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「DXエンジニアの仕事内容や必要なスキルを知りたい」という方は多いのではないでしょうか?DXエンジニアのスキルや資格などを知ることで、以下のようなメリットがあります。
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そこで今回は、DXエンジニアの仕事内容や必要なスキル・資格を紹介します。また、気になるDXエンジニアの年収や将来性、DXに関するおすすめ書籍もあわせて解説します。
目次
DXとは
DXとは、テクノロジーを活用して業務プロセス、プロダクト・サービスや事業・経営を変革することです。つまり、デジタル化を「手段」として、製品・サービス・ビジネスモデルの変革を進めることを意味します。
▼DXの概要について詳しくはこちら
DXエンジニアとは
DXエンジニアとは、ITエンジニアの中でも特にDXを推進するうえで必要なスキルをもつエンジニアの総称です。
また、DXエンジニアは単一の職種ではなく、ビジネスデザイナーやデータサイエンティスト、UI・UXデザイナーなどDXに関わる職種を指します。
DXエンジニアの仕事内容
DXエンジニアはまだ新しい職種のため、「どんな仕事をするのか想像できない」という方は多いのではないでしょうか?
そこで、DXエンジニアの主な仕事を3つ紹介します。
それぞれ解説します。
DXエンジニアの仕事①DX関連の戦略立案・企画
DXの推進によって業務改革や新しいビジネスを創出する際には、データやデジタル技術の活用を前提とし、現状のビジネスモデルや業務プロセスに囚われない戦略を練ることが大切です。
そこでDXエンジニアは、競合企業や政治・経済の動向など自社を取り巻く環境を把握し、どのような課題があるのかを整理し、新しいユーザー体験を考案します。そして、新しいユーザー体験の実現にはどのような技術を導入すべきかも考えます。
DXエンジニアの仕事②DXプロジェクトの実行
DXの戦略立案・企画を実施した後は、それに沿って具体的なプロジェクトを立ち上げ実行します。
具体的には、プロトタイプ(ある製品の試作品)の作成や効果の検証・アプリケーションの開発・システム刷新とデータ統合など多岐にわたります。
DXエンジニアの仕事③体制構築と運用
既存システムの刷新やデジタル化を継続的に実施するうえで、運用を実施するチーム体制の構築は必須です。
また、マネジメントの一員としてさらなるDX推進のために、組織改革をして新たな体制を整え、DX人材の育成や採用をおこない、新規ビジネスの構築や商品開発に活かすこともDXエンジニアの役割です。
DXエンジニアに必要な6つのスキル
DXエンジニアはどんなことをするのか大まかに理解した後は、DXエンジニアに必要なスキルを知ることで、転職時の面接でどんな能力や仕事に対する姿勢をアピールすべきかわかるようになります。
そこで、DXエンジニアに必要な6つのスキルを簡潔に紹介します。「IT人材白書2020」では、DX人材のコンピテンシー項目として、以下のスキルが挙げられています。
それぞれ解説します。
DXエンジニアに必要なスキル①不確実な未来への創造力
DXエンジニアには、未知の分野にも積極的に挑戦し、自社が取り組むべき領域を定めて未来を描くスキルが必要です。なぜなら、不確実な未来を想定したうえでDXを推進できなければ、途中で危機に陥りDXの推進がストップしてしまうためです。
DXエンジニアに必要なスキル②臨機応変/柔軟な対応力
DXエンジニアには計画通りのマネジメントではなく、その時々の状況に対応し、変化しながら進んでいく姿勢も求められます。
DXエンジニアに必要なスキル③社外や異種の巻き込み力
DXエンジニアは、自社にない新しい技術の取り入れや異業種とのコラボレーションなど、社外や異業種の人との連携が必要です。その際、変化に対する「受容力」や臨機応変に対応する「柔軟性」が大切になります。
DXエンジニアに必要なスキル④失敗を恐れず前に進む姿勢
新たな取り組みにチャレンジするDXエンジニアには「一時的な失敗は成功の糧になる」と前向きに捉え、失敗を恐れず前に進む姿勢も求められるでしょう。
DXエンジニアに必要なスキル⑤モチベーション/意味づけする力
DXエンジニアとして、取り組みたい課題を明らかにし、主体性や好奇心を持って前向きに取り組む姿勢が必要です。
DXエンジニアに必要なスキル⑥いざというときの自身の突破力
時には困難な状況になったとしても、諦めずに壁を突破するためにさまざまな方法を検討し、リーダーシップを発揮する姿勢と責任感がDXエンジニアには必要となります。
▶︎DX人材に必要なスキルについてこちらの記事で紹介しています>>
DXエンジニアの育成事例
DXエンジニアは新しい職種のため、育成方法が確立されていないのが現状です。しかし、DX推進が各企業の経営課題となっている現代では、DXエンジニア育成への取り組みが活発になっています。
「IT人材白書2020」によると、DXに取り組む多くの企業の取り組みとして「社外の研修やセミナーの受講」、「資格取得の推進や支援」、「自主的な外部講座の受講の推奨や支援」などが挙げられています。国内のDX推進企業では、DX人材の育成のためにRPAの研修や新入社員向けのITスキル基礎研修などを実施している例もあります。
このように、DX推進企業では、DXのさらなる推進のためにさまざまな支援や仕組みを構築しているのです。
▶DX人材の採用についてはこちらの記事で詳しく解説しています>>
DXエンジニアの年収
転職・就職時の軸として、「年収」を重視する方も多いのではないかと思います。
「IT人材白書2020」によると、先端IT従事者、つまりDXエンジニアの年収は1,000万円以上の人が全体の約20%を占め、700万円以上が全体の約半数となっています。一方、非先端IT従事者の年収は500万円~600万円未満が最も多く15.2%、1,000万円以上は9%という結果になっています。
これらのデータから、一般のITエンジニアに比べるとDXエンジニアの年収は全体的に高いといえます。
DXエンジニアの将来性
ここまでDXエンジニアの仕事内容や必要なスキルなどを紹介してきましたが、「結局DXエンジニアの将来性は大丈夫なの?すぐ需要が減ったりしない?」と疑問を抱く方もいるでしょう。結論からいうと、DXエンジニアの需要は今後も続くと予想されるため、DXエンジニアの将来性は明るいといえます。
「IT人材白書2020」によると、DXに取り組んでいるIT企業は全体の33.8%とまだ多くはありませんが、取り組んでいない企業のうち、17.5%が今後DXに取り組む予定と回答しています。
さらに「2025年の崖」問題があることから、経済産業省は2020年9月・10月を「DX推進指標の集中実施期間」としてキャンペーンを実施するなど、国をあげて推進しています。また、企業も「2025年の崖」に落ちないために、本格的にDXを推進するでしょう。
そのため、DXエンジニアは今後ますます求められる存在といえます。
DXエンジニアになるためには
ここまで読んでいただいた方は、DXエンジニアという職種に興味を持ち、転職活動などのアクションをしていきたいと考えていると思います。では、DXエンジニアになるためには何をすれば良いのでしょうか?
「IT人材白書2020」によると、多くのIT企業がDXエンジニアの獲得方法として既存人材から確保していると述べられています。そして注目すべき点は、DXを推進するIT企業の約40~50%が中途採用によりDXエンジニアを確保していることです。
そのため、DXエンジニアになるためには資格取得や書籍などを通じてDX推進に必要なスキルを身につけ、DXを推進している企業への転職をおすすめします。
DXエンジニアに必要な資格5つ
DXエンジニアはまだ新しい職種とはいえ、今後も需要が増していくと予想されているため、人気の職種です。そのため、面接の際に資格を保有していることがアピールポイントになります。
DXエンジニアに必要な資格は以下5つです。
それぞれ解説します。
DXエンジニアに必要な資格①AWS認定資格各種
AWS認定とは、アマゾンウェブサービス上でオペレーションが行える技術的な専門知識とアプリケーション開発ができる技術を認定する制度です。
資格の種類は2つあります。基礎レベル・アソシエイトレベル・プロフェッショナルレベルの3つのレベル毎に用意された役割別認定資格と、セキュリティ・ビッグデータ・高度なネットワーキングの3つの専門知識認定資格が用意されています。
DXエンジニアに必要な資格②認定スクラムマスター
「スクラムマスター」とは、スクラム開発(アジャイル開発手法のひとつ)におけるチームメンバー全体の管理者として開発メンバーのサポートをする人です。
認定スクラムマスターはScum Allianceがスクラムマスターとしての知識・スキルを認定する資格で、スクラムマスターに関する資格の中でもよく知られている資格のひとつです。
DXエンジニアに必要な資格③Microsoft Azure認定資格
「Microsoft Azure」とは、AWSやGCPと並ぶ代表的なクラウドサービスのひとつです。そして、「Microsoft Azure認定資格」は、Microsoft Azureに関する知識とスキルを有することを認定する資格です。
DXエンジニアに必要な資格④Python3エンジニア認定試験
Python3エンジニア検定試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会によって実施されている民間の資格試験です。基礎試験とデータ分析試験に分かれており、基礎試験は未経験者がPythonエンジニアを目指して取得する際に適しています。
DXエンジニアに必要な資格⑤Google Cloud認定資格
「Google Cloud」とは、AWS・Microsoft Azureと並ぶ、代表的なクラウドサービスのひとつです。一般的にはGCP(Google Cloud Platform)という名称で知られています。Google Cloud認定試験は、GCPに関する一定の知識とスキルをGoogleが認定する資格試験です。
DX関連のおすすめ書籍2選
「IT人材白書2020」によると、先端IT従事者(DXエンジニア)のスキルアップ方法として「Web上での情報収集」の次に多かったのが「書籍での学習」でした。
そこで、初心者の方でも読めるDXに関するおすすめ書籍を3つ紹介します。
それぞれ解説します。
DXのおすすめ書籍①イラスト&図解でわかるDX(デジタルトランスフォーメーション)
本書は豊富なイラストや図解を使うことで、複雑になりがちなDXの説明を文字だけでなくビジュアルでも理解できる内容になっています。そのため、初心者の方に特におすすめの1冊です。
市場を席巻する「GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)」や欧米ユニコーン企業による影響で、競争力をなくした日本企業が今何をすべきか、DXトップコンサルタントである著者がわかりやすく解説しています。
DXのおすすめ書籍②デジタルトランスフォーメーションの実際
日本でいち早くDXの必要性を説いたベイカレント・コンサルティングが、日本企業やアメリカ企業の事例を徹底的に分析した本です。
そして、この本では日本企業のデジタル戦略の問題点を3つのステップで段階的に変革することを提案しています。まずはDXの全体像を把握したいという方におすすめの入門書です。
DXのおすすめ書籍③サブスクリプションシフト DX時代の最強のビジネス戦略
グループウェア「TeamSpirit」を提供する株式会社チームスピリット創業者でもある著者が、「DXを牽引して人々に多くの恩恵を与えるのはサブスクリプション型ビジネスモデルである」と提唱する本書では、BtoBのSaaS型クラウドサービスを中心としたDXのビジネス活用について理解できます。
現在サブスクリプション関連の事業に取り組んでいる企業経営者やプロジェクト担当者におすすめです。
▶DXのおすすめ書籍についてはこちらの記事で詳しく解説しています>>
DXのスムーズな推進ステップ3つ
DXの推進ステップは以下の3つです。
それぞれ解説します。
ステップ1:目指す姿を明確にする
ステップ1では、理想の自社の姿を明らかにしましょう。自社の目指すべき方向を明確にし、社内で共有することで、DXに向けて従業員が同じ方向を目指せるためです。
その結果、DXが途中で頓挫してしまった…というよくある失敗を未然に防げます。
ステップ2:現状を分析し、自社の強みを探す
ステップ2で重要なのは、自社の現状を分析し、強みを探すことです。DXとはデジタル技術とデータ活用による競争優位性の確立を指します。これは、デジタル技術とデータで自社の強みを拡大することが重要であるためです。
具体的には、ビジネスモデル、製品やサービス、業務、組織、プロセス、企業風土などの項目で自社の現状を分析しましょう。
ステップ3:目指す姿と現状のギャップを埋める戦略を立てる
ステップ3で重要なのは、DXをデジタイゼーション・デジタライゼーションに分類して考えることです。
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目指す姿と現状を明確にした上で、どのような流れでアナログなデータをデジタル化し、そこにどのような技術をかけ合わせていくのか検討することが、DX戦略の軸です。
▶︎DXの進め方|参考にしたい3つの成功事例や推進のポイントについてこちらで紹介しています>>
まとめ
今回はDXエンジニアの仕事内容から将来性、おすすめ書籍まで紹介しました。この記事を読んで終わりではなく、書籍を読んだり求人に応募するなど具体的なアクションを起こし、目標の実現に近づきましょう。