業家が描く、AIを活用した未来

特許技術×AIでFAQを次のステージへ|Helpfeel

GPUの革新からAI時代の主役へ|NVIDIA