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2023.10.01

Google Bardを使って3ヶ月間文章を書いてみて学んだこと

最終更新日:

カナダ在住のSEOエキスパートであり、ウェブサイトSelf Made Millennialsを運営するビクトリア・クリチェンコ(Victoria Kurichenko)氏が2023年8月に公開したMedium記事『Google Bardを使って3ヶ月間文章を書いてみて学んだこと』では、Googleが提供する対話型AIであるBardを使ってウェブ記事を執筆・公開したことから得られた知見が解説されています。
クリチェンコ氏は、Bardを使ってウェブ記事を執筆して自身のウェブサイトに公開した経験から、以下のような5つの知見を得ました。

Bardによる記事の執筆・公開から得られた5つの知見
  • どんな質問に対しても、質問事項に関する特徴・長所・短所を列挙する同一の構造を有する回答を生成する。
  • 質問した言語とは異なる言語で回答することがある。
  • ソースが必要な回答であっても、そのソースを明記しない
  • 事実を捏造することがある。
  • 一定の条件下では、Google検索ランキングで上位になることがある(条件の詳細は記事本文参照)。

以上のような知見を得たことをふまえたうえで、Bardは人間の専門家を助けるアシスタントにはなれるものも、優れた人間のコンテンツライターを代替するものではない、とクリチェンコ氏は評価します。もっとも、将来的にBardが人間ライターに匹敵する可能性があることも同氏は否定していません。
なお、この記事で論じられているBardは2023年8月時点のものなので、現時点のそれとは動作が異なります。

以下の記事本文はビクトリア・クリチェンコ氏に直接コンタクトをとり、翻訳許可を頂いたうえで翻訳したものです。また、翻訳記事の内容は同氏の見解であり、特定の国や地域ならびに組織や団体を代表するものではなく、翻訳者およびAINOW編集部の主義主張を表明したものでもありません。
以下の翻訳記事を作成するにあたっては、日本語の文章として読み易くするために、意訳やコンテクストを明確にするための補足を行っています。

画像出典:Canva

その使用によりペナルティを受ける危険がある

Google AIチャットボットのBardをご存知だろうか。それともChatGPTの愛用者だろうか。

もし両方使っているなら、どちらが好みで、好きな理由は何か。

しばらく私のことをフォローしてくれている人ならば、オーガニック検索結果でのパフォーマンスを測定するために、AIが生成したコンテンツを頻繁に実験していることを知っているかも知れない。

2022年11月にChatGPTが発表され、急速に人気が高まってから、私はChatGPTで遊び始めた。

ChatGPTの助けを借りて書かれたいくつかの記事を私のウェブサイトや他のウェブサイトで公開した。ChatGPTの反応はプロンプトの質に大きく依存するが(※訳註1)、実験結果は期待されたほどではなかった。もっと詳しく知りたいならば、以下のリンクをたどってほしい。

(※訳註1)この記事の著者ビクトリア・クリチェンコ氏が2023年5月26日に公開したMedium記事『私のウェブサイトに高ランクの記事を書くために使用した5つのChatGPTプロンプト』では、SEOに役立つChatGPTの5つの使い方が解説されている。同氏はChatGPTを記事執筆の補助ツールと位置づけたうえで、以下のようなことを実行した。

記事執筆補助ツールとしてのChatGPTの5つの活用法
  • 単語の定義の確認
  • タイトル案の列挙
  • FAQリストの作成
  • FAQリストに対するschema.orgマークアップの実装
  • 任意のデータに対するソースの提示
(※訳註2)Kurichenko氏が2023年4月16日にMedium記事『ChatGPTの記事を私のウェブサイトに掲載して起こったこと』では、ChatGPTで生成した記事をSEO観点で評価している。同氏はChatGPTに複数回にわたるプロンプトを入力して「業者向けSEO」をターゲットキーワードとした記事を生成した後、2023年3月9日から4月13日まで自身が運営するウェブサイトに掲載した。その結果、ターゲットキーワードに関してアメリカのGoogle検索で45位にランクインしたものも、インプレッションは下降する傾向にあった。

ChatGPTで作成した記事公開後の各種SEO指標の推移

ChatGPTの流行後、Frase.ioRobinizeのような多くの新しいAIライティングツールが登場した。これらのツールは、オーガニック検索結果向けにコンテンツを書き、最適化することを手助けすることを目的としている。

ChatGPTの主なライバルであるBardは、Googleによって2023年3月に公開された。

それ以来、私を含む多くのコンテンツ制作者が、Bardの使い方を理解するために実験を始めている。

SEOのスペシャリストであり、コンテンツライターでもある私は、コンテンツライティングと最適化においてBardに頼れるかどうかを見極めたかった。

Bardを使った私の実験については、以下の記事をご覧いただきたい。

(※訳註3)クリチェンコ氏が2023年4月16日にMedium記事『Bardの記事を私のウェブサイトに掲載して起こったこと』では、Bardで生成した記事をSEO観点で評価している。同氏はBardに複数回にわたるプロンプトを入力して「Robinize」をターゲットキーワードとした記事を生成した後、2023年6月7日から公開した。公開後1ヵ月経過した時点での評価は、以下の通りであった。

Bard生成記事を1ヵ月間公開したSEO評価
  • Google検索ランキングは低いものも、CTRが1.3%だった。
  • インプレッションは下降傾向
  • 2つのキーワードがアメリカでランクイン、1つのキーワードがボスニアヘルツェゴビナでランクイン(Robinize運営企業はボスニアに本社がある)

Bardで作成した記事公開後の各種SEO指標の推移

2023年8月、調査と執筆のためにBardを使い始めて3ヶ月目になる。以下に私が学んだことを紹介する。

1. 特定のコンテンツ構造を使って質問に答えるようにプログラムされている。

Bardに何度も質問していると、その答えがよく似ていることに気づくかも知れない。特に、その回答の構造だ。

私の側からの情報提供のリクエストにはすべて、特徴、利点、長所、短所を含む回答が続いた。

私の意見では、Bardは無関係な詳細が多すぎる。私が何かの特徴についてもっと知りたい場合は、別の質問をするだろう。

以下に、私がBardとチャットしているスクリーンショットをいくつか掲載する。

情報提供のリクエストとBardからの回答。

(※訳註4)以上のBardとの対話は、以下のように翻訳できる。
(クリチェンコ氏の質問)Mangools SEOとは
(Bardの回答)Mangools SEOエクステンションは無料のChromeエクステンションです。以下のようなことができます。
  • ウェブサイトのドメインオーソリティと人気のチェック
  • キーワードの順位、正確な検索ボリューム、その他のメトリクスの確認
  • 任意のウェブサイトのバックリンクリストの取得
  • 任意のページのオンページSEOの分析
  • 任意のキーワードのSERPの特徴を見る
  • 任意のキーワードのランキングを追跡

Mangools SEOエクステンションは、素早く簡単にあらゆるウェブサイトのSEOに関する洞察を得るための素晴らしい方法です。SEOについて学び始めたばかりの初心者には特に便利です。

以下では、Mangools SEOエクステンションの機能の一部をご紹介します。

  • ドメインオーソリティと人気度:この拡張機能は、あらゆるウェブサイトのドメインオーソリティと人気度を表示します。この情報は、ウェブサイトの全体的なSEOの強さを評価するのに役立ちます。
  • キーワードの位置と検索ボリューム:このエクステンションは、キーワードの順位と検索ボリュームを表示します。この情報は、SERPSでの進捗状況を追跡し、ターゲットとする新しいキーワードを特定するのに役立ちます。
  • バックリンク:このエクステンションは、あらゆるウェブサイトのバックリンクのリストを表示します。この情報は、潜在的なバックリンクの機会を特定し、競合他社のバックリンクのプロフィールを追跡するのに役立ちます。

情報提供のリクエストとBardからの回答。

(※訳註5)以上のBardとの対話は、以下のように翻訳できる。
(クリチェンコ氏の質問)Mangools SEOとは何?
(Bardの回答)Mangoolsは、あなたのウェブサイトの検索エンジンランキングを向上させるオールインワンのSEOツールキットです。キーワード調査、バックリンク分析、順位追跡、SERP/分析などさまざまな機能を提供しています。Mangoolsは使いやすく、手頃な価格なので、あらゆる規模のビジネスに最適です。

以下はMangoolsの主な機能です。
  • キーワードリサーチ:Mangoolsのキーワードリサーチツールは、あなたのウェブサイトのターゲットとなる適切なキーワードを見つけるのに役立ちます。キーワードの難易度、検索ボリューム、その他の重要な指標に関するデータを提供します。
  • バックリンク分析:Mangoolsのバックリンク分析ツールは、あなたのウェブサイトにトラフィックをもたらしているバックリンクを特定するのに役立ちます。この情報は、質の高いウェブサイトからのバックリンクを増やすことで、ウェブサイトのランキングを向上させるのに役立ちます。
  • ランク追跡:Mangoolsのランクトラッキングツールでは、特定のキーワードでのウェブサイトの順位を時系列で追跡できます。この情報は、SEOの成果がどのように出ているかを確認し、改善が必要なエリアを特定するのに役立ちます。
  • SERP分析:MangoolsのSERP分析ツールを使用すると、特定のキーワードであなたのウェブサイトのランキングを他のウェブサイトと比較して確認できます。この情報は、ランキングに影響を与えている要因を理解し、必要な調整を行うのに役立ちます。

Mangoolsはあなたのニーズに合わせてさまざまな料金プランを提供しています。ベーシックプランは無料、プロプランは月額29ドルです。また、割引を提供する年間プランもあります。

手頃な価格で使いやすいSEOツールキットを探しているなら、Mangoolsは素晴らしい選択肢です。あなたのウェブサイトの検索エンジンランキングを向上させることができるさまざまな機能を提供しています。

以下が、Manaoolsを使用する利点のいくつかです。

2. 異なる言語を使って質問に答えてくる。

このことは、私には2度起こった。

私が英語でメッセージを送ったにもかかわらず、Bardの回答は中国語だった(それは中国語のように思われた)。

Bardは完璧ではない。しかし、これは最も奇妙なことのひとつだ。質問とは異なる言語で回答が来ても驚かないでほしい。

3. 出典リストを提供できない。

Bardのコンテンツを読んだことがある人なら、ソースが必要な発言をすることに気づいたかも知れない。

私はBardの回答から抜粋して記事を書いたことがある。例えば「Conductorは2022年2月にContentKingを非公開の金額で買収した」のようなことをBardは回答した。

Bardはこのデータをどこからか取ってきたに違いない。しかし、この記述を私の記事に加えるには、信頼できるソースへのリンクが必要だ。

Bardは、ソースを明示的に求めても、それらのリストを提供できない。

(※訳註6)以上のBardとの対話は、以下のように翻訳できる。
(クリチェンコ氏の質問)このデータはどこから入手したのですか。
(Bardの回答)以下のようなさまざまな情報源からデータを取りました。
  • Substackのウェブサイト
  • TechCrunch
  • Backlinkov
  • 有料オンライン講座

データが正確で最新のものであることを確認するために、これらのソースからデータを相互参照しました。

(クリチェンコ氏の質問)ソースを送っていただけますか。
(Bardの回答)私はテキストベースのAIなので、そのような支援ができません。

4. 事実をでっち上げることがある。

ChatGPTもBardも完璧ではない。だからこそ、コンテンツ作成時にこれらのツールに頼り切ってはいけない。

はRobinizeのレビューを書くためにBardを使った。これは人気が高まっている新しいSEOツールだ。

私は偶然、BardがRobinizeの料金プラン名や費用などの詳細をでっち上げていることに気づいた。

AIジェネレーターと仕事をする際には、ファクトチェックが不可欠だ。

AIが書いた浅薄なコンテンツはもうたくさんだ。頼むからこれ以上そんなものを作らないでほしい。

5. Bardが生成したコンテンツはオーガニック検索結果にランクインできる。

私はSEOライティングにAIジェネレーターを使うことには反対だった。

AIが生成したコンテンツには、人々と共有する新しい価値あるものは何もないと信じていたからだ(私の意見は変わらなかった)。では、それを使う意味はあるのだろうか。

しかし、それはある特別な理由、つまりオーガニック検索結果を操作する目的でコンテンツを作成するために使われる。

つまり、多くのウェブサイト所有者は、ChatGPTとBardを使って最適化されたコンテンツを素早く作成し、上位表示を競っているのだ。

彼らはユーザを助けたり、ユニークなコンテンツを作ったり、付加価値をつけることには関心がない。彼らはビジネスをしたいのだ。それだけだ。

Googleはこうした行動を罰する、と私は思っていた。しかし、AIが生成したコンテンツは、以下のような条件下では非常に優れたパフォーマンスを発揮することがわかった。

  • あなたのウェブサイトがすでにある程度のドメインオーソリティ(※訳註7)を持っている。
  • コンテンツとウェブサイトがGoogleのE-E-A-Tコンテンツ品質ガイドライン(※訳註8)に合致している。
  • 競合の少ないキーワードをターゲットにしている。
(※訳註7)ドメインオーソリティとは、任意のウェブサイトに関する検索エンジンの評価値。この値が高ければ、検索上位に表示されやすい。SEOサービス提供企業Mozのツール「Link Explorer」で調べられる。
(※訳註8)E-E-A-Tコンテンツ品質ガイドラインとはGoogleがウェブサイトを評価する際のガイドラインで、評価観点である「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trust(信頼)」の頭文字をとっており、「ダブルイーエーティー」と呼ばれる。

以下のRobinizeレビュー記事のAhrefs(※訳註9)の統計を見てほしい。完全にAIによって生成されたにも関わらず、ターゲットキーワードでボスニア・ヘルツェゴビナでは8位、アメリカでは18位にランクインしている。

(※訳註9)Ahrefs(エイチレフス)とはSEO分析ツールであり、自社サイトおよび競合サイトのバックリンク分析や検索エンジンの上位表示コンテンツ、想定流入キーワードなどを分析できる。

私は記事を書いていないが、SEOのスキルを使ってランキングするために記事を最適化した。2ヶ月後、この記事はかなり上位にランクされ、ある程度のトラフィックを生み出している。

SEOライティングについてもっと知りたい方は、この電子書籍で私のキーワード調査とライティングのプロセスを手取り足取り説明している。

私の記事はその全文をAIが作成したにもかかわらず、Googleで8位にランクされている。

結論として

不完全ではあるが、Bardはさまざまな分野の専門家にとって強力なアシスタントとなっている。

GoogleがBardを完璧に機能するように改良を続けることは間違いないだろう。

しかし、コンテンツライターの仕事がBardによって終わることには同意できない。

AIコンテンツを公開することは、既存企業やスタートアップにとって、視聴者の信頼を失う早道だ。

AIコンテンツは、人々にとって文字通りゼロの価値しかない。AIコンテンツは何も新しいものを提供しない。その代わりに、利用可能な情報をキュレーションして、与えられたトピックについて「オリジナル」な(と称する)ものを作り出す。

Bardはあなたの文章をアイデアで補完できる。しかし、まだ完璧にはほど遠い。

もっとも、「まだ」がいつまで続くかはわからない。

📖 私のガイドを読んで、Googleのトップページを飾るブログ記事の作り方を学ぼう。

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原文
『I’ve Been Using Google Bard to Write For 3 Months — Here’s What I Learned』

著者
ビクトリア・クリチェンコ(Victoria Kurichenko)
SEOエキスパート、Self Made Millennials創業者

翻訳
吉本幸記(フリーライター、JDLA Deep Learning for GENERAL 2019 #1取得)

編集
おざけん

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