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2021.01.21

CRMシステムのメリット・デメリット システム運用のために解決すべきこと

最終更新日:

市場の細分化やオンライン化により、企業がニーズにあわせて顧客と接する必要性が高まりました。そこで、顧客満足度を向上し、長期的な関係性を維持するために「CRMシステム」を活用することに注目が集まっています。

CRMシステムはさまざまな機能を搭載しているため、企業に多くのメリットをもたらします。その一方で、新しいシステムを導入する際に起きるデメリットもあります。

この記事で、CRMシステムを導入することによるメリットやデメリットを理解し、効果的に運用するために、解決すべき課題を理解しましょう。

CRMとは

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、顧客関係管理と訳されます。CRMシステムは、顧客の基本情報をはじめ、顧客の購買履歴や自社販促に対する反応、サポートまで様々な情報を記録します。CRMは満足度の向上や、顧客との長期的な関係性維持するために、必要な機能を搭載しているマーケティングツールです。

CRMを活用することで、膨大な情報を管理しつつ、顧客一人ひとりに合わせた対応が可能になります。

CRMシステムのメリット・デメリット

CRM導入がもたらす7つのメリット

メリットについては以下の7つです。近年では、企業が取り扱う顧客は多種多様で、従来の顧客管理を行なっている企業は、顧客の対応に苦戦しています。

CRMシステムを導入し、適切に運用することで、多数の顧客を取り扱い、一人ひとりが満足するサービスを提供できます。主なメリットは以下の7つです。順番に解説します。

  • 顧客情報の一元管理
  • 顧客情報の管理業務を効率化
  • 部門間の連携が円滑になる
  • 顧客情報分析による戦略の立案
  • セキュリティ機能(顧客情報の流出を防ぐ)
  • 問い合わせの自動生成機能(顧客の疑問解決に効果的)
  • CTI機能との連携

顧客情報の一元管理

システム導入により顧客情報の一元管理が可能です。CRMシステムを導入することで、どの社員でも顧客情報を入力、共有できるようになります。これにより、情報管理の属人化を防ぎ、必要な情報を共有し、顧客満足度向上のためにマーケティング施策に活かせます。

 顧客情報の管理業務を効率化

CRMシステムは、顧客情報の入力などの管理業務を効率化できます。Excelや紙媒体での情報管理は、操作性や管理、分析の難しさから、マーケティング施策に活しきれないことが課題となっていました。

CRMシステムは、個人のITリテラシーに左右されない操作性を実現し、情報の入力や閲覧をスムーズに行うことが可能です。また情報が社内全体で共有されるため、営業担当の引き継ぎ時に、発生するトラブルを防ぐことも可能です。

 部門間の連携が円滑になる

CRMシステムの導入は部署ごとに行うわけではありません。マーケティング部門や営業部門など、すべての関係部署が導入し、連携して顧客満足度の向上を目指します。

例えば、CRMシステムには顧客との営業日程を管理する機能があるので、インサイドセールスとフィールドセールスの、営業活動がバッティングすることを防ぎます。

 顧客情報分析による戦略の立案

CRMシステムには、顧客の細かな情報、製品の購入履歴や売上、クレーム発生状況など、さまざまなデータを可視化する機能があります。またその情報を分析する機能もあります。

RFM分析、デシル分析、セグメント分析など基本的なアプローチはもちろんのこと、システムによっては、さらに細かな分析が可能で、購入意欲や顧客ごとの売上を分析し、今後のマーケティング施策に活かせます。

具体的には、購入に近い顧客と潜在顧客でアプローチを変更し、効率的な営業活動が可能です。また、購入が決定している顧客の中で、クロスセルやアップセルを狙い、さらに売上を伸ばせます。

 セキュリティ機能(顧客情報の流出を防ぐ)

顧客情報のなかには、電話番号や年齢、性別など、個人情報が多く含まれています。これらを管理する能力は、企業の信用に大きく関わります。またコロナウイルスの流行により、リモートワークが増加したため、セキュリティ機能の強化が以前よりも重要になっています。

CRMシステムは、企業が蓄積した顧客情報の流出を防ぐためにセキュリティ機能を搭載しています。データの暗号化や、情報の閲覧や出力などの履歴を記録しすることで、情報の機密性を保持できることや、アクセス制御で限られたメンバーのみが情報を閲覧できる環境を作ります。

 問い合わせのフォームの自動生成機能(顧客の疑問解決に効果的)

CRMには「問い合わせフォームの自動生成機能」があり、顧客が問い合わせしやすい環境を提供します。問い合わせフォームから送信された情報は「Web問い合わせデータ自動取り込み機能」で各種マスター情報に自動的に反映されます。このような機能を活用すれば、顧客対応のスピードが上がるため、「少人数でも効率的な営業で売上を増加させる」「営業業務の自動化」などの目的にも使えます。

CRMには、通販業務をワンストップでサポートする製品もあります。受注受付から出荷、請求回収までの業務を一元管理する機能を搭載しているため、購入履歴や応対履歴などを考慮した対応が可能になります。配送ミスや遅延などの心配がなくなり、従来よりも業務の効率化ができます。

また、CRMを使うことで、アンケートを簡単に作成し、要望やクレーム等を顧客情報と紐付けて蓄積するので、顧客一人ひとりに合わせた対応が可能になります。

 CTIシステムとの連携

CRMシステムはCTIシステムとの連携が可能です。CTIとは「Computer Technology Integration」の略で、コンピューターを用いて、電話応対業務を効率化するシステムのことです。

CRMとCTIを連携すると、電話番号を基に、CRMシステムで蓄積された、過去の通話内容や顧客情報が表示され、顧客一人ひとりに応じた、適切な電話応対が可能になります。また、通話履歴を記録できるため、それぞれの顧客に対して応対履歴のあるオペレーターに通話を割り当てることや、アプローチがバッティングすることを防止できます。

顧客とのコミュニケーションは、潜在顧客を、自社製品購入に近づけ、適切に応対することで、満足度向上にもつながります。

CRM3つのデメリット

CRMシステムにはデメリットもあります。CRMシステムは業務の効率化を実現しますが、多くの企業は紙媒体やExcelでの情報管理から、クラウドシステムへ移行する際に苦戦することがあります。

具体的にどのようなデメリットがあるのかを見ていきましょう。

コストがかかる

新規システムを導入する際に初期導入費用がかかることや、多くのCRMシステムは、クラウドシステムであるため月額利用料がかかります。さらに関係部署全体で導入する必要があるため、規模感によって初期の段階から莫大な費用がかかることがあります。

またかかるのはランニングコストだけではありません。システムを浸透させるための社員研修や教育、CRMシステムの安定した運用のために、統括する人材を用意する必要があります。

しかしシステム定着のために非常に重要であるため、導入前に慎重に検討する必要があります。

システム導入から効果実現まで時間がかかる

CRMは顧客満足度の向上を目的としたシステムです。MAツールのように直接的に売上を伸ばすものではなく、顧客情報の蓄積や分析を通して間接的に売上を伸ばすものです。

そのため、顧客情報を十分に収集することや、新たな戦略を行なった際の効果検証に時間がかかるため、他のクラウドサービスに比べ、効果を実感するまでに長い期間を要します。

システムが定着しない可能性がある

導入目的が明確でない場合は、システムが定着しない可能性があります。達成すべきことが明確でないと、蓄積した顧客情報をうまく活用ができず、単に入力作業が増えるだけとなってしまいます。

また、導入の初期段階では、簡単な操作でも難しく感じます。その際、導入を疑問に感じる社員が増えると、システムがうまく定着せず、従来の方法で顧客管理をおこなう結果になってしまいます。

デメリットの解決法

導入に際して、前の項目で説明したデメリットを解決する方法があります。運用体制を整えることやCRMを導入して何を成し遂げたいのか、目的を明確化し、それを浸透させることが必要です。

CRMが、顧客情報を活かし、満足度を向上するツールとして社内で浸透させるために必要なことは何でしょうか。

導入に際しての社員教育を徹底する

新規システムを導入する際に、社員教育をおこなうことが重要です。導入の目的を社内に浸透させることは、社員が導入を前向きに捉えることにつながります。

また、導入初期で操作に慣れないのは当然です。新たな作業に慣れるまで、丁寧なサポートすることが必要です。

CRMシステムを使いこなせば、業務を効率化し、多くの作業が今までよりも楽になります。社員が「導入の初期には難しさを感じるけど、慣れてきたら簡単で、メリットがたくさんある」と思うように、教育することが必要です。

運用体制を整え、CRMの効果を高めていく

CRM導入による効果の現れ方イメージ図システム導入初期段階では、操作や活用方法がわからないなどトラブルが発生する可能性があります。特にこの段階では、普段の業務に加えて膨大な入力業務が必要で、CRMシステムの導入が重荷になることがあります。

運用する上で、問い合わせ窓口を設置するなど、疑問を社内で、すぐに解決できる環境を整えることが重要です。

CRMは膨大な顧客情報を扱うので、システムを統括する人材を社内で確保することが必要です。定期的にデータが正しく入力されているのかをチェックしたり、顧客の動向をレポートするなど、CRM管理の担当を配置することで、より効果的なシステム運用を実現できます。

また、CRMシステムは、機能拡張や、他のクラウドサービスとの連携ができるため、担当者を設けることで、これらの作業も問題なくできます。

運用していく中で、発生する問題点を解決していくことで、CRMがもたらす効果は段階的に上がっていくので、運用体制を整えることを意識しましょう。

カスタマイズが可能なサービスを導入する

システムを運用していくと機能を拡張する必要性など、改善点が見つかる場合があります。その際システムにカスタマイズ性がある場合は、新たなCRMシステムを導入せずに、必要な機能を追加することが可能です。

カスタマイズ可能なCRMの例としてサイボウズ社が提供する「kintone」があります。

kintoneでは「アプリ」という、データの蓄積・一覧・検索できるデータベース機能と、業務を円滑に進めるためのコミュニケーション機能が備わっていて、業種に合わせて様々なアプリを利用できます。

また、アプリはカスタマイズが可能で、その際にプログラミング知識は不要なので、操作が簡単なことも特徴です。

豊富なAPIやプラグインなど、100種類以上の連携サービスがあるため、必要に応じて機能を簡単に拡張していくことが可能です。

参考:kintoneの基本機能紹介ページ

カスタマーサポートを活用する

システムを運用していく上で、カスタマーサポート機能が充実していることも重要です。システムを提供している企業も、顧客満足度向上のため、多くの事例を集め、社内では解決できない疑問の解決策を用意しています。

運用のためのコンサルティング等を依頼し、安定した運用を実現しましょう。

まとめ

この記事ではCRMのメリット・デメリットについて説明しました。CRMは多くのメリットがある一方で、デメリットに注意しなければ、入力作業の負担が増えるのみで、やがてシステムは形骸化してしまいます。
システム導入に際して、達成したい目標を明確化して、CRMで蓄積したデータを数値化、分析することで、CRMを導入したメリットを感じ、目標を達成できると考えられます。

CRMシステムの導入を考えている企業はメリット・デメリットを理解し、導入前から、しっかりとした準備を進めていきましょう。

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