最終更新日:
社内の会話でも、説明なくRPAという言葉が出てくることも多くなったのではないでしょうか。企業のRPA活用が進んでいます。
この記事では、「RPA」について「どんなものかまだわからない!」という方に向けてRPAの全体像をわかりやすく紹介します。
目次
RPAとは何か
RPAとは
Robotic Process Automation の略称で、今まで人が担っていた業務を自動化するシステムのことを指します。
RPAという言葉は主に2016年ごろから日本でも使われ始めました。
少子高齢化で人手不足が叫ばれる中、定型業務を高速・高精度で自動化できることから、新たな労働力として活躍が期待されています。
現在はRPAという言葉が様々な形で利用されていますが、広義の意味のRPAとはRPAという変革全体を表し、狭義の意味のRPAというとRPAツールを表すケースが多いです。
RPAツールの種類
RPAツールにはクラウド型・オンプレ型・開発型の3種類があります。
クラウド型はクラウド上で動作するツールで、初心者であっても導入・操作しやすいのが特徴です。また、比較的安価に導入が可能ですが、クラウドで作動するため、主にWebブラウザでのみ使用可能です。
一方で、オンプレ型はサーバーやコンピューターなど自社内の設備上で動作するツールです。PCにインストールされるため、Webブラウザだけでなく、Excelなど複数のソフトウェアをまたいで操作することが可能です。
そして、開発型は業務効率化のために、システムを初めから構築するRPAの手法です。導入費用は高くなる傾向にありますが、削減可能な業務量に合わせて費用対効果を明確にして導入を進めることが必要です。
なぜ今RPAが注目されているのか
RPAは働き方改革の救世主
現在日本が抱えている問題として深刻化する人手不足問題が挙げられます。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所によると2053年には日本の人口が1億人を割ると言われています。
人手不足の影響は既に現れており、2019年に帝国データバンクが行った調査によれば、2018年度の人手不足倒産の件数は169件で前年度と比べて48.2%増加したそうです。
その傾向は今後も継続すると予想されており、少ない人手でも生産を維持できるよう業務効率化による働き方改革が課題となります。
そして、その中でRPAは働き方改革の救世主となるではないでしょうか。
RPAは人が行っていた業務を自動化するシステムです。人手が不足している分をRPAで補い、業務を効率化することで生産量を維持することが今後求められています。
導入のハードルをぐっとさげるパッケージ化されたRPA
ロボットで仕事を自動化すると聞くと難しそうな印象を持つ方も多いのではないでしょうか。
しかし、パッケージ化されたRPAツールなら、自分でプログラミングや構築をすることなく導入までを行えて、簡単に業務自動化することができます。
そのため、IT分野に自信がないという人でも低いハードルでRPAを使うことができます。
従来の技術やAIとRPAの違い
基本的にRPAはプログラミングをすることなく業務を自動化できます。
一方で、従来のITシステムは基本的にプログラミングをする必要があります。また、リリースする際には想定外の状況も考慮して構築しなければいけません。
AIとRPAは何が違うのか
AIとRPAの違いは自律性の有無にあります。
AIは大量のデータは学習することで、状況に合わせて臨機応変に物事の予測を行ったり、分類を行うことができます。
一方で、RPAはあくまでも人があらかじめ設計した通りにしか動くことができません。そのため、やり方が明確に決まった定型業務でのみ活用することができます。
RPAを導入するメリット
RPAを導入するメリットは以下の5つが挙げられます。
で業務負担を減らし、豊かな働き方を実現できます。
顧客満足度の向上
RPAの導入によって、事務処理などの速度が上がれば、その分、ユーザの待ち時間が短くなります。
チャットボットをはじめ、OCRを活用した文字認識など、適材適所でRPAを活用することで、ユーザ体験を向上させ満足度を上げることに繋がります。
生産性の向上
RPAは業務効率化だけでなく、組織の生産性向上にも繋がります。
RPAは定型業務を人間以上の圧倒的なスピードで自動化します。そして、社員は今まで以上にクリエィティブ分野の仕事に集中できるようになります。
人的ミスの防止
作業の正確さもRPAのメリットとして挙げられます。
RPAは人間のように仕事でミスをすることがありません。
作業工程に変更なければ決められた作業を正確にこなしますので、人的ミスの防止になります。
コスト削減
RPAは作業を省人化できますので、人的コストの削減にも繋がります。
RPAツールの中には年額100万円程度で導入できるものも多く、人を1人雇うよりも圧倒的にコストが低くなります。
そのため、コストに悩んでいる企業だからこそRPAの導入がおすすめです。
人材不足の解消
コスト削減とも被りますが、RPAを導入することによって、本来人を配置しなくてはいけない業務を代替させることができます。少子高齢化が叫ばれ、どこの企業も人手不足にあえぐ今だからこそRPAを導入することが必要となってきます。
RPAに向いている業務と向いていない業務
RPAは何でもできるわけじゃない
RPAは万能ではありません。RPAは現時点で、PDCAサイクル「(Plan:計画, Do (実行),Check(検証),Action(改善)」のうち「DO 」の部分しか行うことができません。
ですので、PDCAのうちPCAの部分は人間が行う必要があります。反対に、繰り返す作業が主な場合においてはRPAが適しています。
RPAに向いている業務例・業務内容
RPAに向いている業務内容に共通しているのは、繰り返しの業務であるという点です。例えば、営業ですと、見積もり発行や競合サイトの巡回などがあります。
経理では、入金情報に応じて回収リストの作成、入力などや社員が入力した交通費を乗り換え案内サイトで照合したりといったことができます。また、人事だと、過重労働者へのメール通知や給与の変更などに応じて給与台帳を更新するなどができます。
RPAに向いていない業務例・業務内容
RPAに向いていない業務内容とは、業務フローが変わりやすかったりセキュリティが必要な業務などです。
例えば、変更が多い画面での業務やデザインが複雑な画面での業務、止めてはいけない業務、ルールが多い業務などが挙げられます。
RPAの導入による成功事例
複数のRPAを併用し成果を拡大する
ゲーム事業などを手がける株式会社ディー・エヌ・エーは各RPAの特徴に合わせた使い方を確立して業務改善に励んでいます。
たとえば、ある程度のコストカットが見込める場合はオンプレミス型RPAを導入し、少量多品種の業務であればクラウド型で導入するなど特徴に合わせた運用を行っています。
働き方の選択肢が広がるエピソード
RPAを積極的に導入して業務効率化達成しているRPAホールディングスではこのようなエピソードがあります。ある女性は夫の転勤によって茨城の水戸に引っ越すことになりました。
通常であれば会社を辞めるという選択肢しかなかったのですが、同社の「ロボット在宅勤務」というスタイルで勤務を続けているそうです。「ロボット在宅勤務」とはロボットが作業する手前の段階で業務ごとのフォーマットを作成する業務です。
RPAの導入による失敗事例
RPAの失敗要因
RPA開発において主な失敗要因になるのは3つあります。
1つ目は自動化の対象が大きいという要因です。業務のほとんどを自動化しようとした結果、RPAが苦手とする「長く複雑な業務フロー」となってしまうからです。
2つ目は開発期間が長いという要因です。自動化対象が大きく、開発期間が長すぎてサービス変更で再修正を余儀なくされるからです。
3つ目は予算が大きすぎるという要因です。開発期間が長くかかり、仕様の再設計なども発生し、結果的に人力で行った方が安くなってしまうからです。
トップダウンでの導入にありがちなワナ
また、RPAを導入する際に、経営者側と現場側で意思疎通がうまくできない場合も失敗する可能性が高まります。導入を推進する立場とRPAを実際に使う現場の立場でコミュニケーションが足りないまま、勢いだけで導入すると、結果として意図した成果が得られずにネガティブな印象だけが残ってしまいます。
RPAを導入する上での注意点
RPA導入によるデメリット
RPAはあくまで画面上で行う操作をロボットがなぞるものです。なので、画面切り替えたり、コピー&ペーストをしたりといったコンピューターの内部的な処理にかかる時間は人間がやるのと同じになります。
つまり、作業内容によっては期待していた以上に時間がかかることもあります。また、PRAは人間が作ったルールに従うため、RPAを扱う側がその業務内容をしっかりと管理する必要があります。他にも、RPAはルールにしたがって処理を行うためルールにない例外的な処理が発生すると止まってしまいます。
成功するRPAプロジェクト
成功するRPAプロジェクトに共通しているのは「アーリースモールサクセス」です。日本語で言えば、小さく早い成功です。
日本型経営では減点主義で新規事業は見られがちですが、小さな成功が一つでもあれば、周りからは、「あの事業は成功しているんだな」と見られることもしばしば。アーリースモールサクセスを念頭に置いたRPAプロジェクトなら、たとえ失敗したとしても小さな減点で済みます。
RPA導入の全体像
RPA導入までの4つの段階
RPAを導入するためにはシステムを開発する前に、社内の稟議を通す必要があります。ここでは図を使いながらRPAの全体像を説明します。
1つ目はどんなRPAがあるのかを調べる情報収集の段階です。この時はベンダーやコンサルタントから直接情報を得るのも一つの手です。
2つ目は具体的な導入の手順や代替する業務、スケジュール、運用体制などを文章に落とし込む企画の段階です。実質的にこの時点でプロジェクトチームを作り始めることになります。
3つ目は①情報収集と②企画の成果物をまとめたものを経営会議などに提案する段階です。自分で行ったテストや他社の事例から説得的に提案する必要があります。
4つ目は実際にこれまで計画したものを導入していく段階になります。RPAは業務フローと人間に密接に関わるシステムなので、人間の気持ちに配慮しながら、導入を計っていくことも大切になってきます。
最後に
RPAがどういうものなのか理解していただけましたか。RPAは人的コストの削減や金銭コストの削減も行ってくれますが、万能に全てをこなしてくれるわけではありません。自社の業務は本当にRPAを導入するのに適しているのかを慎重に検討を重ねることが肝要です。
AINOWを運営しているディップでもRPAサービスを提供しています。
数時間かかるオフィス業務を数分で処理!ディップの「FAST RPAコボット」は、業務自動化の豊富なテンプレートを事前に用意。
さまざまな業界の業務自動化を実現します。
慶應義塾大学商学部に在籍中
AINOWのWEBライターをやってます。
人工知能(AI)に関するまとめ記事やコラムを掲載します。
趣味はクラシック音楽鑑賞、旅行、お酒です。