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2021.10.22

PoCとは?導入するメリット・デメリット、進め方をわかりやすく解説!

Pocとは

読者の中には「PoCを導入した方が良い!」と聞いたことがあるものの、PoCについてあまり詳しく知らないという方がいるのではないでしょうか?

PoCは、主にIT、AI、医療業界に用いられているため、その他の業界にいたら聞き慣れない言葉だと思います。

今回は、PoCについてメリット、デメリット、導入する手順などわかりやすく解説しています。

PoCとは

PoCとは「Proof of Concept」の略であり、日本語に訳すと「概念検証」です。

PoCを簡単に表すと、何か新しいアイデアや技術を導入する前に、『それが果たして効果があるものなのか』『それを実行することで何かメリットがあるのか』を検証することだと言えます。

例えば、前例の少ないAI技術の導入を検討する上では、どれだけのメリットや効果があるのかがわかりません。

そのため、あらかじめ仮説的に検証して、上手くいくかどうか判断することが重要になるのです。

PoCを導入する5つのメリット

PoCを導入すると以下5つのメリットがあります。

  1. リスクを削減できる
  2. 開発のコスト・労力を削減できる
  3. 実現性を知れる
  4. 費用対効果を検証できる
  5. 投資・リリースなどの意思決定がスムーズになる

それぞれ解説していきます。

リスクを削減できる

新技術を導入・活用して新しいアイデアを形にするときに、それが上手くいくかどうか分からないまま、検証もせずにプロジェクトを進めてしまうと、人材と資金が無駄になる可能性が高いでしょう。

そんなときにPoCを行えば、、無駄な資金や資材に投資するリスクをなるべく減らすことができます。

PoCの段階で失敗したということは、大きな投資をしなくて済んだということであり、「大きな損失を出さずに済んだ」ということだからです。

開発のコスト・労力を削減できる

新しいアイデアを形にするべく開発を進めるにあたり、資金といったコストの面や労力はかなり必要になります。それも計画が長引けば、割かなければならないコストや労力が大きくなってしまいます。

一方、あらかじめPoCで検証し、実現可能かどうかを判断すれば、無駄な資金や労力を割く必要はなくなるので、コストを減らすことができます。

また、実現可能かどうかだけでなく、検証過程において長期的な計画になることなど、どれだけの工数がかかるのかを推測することができるため、無駄を減らすことにも繋がります。

実現性を知れる

アイデアを形にする上で、「実現性を知る」ということはリスク回避にもつながるので、大きなメリットだと言えます。

アイデアを形にする上で進めていっても、進めたは良いけど失敗してしまってはもとに戻すことはできません。新しいシステムを開発する際も同じことが言えます。例えば、「技術的には可能だけど、作ってみたら上手く動かなかった」など事態を避けることができます。

費用対効果を検証できる

PoCを行い、それを本格的に実現するべく、どれだけの投資に対して効果をどれほど得られるのかをある程度予測できていないと、経営的な面でそれを実行するのはとても困難です。

アイデアを形にしたりシステムを開発したりするには、莫大なお金が必要になりますし、投資以上のリターンを得られなければ、損してしまします。

また、開発するだけなく新技術を導入したときに、どれだけコストを下げることができるかどうかも重要になるでしょう。

高い投資をした結果、課題が解決するどころかコストが莫大になってしまっては、無意味になってしいますから。そのため、PoCにより費用対効果を検証できることは大きなメリットなのです。

投資・リリースなどの意思決定がスムーズになる

PoCで検証して得られたデータから、費用対効果や実現性を確認できるため、それに対して投資、リリースしても良いのかを決定しやすくなります。

PoCをせずに投資の意思決定をするにはいどうしてもリスクが高くなり、特にAIといった新技術には前例が少ない場合があり、どれだけ効果があるのか読めないところがあります。

小規模でも検証してみて、費用対効果が高いかどうかを見極めてから判断すると、意思決定がスムーズになるでしょう。

PoCを導入するデメリット

PoCを導入することのデメリットとして、「検証の回数によってはコストが増えてしまう」ということが挙げられます。

実際に一回の検証で、効果を判断できるだけのデータを得られるわけではないので、複数回に渡って検証していくことになります。

検証の規模によっては、PoCにかかるコストが大きくなっていくので、できるだけ小さい段階に分けて検証していくようにしましょう。

また、PoCを行う目的がはっきりしていないために、PoCに疲れてしまうといったことも挙げられます。PoCの担当者が正解を高めようするあまり、PoCに疲れてしまうということは、よくあることでしょう。

▶関連記事|AIに関する調査結果 – 47%のプロジェクトがPoC(実証実験)に至らない!?>>

PoCを進めるための4ステップ

PoCを進めるために必要な4ステップは以下のとおりです。

  1. PoCを実施する目的を明確化
  2. 検証方法と具体的な検証内容を策定
  3. PoCの実施
  4. 導入すべきか検討

それぞれ解説していきます。

PoCを実施する目的を明確化

PoCを実施する上では、まず「何を検証したいのか」をはっきりさせておきましょう。

目的なくPoCを実施してしまうと、いくら小規模でも資金の無駄になってしますし、時間も無駄にしてしまうからです。

一般的にPoCは、検証結果をもとにしてコスト削減、費用対効果が高いかなど、導入の可否を判断するために行います。そのため、何を検証したいのかをはっきりさせた上でPoCを進めるようにしなければなりません。

検証方法と具体的な検証内容を策定

新しい技術の導入を検討するためにPoCを行うのであれば、導入後と前で何がどう変わったのかを比較できるようにしておきましょう。

コストや時間、労力など導入することによって得られるメリットは複数あるはずです。何がどう変わったかを後に確認できると良いですね。

PoCの実施

検証方法と検証内容を決定した後は、PoCを実施しましょう。PoCをすると、今まで机上での考えでしかなかったものであるため、見えてこなかった課題などが見つかります。

実際に使ってもらった人や第三者からのフィードバックを貰えると、より改善しやすくなります。

導入すべきか検討

PoCを行った結果から得られたデータから、その技術やシステムを導入するかどうかを検討しましょう。

投資に対して十分見合った結果やリターンを得られた場合は、本格的にその計画を進めるべきですし、見合っていないのであれば再度検証し直すなど、対策を取る必要があります。

特に新技術導入、開発に関する大きなプロジェクトは失敗できないため、PoCで検証をしていき赤字化を防ぐことになります。

導入する際は、PoCのデータを参考にしながら検討しましょう。

PoCを行なう上で重要な5つのポイント

PoCを行う上で重要なポイントは以下の5つです。

  1. 実際の運用に近い条件で検証する
  2. 市場の評価を集めて改善する
  3. PoCを目的にしない
  4. まずは小さく始める
  5. PoCを全く分からないまま外注に丸投げしない

それぞれ解説していきます。

実際の運用に近い条件で検証する

PoCを行なう際は、実際の環境に近い条件で検証するようにしましょう。

なるべく本番に近い環境で行うことで、きちんとしたデータを得られるからです。

また、問題が起こったときも、実際に導入した際に起こりやすい事象であることが分かるため、それに対して解決できるようにしておくと導入後に問題が起こりづらくなります。

市場の評価を集めて改善する

本番に近い環境で実施したPoCを行った場合、「市場の評価を集める」というのは非常に重要なポイントになります。

実際に使ってもらった方にフィードバックをもらうことで、プロダクトの改善点や競合と違う自社の強みを、客観的な視点から明確に認識できるようになるからです。

本格的に導入してから問題が発覚してしまうと後戻りできないので、PoCで分かった改善点は、意思決定をする前にしっかり改善していく必要があります。

PoCを目的にしない

PoCはあくまで検証です。「そのアイデアが実現可能なのか」「その技術を導入したときに費用対効果は高いのか」など検証していき、意思決定するために行います。

あくまでもPoCは目的ではなく、目的を達成するための過程に過ぎません。新技術を使って何かをやってみたいという考えだけでPoCを実施してしまうと、PoC自体が目的になってしまいます。

検証後のステップをきちんと考えておくなど、しっかりと計画を立てて進めていきましょう。

まずは小さく始める

PoCはあくまでも検証であるため、上手く行かないことがあります。上手く行かなかったときに再度調整しようとしても、準備するまでに時間がかかってしまい、検証するのに多大な労力が必要になります。

そのためPoCは、なるべく小さな段階から始めることが重要だと言えるでしょう。そうすることで、スムーズにPoCを進められるほか、労力や時間などのコストを最小限に抑えられられます。

PoCを全く分からないまま外注に丸投げしない

PoCを社内で行うことが決まった時、PoCに関する知識を持っている人がいないため支援事業者に外注してしまうことがあります。

外注に委託すること自体は問題ありませんが、全くPoCのことをわからないまま丸投げするのはおすすめできません。

リアルタイムな状況が掴みづらくなったり、委託業者に支払うコストが割高になったりするからです。

また、PoCを外注する際は、PoC支援事業によって強みや弱みが異なるため、適切な外注先を見つける必要があります。適切な外注先を見つけれずに進めてしまい、トラブルを起こしてしまうことがあるので注意しなければなりません。

PoCを導入しているAI・医療業界の実例を解説

ここからは、PoCを導入している実例として「AI業界」と「医療業界」を紹介します。

AI業界

AIの技術はまだ前例がないことが多く、技術を導入するにあたり、本当に効果的に動いてくれるかどうかを検証する必要があります。

実際にAIの技術に関心のある企業は多いでしょう。しかし、その技術のPoCをしていくことに疲れてしまって前に進まなくなるケースも少なくありません。先程も述べたように、まずはきちんと目的を持ってPoCを進めることが重要になります。

また、導入を検討している技術が課題解決に適しているのかなど、細かく検討していきスムーズにPoCを進めていくことも必要です。

医療業界

医療業界ではPoCと言われる検証をしており、新薬を開発していく中で人に効果があるかどうかを検証する臨床試験の一部のことを指しています。

その検証結果が企業の開発を進めるものであるため、創薬系ベンチャー企業にとっては製薬企業とのアライアンスを高めるものになり、企業成長のきっかけになっています。

関連記事|AIは創薬の課題を解決できるのか?【AIが創薬に及ぼす影響】>>

まとめ

PoCは、新しいアイデアや技術導入の際に小規模で行われてそれを実現させるかどうかを判断する重要なステップです。

PoCを行えば、費用対効果など、今後の方針を判断する上で重要なことも検証していく中で分かってきます。

目的のないPoCを続けて無駄にコストをかけたり、PoC疲れを引き起こすことなく、前のステップに進むようにしましょう。

▶関連記事|AI開発の疑問を解決!開発の流れから必要なスキル・勉強法まで>>

https://form.run/@dip-dx-case-studies/?cid=bottom

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