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公開から間もないGPT Storeは、バビッチ氏から見ると改善点が多数あります。そうした改善点は、以下のように挙げられます。
UXデザインから見たGPT Storeの改善点
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以上のように改善点を指摘したうえで、最初から完璧ではなくても、OpenAIは完璧なストアをめざしてベストを尽くしてくれるだろう、とバビッチ氏は期待を寄せています。
なお、以上に挙げた改善点は翻訳記事が公開された2024年1月13日時点で確認できるものであり、2024年2月時点ではすでに改善されたり、挙動や仕様が異なっている可能性があります(確認できた改善点については、翻訳記事の訳注を参照のこと)。
以下の記事本文はニック・バビッチ氏に直接コンタクトをとり、翻訳許可を頂いたうえで翻訳したものです。また、翻訳記事の内容は同氏の見解であり、特定の国や地域ならびに組織や団体を代表するものではなく、翻訳者およびAINOW編集部の主義主張を表明したものでもありません。
以下の翻訳記事を作成するにあたっては、日本語の文章として読み易くするために、意訳やコンテクストを明確にするための補足を行っています。
はじめに
OpenAIは最近、待望のGPT Storeをリリースした。こうしてChatGPT Plusの加入者は、さまざまなユーザが作成したGPTのコレクションにアクセスできるようになった。この記事では、現在のバージョンのストアの欠点をレビューしたい。
このレビューはビデオ形式でも利用できる。
GPT Storeのホームページ
GPTカスタムアプリの検索セクションに移動すると、ニーズに合ったアプリを発見するためのページが表示される。検索バーがあり、Top Picks、DALL-E、ライティング、生産性などのカテゴリーがある。
最初に直面する問題はカテゴリーの選択だ。なぜDALL-E、ライティング、生産性、研究&分析がトップレベルのカテゴリーとして選ばれているのかが不明だ。金融、旅行、健康といったカテゴリーがない(※訳注1)。以下はAppStoreのカテゴリーだが、カテゴリーのリストがより日常的な活動に関連していることがわかる。
GPT Storeのカテゴリーのネーミングも少しわかりにくい。「DALL-E」というカテゴリーは基本的に画像生成だが、ユーザがそれを使って実行したいアクションではなく、ツールの名前がついている。
実際のGPTアプリをよく見ると、別の問題に気づくだろう。そのアプリが何をしてくれるのかを理解するには、テキストを読む必要がある。アプリのアイコンを除けば、OpenAIはビジュアルを提供していない。そして、そのアイコンは必ずしもアプリを説明していない。しかし、テキストを読むのは楽しい経験ではない。それゆえ、欲しいGPTアプリを探すのに最初から頭を使うことになる。
特定のGPTアプリを検索する
例えばファイナンシャルアドバイザーを見つけたいなど、達成したい特定の目標が頭にある場合、別の問題に直面することになる。クエリを入力し始めると、OpenAIはあなたの意図を分析せずに、あなたが提供したキーワードにもとづいておすすめを提供することがわかる。
つまり、ファイナンシャルアドバイザーと言ったら、ファイナンスアプリのリストを見たいのだ。Tech Support AdvisorやJo Ellen Mathewsといった検索結果は、私の目的とは無関係に見える。
GPTアプリの名前を除けば、OpenAIはリストで提供されるGPTが何をしているのかについての情報を提供しない(※訳注2)。だから、そのアプリが何をしているのかを理解するために時間を費やす必要があるように思われる。少なくとも私にとっては、必要なGPTを見つけるまで、さまざまなGPTアプリをテストするために多くの時間を費やすことになる。
2024年2月時点のGPT Store検索結果表示
もう一つ問題がある。他のユーザがそのアプリについてどう考えているかを把握するのが難しいのだ。YahooファイナンスについてAppleのAppStoreを見てみよう。
アプリの目的を伝えるビジュアルとは別に、レーティングが表示され、アプリそのものについてだけではなく、実際のユーザがどう考えているかを読める。そして、製品のポジティブな面とネガティブな面の両方を見極められる。
OpenAIのGPT Storeには以上のような情報がない。だから、GPTアプリを評価する際に他人の選択に頼れない。
カスタムGPTアプリを使う
検索結果から最初のGPTアプリを試してみよう(そのアプリは、OpenAIが私の目標に最も関連していると考えているものだと仮定する)。そして、それが私たちの問題解決にどう役立つかを見てほしい。
株式投資したいお金が1000ドルあり、2024年にTeslaの株を買うべきかどうか悩んでいるとする。ファイナンスGPTは比較的長い回答をしてくれたが、私の質問には答えてくれなかった。このGPTアプリにイエスかノーかの正確な答えを迫ることにしよう。
あなた 2024年に1000ドルあったらTeslaに投資すべき? |
ファイナンスGPTアプリ Teslaのような特定の銘柄への投資は、あなたの財務目標、リスク許容度、投資スケジュール、現在の市況など、いくつかの要因によって異なります。以下は、判断に役立つ内訳です。
株式市場への投資には常にリスクが伴うことを忘れないでください。 |
GPTアプリはイエスかノーで答えなかった。ファイナンスのアドバイスというのは厄介なもので、ツールが何かに投資すべき、あるいは投資すべきでないと言うことには法的リスクがあるのは事実だ。しかしそれでも、私の目的は財務アドバイスを得ることであって、お金の投資方法について一般的な回答を得ることではない。
あなた 2024年に向けて買うべき銘柄ベスト10は |
ファイナンスGPTアプリ (中略)
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私は多くのカスタムGPTアプリを試したが、実際のところ、ほとんどのアプリはうまくいっていないと言いたい。多くのGPTアプリは、OpenAIがGPTsを発表した2023年11月に作られた中途半端なアプリのように感じる。だから、OpenAIは現在のGPTアプリをレビューして、凡庸なアプリはすべてストアから削除すべきだと思う。
操作履歴
ChatGPTは履歴に特定のGPTのロゴを表示しない。それゆえ、ネイティブChatGPTの結果もカスタムGPTの結果も、すべての結果が同じに見える。
つまり、以下の画像のように、ファイナンス GPTアプリは独自のロゴを持っているが、会話履歴にはそれが反映されていない。
マーケティングとGPTアプリの発見性
マーケティングはAppStoreやGoogle Playのようなモバイルストアに不可欠な要素であり、どちらのマーケットプレイスもモバイルアプリを宣伝する方法を提供している。
しかし現時点では、GPT Storeにはマーケティングツールが見当たらない。今後数週間で、多くの人がGPSを作ろうとすることを考えると、効率的なマーケティングツールがストアに組み込まれていなければ、製品を宣伝する手段がないに等しい。
そのため、開発者が非常に便利なGPTアプリが作ったとしても、多くのユーザを獲得できないだろう。
結論として
GPT Storeは、まだマーケットへの第一歩を踏み出したばかりであり、最初の試みから完璧なものをリリースするのは難しいことは承知している。しかし、OpenAIのチームは完璧なものを作るためにベストを尽くしてくれる、と私は強く信じている。
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原文:babich.biz
原文
『GPT Store is a UX disaster』
著者
ニック・バビッチ(Nick Babich)
翻訳
吉本幸記(フリーライター、JDLA Deep Learning for GENERAL 2019 #1、生成AIパスポート、JDLA Generative AI Test 2023 #2取得)
編集
おざけん