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Webマーケティングの分野でAIの活用が進んでいます。
従来、Webマーケティングは集積されたデータを人がツールを活用して分析し、顧客の購買を促進する形がメインでした。しかし、近年はデータの量が膨大になり、分析作業に人の手に代わるAIの力が必要になっています。
そこで今回はAI×マーケティングに関して、企業の様々な取り組みをご紹介していこうと思います。
目次
なぜマーケティング分野のAI活用は発展しているのか?
データ量の急激、膨大な増加
近年のインターネットとその基盤となるスマートフォンの急激な普及が全世界で起こったことにより、世界中の総データ量は年々膨大なものになっています。
米国の調査会社IDCの調査によれば、2011年に1.8ゼタバイトであったデジタルデータの量は2020年には59ゼタバイトに達すると予測されており、数字を見てもその成長は目を見張るものと言えます。
先ほど述べたように、デジタル媒体の普及はデータ膨大化の大きな一因となっていますが、新型コロナウイルスの感染拡大による影響もあります。
ロックダウンや自粛が全世界的におこなわれ、今までデジタルでなかった仕事や学校の授業などもデジタルに移行していきました。
これによりデータ量はさらに増加していますが、新型コロナウイルスの拡大が落ち着いたとしても、この流れはしばらく続くと考えられます。
データが膨大になるにつれ、人間が必要なデータ全てを把握することは困難になります。そこでAIを活用したマーケティングをおこなうことが重要になってくるのです。
引用:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS46286020
マーケティング分野との相性の良さ
マーケティングはユーザーに対していかに良くサービスや商品の魅力を的確に伝えられるか、売れる仕組みをどのように上手く作っていくかが重要になります。
そこを突き詰めるために、マーケターは過去の膨大なデータを分析しなければなりません。
AIは、マーケティングで使われるような「膨大なデータ分析」が非常に得意です。そのため、マーケティングとAIは相性が良いと言えます。
マーケティングの領域で活躍するAI
主な用途はデータ分析
WebマーケティングでのAIの活用で一番メジャーな活用はデータ分析です。
多くのWebサービスでは、Webマーケティングでは消費者が何を望み、どうすれば買ってもらいやすくなるのかを把握するために、消費者に関するありとあらゆるデータを収集しています。
機械学習は、膨大なデータの中から相関関係を見つけ出したり、新たな傾向を予測するなどの能力に長けており、データが使える形で蓄積されやすいWebマーケティングの領域で生かしやすいと言えます。
画像認識技術を活用した人流分析も
画像認識技術を使うことで、店舗内の人流分析も容易にすることができます。
例えば、ABEJA INSIGHT FOR RETAILでは店舗での来店者の行動をAIで分析し、どうすれば来店者を購買に導けるかという施策の考案をサポートしてくれます。
また、トライアルは福岡県福岡市アイランドシティに700台のカメラと100台以上のスマートレジカートを導入した「スーパーセンタートライアル アイランドシティ店」をオープンしました。
来客がショッピングカートか買い物カゴでお買い物しているのかを分析し、 サイネージと連動させて来客の購買行動に合わせた情報を提供することも可能にしています。
このように、今後は店舗で画像認識を生かしたマーケティングを行うことが当たり前の世の中になるかもしれません。
マーケティングAIのメリット
AIを使えば今まではわからなかった消費者の潜在的なニーズを顕在化させることができます。
例えば、NECはマクロミルと共に消費者の視線や脳波、生活データから、その背後に存在する潜在ニーズをAIで分析するマーケティングサービスを展開しています。
潜在ニーズを把握できるようになれば、アンケートなどで直接消費者に聞くよりもさらに正確なニーズの予測ができるのではないでしょうか。
マーケティング職の仕事が効率化される
マーケティング職にAIが導入されれば、既存の業務を効率化できるようになります。
マーケティング職ではデータ分析におけるパソコン作業などアナログな部分が多く、業務負担が大きいのも事実です。
AIによってそれらの作業の大部分を自動化できるようになれば、業務効率化に繋がります。
クリエイティブ分野に集中できるように
AIによってマーケティングの仕事は今まで以上にクリエイティブ性が強くなります。
従来人が行なっていた定型作業や単純作業はどんどんAIによって自動化されます。
そして、マーケティング職に従事していた人はよりクリエイティブな業務に集中できるようになります。
企画力や戦略立案力が重要に
マーケティングがAIで効率化されるようになれば、業務の中のかなりの部分が自動化されるようになります。しかし、だからと言ってマーケティングという仕事が完全になくなってしまうわけではありません。
ゼロから何かを生み出すような仕事では依然として人の力が求められます。
今以上に企画力や戦略立案力といったクリエイティブな能力が重要になるのではないでしょうか。
AIを生かしたマーケティング サービス10選
今回紹介するAIを活用したマーケティングサービスは以下の10個です。
- AI analyst
- DLPO Ai
- SiTest
- コトモノ
- KARTE
- AI Beacon
- SilentLog Analytics
- MAJIN
- Appier
- ABEJA PLATFORM for Retail
※上記のリンクをタップすると場所に飛びます。
AI analyst
AIがWebサイトのアクセス解析を自動で行なってくれます。
アクセス数向上やユーザー満足度向上に向けた効果的な施策を立てやすくなりますので、自身や自社で保有するメディアの運営には最適なサービスです。
DLPO Ai
効果的なサイト作りをサポートしてくれます。
AIがユーザーにとって価値の高いページを配信することで、高いサイトエンゲージメントとコンバージョン数を見込むことができます。
Webマーケティングに従事している人におすすめです。
SiTest
AIがサイトの問題点改善をサポートします。
初心者であっても使いやすく、すぐにWebサイトのアクセス数やコンバージョン数を向上させることができます。
コトモノ
テレビ番組の内容から消費者のニーズを分析します。
取り上げられるキーワードの出現傾向や文脈からトレンドを把握し、どの商品をどうのように売るか戦略を立てることができます。
KARTE
サイトにアクセスした訪問者の行動からニーズを探ります。
リアルタイムにユーザーの経験や感情の変化を把握することができますので、二ーズに合わせた施策を最適なタイミングで施すことでUXを向上させることができます。
AI Beacon
イベント会場などでビーコンの近くにいるユーザーの行動を分析し、集客・収益化に繋げます。
プッシュ通知やクーポンなどでユーザーの特性に合ったアプローチを最適なタイミングで仕掛けることでより効果的な販売促進を可能にします。
アプリとの連動も容易に行えます。
SilentLog Analytics
収集された人の位置情報や行動情報を可視化することができます。
どのような手段でどのような目的のために行動しているのかまで分析することができますので、それに見合った配信することで求める行動を誘発することができます。
個人にフォーカスした分析も行うことができます。
MAJIN
データに基づいてユーザーの心理を分析し、最適なマーケティングプロセスを自動で構築します。
集客から販促までをカバーし、統合的なマーケティングで売上の拡大と収益性の向上を実現します。
Appier
企業が持っているビッグデータをAIが分析器、次の一手を考えるのをサポートします。
複雑な課題をAIを使って解消し、、最適なソリューションで顧客価値の構造を実現します。
ABEJA PLATFORM for Retail
来店者をカメラで撮影して画像認識技術を使って、年齢・性別などの情報や行動特性を分析します。
入店から購買までの来店者の行動を可視化し、購買促進のための適切な施策を打ちやすくなるので、店舗の売上増加を見込めます。
AI×マーケティング の成功事例5選
実際にAIをマーケティングに活かして成功した例があります。
- Web広告をAIでより効果的に
- 一人一人にあったファッションをAIで提案
- AIでダイレクトメールの返信率か2倍に
- AIが提案するレイアウトで中古車の売上が1割向上
- AIチャットボットでEC内の購入率が向上
まだ、AIとマーケティングはもう既に導入しているところもあります。成功例を見て、実際に導入したらどうなるのかイメージできるはずです。
詳細は以下で説明しています。
Web広告をAIでより効果的に
広告代理店の電通はAIコピーライター「AICO」を使って、リスティング広告の生成を自動化しています。
AIがコピーを自動で生成し、簡単な操作で大量のコピーを作成できますので大幅な業務効率化を実現しました。
一人一人にあったファッションをAIで提案
アパレル企業のTSIホールディングスではファッション×AIのSENSYが開発したAを生かしてI需要予測に取り組んでいます。
商品がどれくらい売れるか、再生産が必要か、売れ残りが発生しそうであればいつ頃どれくらいの値引きをすればいいか、ということをAIで予測し販売促進を目指しています。
AIでダイレクトメールの返信率か2倍に
大手流通系クレジットカード会社ではAIを使い、多数の会員リストの中から見込み客を抽出しダイレクトメール(DM)を送信しています。
キャッシングリボの新規申込みを促進するために、300万会員の予測キャッシングリボ利用率を算出し、上位者を対象にターゲティングDMを送付。
結果として、以前の2倍の反応率を得ました。
AIが提案するレイアウトで中古車の売上が1割向上
中古車販売を手がけるiDOMは「ABEJA Platform」を用いて、一部店舗にの来店者の属性や行動パターンをAIで解析することで店舗改善を図っています。
分析した結果を元に、お店のレイアウト・導線・接客の見直しをし、展示車両の販売が他店舗より1割ほど高くなりました。
AIチャットボットでEC内の購入率が向上
ザ・ノース・フェイスのECサイトではチャットボットを生かしてユーザーの購買率向上を促進しています。
いつどのように使いたいかなどいくつかの質問に答えていくと、AIがユーザーにオススメの商品をレコメンドします。
結果として、顧客の滞在時間は平均2分で、商品のクリック率は60%という高い数値を記録しました。
マーケティングとAIのこれから
バナー画像などの生成ができるようになる
マーケティングAIも日々進化しており、データからの分析や対処などに限らず、実際に使用するような広告バナー画像の生成やバナー広告自体の最適化、SEOに至るまで活用できるようになってきています。
マーケティング分野においてAIのできることは増加しつつあり、それとともにサービス自体のクオリティも向上していきます。
人間のマーケターへの影響
先にも述べましたが、AIがマーケティング分野での裁量を増やしていくにつれて、人間のマーケターにとっては余裕が生まれます。
AIによって人間がさらにクリエイティビティのあふれる仕事をできるようになれば、マーケティング分野は今よりも魅力的で興味深い分野になっていくかもしれません。
まとめ
マーケティングにAIが導入されることで、業務が効率化されるのと同時に今まで把握できなかった消費者のニーズを把握できるようになります。
そのため、企業にとってAIマーケティングツールは商品を売るために今後は必須のものとなるのではないでしょうか。
AIマーケティングツールは日々進歩していますので、将来は今以上に便利なサービスが登場すると期待できます。
参考:INFOHUBメディア
慶應義塾大学商学部に在籍中
AINOWのWEBライターをやってます。
人工知能(AI)に関するまとめ記事やコラムを掲載します。
趣味はクラシック音楽鑑賞、旅行、お酒です。