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2021.12.03

フォークリフトの操作を定量評価|危険操作を検知する「安全荷役AI フォークバディ」

最終更新日:

新型コロナウイルスの感染拡大による宅配需要の増加やECサイトの利用拡大により物流業界の負担が増加する状況が続いています。そんな物流を支えているのは、倉庫や配送などを担う多くの人々です。

業務がひっ迫する今、効率性だけでなく、安全性を高め、物流業界をより安定化させることで、より強靭な社会インフラになるでしょう。

今回は安全性の向上のためのAIの中でも、フォークリストに注目し、危険操作を定量的に評価できる「安全荷役AI フォークバディ」を紹介します。

危険操作を定量評価可能な「安全荷役AI フォークバディ」

「安全荷役AI フォークバディ」は2021年11月16日にトライアル募集を開始したフォークリフトの安全管理に特化したAIです。

フォークリフトなどの事故は全国でも多発していますが、危険なパターンを定量的に把握していれば未然に防げるものも多くあります。多くの倉庫では、フォークリフトの操作に関して、勘や経験に基づいてなんとなく危険な操作が把握されているケースが少なくありません。

業務がひっ追する今、勘や経験に頼るのではなく、危険なパターンをしっかりと記録し、定量的に評価することで、フォークリフトの危険操作を効率よく把握できます。

「安全荷役AI フォークバディ」は、フォークリフトにドライブレコーダーを取り付けるだけで、記録された映像からフォークリフトの基本動作から危険操作までを検知し、定量的に評価したり、危険操作のハイライト動画を作成できます。

評価の画面のスクリーンショット

危険操作のハイライト動画キャプチャーイメージ

なぜ「安全荷役AI フォークバディ」は生まれたのか|フォークリフトを取り巻く課題の数々

「安全荷役AI フォークバディ」は富士通クラウドテクノロジーズとサントリーロジスティクスが共同で開発したAIです。共同のプロジェクトをプレスリリースして以降、サービス化の要望を多く頂いたことをきっかけに、多くの物流業界の企業へのヒアリングを経て生まれました。

ヒアリングの結果、物流業界の多くの企業では業務に忙殺される毎日の中で、フォークリフト操作の安全性に投資する余裕がないことがわかりました。

フォークリフト業務を取り巻く課題は主に以下の4点が挙げられます。

  • 業務効率が優先で、多忙により、そもそも安全対策に時間を十分にかけられない
  • センサー値を用いて評価しているが十分な精度が出ない / 映像がないためセンサーで検知した動作がどのような動きだったのか原因を把握できない
  • ドライブレコーダーを導入したが確認する時間がない / 確認業務を効率化したい
  • 評価者による定性的、属人的なフィードバックだけでなく、定量的なフィードバックを行いたい

特に3点目では、ドライブレコーダーを導入しても、多忙により長時間の記録動画を確認する工数をとることができず、多くの企業では事故があったときの確認に使うにとどまり、「事故が起きること」が前提となってしまっています。AIを活用することで事故が起きてから確認するのではなく、記録された動画を全てチェックした上で、定量的な安全性評価が可能になります。

フォークリフト業務において各社ごとの安全基準はありつつ、それらの取り締まり基準は属人的でした。安全に対する投資が十分でない企業では、免許取得以降にフォークリフト操作を振り返る機会はほとんどないのが現状です。各社が独自の安全基準を策定していくのも容易ではなく、評価項目をどのように決めるか、それぞれのジャッジの基準をどうするか、そもそも誰が評価をするのかなど、問題は山積みです。

各社が独自にフォークリフトの安全性を高めるよりも、AIを活用したサービスを開発することで、業界全体でフォークリフトの安全性を高め、統一した安全基準をつくっていくために「安全荷役AI フォークバディ」は生まれました。

「フォークバディ」という名前には、フォークリフト乗務員と評価者、バディとなって一緒に安全に取り組めるようにというメッセージが込められています。

今後の物流業界をさらに安全安心にしていくために

富士通クラウドテクノロジーズとして、なぜフォークバディを開発するのか、事業開発担当の宮崎さんにお話を伺いました。

私たちは特定の業界に特化しているわけではないため、物流業界について知識があるわけではありませんでした。そこで20社を超えるお客様へ業界の課題をインタビューさせていただき、現場を見せていただきました。夏にはフォークリフト運転技能講習を修了しました。

「フォークリフト運転技能講習」を受けている宮崎さん。無事修了!

誤解を恐れずに言えば、フォークリフトの運転は難しくなく、2日も乗ればある程度操作可能で、1ヶ月も業務で乗車すれば自然に乗りこなせると感じました。しかし、それと同時に何トンもある小型の乗り物が、作業員が近くにいる状態で高速で走行し、時には安全確認なしに発進することに恐怖を覚えました。

『いつも通りの運転』『みんなと同じ運転』『これまで事故はなかった』、だから、十分安全なのでしょうか?そうではないことは現場のみなさんの方がよくご存知だと思います。しかし対策が打てない状況がある。そして私たちはこれを打ち破る可能性がある技術を持っています

困っている現場を助けることは、技術を持つ者の責務です。責任をもって果たさなければならない使命なのです。一方でどこまで行っても現場のことは現場の方が一番よくご存知です。私たちはお客様と知恵を出し合い、物流に関わる方々か家族含めて安全に暮らせる世の中を創るべく、本サービスを開発しています。

フォークリフト乗務員の安全意識や技術向上は、短期的に見れば些細な改善に感じられるかもしれません。しかし、長期的に見れば、労働災害事故・物損事故防止につながります。特にフォークリフトの事故は、免許を取得してからすぐではなく、操作に慣れたタイミングで発生することが多く、油断することなく、安全基準や危険操作のパターンを見直すことが重要です。

フォークリフト操作では、一人ひとり、操作の癖が異なります。だからこそ、一人ひとりにあわせたフィードバックを行うことで、フォークリフト乗務員の安全意識や技術向上は、短期的に見れば些細な改善に感じられるかもしれません。しかし、長期的に見れば、労働災害事故・物損事故防止につながります。

フォークリフトの事故は、荷主からの信頼を失うだけでなく、従業員の命に関わる問題であり、安全にしっかりと投資することで、働き方を改善し、従業員が安心して長く働ける環境づくりにも繋がります。

「安全荷役AI フォークバディ」は2022/1/31までβ版のトライアルを募集しています。ぜひこちらからお問い合わせください。

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