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こんにちは。AINOWのなっぴです。
Twitterでトレンド入りもしたイベント『#mercariCES 』をご存知ですか?
行きたくても行けなかった人も多いのではないでしょうか。
このイベントは、CESを視察したメルカリの研究開発組織のメンバーが一般公開されない貴重なイベントの様子を参加者に共有してくださるというもの。
ということで、mercariCES2018に参加してきました。
その様子を、人工知能関連トピックを中心にお伝えします。
目次
CES(セス)とは?
CES(セス)は、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー (Consumer Electronics Show)の略で、毎年1月にラスベガスで開催されている家電を中心とした見本市です。
バイヤーやプレス関係者が多く集うショーで、一般公開はされていません。
ラスベガスの街全体で行われている大規模なCESでは、さまざまな新製品が展示されています。展示スペースはなんと合計で約250万平方フィートもあり、これは東京ドームの約2倍の広さになります!
人工知能とはあまり関連がないイベントに思うかもしれません。しかし、スマートスピーカーが普及し始めたことなどで人工知能を搭載した新たな家電製品や自動車が数多く展示されていたそうです。
なぜCES報告会を開いたのか
濱田さん
「なんでメルカリがCESに行くかと不思議に思われる方もいるんじゃないでしょうか?
僕たちはフリマアプリを運営しています。一方で、GoogleやFacebookはハードウエア開発をしたりと領域外のことに挑戦しています。僕たちもフリマアプリだけにとどまらず、新たなテクノロジーを使って新しい何かを作れないかなと模索しつつ視察に行きました。
次のメルカリになるようなものとか・・・
僕は初めて参加しました。個人的な感想としては日本の企業が弱いと感じました。日本のベンチャー企業は隅でひっそりと展示をしていて、日本大丈夫かな・・?と不安に思いました。
そこで、CESへ行ったことを共有して、ハードウェアに興味持つ人が増えたりとかすればいいなと思い、この会を開催しました。」
1部:AIとSelf-Driving
登壇者は、メルカリの木村さんとインターン生の中村さん、NVIDIAの藤山さんの3人です。
木村さんは、家電の中でのAIの位置付けが3つあったと話していました。
- ロボティクス(Robotics)
- 機械学習(Machine Learning)
- 自動運転(Self-Driving)
ロボティクス(Robotics)
木村さん
藤山さん
いっぱいタスクを課すとうまく動かないのかなと感じました。
中村さん
センシングの技術が単一になっているものが多く、画像やるなら画像、音声やるなら音声っていうのが当たり前で、マルチに認識技術を活用したAIが出てきていないなと感じました。
今後は、さまざまな技術を組み合わせた汎用性の高いAI・ロボティクス出てくるんじゃないかなと思いました。
展示されていたオムロンさんの卓球ロボットには、NVIDIAのGPUとソフトウェアが使われているそうです。
動画を見ると認識能力が高くなってきていることがわかります。
機械学習(Machine Learning)
中村さん
ですが、画像を生成したり違う形に変換したりするという点ではとがった企業が多かったですね。個人的には、イスラエルのスタートアップ企業がすごいなと思いました。
こちら(下記画像)は、人の写真を撮影すると画像から商品用の画像をピックアップしてくれます。背景を白くしたりして、ECですぐに利用できる画像を生成してくれるサービスです。サービスに落としやすいところまで、AIの処理技術を活用している印象を受けました。メルカリで使えそうなので紹介しました(笑)
木村さん
認識技術が高まっている例として、中国の高い画像認識技術をみてほしいですね。精度が高まっていて、情報さえ入っていれば個人も特定することができます。大量のデータを瞬時に解析できる技術はすごいと思います。
藤山さん
搭載されている半導体はクレジットカードサイズのもので、消費電力も少ないです。NVIDIAのJetsonが搭載されています。
また、同じシステムを搭載した在庫管理ロボットも展示されていました。在庫管理だけでなく、お客さんの対応をしたりすることもできます。在庫管理ロボットは、ヤマダ電機で導入して使おうとしているところです。
自動運転(Self-Driving)
木村さん
NVIDIAさんは自動運転車にも参入していますね。
藤山さん
NVIDIAは自動運転車プラットフォームを開発し、そのソリューションをアウディやトヨタ、フォルクスワーゲンなどに提供しています。そのために、自社でもAIテストカーを用意し、日々自動運転に必要なさまざまなAIの開発やテストを行っています。
例えばこのビデオでは、人間のハンドリングを学習するAIの運転が徐々に上手くなっていくのがわかります。
白線を認識するAIもありますが、このAIは人間の運転方法を観察して学習しており、1つのカメラでこれだけ運転できています。学習が進むと白線などがなくても自動で運転しているのがわかると思います。
他には、車や人、標識を認識するAIもあり、アメリカでトレーニングしたにもかかわらず、日本の渋谷でも同じように認識することができました。こうした汎用性が高いところもディープラーニングならではかな、と思います。
自動運転技術では人間でも難しいとされる、雪などの悪天候の時の運転が課題になっておりますが、そのような課題の解決にもディープラーニングを活用できます。
IoT
中村さん
AlexaやGoogle Homeが家電にどんどん搭載されてきていて、家電の中に搭載されていることが当たり前になっていますね。
センシングデータをクラウドに貯めてAIで処理をする流れがありますが、AIとセンサーの距離が近くなることで、さらにスマート化が進むのではないかと思いました。
サムスンの展示では、デバイスがクラウドに全て繋がっていて、基本的なIoTの形で繋がっているものに対してAlexaやGoogle Homeで話しかけて処理をさせていました。
藤山さん
組み合わせ次第でいろんなことができるので、言語がインターフェイスになるというのはひとつの面白さかなと思いますね。
2部:スマートホーム&シティ × サービスの考察
メルカリで主に新規事業を担当している木下さん・岡田さん、メルカリ研究開発組織員の諸星さんが登壇です。
新規事業を担当ということで、研究開発組織員とはまた異なった観点からCESについて話してくださいました。
スマートスピーカー
岡田さん
諸星さん
岡田さん
木下さん
CESでは、Googleアシスタントが目立っていましたが、実際はAlexaのほうが70%と普及しているんですよね。
岡田さん
ですが、サービスを開発する側の人間としては、どちらも使えるサービスを展開したいと考えるのではないでしょうか。
Amazonが配送ルートやECを網羅しているので、お金を払うポイントにつながりやすいこともAlexaが普及している理由と言われています。
アメリカだけではありますが、GoogleアシスタントもAlexaに対抗して、ウォルマートやコストコなど大手ショッピングモールと提携を組んで配送を展開していこうとしています。
木下さん
Amazon Echoは画面がついたものが出ましたが、YouTubeを見ることができないっていうのが面白い話だなと思いました。2社がバチバチに競合していて、今後どうなっていくかは注目していきたいですよね。
ホームアシスタントよりも身近になる家電
木下さん
スマートスピーカーって自分からアクションを起こさないと何かをしてくれないですよね。一方で、パーソナルアシスタントは能動的に話しかけてくれたりするので、もう一人家族が増えたかのように自然に会話に入ってくれるところなどに可能性を感じますね。
岡田さん
LGとサムスンとバイドゥ(百度)が出している冷蔵庫を取り上げると、それぞれの冷蔵庫でできる事が異なっていました。
また、家電メーカーが独自のAIを作ろうとしている動きがトレンドになっているなと思いました。実際にサムスンとバイドゥが独自のAIを作成し、冷蔵庫に導入していてすごいなぁと思いました。
木下さん
レシピを動画で見ることができる機能はもちろん便利ですよね。あとは、キッチンは毎朝必ず行く場所なので、天気など必要な情報を表示させてくれたりとかは便利かなと思いました。
岡田さん
そして、サムスンはインスタカートと提携をしていて、食材を頼める機能を実装済みだったので、実際にできているかで差が出ているなと感じました。
自動運転車とコンセプトカー
諸星さん
気になった展示はありますか?
岡田さん
他にも、パナソニックの展示が気になりました。自動車と関連するイメージがあまりないですが、2020年に向けて自動運転車を作っていこうとしていました。
木下さん
Lyftの展示では、“APTIV”っていう自動運転車向けのソフトウエアを開発している企業と提供して作った公道を走る自動運転車を展示してました。約20のホテルに配車でき、99.6%くらい自動で運転ができてほぼ人間の手を返さずに公道を走ることができます。CES開催期間中にお客さんのせて実際に走行していました。
多くの自動運転車はセンサーが丸見えな車が多いですが、この車はBMWの車種にきれいにセンサーが隠れていました。見た目もかっこいいので、近い未来に実用化されそうだなと感じました。
岡田さん
木下さん
他にも、移動式のスーパーの展示がされていました。今までは固定の場所に自分から足を運ばなければいけなかった常識が変わりますね。生産者のところへ車が商品を回収しに行き、購入者へ届ける仕組みは面白いと思いました。
岡田さん
気になった配送ロボットは“Gita” と “Robby”です。フードデリバリーなどが近距離で配送できます。配送できる距離は1マイル(約1.6Km)くらいです。
“Gita”はスタートアップのピッチコンテストでみつけたんですが、ピッチに段差があってロボットがのぼってこれなかったんですね。実用化はまだまだ先かなとおもいましたね。
諸星さん
日本でも、実験が進んでいくと配送ロボットの種類が増えてくるのではないかなと思いますね。
岡田さん
自動運転車で配送をすることですべてのコストの20%を削減できるとスタートアップの社長が言っていました。
質問コーナー
質問者
木下さん
現在のフェーズでは、できることを増やそうとしていて、様々な機能を詰め込んでいるのではないかな。と思います。
岡田さん
質問者
木下さん
編集後記
ご紹介した以外にも3部では最新のVRについてMogura VRの編集長が登壇されていたり、4部では株式会社tsumugがCESへ出展した過程や当日の状況を、出展したい人向けに話していました。
tsumugのTiNK(ティンク)というサービスは、キーシェアリング機能です。
メルカリが開始しようとしているサービスmerchari(メルチャリ)にも、搭載されます。
ぜひ、合わせてチェックしてみてください。
mercari CES 2018 報告会を通して、ハード系に使用されている人工知能の事例をたくさん知ることができました。ソフト系の情報が多いAINOWですが、これをきっかけに、ハード系の情報もたくさんお伝えしていきます。
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でも、実際にはそのようは汎用的なロボットは現状では難しいのですが、CES2018では、オーダーするロボットとか、人を認識するロボットなど、現在のAIの技術を活かした特定の目的を持ったロボットがかなり出始めていました。
家電においてはAIの導入はまだ初期段階なのですが、これからの期待感を感じました。 動く人間型のロボットが、なにかしらの決まった特定のタスクをこなしているものが多かったです。
すでにハードウェアとしては性能がかなり充実してきて、今後すぐにハードウェアは進化させるのは難しいかと思いますが、ソフトとしてはまだまだAIを載せて進化させられると思います。感情を認識したり、会話をしたりすることができるようになってきているので。