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「AIを勉強したい!」と思った際、何を見て学ぶのでしょうか。現在ではメディアや書籍などあらゆるAI関連の情報が充実しています。
今回、注目したいのがAI関連の論文です。世界中の研究機関や企業が研究結果が記された論文は日々生まれ続けています。
そんな論文を読むことで、世界中のAI研究の最新動向を掴むことができます。
今回は、AI論文を探す際に役に立つサービスをご紹介していきます。
目次
AI(人工知能)の研究開発
ディープラーニングの発展は1本の論文から
ディープラーニング の発展は1本の論文がきっかけです。
例えば、2006年にトロント大学の「AIのゴッドファーザー」と呼ばれるジェフリー・ヒントンはオートエンコーダを発表しました。従来のニューラルネットワークに新たな手法を取り入れることで、従来からの課題の解決につながりました。このオートエンコーダは画像認識大会のILSVRC2012で優勝したチームが活用したAlexNetのきっかけになりました。
このように、新しい技術は1本の論文を通して世界に広まり研究が加速します。
世界的なAIの学会にはトップ論文が並ぶ
世界的なAI学会には数多くの論文の中から厳選されたトップ論文が多数発表されています。
有名な学会で言えば、アメリカの人工知能学会である「AAAI」やカナダの「NeurIPS」、スウェーデンの「ICML」などがあります。
ハイレベルな国際学会は査読を通過する必要があり、多くの研究者が発表を目指している舞台でもあります。
それらの学会ではトップレベルの研究者や論文が結集し、AIの発展に貢献するような発表や議論が行われています。
AIの分野でも画像認識から自然言語処理まで幅広く論文が発行されている
一口にAI関連の論文と言っても、画像認識や音声認識、自然言語処理まで幅広い分野の研究内容が発表されています。また、今までにない新分野に関する論文が発表されることもあります。
そのため、AIに関して勉強したいと思った時には論文であれば自分の興味にあった情報を得られることが多く大きな助けになります。
AI(人工知能)論文を読む3つのメリット
技術の最先端をいち早く学ぶことが出来る
論文を読むメリットはAIに関する最先端の動向をいち早く把握できる点にあります。
新しい研究成果はまず論文として世の中に出ます。そして、革新的な内容であればニュースやメディアに取り上げられて一般の人にまで広く知られるようになります。
つまり、論文を読むことで他よりも先んじてAIの最新情報を知ることができます。
知識を豊富に得られる
論文は知識の宝庫です。
知識がない状態だと、専門的な内容の文章を理解できないだけでなく、頭に浮かぶアイデアにも限りがあります。アイデアは基本的にゼロから生まれるよりも、既存の知識の組み合わせから生まれることが多く、良いアイデアを産むためにはまずは先人の知識や考えを学ぶ必要があります。
論文は古い知識から新しい知識まで幅広く知識を網羅しており、知識をインプットするには最適な媒体です。
公開されている論文であれば誰でも見て参考にすることができる
公開されている論文は誰でも閲覧可能です。
学会誌や図書館、インターネットなどあらゆる場所で誰であっても自由に無料で閲覧できる手軽さがメリットです。
また、学生や研究職の形であれば自分の論文を書く際に適切な引用の方式をとれば自由に引用したり参考文献とすることもできます。
AI(人工知能)論文を読むコツ
要約(Abstract)→結論(Conclusion)の順番で読む
初めて論文を読もうとしても、1文の長さや難しい専門用語がネックとなってなかなか理解できないかも知れません。
論文を効率よく理解するコツとしてはまず、日本語か英語に関わらず要約→結論の順番で読みます。論文には多くの場合、はじめに要約が記述されていることが多いです。
要約を読むことで、その論文のメイントピックや新しい成果を把握できます。そして、結論でその成果の詳細と今後の方向性を知ることができます。
上記の2点を理解できれば、具体的になぜそのような結論が生まれたのかを理解するために内容を読んでいきましょう。
重要なのは筆者のオリジナルの主張
論文は従来の一般論を批判するために書かれます。そのため、論文の要旨は執筆者がどのに問題意識を持ち、どのように批判しているかにあります。
具体的には、以下のような語句の後には執筆者オリジナルの問題意識や主張が置かれることが多いです。
・「私の考えでは〜(I suppose・think・ sugest〜,In my opinion〜 etc.)」などの自分の考えの直接的な表現
・「しかし(But)」などの逆説(一般論への批判の場合が多い)
上記の2点に気を付けながら読めば、執筆者が論文を通して伝えたいことを把握するのに役立ちます。
英語の論文を読むときは日本語訳のサイトを利用する
英語の論文を読むときには日本語訳のサイトを利用するとスムーズに読み進められます。
おすすめの論文翻訳ツールを2つ紹介します。
①Google翻訳
AI翻訳を活用した精度の高い翻訳ツールです。PDFの翻訳にも対応しており簡単な操作だけでPDFが翻訳できます。
無料で利用できる手軽さが魅力ですが、翻訳後に画像や表データを表示できないのでレイアウトが崩れてしまうのが欠点です。
②T-400
論文の分野ごとに適した翻訳ツールを選択することで高精度の翻訳ができるツールです。ファイルを丸ごと翻訳できるのでコピペの手間がかかりません。
利用は有料で、用途ごとに多様な料金プランが用意されています。
世界のAI(人工知能)論文
世界でAI研究が盛んなのはアメリカと中国の2強
世界において、AI分野の研究が特に進んでいるのがアメリカと中国です。
AI研究ランキングに関する詳細はこちら▼
上記のグラフは2019年度における地域別のAI研究力ランキングを示しています。
グラフを見ると、アメリカが世界でも圧倒的にトップの座についています。そして、単独の国では中国がそれに続いています。
アメリカはシリコンバレー を抱え、言うまでもなくAI研究の中心的な役割を果たしています。スタンフォード大学などのAI分野の一流大学やGoogleやFacebookなどGAFAが日々技術研究に邁進し常にAIの発展に貢献しています。
また、中国は政府主導で国家を2030年までにAIの分野で世界のトップに導くための「次世代人工知能(AI)発展計画」が発表され、国全体でAI研究に積極的に取り組んでいます。また、AI活用に積極的なIT企業群「BAT(Baidu、Alibaba、Tencent)」も抱え、アメリカと同じように技術発展が活発な国でもあります。
日本で多く論文を出している研究機関/企業は
国内の研究機関でAI論文を多く発行している研究機関として、まず東京大学が挙げられます。平成29年に内閣府が発表した調査によるとAIに関する論文引用数は1,393件に上ったそうです。東京大学に次いで、東京工業大学、京都大学が続いています。
また、企業では日立や富士通、NECと言ったいわゆるITメーカー御三家企業やNTTグループなどが独自技術を開発し自社サービスに生かしています。また、ヤフーなどWeb系企業もAI開発に積極的です。2019年にNECが発表した調査によると、国際学会での論文採択数は世界の企業の中で4位がヤフー、5位がNEC、そして9位がNTTだったそうです。
AI(人工知能)の論文おすすめ3選
①Vocabulary Learning via Optimal Transport for Neural Machine Translation
この論文は2020年の12月に投稿されたもので、翻訳における最適な語彙の選び方について論じています。
従来は最適な語彙を見つけるために試行錯誤して学習する必要がありましたが、この論文ではシンプルで簡易的な学習法であるVOLTを提案して語彙の検索時間の短縮に成功しています。
②Data-Efficient Learning for Complex and Real-Time Physical Problem Solving using Augmented Simulation
この論文は2020年の11月に投稿されたもので、複雑な物理システムをリアルタイムで制御する方法について論じています。
同論文で扱われている物理システムは人間にとっては簡単でもコンピュータで解決するのは難しいもので、このようなシステムを新たなアプローチで解決しようと試みています。
③SizeFlags: Reducing Size and Fit Related Returns in Fashion E-Commerce
この論文は2021年に投稿されたもので、現実世界のデータを分析するための新手法を提案しています。
新手法はOpenGANと呼ばれ、従来の分析手法の汎用性の低さや不安定さなどの欠点を克服する画期的な手法として注目されています。
手軽にAI(人工知能)論文を読める!便利なサービスまとめ
AI-SCHOLAR
日本最大級のAI論文メディアです。国内外で発行されるAI論文を一般の人にもわかりやすく説明してくれます。
学術論文はどうしてもその専門性の高さから、読むのに一苦労と言うことも少なくありません。AI-SCHOLARであれば、語彙やデザインの面からも読みやすさとわかりやすさから比較的手軽にAI論文を読むことができます。
aiXiv
AIや統計学、計算機科学などの分野に関する論文のファイルを閲覧できるサイトです。分野別でキーワード検索をするだけで論文のpdfファイルを無料で手軽にダウンロードできるので論文を読みたい人にはおすすめです。
設立当初は出版社や図書館などを介さずに論文にアクセスできるサイトとして世界の出版業界に衝撃を与えたサイトでもあります。
アイブン
アイブンは世界中のAI論文や技術データベースを扱うメディアです。論文解説記事をメインコンテンツとして、日本語以外のAI論文も日本語で気軽に楽しむことができます。また、私たちの生活に直結するような内容として産業AIに力を入れ、自分が興味のある産業から論文を選ぶことができます。
アイブンとのコラボ記事はこちら▼
Google Scholar
Googleが運営する論文検索エンジンで大学でも広く使われています。
研究者向けで、AIのみならずあらゆる分野の論文を検索窓を使ってキーワードで検索することができます。
12世紀フランスの哲学者シャルトルのベルナールの言葉「巨人の肩の上に立つ」がスローガンです。「学問は多くの先行研究の上に成り立つ」という意味です。
人工知能学会のAI書庫(アイショコ)
人工知能学会に登録されたあらゆる学会誌を閲覧できるサービスです。
学会誌は論文をもとに執筆されAI研究の最新情報を知ることができます。コンテンツの中には有料のものも含まれますが、人工知能学会に登録される最先端の内容を知れますのでAI分野の研究者や学生にはおすすめです。
CiNii
論文や図書、雑誌などあらゆる学術情報を検索できるデータベースです。
AI以外の分野も幅広く扱っています。世界中の大学や研究機関で使われることも多く、学術研究では先行研究の探索に大きく貢献しています。
まとめ
AI論文を扱うネット上のサービスの発達により、世界中のAI論文を自宅から閲覧できるようになりました。あらゆる論文をそのまま読むことができるだけでなく、サイトによってはわかりやすく要約して説明してくれたり、外国語の原文を和訳してくれたりしていますので一般の人にも論文のハードルは下がっています。
AIに興味があり、論文を読んでAIについて勉強してみたいという人は上記のサービスを活用してみてはいかがでしょうか。
慶應義塾大学商学部に在籍中
AINOWのWEBライターをやってます。
人工知能(AI)に関するまとめ記事やコラムを掲載します。
趣味はクラシック音楽鑑賞、旅行、お酒です。