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2020.09.03

5万件の論文を学習!AI問診Ubieが変革するAfterコロナの医療

こんにちは、AINOWライターのゆかわです。今回は新型コロナウイルスの流行によっても注目が高まる、医療に関する話題です。

現在の医療現場は、人手不足もさることながら、本当なら効率化できるはずなのに、昔のまま変わらない非効率的な事務作業などによって、医師ひとりひとりの負担がとても重い状況です。

また患者側も、体調が悪くて診察してもらいに来ているのに、待ち時間が長くて辛いといったことが往々にしてあります。

近年、このような医療現場の抱える問題をAIの力で解決するサービスとして注目されているのが、AI問診Ubieです。

今回はこのAI問診Ubieとは何か、どんなところがすごいのかについて解説していきます。

AI問診Ubieとは

AI問診Ubieを制作した株式会社Ubie(ユビー)は、2017年に設立されました。

代表のお二人はそれぞれ、医師出身とエンジニア出身で、テクノロジーの力によって多くの人に適切な医療を届けることをミッションとしているようです。

元々は生活者向けにDr. Ubieを開発していたUbieでしたが、2018年には医療機関向けにAI問診Ubieを開発しました。

以降、AI問診Ubieを導入する医療機関の数は増えていき、現在では200以上もの施設で利用されています。

AI問診Ubieは、冒頭でも述べたような、現代の医療現場が抱えるさまざまな問題に対処するべく開発されました。

具体的にどのようなAIの技術が用いられているのかは後で述べるとして、ここではUbieのホームページをもとに、AI問診Ubieを使うことで何が期待されるのかをご紹介します。

患者と医師のコミュニケーションの円滑化

従来の紙問診では、患者に対する質問は固定されていて、患者の症状を聞いた上でそれに応じて次の質問を変える、といったことができませんでした。

結果として、患者はあまり答える必要のない質問に回答しなければならなかったり、医師はもう一度対面で患者の症状を聞き直したりしなければならず、双方にとってモヤモヤが残っていたのです。

AI問診UbieではAIによる適切な質問のおかげで、こういったコミュニケーションの不和を解消できます。

事務作業の効率化

医師の仕事はその過剰な労働量がたびたび問題となっており、医師の平均的な残業時間は、他の職種と比べてもかなり高い数字になっています。

そんな残業理由の多くを占めているのが、診断書やカルテへの記載といった、書類作業です。

AI問診Ubieを使うことで、これらの書類作業にかかる時間は大幅に短縮され、医師の負担が軽減されます。

若手医師の学習支援

医療現場が抱える問題として、若手医師の教育が挙げられます。

若手医師の成長のためには、実際に現場で働く臨床教育は必要不可欠ですが、経験が少ない分、疾患の判別に迷ってしまうことがあります。他の経験豊富な医師に助けてもらえれば良いですが、すぐには助言を求められないこともあるかもしれません。

そんな時もこのAI問診Ubieが助けてくれます。事前問診の結果をもとに、似たような症状の疾患を列挙してくれ、若手医師の支えとなっています。

AI問診Ubieに使われているAI技術

AI問診Ubieの大きな特徴は、事前にweb上で問診が行えることです。もちろんこれ自体もとてもありがたい機能ですが、ここでは一般的なweb問診にはない、AIがどのように活用されているのかを解説したいと思います。

5万件の論文から学習したAI

先ほど、AI問診Ubieでは適切な質問のおかげで医師と患者のスムーズなコミュニケーションが可能になると述べましたが、これはAIの得意な最適化によるものです。

AIは膨大なデータを与え、適切な学習をさせると、最適解を自動で求められるようになります。

今回約5万件もの論文から抽出されたデータから学習したAI問診Ubieも、約3500種類の質問群から、患者の年齢や性別、症状に基づいて、最適な質問を選択できます。

また、それらの質問に対する回答結果からの病名予測も、AIによって行われます。

こうした病名予測や質問最適化などは、もちろんデータの量も大事ですが、それを活用するためのロジック、アルゴリズムもとても大事です。きちんとした方法で学習をさせないと、不適切な答えを返してしまいます。

Ubieのエンジニアの努力が、AI問診Ubieの精度の高さにつながったのでしょう。

自動翻訳、画像認識技術による業務効率化

AI関連の研究の中でも、自動翻訳や画像認識(画像のなかのものを識別したり、検出したりする技術)はとても重要な分野です。そしてAI問診Ubieでもこれらの技術は用いられています。

まず自動翻訳について、これは英語を日本語に自動で翻訳する、といったものが一般的ですが、ここでは患者の回答を医師語に変換するために用いられています。

例えば患者が「頭がズキズキします」のように答えた場合、医師はカルテを書く際に、それを「頭部に鋭い痛みあり」のように医師語に変換する必要があります。

こうした医師語への翻訳をAIが自動で行ってくれることにより、無駄な事務作業が減ります。

また、画像認識については、画像の中の文字を認識する技術「OCR」が用いられています。

近年ではかなり高い精度を誇る文字認識ですが、OCRのおかげで、お薬手帳や紹介状の写真をとるだけで、簡単にそこに書いてある文字が抽出でき、それまでは手で打つ必要のあったカルテ転記を、格段に楽にしてくれます。

新型コロナウイルス対策にも期待の声

病院に行く時の不安を軽減

上でも述べたように、AI問診Ubieはもともと医師側の負担を減らすために開発されたものでした。

しかしながら、患者側もこのAI問診Ubieによって受ける恩恵は大きく、特に待ち時間や診療時間の短縮は、新型コロナウイルスが流行している現在、そのメリットが改めて確認されています。

患者の中には、薬などの処方や、持病の検査などのためにどうしても病院に行かなければいかなければならず、そこでの新型コロナウイルス感染に不安を抱えている人も多くいます。

このAI問診Ubieによって院内での接触を減らし、感染リスクを低下させることは、そういった人々の不安を軽減するでしょう。

COVID-19症状アラート

AI問診Ubie自体も、新型コロナウイルス流行を受けて、パワーアップしています。

新たに導入されたCOVID-19症状アラートは、患者が新型コロナウイルス感染の疑いのある症状を回答した場合、医師や看護師に警告を出し、院内感染の防止を進めます。

また患者側も、新型コロナウイルス感染の疑いがある場合には、事前にかかりつけ医師へ電話等で相談するなど、取るべき適切な行動が促されるので、自らの判断で誤った行動をとってしまうリスクが減ります。

このように、新型コロナウイルス感染にいち早く対応したUbieは、今後の展開として、全国の医療機関へのさらなるサポートを進めて行くようです。

まとめ

今回紹介したAI問診Ubieのように、医療の現場にもますますAIが進出しています。AIを活用していくことは、今の状況が一刻も早く収束するための大きな手助けとなるかも知れません。

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