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「かわいい」「ほしい」と思ったファッション写真を送るだけで、誰でも簡単にオンラインショッピングできる人工知能ファッションアプリ『PASHARY(パシャリィ)』。2017年2月にリリースされ、注目されています。
AINOWでも記事をお届けしました。
写真を撮るだけでファッションアイテムを検索してきてくれる『PASHALY』
なんと言ってもその特長は
名前がわからないファッションアイテムを人工知能で検索することができる
ということです。
2017年10月時点では1000万点以上のアイテムの中からトップスや靴まで類似する写真を探してきてくれるというから驚き。
Instagramなどの写真を見てわくわくしたとき、美容室で雑誌を見ている時やウィンドウショッピングをしているとき、「これがほしい!」と思った瞬間に写真を撮るだけでアイテムをレコメンドしてくれます。
小澤「なぜ『PASHARY』を開発したんですか?」
吉井さん「20年以上も前からテキスト検索(Google)はありますが、次はビジュアル検索の時代。画像を使って人間がほしいものをどのように理解するかを解決したいと思ったのがきっかけです。
最近の若者の、インターネットの使い方は、Google検索じゃなくなってきていますよね。みんなインスタグラムで検索しちゃうんです。
たとえば「今日食べにいくスイーツの店はどこにしよう」と悩んだとき、まずはインスタグラムで見て、そのあとGoogle検索するような行動変容が起きています。
そこでサイジニアは、ビジュアルコマースの実現に向け、画像認識の人工知能を当てはめたサービス化に取り組んでいます。」
答えてくれたのは代表取締役CEOの吉井伸一郎さん
吉井伸一郎さん日本学術振興会特別研究員、ソフトバンクコマース株式会社(現・ソフトバンクBB株式会社)情報システム本部研究開発センター長などを経て、2004年から北海道大学大学院情報工学研究科複雑系工学講座の助教授を務める。複雑ネットワーク理論や機械学習を活用したビッグデータ解析技術は、日米で複数の特許を取得。2007年にサイジニア株式会社を立ち上げ、ネット広告事業などを展開する。工学博士。
おざけん
吉井さん
基本的にはファッションを中心に、ビジュアル的に面白い商品をデータとして格納しています。
画像が大事で、嗜好性が反映されていて、購入頻度が高くて、ニーズもあって、それなりの単価があるものとなるとファッションが1番向いていると思います。
グルメやスイーツなどへの展開もあるかとは思いますが、現状ではファッションですね。
おざけん
吉井さん
おざけん
吉井さん
商品数が少ないと、AIに対する期待が損なわれてしまって、アルゴリズムの問題ではないのに、商品数が少ないだけで 「AIだめじゃん」ってなってしまいます。それに対応できるくらいの商品数がないとだめですね。
また、アパレルに詳しいユーザーが持つこだわりには苦労しました。たとえば「半袖」 と「七分袖」を区別するなどです。当時私たちは、そうしたディーテールを追求するより、どちらかと言うと商材を増やしたり、システムの拡張性向上に注力していたので、そこにはギャップがありましたね。
おざけん
吉井さん
1つ目は、画像で物を買うという習慣がないことです。これを定着させないと
『PASHALY』というアプリはインストールされないと思うので、写真で物が買えるということをいかにして広めていくかが大事です。
2つ目は、インスールしてくれたユーザが毎日使ってくれるような機能をどのように実装するかということですね。ソーシャルゲームにみたいにいつも使い続けるようにしていくことが必要だと思います。
ビジュアルAIレコメンデーション『デクワス.VISION』を公開
AIを利用してビジュアルコマースを支援してきたサイジニアですが、この度新たなサービスをリリースすることを2017年9月27日に発表しました。
AIを利用した画像認識技術による、ビジュアルAIレコメンデーションシステムで、ファッション通販サイト『MAGASEEK(マガシーク)』への提供も開始。
B2Bでは今まで広告バナー配信やレコメンド機能など、独自に開発した「複雑ネットワーク」を利用したサービスを提供してきました。
たとえば、従来から利用されている「行動履歴型レコメンデーション」では、購入履歴が類似したユーザーをもとに商品をレコメンドするため、たとえばワイドパンツを探していてもパンツ以外の商品が表示されてしまい、うまく購入につながらないなどの課題がありました。
しかし同社による『デクワス.VISION』の導入により、ユーザーが今見ている商品とデザインが似ていて、異なるブランドや価格の商品をレコメンドすることも可能になりました。
また「協調フィルタリング」といわれる旧来の行動履歴型のレコメンデーションでは、解析用のデータが十分に蓄積されるまで精度が上がらず、レコメンドができない「コールドスタート問題」があります。
同社の『デクワス.VISION』は行動履歴が不要のため、商品の入れ替えが激しいファストファッションでも柔軟に対応することが可能です。
また、「ロングテール問題」といわれているように、行動履歴型の場合は、一度もユーザが閲覧・購入していない商品は、その良し悪しに関わらずレコメンドされなくなってしまいます。アマゾンでも売上の8割は全体の2割の商品の売上で成り立っているともいわれ、本当に欲しい商品が埋もれてしまうという問題点がありました。
このデクワス.VISIONがあれば、ほしいイメージに近い商品をレコメンドすることができ、大量の商品の中に埋もれてしまって見つけられないということは起きにくくなります。
編集後記
おざけん
コンピュータに「目」がつくことで、今までできていなかったことができるようになります。
サイジニアが取り組むビジュアルコマースは、まさにその目によってかつてできなかった変革を進めています。
■AI専門メディア AINOW編集長 ■カメラマン ■Twitterでも発信しています。@ozaken_AI ■AINOWのTwitterもぜひ! @ainow_AI ┃
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