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2022.12.16

データサイエンスの3要素を解説 – 基礎から活用事例まで紹介

データサイエンスの3要素と聞いて、すぐに3要素を答えられる人は少ないでしょう。しかし、この3要素はデータサイエンスを活用していくために重要な要素であると言えます。データサイエンスを必要としているのであれば、データサイエンスの3要素を覚えていても損はしません。

この記事では、そもそもデータサイエンスとは何かを解説し、データサイエンスの3要素について詳しく解説していきます。データサイエンスの3要素について理解し、ビジネスなどにおいてもデータサイエンスを活用できるようになりましょう

【この記事でわかること】 ※クリックすると見出しにジャンプします

データサイエンスって何?

そもそもデータサイエンスとは何かがわかっていないという人も多いと思います。そこで、ここではまずデータサイエンスとは何かを簡単に解説します。

データサイエンスとは、統計学に情報工学などの手法を組み合わせて、大規模なデータセットから問題解決に必要な知見を引き出す研究分野です。

歴史的には統計学の一分野として扱われていましたが、コンピューターの発展に伴い、プログラミングによる大量のデータの前処理が可能になったために独立した位置付けとなったのがデータサイエンスです。

コンピューターが発展したことで扱えるデータも増えています。そのため現在この分野では、株価や気温などの数値データだけでなく、テキストデータ、音声、画像や動画データ等も分析の対象となっています。

また、ビジネスでもデータサイエンスの活用が注目されており、体系化した理論を持つ一方で、実学としても重視されています。

▶今さら聞けない「データサイエンス」とは?>>

データサイエンスの必要性

現在はビジネスにおいてもデータサイエンスが必要とされています。

ビジネスでも集めた膨大なデータを分析・解析し、企業の競争力を高めていくことが重要となっています。そして、ビッグデータを分析・解析してビジネスに活用するためには、データサイエンスの知識や技術が必要です。

データサイエンスの将来性

これからAIが発達していく社会で、データサイエンスは重要となっていくでしょう。その一方で、データサイエンティストの人材は不足しています。

今後、企業がデータサイエンスを活用して、競争力を高めたり新たなビジネスを創造していくためには、人材の育成や発掘に加え、組織のあり方や人事評価制度の見直し等も必要となってきます。

したがってデータサイエンスは、将来性はあるものの、その将来に向けて十分に準備ができている企業などは非常に少ないという分野と言えるでしょう。

▶AIやデータサイエンスについて学べる大学10選>>

データサイエンス人材になるには

では、データサイエンス人材になるためにはどうすればいいのでしょうか。

一般的にはデータサイエンス人材とは、データを解析できる人だと思われているようですが、必ずしもそうではありません。一般社団法人データサイエンティスト協会によると、データサイエンティストには「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」という3つのスキルが求められると言われています。

そして、これはデータサイエンスの3要素と呼ばれています。

▶データサイエンティストに役立つ資格8選|比較表を用いて解説!>>

データサイエンスの3要素

データサイエンスの3要素について詳しく解説します。

  1. ビジネス力
  2. データエンジニアリング力
  3. データサイエンス力

それぞれ解説します。

データサイエンティストに必要な3つの能力の図です

(出典:https://parallelcareerlab.com/?p=1663%EF%BC%89)

ビジネス力

3要素の1つが「ビジネス力」です。

ビジネス力は簡潔に言うと、「課題背景を理解し、ビジネス課題を整理・解決に導く力」です。このビジネス力に必要なスキルを紹介していきます。

論理的思考

論理的思考はビジネス力において、非常に重要です。論理的思考とは、物事を構造的に考えて説明する力です。

論理的に考えることで相手に自分の意図が伝わりやすくなり、ビジネスも成功に繋がっていくでしょう。

着想・デザイン

着想・デザインとは、持っている知識から具体的な解決策を考え出すことを指します。

膨大なデータがあっても、それを使用して問題を解決する手法が思いつかなければ、そのデータを活用できません。

そして、自分が持っている知識をビジネス的な解決策として提供できなければ、そこから価値は生まれないと言えるでしょう。

課題の定義

「KPI」「課題箇所」「課題解決が生み出す価値」「課題解決プロセス」といった、課題に関連する一連の定義を理解し、解決策を考え出せることが必要となります。

この「KPI」とは、企業や組織の目標を達成するために行う日々の活動の具体的な行動指標を指します。

データ入手

データを入手する力は軽視されがちですが、最も初歩的で重要だと言えます。社内、社外にどんなデータがあるかを把握し、そのデータを使用できるように働きかける能力です。

ビジネス観点のデータ理解

ビジネス観点のデータ理解とは、ビジネスとして価値のあるデータ分析を行うということです。同じデータ分析でも、適用するビジネスによって、そのビジネス価値は変わります。

得られた結果から、どのようにその結果を活用できるかを考える能力は、ビジネスにおいて重要であると言えるでしょう。

分析評価

分析評価とは、目的に対して分析結果から得られる考察が妥当なものかを判断する能力です。適切な範囲での分析、バイアスのかかっていない評価が重要となります。

事業への実装

実際に事業として継続的にデータを活用できる方法を構築する能力も重要です。

どのようにサーバを立てて、どんなライブラリを入れて行うのか、エラーが出たときはどういう処理するのかなど、ロジックだけではなく、インフラの部分も考える必要があります。

活動マネジメント

活動マネジメントとは、チームとしてデータ施策を行う際に、施策を成功に導いていくためのチームリーダーが行う管理のことです。

データサイエンスではデータを扱うだけでなく、活動のマネジメント能力も重要となっています。

データエンジニアリング力

2つ目が「データエンジニアリング力」です。

データエンジニアリング力とは、データサイエンスを駆使してサービスやアプリケーションにデータを活用した機能を実装するスキルのことです。

データエンジニアリング力に必要とされるスキルを紹介します。

クラウドサービスの知識

クラウドサービスとは、データやソフトウェアをインターネット上でユーザーに提供するサービスです。

現在では、ビッグデータ分析の構築場所をクラウド上に設定している企業も増えてきており、データサイエンスをビジネスで活用するには必要不可欠となっています。

分散処理技術

分散処理とは、大量のデータを複数のコンピュータに分けて処理することです。これによってコンピュータ1台あたりの負荷が軽減され、処理速度を上げることが可能になります。

ビッグデータを扱うデータサイエンスではこの分散処理技術も重要と言えるでしょう。

プログラミングスキル

ビッグデータの中にはテキスト、数字、画像や音声など様々な種類のデータが存在します。そのため、プログラミングスキルを活用して様々な種類のデータを分析可能な形式に加工することが必要となります。そして、加工したデータを処理することで重要なデータが導き出せるのです。

フレームワークの知識

フレームワークとは、アプリケーションのベースとなるソフトウェアです。その中でも機械学習フレームワークは、機械学習やディープラーニングを行うために重要な役割を果たします。

数多くあるフレームワークの中から、自分が取り組んでいる問題を解決するためにはどのフレームワークを選ぶ必要があるのかを理解しておくことは、非常に重要です。

データサイエンス力

そして、3つ目が「データサイエンス力」です。

「データサイエンス力」は統計学や機械学習の知見を用いて、実際にデータ分析を行うスキルです。「データエンジニアリング力」で下準備したデータを様々な方法で実際に分析するのが「データサイエンス力」と言えるでしょう。

データサイエンスの技法を紹介していきます。

線形回帰

線形回帰とは、「目的変数 (予想したい値)が説明変数 (関係する値)の関数で表せる」という仮説を立てモデル化する手法です。簡単に言うと、y=f(x)で表せることを仮定して分析するということです。

(出典:https://nisshingeppo.com/ai/linear-regression/)

(出典:https://nisshingeppo.com/ai/linear-regression/)

以上のように、バラバラになっているデータから特徴を掴んで、関数のグラフに近似するのが線形回帰です。

ロジスティック回帰

ロジスティック回帰分析は、いくつかの要因(説明変数)から「2値の結果(目的変数)」が起こる確率を説明・予測することができる統計手法で、多変量解析の手法の1つです。

(出典:https://www.insource-da.co.jp/column/211020a.html))

以上のような場合でも、ロジスティック回帰を使うと、これまでのデータからJさんの資格試験の合否見込みが判定できるようになります。

このロジスティック回帰はマーケティングにも使われているため、ビジネスでデータサイエンスを活用していくうえで、必要不可欠な手法と言えるでしょう。

クラスター分析

クラスター分析とは、個々のデータから似ているデータ同士をグルーピングする分析手法です。グルーピングされたデータの集まりをクラスターと表現します。

図

(出典:https://www.nttcoms.com/service/research/dataanalysis/cluster-analysis/)

クラスター分析を行うと、データ全体を類似性に基づいて特徴を分析し、以上のように、各生徒の身長と体重のデータをきれいに3つのグループに分類できるようになります。

データサイエンスの活用事例5選

データサイエンスの活用事例を5つ紹介します。

  1. スシロー – 需要予測による売上向上
  2. 野村証券 – 高速化・コスト削減
  3. Panasonic – 営業活動の見える化・業務効率化
  4. 城崎温泉 – ニーズを把握し売上向上
  5. ベネッセ – 教材の最適化

それぞれ解説します。

スシロー – 需要予測による売上向上

スシローは、寿司皿にICタグを取り付けることでデータを収集し、これによって「どのテーブルでどのような寿司が食べられたか」「どのネタがどのようなタイミングで流されたか」といったさまざまな情報を蓄積できるようになりました。

このような大量の情報を蓄積し、このビッグデータを活用して需要を予測し、握る寿司の数やレーンへ投入する量などを調整することで無駄を省き、売り上げを増加させることに成功しました。

野村証券 – コスト削減

野村証券は、Twitter APIを用いてツイート内容を指数化しました。これは、抽出AIがTwitterの投稿内容からデータを抽出し、評価AIが景況感を評価する仕組みです。

これにより調査コストを大幅に削減することに成功しました。

Panasonic – 営業活動の見える化・業務効率化

パナソニックは、営業にデータ分析ツールを導入しました。これによって案件の状況をスムーズに把握できない」「情報共有に時間がかかる」「顧客情報を正確に管理できない」などの課題を解決し営業活動を可視化することに成功しました。

また、ツールのタイムライン機能を用いることで案件の情報をリアルタイムで把握できるようになり、業務効率化にもつながっています。

城崎温泉 – ニーズを把握し売上向上

城崎温泉は、スマートフォンのICカード機能を利用してデータを収集し、収集したデータから人気の高い外湯や訪れている観光客の属性などを分析するようになりました。そして、それらの結果をサービスに活かしています。

ベネッセ – 教材の最適化

ベネッセは、ビッグデータを活用した教育研究の取り組みを積極的に進めています。

学習記録から教材を設計するという活用方法や、データを収集し、蓄積したデータから子どもの将来的なゴールを予測する、といった取り組みも始めています。

まとめ

この記事では、データサイエンスの3要素について詳しく解説し、活用事例もいくつか紹介しました。

データサイエンスの3要素について知りたいと思ったときは、是非この記事を読んでみてください。

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