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AINOW新米記者のおざけんです。
近年目まぐるしく進化を遂げ、普及を続ける「チャットボット」。
2016年はチャットボット元年とも言われ、ここ最近はチャットボットに関する記事を目にする機会も増えたのではないでしょうか。最近ではそのビジネス活用も進み、マーケティング手法の一つとしての役割を担う機会も増えました。
AppleのiOSやMacOSに実装されたSiriなど、普段の生活の中でも存在感を増しています。
2017年4月にはIBMのWatson Summit 2017が開催され、チャットボットへの期待は更に高揚していくでしょう。私も、先日参加してきましたが、テレビ関係者や金融関係者など様々な業界人が会場を訪れ、社会的に注目されていることを肌で感じました。
このチャットボットは、今多くの業界でのコミュニケーションの形を変えるのではないかと期待されています。
そんなチャットボットの新たな形の一つを今回は皆さんにご紹介しようと思います。
茅場町にある澪標アナリティクス株式会社 代表取締役社長の井原渉さんを取材しました。
代表取締役社長
井原 渉(シニアコンサルタント)
大学在学中に外資系経営コンサルティング会社(日本法人)設立
史上最年少(当時)でプライバシーマーク審査員補資格取得
老舗中堅ゲーム会社にて分析部門の立上げにリーダーとして参画し、
離脱防止、課金促進、広告効果測定などのデータマイニング、分析体制構築を担当。
同時に大学の研究センターにおいてアクセスログに関するデータマイニングを研究。
その後、東証1部上場企業にてシニアコンサルタントとして
通信事業会社のゲームプラットフォーム等のデータ分析・KPI設定・分析用IT基盤構築の
コンサルティング部門を立上げ、主にコンサルティングや教育研修に従事。
現在、自動車や広告業、ゲーム、動画などの分析コンサルティング業務に従事。
※講演実績
九州工業大学、関西大学、AWSソリューションDAYS、オンラインゲームカンファレンス、
吹田市公益活動センター等多数
「新たなチャットボットサービス」
みなさんは’チャット’というとどんなものを想像しますか?
おそらくMessengerやLINEを想像した方が多いのではないでしょうか。
パソコンやスマートフォンを使用したコミュニケーションをこのチャットでしている人は多いのでは。
かつてのガラケーのメールでのコミュニケーションではなく、このようなチャットベースなものにみなさんは利便性を感じ、なじんできたと言えるでしょう。
チャットはこのようにコミュニケーションの形で使われるものなのですが、
チャットボットは人と機械の新たなコミュニケーションの手法として力を伸ばしています。
今回取材した澪標アナリティクス株式会社は新たな領域でこのチャットボットを活用しようとしています。
それが「レギュレーション適合支援システム」。
社内マニュアルをチャットで検索できるようにするサービスです。
IBMのワトソンを使用したサービスで、AIが検索されたワードの意味を理解して結果をもってきます。
「信託財産留保額」と検索すると「解約金」のように類似した物までもってきてくれるという賢さ。
詳しく見ていきましょう。
レギュレーション適合支援システムってなにがすごいの?
銀行や保険会社など多くの会社では複雑なガイドラインが多数存在します。
営業マンが、商談中にその場で確認したいという場面も多いはず。
少し複雑なガイドラインがあるだけで、商談が止まってしまったり、改めてその会社を訪問しなければならなかったことはありませんか?
とある銀行ではなんとレギュレーションを調べる専用の部署があるといいます。それほど大変で複雑な作業なんですね。
そんな複雑で会社にとって負担が多くコストがかかるレギュレーションの管理ですが、この際チャットボットを使うことで、
解決の糸口が見えてきそうです。
【特徴その一】
言葉だけでは伝わらないのでまずはその画面をご覧ください。
いかがでしょうか?おそらくみなさん、「本当にこれはチャットボットなの?」
と思われた方はいませんか?
真ん中に見える「検索」の二文字。
そうなんです。このレギュレーション適合支援システムはあえてそのUIを従来のチャットボットのようなものではなく、
Googleなどの検索画面を意識した構成になっているんです。
これには決定的な理由が。
一般的なチャットボットが話しかけられる内容は多い順に以下のようになっています。
1位 「こんにちは」
2位 「今日の東京の天気は?」
3位 「パンツの色を教えて」
このようにチャットボットには挨拶や、天気、キャラクターの情報に関する質問が多くなってしまうというデメリットがあります。
このレギュレーション適合支援システムを従来のようなチャットボットに似せたUIにするとわけのわからない質問や、前後文脈の参照が必要で、質問から正確な答えを導き出すことが難しくなってしまう場合があるんです。
しかし、レギュレーション適合支援システムでは、検索画面に似せることでユーザが自然と普段のGoogle検索のようにワードを工夫して検索してもらえるため、より正確に答えを導き出すことができます。
【特徴その二】
どの部署の人が何に困っているのかが一目瞭然!
このレギュレーション適合支援システムで検索されたワードなどは全て蓄積されます。
そのビッグデータを解析することで、どの部署の人はどんな悩みが多いのかがわかるため、
改善に活かすことができます。
また、ワードランクを付けることで、よくある質問とその回答をまとめたFAQを作ることが可能になります。
社内の膨大なレギュレーションの情報を体系づけてわかりやすくできるのは素晴らしい試みですね!
【特徴その三】
お問い合わせツールがとにかく便利!
お問い合わせツールを使用すると、その人がどのワードを検索してどのページを見てお問い合わせをしたのかを管理者が知ることができます。他にも検索履歴やドキュメントの視聴履歴などもわかり、従来に比べて対応のしやすさが格段とUPしました。
ではその検索結果の画面もご紹介しておきましょう。
特に僕が便利だと思った点は、画面の右側に表示される事例の部分。
実際にレギュレーションを発見してもその内容がうまく理解できなかったり、実際にそのレギュレーションがどのように適用されたのかがわからなくなってしまう場面がありませんか?
このシステムでは事例も並行して検索&表示をしてくれるので、ケーススタディも一緒に見ることができるんです。
PDF資料の中の文章まで検索し、PDFをダウンロードすることなくそのままブラウザで見ることができるのも魅力の一つ!
また、この画面の右上にある「いいねボタン」
この「いいね」により良いコンテンツがどれなのかをシステムに学ばせることができ、これが検索順位などに反映されるんです。
私たちの業務の中で検索に使う時間は、2割にのぼると言われています。
GoogleDriveなどのクラウドでは本文まで検索してくれないため、タイトルに様々な単語を付けるなど
社内のドキュメントにSEOをしなければならないケースもあるのではないでしょうか。
この検索ロスを削減し、私達の業務効率をあげることができれば、よりクリエイティブな仕事ができるようになるかもしれませんね。