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2021.05.17

プロジェクトを遅らせるNDAの契約交渉をやめるための3つのアプローチ

最終更新日:

データが企業にとって貴重な資源になっている今、企業の競争の源泉であるデータの取引をともなうAI開発ではNDA(秘密保持契約)の重要性が増しています。一方で、NDAの交渉期間が長引けば、その分、プロジェクトのスタートも後ろ倒しになってしまいます。

今回は、大企業に特化した交渉経緯などの見える化、社内文書のナレッジ化などをサービスを通じて実現し「契約業務全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進するMNTSQ(モンテスキュー)株式会社 代表の板谷氏より、NDAの複雑な契約交渉を効率化するノウハウを寄稿していただきました。


こんにちは、MNTSQ(モンテスキュー)株式会社代表の板谷です。みなさん、今までに秘密保持契約(NDA)をレビューしたことがありませんか?

こんなものです。

弁護士である私が言うのも憚(はばか)られますが、NDAの交渉をする際に最初に思いませんでしたか?

これ、いちいち交渉しないと本当にダメ?

この記事では、NDAだけでなくさらにその他のさまざまな定型的な契約について、「契約交渉をしなくて済む世界を作れないか」という問いについて考えてみます。

法務の経験がまったくない方にもわかりやすいように書いたつもりですが、正確性については一部犠牲にしているところもありますのでご容赦ください。

NDAの交渉が毎回必要になるメカニズム

ビジネスの世界では、新しい取引を開始するとき、まずはNDAの交渉からスタートすることが多い傾向にあります。すぐにでもプロジェクトを始めたい担当者たちを尻目に、細かい文言をめぐって法務部同士で喧々諤々の議論が始まることも稀ではありません。

「NDAを締結できるまで、結局1か月かかりました。」ということは全く珍しくないと思います。

念のためですが、このとき法務は自社のリスクを排除するために尽力しているのであって、それは当然重要なことです。それをわかっているので、事業部の担当者も(ジリジリとしながら)ただ待ちます。

ただ、この「NDAを締結するまでの1か月」や「上から下までNDAを読む労力」は、どのような社会的価値を産み出しているのでしょうか。プロジェクトの進行は遅れていき、優秀な法務部が本当に重要な案件のために頭を使う余力も失われています。

私は「この1か月は社会的な損失なのではないか」と考えています。

誰も悪くないのに、なぜNDAの契約交渉は長引いてしまうのでしょう。この交渉に参加している全員は「相手をだまして自分たちだけ得をしてやるぞ!」とは別に考えていません。この問題を紐解いていくときに私がポイントだと考えているのは、「きちんとフェアな契約であればOK」だと契約に関わる全員が考えていることです。

NDAで相手をやりくるめて、ちょっといい契約条件が勝ち取れたからといって、自分たちの企業価値が跳ね上がることはありません。それよりはむしろ、一刻も早くプロジェクトを開始したほうが、自分にとっても相手にとってもwin-winになるに決まっています。実は、全員の利害が一致しています。

ただし、「自社がアンフェアに扱われているのではないか」という疑念がある限り、そうもユルいことは言っていられません。全員が同じものを望んでいるのに、合意に至ることができないのです。

実は、日本の契約交渉の現場には、なにが「フェア」なのかに関する明確かつ共通の基準は存在しません。素朴な事実として、当事者はどのような契約を締結することも自由です。そもそも契約は口約束だけでも成立しますし、すべてが当事者に任せられています。

その自由度が、逆にコストを発生させています。つまり、当事者は「なにがフェアなんだ…?」ということを毎回考え、しかも相手とゼロから合意する必要があるのです。たとえ自社でNDAの雛形を用意していても、相手から別の雛形を突き付けられれば「こ、これってフェアなのか…?」と上から下まで読んで確認する必要が、当然に発生してしまうのです。

つまり、毎回「1か月」が発生してしまう原因は以下のとおりだと私は考えています。

「フェア」のスタンダードがない
  • 毎回の案件で「これがフェアだ!」という意見の食い違いが始まる
  • 毎回の案件で交渉が発生し、契約締結まで長期化する

NDAの交渉効率を効率化する3つのアプローチ

さて、お気づきのとおりこの問題は、「これならフェアだよね!」と誰もが信じられる共通のNDAが出現すれば、たちどころに解決されます。つまり、「契約のフェアネス」を確立することがポイントになります。事業部は今すぐにでもプロジェクトを開始することができ、法務部はもっとやるべき業務に集中できます。社会的には、本当にフェアな契約が流通することにもなり、社会全体の誰もが嬉しいはずです。

しかし、難しいのはここからです。誰もが納得できる「契約のフェアネス」は、いったい誰がどのようにして作り上げることができるのでしょうか。

さて、私が代表を務めるMNTSQですが、まさにこの「契約のフェアネス」の社会的な共通基盤を作ろうとしている企業です。私がこれまで書いてきた問題は、NDAに限定されず、あらゆる契約業務に通底します。私は、MNTSQという企業を通じて、日本の契約がフェアである(=合意をするためのコストを極小化する)ためのインフラストラクチャーを築きたいと考えています。

本質的に当事者の利害が対立する契約交渉の場において、誰もが信じられる「フェアネス」を確立することは並大抵のことではありません。法律が一応フェアであると感じることができるとすれば、それが民主主義を体現した国会によって制定されているからです。MNTSQという営利企業が運営するプラットフォームが、なぜ契約のフェアネスを信じさせることができるのか。私が信じているアプローチは、以下のとおりです。

(1) その契約に社会的な信用(authority)があること

NDA一つをとっても、さまざまな人がさまざまなこだわりを持っています(だからこそ、契約交渉が発生しているわけです)。そんな中に「ボクが作ったものを使ってよ!」とひょっこり出ていって納得してもらうことは、とても難しいことです。

私は、この難関を突破するには、その契約が最高の品質を有しており、かつ、その品質が一目でわかるように伝わる必要があると考えています。そのためには、法務部が100%信頼できるブランドに裏付けられていることが最も有効です。

例えば、法務部が(高いお金を払って笑)アドバイスを求めるローファーム、そのなかでも一流だと言われるローファームが手づから作成しており、その品質を体現したものであれば、企業実務でも安心して、しかも積極的に使っていただけるのではないかと考えています。

MNTSQでは、日本の「四大法律事務所」のうちの一つである、長島・大野・常松法律事務所と資本業務提携をしています。そのため、彼らが監修した契約のベスト・プラクティスを、MNTSQというプラットフォームで独占的に公開しています。

業界において信頼を集めるトップローファームに頼んで作ってもらうようなNDAがMNTSQのなかでは公開されているのですから、そこまでのものであればユーザーのほうから自発的に使っていただくことが期待できます。

(2) その契約が、取引のハブになる企業によって自然と使われていく仕組み

社会的に信用されている「最高の契約」が仮に存在するとしても、それが社会の共通基盤となるためには、もちろんその契約が実際に利用されるための仕組みが必要です。

しかも、取引のハブになるような大企業によって使われている必要があるでしょう。MNTSQの実証実験パートナーや導入済み企業はこちらに一部記載されていますが、トヨタ自動車さまやコマツさまなど、まさに業界トップのハブとなる企業でご利用いただいています。

しかし、実はここで難しいことがあります。それは、このような大企業にとって、「この契約を使うぞ!」という公式の決定を大々的にすることは、実はなかなか難しいことだということです。例えば、「特定のフォーマットのNDAに事前に合意してしまえばいいじゃないか」というようなアプローチは、実はかなりハードルが高いと考えています。取引によっては、個別に修正する余地があることも必要であるためです。

そのため、大企業の一人ひとりのユーザーがプロダクトを使う中で、自然と「最高の契約」が使われるような工夫・仕組みが重要です。MNTSQは「契約の辞書」(契約ナレッジのデータベース)を提供しており、法務部が毎日「契約を探す、契約について考える」ときにはMNTSQを使って業務をするようなオペレーションを提案しています。その中で、自然とMNTSQ雛形が使われるような仕組みを用意しています。

(3) その契約の公平性が、データによって裏付けられていること

ここから先は、少し未来の話です。これまでの話の本質は、「実は、契約交渉の担当者は『なにがフェアか』についての考え方が一人ずつ異なっており、その差異を埋めるために交渉が発生している」ということでした。

さて、この『なにがフェアか』という問題は、社会的な信用をもった主体(MNTSQでいえばトップローファーム)によってだけではなく、「データ」によって解決することはできないのでしょうか。

例えば「NDAにこの条項は普通だ!」「いや普通じゃない!」と言い争っている当事者に対して「現実にはこの条項が規定されている割合は90%ですよ」と示すことはできないでしょうか。

もちろん、これで全てが解決するとは思いません。「90%のほう」が常に正しいわけではなく、当事者が交渉している取引の本質に照らして、「10%のほう」を採用することがむしろ公平である場合もあるでしょう。ただし、さすがに「10%のほう」を採用しようとする側は、自分の立場を見直す(=交渉が消滅する)場合もあるでしょうし、そうでなくても「なぜ今回の取引だと10%のほうがフェアなのか」をきちんと説明する責務を負うことになるでしょう。

実は、リーガルの世界はこれまで、このような定量的な考え方から最も遠い分野の一つであったと思います。しかし、私は「公平さ」という概念は、「なにが通常か」と切り離して考えることができないと思っており、その「通常さ」を示すのが統計的なデータです。

そして、自然言語処理技術(いわゆる「AI」技術の一種)の登場は、契約の条件を「専門家が上から下まで読まないと意味が分からないもの」ではなく、「統計処理が可能なデータ」に変換する(分類・ラベリングする)ことを可能にしています。

MNTSQは、自然言語処理技術を活用して、「契約のデジタル化」を実現するための企業でもあります。契約のフェアネスがデジタル化した世界では、NDAの交渉の一部が消滅するだけではなく、社会的な強者が弱者の無知につけこんで、不公平な条件を押し付けることが難しくなるでしょう。

おわりに

NDAに限らず、契約交渉が圧倒的に高速化されて、しかもフェアなものだけが流通する、そういう社会を想像していただけたでしょうか?

私は、トップローファームの「契約のベストプラクティス」を承継したプラットフォームを構築したくて、このMNTSQという企業を立ち上げています。MNTSQを通じて、みなさんが「フェアな契約」を獲得するためのコストが極小化され、社会にフェアな契約が自然と流通するようになればよいと考えています。

MNTSQでは、このビジョンを一緒に実現する仲間を求めています。

私たちに1時間いただき、まずはカジュアルに話してみませんか?

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