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2019.10.18

コールセンターを変えるAI(人工知能)技術とは?その背景から今後まで

最終更新日:

AIコールセンター-背景から導入方法を紹介AIサービス10選

コールセンターでAIの導入が進んでいます。

例えば、三井住友海上火災保険はコールセンター業務にAIを導入し、問い合わせの時期や内容の傾向を分析した上で人員配置や表示するFAQの最適化をしています。

今まで人が行なっていたオペレーター業務をAIが担うようになれば、大幅な業務効率化になるのではないでしょうか。

そこで今回は、コールセンターにおけるAI活用をご紹介していこうと思います。

AI活用が進むコールセンター業界

近年、AI技術を導入する企業が多くでてきました。コールセンター業務もその一つです。コールセンターが抱えていた課題はAI技術を活用することで解決し、業務の効率化や対応の品質向上に繋がっています。

コールセンターが抱えていた課題は「高い離職率」です。主な要因は、業務内容が難しかったり顧客からのクレームによる精神的な負担が大きいことが挙げられます。

それに加え少子高齢化によって新人の方を増やすことも難しいため、人材不足に陥ってしまいます。2018年では6割近くの企業で離職率が3割を超えており、ほとんど派遣社員で補っているのが現状です。

この課題に対して、音声認識やデータマイニングといったAI技術を活用することによって、従来は人の手で行っていたものを自動化し効率化することができました。また、顧客の声を収集し分析することで、売上や対応の品質向上の効果もあります。

このような理由から、コールセンター業界のAI導入数は年々単調に増えています。

AIコールセンターができること

AIがコールセンターでできることは主に2つあります。

以下でそれぞれ説明していきます。

オペレーターに変わって電話対応

オペレーターがAIに変わることで、顧客対応の速度を飛躍的に向上することができます。利用者のストレスが軽減され、より満足してもらえることが見込めます。

また、営業時間外でも問い合わせに24時間対応できるようになります。

FAQとの連携

コールセンターに寄せられる電話は、予約やお問い合わせなど、ある程度決まった目的の場合がほとんどです。

そのため、FAQシステムを取り入れマニュアルや予約システムを予めAIに対応させておき、顧客からの要望に合わせた対応をすることでコールセンターの業務をAIで自動化することができます。

また、オペレーターが回答に迷ってしまったときにサポートしてくれるため、対応の品質を高めることも可能です。

コールセンターでAIを導入する方法

コールセンターでAIを導入する際は、次の4ステップを踏むのがおすすめです。

  1. 解決すべき課題、目的を明確化
  2. 業務プロセスの見直し
  3. 導入するサービス検討
  4. 検証しつつ導入

それぞれ解説していきます。

①解決すべき課題、目的を明確化

まずは、どんなシステムを導入するのが最適なのか、目的はなにかを明確にするために、現在の状況を分析して解決すべき課題を具体的にしていきます。

例えば以下の通りです。

  • 顧客対応の品質が異なる
  • 顧客対応に時間がかかる
  • 顧客との会話データを利用できていない

この段階によって、これからの方向性が変わってくるのでしっかり考えていきましょう。

②業務プロセスの見直し

次に、業務プロセスの見直しです。どんな課題を解決すべきか明確にしたら、解決するための作業を具体的にしていきます。

コールセンターの業務は、主に顧客対応、事務作業、組織マネジメントの3つです。考え出した問題点が上記の3つのどれに該当するのか分けておくと良いでしょう。

③導入するサービス検討

解決する作業を具体的にしたら、実際にサービスを検討していきます。

コールセンター向けのAIシステムはそれぞれ特徴も異なるため、自社の課題に対して必要な機能とコストをもとに考えましょう。

本記事の後半にはおすすめのAIコールセンターサービスを紹介しているので、参考にしてみてください。

④検証しつつ導入

サービスを決めたら、社内で試験的に運用してみましょう。

実際にサービスを使い、検証したうえで問題なさそうであれば、正式に実装します。

実装後は、費用に対しての効果ができているのか分析したり、定期的なメンテナンスを行ったりして、より大きな効果が出せるように調整・改善していきましょう。

導入するAIサービスの選び方

導入するAIサービスの選び方のポイントは2つあります。

以下で説明していきます。

費用が予算内に収まるか

自社に必要な機能を明確にしてから、AIにかける予算と、そのリターンがどれほど戻ってくるのかを事前に試算することが大切です。

また、AIの導入によって従業員の働き方がどのように変わるのかを考えることも重要です。

自社に合うパートナーがいるか

会社によって形態は異なるので、独自のAIシステムを導入することになります。そのためには、AIの専門家がいる必要があります。

社内に人材がいないのであれば、パートナーとなる企業をAIについて知見や実績があるかどうかという点に注目して探し、支援してもらいましょう。

コールセンターで導入できるAIサービス10選

ここからは、コールセンターで導入できるAIサービスを紹介していきます。

今回紹介するのは次10サービスです。

  1. 富士通
  2. U-NEXT マーケティング
  3. ベルシステム24
  4. Rebot(リボット)
  5. GoQSmile(ゴクースマイル)
  6. Amazon Connect
  7. カラクリ
  8. ピクポン
  9. ミーテル
  10. コグニティ

それぞれ解説していきます。

 ①富士通

出典:https://www.fujitsu.com/jp/

オペレーターと顧客の会話をリアルタイムに音声認識しテキスト化し、その文章をクリックするだけでFAQ検索を簡単に実行することができます。

特によくある質問はAIに任せることで、業務の効率化や利用者の利便性・顧客満足度の向上に貢献します。

また、貴重な人員をより高度な業務にシフトすることもできます。

②U-NEXT マーケティング

引用:https://unext-marketing.jp/

AIによる音声認識技術で電話でのお問い合わせに自動で返答します。

人の発する言葉をAIが認識し、辞書やデータベースに基づいた適切な回答を抽出して、音声合成で回答します。

応対履歴はそのまま音声とテキストで保存できます。

 ③ベルシステム24

引用:https://www.bell24.co.jp/ja/index.html

幅広い業界のコールセンターに対して、お問い合わせ業務自動化ソリューションを提供しています。

高精度なAIの検索アルゴリズムによって、コミュニケーションの一部を自動化し顧客の課題解決をサポートします。

④ Rebot(リボット)

引用:https://rebot.resola.ai/

コールセンターにチャットボットを組みわせたAIサービスです。

AIがユーザーの発言を理解し、適切な返答をします。

重要な場面は人が対応することもでき、コンバージョンにつながる見込み顧客や複雑な内容については、オペレーターが適切に返答できます。

⑤ GoQSmile(ごくースマイル)

引用:://goqsmile.com/

AIによるチャットボットです。

AIがスタッフに変わって、顧客からの質問に即時その場で返答します。

まるで人間と話しているような自然さが特徴で、LINEとも対応しています。

⑥Amazon Connect

引用:https://aws.amazon.com/jp/connect/

クラウド型のお問い合わせ対応自動化サービスです。

コールセンターに必要な大半のシステムを画面上の簡単な操作だけで構築することができます。

初期費用なし。通話時間に応じた課金体系ですので、どんな企業であっても始めやすいのが特徴です。

⑦カラクリ

引用:https://karakuri.ai/

コールセンター専用チャットボットです。

現場の顧客対応担当者が使うことを前提として開発されているため、専門的な知識がなくても直観的に使用できるように設計されています。

そのため、ITにそれほど馴染みのない企業でも使いやすいと言えます。

⑧ピクポン

引用:https://service.pickupon.io/

通話の重要な箇所を書き起こしてくれるAIです。

ピンポイントで共有すべき情報を簡単に共有でき、文字として記録する手間を削減することで、口頭でのやり取りを効率化できます。
また、顧客の性格の傾向を定量的に分析する機能もついています。

⑨ミーテル

引用:https://miitel.jp/

電話営業や顧客対応の様子をわかりやすく可視化してくれるサービスです。

電話営業や顧客対応をAIで分析して可視化することで、成約率を上げるのと同時に、解約率と教育コストを下げることができます。

初心者でも使いやすいのが特徴です。

⑩コグニティ

引用:https://cognitee.com/indexJ.html

セールスやプレゼン、人事面談といったコミュニケーションを定量的に評価する解析サービスです。

ビジネスにおけるコミュニケーションをどうすれば効果のあるものにできるのか、わかりやすく筋道を立てることができます。

少ないデータ量でも特徴量を検出できるのもメリットです。

コールセンターのAI活用事例

三井住友銀行

引用:https://www.smbc.co.jp/より引用

三井住友銀行では、コールセンター全席でIBM Watsonを導入し、営業店から本部への照会業務に活用しています。

問い合わせの内容を音声認識システム「AmiVoice」がリアルタイムでテキスト化し、Watsonが業務マニュアルやFAQから問い合わせ内容に対応する回答候補をオペレーターに提示します。

今後は、国内与信業務に関わる行内での照会応答業務や法人顧客からの問い合わせ対応などにも導入していく予定です。

みずほ銀行

引用:https://www.smbc.co.jp/より引用

みずほ銀行ではAIを使って、お問い合わせに対する返答候補表示に取り組んでいます。

お問い合わせに対する返答は依然として人力ですが、会話の内容から次々に回答候補が提示されます。

今までの紙ベースのマニュアルでは、対応中に該当箇所を探すのに時間がかかっていました。

しかし、このAIが導入されたことで、顧客からのお問い合わせにすぐに返答できるようになり大幅な業務効率化につながりました。

レオパレス21

引用:http://docodoor.net/logo/logo0044m/

レオパレス21は全国5拠点のコールセンター全席に、アドバンスト・メディアによる、コールセンター向け音声認識ソリューション「AmiVoice Communication Suite3」を導入しました。

質問に応じたFAQをAIが自動で画面に表示し、オペレーター支援を行っています。

結果として、顧客を待たせることなく、資料に沿って正確な返答を行えるようになりました。

コールセンターでAIを導入するときの注意点

コールセンターでAIを導入するときの注意点は2つあります。

以下で説明していきます。

セキュリティ対策

コールセンターに限らずAIを導入する際は、ハッキングや情報漏洩などのリスクがあるため、セキュリティ面を気にしなけれいけません。

セキュリティ対策を行う際は、AIの専門知識をもっているセキュリティの担当者を雇ったり、セキュリティ会社に対策を委託したりするのが適切です。

しかし、データを安全に管理できる環境を整えるためにコストが大きくなってしまう場合もあるため、予算オーバーには注意しなければいけません。

目的を明確にして、サービス選定を行う

AIシステムを導入するといっても種類は多く、それぞれ機能が異なります。

そのため、必要以上の機能を備えたものを導入してもコストが大きくなるばかりで、必要な機能が備わっていないとAIを導入した意味がありません。

また、サービス選定の段階でコールセンター業務の問題とAIを導入する目的を明確にして、AIサービスを選定することが大切です。

まとめ

深刻な人手不足に悩むコールセンター。AIの力を使えば、人が行なっていた業務をどんどん自動化し、人手不足を解決することができます。

コールセンターAIはまだまだ発展段階にあります。

今後は、コールセンターにおけるAI活用の幅がさらに広がり、お問い合わせは完全にAIとの会話になる日も近いかもしれません。

▶《AI事例25選》産業別にAIの活用事例をまとめました>>

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