大企業に眠るビッグデータの活用を促進! サーキュラーエコノミー推進機構が19名の学生を認定

2019年5月20日、経団連会館で一般社団法人サーキュラーエコノミー推進機構(以下CEO)によるCEO認定証の授与式が行われました。

CEOは大量のデータを保有している各業界を代表する企業で活躍するデータサイエンティストを育成することを目的に設立された団体です。

今回の授与式は、CEO 理事会員企業で実データを用いた7〜8 週間のプロジェクトを通してデータサイエンスを学び、優秀な評価を得た研修修了生が「CEO リーダーズメンバー」としてCEO認定証を授与するというものです。

この記事では、CEOの概要と今回の授賞式の様子をお伝えします。

CEO(一般社団法人サーキュラーエコノミー推進機構)とは

CEOは2018年3月に、企業と大学等が連携して実践的な優秀なデータサイエンティストの人財育成を行う基盤をつくり、日本の循環型経済の実現を目指すべく設立された法人です。

設立理念として、以下の3つを挙げています。

  • これからの産業界に必要な人財育成
  • これからの産業界及び社会への貢献
  • 学ぶ人の成長支援

以下のような組織体制で運営され、代表理事は東京中小企業投資育成株式会社 代表理事で、元経済産業事務次官の望月晴文氏が務めています。

活動内容

サーキュラーエコノミーを支えるための支援を行い、社会が循環していくことへの貢献を目指しています。

大学・研究機関などへの活動

  • 大学、ポスドク等対象にデータサイエンティスト育成プログラムを実施
  • CEOプログラム受講者の就職支援(会員企業へCEO推薦等)
  • 大学・研究機関・学生等と企業との情報交流 など

会員企業への活動

  • 人財支援
  • 人材育成支援
  • 情報提供・情報交流 など

今回の表彰の対象になるCEOプログラムは、7〜8 週間の実データを用いた実プロジェクトで各分野の最前線トップデータサイエンティスト(メンター)が責任をもって訓練し、そ の資質を見極めるというものです。

授与式の様子

では、授与式の様子をご紹介します。

CEO認定証 授与式の様子

産学の連携がAI人材育成の道|望月氏挨拶

まず、CEOの代表理事を務める望月氏から挨拶がありました。

新しい社会に向かう上で、AI, IoT, ビッグデータが不可欠であり、国の成長戦略にも含まれています。

一方でデータサイエンティストの育成は不十分です。情報系の大学にビッグデータがありません。企業は、活用や人材調達のノウハウがありません。

シリコンバレーのような産学連携モデルを参考に、恒常的にデータサイエンティストを供給したいと考えています。企業と大学のネットワークを幅広く作り上げ、人材の育成のための企業の役割、大学の役割をつなぎ合わせるネットワークを普及させていきます。

日本では、個々の企業でも努力はしているが、それでは社会全体には行き渡らないと考えています。CEOは6名の先生、9社をベースにスタートし、今回、19名の方が認定を受けます。

今後、シリコンバレーモデルを日本で作り、データサイエンティストを工場的に供給できる仕組みを担っていきたいと思っています。

CEOは、日本の情報のスペシャリストのうち、かなりの方が所属していると思います。これはまだまだオープンにやっていき、さらに増えるべきだと思っています。

望月晴文 CEO 代表理事

リアルデータの活用を|糟谷氏

続いて、糟谷氏から産学の連携の重要性と課題が語られました。

糟谷 敏秀氏(経済産業省大臣官房長)

ネット上のデータに関する勝敗は決まった面もありますが、日本にもチャンスあると言います。

 良い現場に根差した眠るリアルデータは日本にあるが、活用する人材がいません。

文理や学部を超えた人材を育成するシステム、社会人の学びなおしの必要性にも言及されました。

産学の連携を|北川氏

続いて北川氏から、産学両面での課題について言及しました。

北川 高嗣 CEO 理事/ Executive producer

北川氏によると科学には以下のような4つのフェーズがあると言います。

  1. 経験科学
  2. 実験科学 -仮説を立てて実証する
  3. コンピューターサイエンス -仮想的な現実を作る
  4. データインテンシブサイエンス

データインテンシブサイエンスについて、アルファ碁の例などに言及してその重要性が語られました。

さて、どうやって産業とアカデミアの溝を埋めるのでしょうか。まずAIの本質について、

説明変数と評価関数がほぼ確立してしまっている学術領域の研究者は全員AIに交代可能

と言及しました。しかし、どのようなデータを使うのかや何を目的としているのかの設定はAIには不可能なタスクです。

そこで北川氏は、ビジョンを実行する意思決定のためのAI活用が必要だと強調しました。そのためには、産業界と学術界の垣根を取り払う必要があります。

引き続きCEOは会員企業を増加させ、活動の幅を広げていくといいます。

目的ベースでのデータサイエンス|受賞者代表挨拶

受賞者を代表して、CEOのプログラムを通し、JX金属株式会社に就職を実現した高橋朝晴氏から挨拶がありました。

高橋朝晴氏(JX金属株式会社)

高橋氏は、「データ」「根性」「チームワーク」の3つがデータサイエンスで重要だと語りました。

バックグラウンドが文系の高橋氏は

目的意識ときっかけがあればデータサイエンスに取り組んでいける

と述べました。

高橋氏はCEOの面白いと感じた点は2点といいます。

  • 実際のデータを扱える点
  • データを手法として扱える人材として育成する点

実際のプログラムでは、廃棄物焼却炉の出口変化予測を、ニューラルネットワークを用いて解析しました。

最初はデータサイエンスとして活躍を描いて意気込むものの、実際は困難だったそうです。しかし、7週間のプログラムを通して、実績を積み、高い精度での推定が可能になりました。

高橋氏は、今回のプログラムで学んだことや必要だったことを「データ×根性×チームワーク」でまとめました。

  • データ=価値のあるデータ
  • 根性=パラメータ調整やエラー処理への粘り強さ
  • チームワーク=社員さんとのチームワークや、実用化のうえでのディスカッション

最後に文系目線でデータサイエンスへの取り組み方について言及してプレゼンを終了させました。

これを解決したいという目的意識があれば、データへの愛着がわいて、(勉強までの)気概が生まれます。

人材を企業へ|山敷氏

最後に京都大学大学院の山敷氏より挨拶がありました。大学の役割について言及しました。

山敷 庸亮 氏 (京都大学大学院 総合生存学館 総合生存学副学館長)

大学は、ノーベル賞を目指すだけでなく、定員も増やす必要があり、しかし予算は減るという困難な状況にあります。山敷氏は、望月氏より「日本の産業に役に立つ人材」という要求があり、大学のあるべき姿を考えたそうです。

そこで「GAFAのほとんどは、大学性が面白いことをやったことに投資した」という産学の関係に注目しました。そのうえで、「人材を企業に向けることが、日本の将来に役立つのではないか」と述べました。

本当に日本が世界のリーダーを取るためには、トップを取るという強い意志をもって(企業と大学の)団結が必要です。

今回表彰を受けた、CEO リーダーズメンバーの活躍に期待を込めて挨拶を終えました。

授与の様子

望月晴文 CEO 代表理事がCEO認定証を授与する様子

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