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2019.11.06

AIが銀行に与える影響とは? – 事例やリストラの可能性がある業務も紹介

最終更新日:

銀行業界におけるAI活用が進んでいます。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)デジタル企画部部長の相原寛史氏は、10年後までには銀行業務の4割はAIで代替可能だと述べています。

定型業務の多い銀行はAIが活躍できる幅が広いということです。

そこで今回は、銀行におけるAI活用をご紹介していきます。

銀行業界で起きている問題・課題

金融機関は厳しい環境に置かれており、銀行業界も例外ではありません。

低金利の継続、少子高齢化、異業種からの銀行業界への参入など、問題は多岐にわたります。

ここでは、業界が直面する具体的な課題や問題点について、詳しく見ていきましょう。

多大なコストが嵩む

​​銀行経営には、さまざまな面で大きなコストがかかります。

特に、支店の運営にかかるコストの大半は、支店の家賃と人件費です。家賃が高いのは、支店は立地が重要であり、書類や金庫を保管するために広いスペースが必要なためです。

人件費は、銀行員の数が多いため、負担が大きくなります。

サイバー攻撃や不正送金を防止するためのセキュリティ対策にも大きなコストがかかり、年々、規模が拡大し、巧妙化する攻撃に対応することは困難になっています。

金利情勢に左右されるビジネスモデルの弱さ

マイナス金利下では融資が伸び悩みます。

超低金利下で、お金を貸して利息を受け取るというビジネスモデルの維持が難しくなっています。

国内貸出金利の改善は見込めず、人口減少が進む中、資金需要は後退しています。

企業の資金繰りは厳しく、貸出先の倒産や業績悪化が増加しており、これに備えて引当金を大幅に増やす必要があります。

銀行業におけるAI活用のメリット

ここでは、銀行業におけるAI活用のメリットを3つ紹介します。

  1. AI技術を活用した業務効率化
  2. AIを使った融資。信用評価の補助・精度向上
  3. サイバー攻撃や不正送金の防止をAIによるセキュリティ強化

それぞれ解説していきます。

AI技術を活用した業務効率化

業務効率化のため、店舗や人員の削減が積極的に行われています。

人数が減っても、オペレーションを維持するためには、テクノロジーの活用が欠かせません。

そこで、事務・窓口業務を中心にAIの活用が進んでいます。

主な例としては、音声認識によるコールセンター業務等のサポートが挙げられます。

帳票の読み取りにはAI OCRが、事務作業の自動化にはRPAが活用され、効率化が図られています。

▶関連記事|AI-OCRとは? AIとOCRの関係から目的別ソフト紹介まで>>

AIを使った融資。信用評価の補助・精度向上

法人営業の業務は、法人融資、預金取引、事業承継やM&A(合併・買収)のアドバイスなど多岐にわたります。

しかし、融資のための審査は複雑で時間がかかります。

この問題を解決するため、AIで信用力をスコアリングし、融資の可否を判断するサービスが提供されています。

決算書類だけでなく、入出金取引など銀行に蓄積された多くの情報を加味することで、より迅速に融資条件を提示することが可能になります。

サイバー攻撃や不正送金の防止をAIによるセキュリティ強化

お金を扱う銀行では、特にセキュリティの強化に重点を置く必要があります。

サイバー攻撃や詐欺など、さまざまなリスク事象があり、それらに対処しなければなりません。

攻撃手法や対処法などの情報は、世界中の専門機関で共有されていますが、情報量が膨大で、次々と新しい情報が出てくるため、AIで抽出することでより迅速に対策ができるようになります。

AI活用でリストラの可能性がある銀行業務

ここでは、AI活用でリストラの可能性がある銀行業務について紹介します。

  1. 窓口業務
  2. 法人業務のバックオフィス
  3. 格付け業務
  4. 膨大な確認作業

それぞれ解説していきます。

窓口業務

すでに窓口の採用は減少しており、3メガバンクのうち、みずほFGと三井住友FGは一般職の採用を廃止しています。

最近では、銀行の支店を訪れるお客様も年々減少しています。

今はスマートフォンで銀行口座が開設できるので、若い人はわざわざ支店に足を運ばないのです。

ですから、AIが登場しても、窓口業務というのはなくなってしまうでしょう。

AIは、支店にわずかに残る業務を代替できるようになります。

口座開設や解約、払い戻しや入金、請求書の確認、通帳の管理、両替などは、マニュアルを覚えれば誰でもできる定型業務です。

スマホで完結するにしても、支店に出向くにしても、AIが案内して完結させることで、スタッフの数を減らすことができるのです。

法人業務のバックオフィス

この部署の仕事を簡単に説明すると、法人のお客さまへの営業活動を行う銀行員の事務的な仕事です。

例えば、融資を行う場合、営業担当者は融資の可否、金利、期間などの条件をお客様と最終的に決定します。

しかし、最終的なデータを本社に送り、融資したお金をお客様の口座に振り込むのはバックオフィスの役割です。

本社にデータを送り、お客様の口座に融資金を振り込むのがバックオフィスの役割です。

これは営業マンの横領などの不正を防ぐ役割を果たしますが、定型的な事務作業なので、AIに置き換わっていくのでしょう。

格付け業務

銀行には格付けというビジネスがあります。

これは金融機関が出す成績表のようなもので、企業から受け取った決算書に独自の採点表で点数をつけていきます。

その点数をもとに、銀行は融資をするかどうか、いくら貸すかを決めます。

これは定量的な分析であり、企業の業績や将来の可能性を測る重要なプロセスです。

大企業の場合は本社の融資部門が担当しますが、中小企業の場合は営業担当者が担当します。

定量的な判断なので主観は許されず、完全にマニュアル化された仕事です。

膨大な確認作業

銀行は他人のお金を扱うので、チェックに膨大な時間と労力を費やしています。

銀行員の仕事の7割が事務的と言われるのはこのためです。

ところが最近、この仕事をAIで代替しようという動きが活発になっています。

りそな銀行が行った、銀行の投資商品の販売方法に問題がないかをどれだけ早くチェックできるかという実験では、AIは人間の2倍の問題点を発見し、所要時間を4割も短縮することができたといいます。

AIを活用することで、何十万もの作業をスピードと正確さで処理することが可能になります。

銀行の絶対的な権威である金融庁は、AIを内部チェックに使っても問題ないとの見解を示しており、AIがチェック業務を代替する可能性が高いです。

金融業界におけるAI導入事例3選

ここでは、金融業界におけるAI導入事例を3つ紹介します。

  1. 住宅ローン審査にAIを導入する
  2. 広告商品のAI審査・校正システム
  3. 情報保護の観点から見たAI学習技術

それぞれ解説していきます。

住宅ローン審査にAIを導入する

三菱UFJ銀行の「住宅ローンクイック審査」は、住宅ローン審査にAIを導入し、申込者が迅速に申し込めるようにしたものです。

住宅ローンクイック審査」は、NECのAI技術集団「NEC the WISE」の異種学習技術を活用し、事前審査に必要な大量のデータから規則性を分析し、審査判定を行うものです。

申込者は従来よりも少ない入力項目で済み、最短15分で審査結果を受け取ることができます。

広告商品のAI審査・校正システム

みずほ銀行が採用したシステムは、凸版印刷が開発した、デジタルメディアや印刷物に掲載される広告の校閲・校正を支援できるAIシステムです。

このAI校閲・校正支援システムは、業界特有の表記や専門用語を個別に学習し、業界や企業のルールに沿った文章の校閲・校正を行うものです。

このシステムにより、広告制作に携わる作業者の作業負担やヒューマンエラーを軽減することに成功しました。

情報保護の観点から見たAI学習技術

​​近年、金融業界ではブロックチェーンの活用や投資が盛んに行われています。

NICT(独立行政法人情報通信研究機構)が開発したAI技術「DeepProtect」は、データの機密性を確保しながら学習結果を反映させることを目的とした深層学習技術です。

DeepProtectは、複数の金融機関から提供されたデータを暗号化し、中央のサーバーに暗号化して保存します。

そして、暗号化されたデータを復号化することなく、学習内容を更新することができます。

将来的には、各金融機関から顧客データなど外部に公開できない情報を集め、複数の金融機関が連携したデータネットワークを構築することが期待されています。

銀行でのAI活用事例5選

顧客対応 – みずほ銀行におけるチャットボット活用

引用:https://www.shinjukuparktower.com/shops/shopdata/mizuho.html

みずほ銀行は顧客とのコミュニケーションにチャットボットを導入し、自動化しています。

銀行には日々、大量の問い合わせが顧客から寄せられるため、それら全てに対応するのは大きな業務負担になります。

また、人が対応していると電話がつながらなかったり、深夜は営業時間外など顧客にとっても不便な部分も多いです。

そこで、チャットボットを導入することで24時間対応できるようになったのと同時に、オペレーターの大幅な業務効率化につながりました。

金融商品レコメンドシステム – 地方銀行5社によるAIレコメンド

地方銀行5社(群馬銀行、四国銀行、千葉興業銀行、筑波銀行、福井銀行)は顧客に対して、AIによって最適な金融商品をレコメンドする取り組みを始めました。

金融商品に高いニーズを持つ顧客をAIを生かして抽出し、現場の営業活動に役立てることで収益力向上につなげます。

金融緩和の影響で業績の悪化に苦しむ地銀にとって起死回生の策になるのではないでしょうか。

融資業務 – 三菱UFJ銀行がAIで住宅融資の審査を

引用:https://dainagoyabuilding.com/shops/view/302/

三菱UFJ銀行はAIで住宅ローンの審査を行う「住宅ローンQuick審査」を始めました。

少ない項目を入力するだけで住宅ローンの審査を事前に行うことができ、最短15分で結果を確認することができます。

そして、その後の住宅ローンに関する手続きは全て顧客のスマホやPCで行え、利便性が向上しました。

自動翻訳 – 八十二銀行が外国人向けのAI翻訳サービスを導入

引用:https://kaiyaku99.com/5306/

グローバル化による外国人利用者の増加に伴い、八十二銀行はAI翻訳サービスを導入します。

小さな端末に話しかけるだけで、AIが音声分析機能で内容を理解し翻訳してくれます。

顧客とのコミュニケーションが円滑化することで、顧客満足度向上とともに業務効率化を図ることができます。

ドキュメント処理 – みずほ銀行が紙帳票をAI−OCRで処理

引用:https://gardenplace.jp/shop/detail.php?id=42

みずほ銀行は紙帳票をOCRで自動処理する取り組みを始めました。

膨大な量の紙帳票を全て手作業でパソコンに入力するのは銀行員にとって大きな負担です。

しかし、その作業をAIで全て自動化できれば銀行員は他の業務に集中できるようになり、業務負担の軽減につながります。

まとめ

AIが進歩するにつれて、銀行業界の仕事も日々変遷しています。

今まで銀行員を圧迫していた定型業務もAIによって効率化され、今まで以上にクリエイティビティが求められる時代が訪れつつあります。

そして、今後もAIの発展に伴って、今まで以上に銀行業務にAIが活躍する幅が広がっていくと期待できます。

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