HOME/ AINOW編集部 /GPT StoreのUXはまだ酷い
2024.02.14

GPT StoreのUXはまだ酷い

最終更新日:

著者のニック・バビッチ(Nick Babich)氏はイスラエル在住のプロダクトデザイナーで、AINOWでは同氏のいくつかの記事を紹介していました(同氏の詳細は同氏公式サイトを参照)。同氏が2024年1月にMediumに投稿した記事『GPT StoreのUXはまだ酷い』では、OpenAIが公開したカスタムGPTアプリのストアGPT StoreをUXデザインの観点から考察しています。
公開から間もないGPT Storeは、バビッチ氏から見ると改善点が多数あります。そうした改善点は、以下のように挙げられます。

UXデザインから見たGPT Storeの改善点
  • アプリカテゴリーがApp Storeのように豊富かつ有用ではなく、カテゴリー名もわかりにくい。
  • アプリ検索結果が、ユーザの意図とずれていることがある。
  • アプリのレーティング(ユーザ評価)やユーザレビューを確認できない。
  • ユーザが期待する機能を提供していないアプリがある。
  • カスタムGPTアプリとの会話履歴が確認しづらい。
  • カスタムGPTアプリを宣伝する手段がない。

以上のように改善点を指摘したうえで、最初から完璧ではなくても、OpenAIは完璧なストアをめざしてベストを尽くしてくれるだろう、とバビッチ氏は期待を寄せています。

なお、以上に挙げた改善点は翻訳記事が公開された2024年1月13日時点で確認できるものであり、2024年2月時点ではすでに改善されたり、挙動や仕様が異なっている可能性があります(確認できた改善点については、翻訳記事の訳注を参照のこと)。

以下の記事本文はニック・バビッチ氏に直接コンタクトをとり、翻訳許可を頂いたうえで翻訳したものです。また、翻訳記事の内容は同氏の見解であり、特定の国や地域ならびに組織や団体を代表するものではなく、翻訳者およびAINOW編集部の主義主張を表明したものでもありません。
以下の翻訳記事を作成するにあたっては、日本語の文章として読み易くするために、意訳やコンテクストを明確にするための補足を行っています。

はじめに

OpenAIは最近、待望のGPT Storeをリリースした。こうしてChatGPT Plusの加入者は、さまざまなユーザが作成したGPTのコレクションにアクセスできるようになった。この記事では、現在のバージョンのストアの欠点をレビューしたい。

このレビューはビデオ形式でも利用できる。

GPT Storeのホームページ

GPTカスタムアプリの検索セクションに移動すると、ニーズに合ったアプリを発見するためのページが表示される。検索バーがあり、Top Picks、DALL-E、ライティング、生産性などのカテゴリーがある。

GPT Storeページ

最初に直面する問題はカテゴリーの選択だ。なぜDALL-E、ライティング、生産性、研究&分析がトップレベルのカテゴリーとして選ばれているのかが不明だ。金融、旅行、健康といったカテゴリーがない(※訳注1)。以下はAppStoreのカテゴリーだが、カテゴリーのリストがより日常的な活動に関連していることがわかる。

AppStoreのアプリカテゴリー

(※訳注1)2024年2月時点では、アプリカテゴリーとして、Top Picks、DALL-E、ライティング、生産性、研究&分析、プログラミング、教育、ライフスタイルがある。

GPT Storeのカテゴリーのネーミングも少しわかりにくい。「DALL-E」というカテゴリーは基本的に画像生成だが、ユーザがそれを使って実行したいアクションではなく、ツールの名前がついている。

GPT Storeのアプリカテゴリー

実際のGPTアプリをよく見ると、別の問題に気づくだろう。そのアプリが何をしてくれるのかを理解するには、テキストを読む必要がある。アプリのアイコンを除けば、OpenAIはビジュアルを提供していない。そして、そのアイコンは必ずしもアプリを説明していない。しかし、テキストを読むのは楽しい経験ではない。それゆえ、欲しいGPTアプリを探すのに最初から頭を使うことになる。

アプリのアイコンは、画面上の唯一の視覚的補助である。

特定のGPTアプリを検索する

例えばファイナンシャルアドバイザーを見つけたいなど、達成したい特定の目標が頭にある場合、別の問題に直面することになる。クエリを入力し始めると、OpenAIはあなたの意図を分析せずに、あなたが提供したキーワードにもとづいておすすめを提供することがわかる。

プロンプト「ファイナンシャルアドバイザー」に対するGPT Storeの検索結果。

つまり、ファイナンシャルアドバイザーと言ったら、ファイナンスアプリのリストを見たいのだ。Tech Support AdvisorJo Ellen Mathewsといった検索結果は、私の目的とは無関係に見える。

GPTアプリの名前を除けば、OpenAIはリストで提供されるGPTが何をしているのかについての情報を提供しない(※訳注2)。だから、そのアプリが何をしているのかを理解するために時間を費やす必要があるように思われる。少なくとも私にとっては、必要なGPTを見つけるまで、さまざまなGPTアプリをテストするために多くの時間を費やすことになる。

(※訳注2)2024年2月時点では以下の画像のように、検索時にアプリ名に加えてアプリ説明文も表示するようになった。

2024年2月時点のGPT Store検索結果表示

もう一つ問題がある。他のユーザがそのアプリについてどう考えているかを把握するのが難しいのだ。YahooファイナンスについてAppleのAppStoreを見てみよう。

AppeのAppStoreにおけるYahoo ファイナンス。

アプリの目的を伝えるビジュアルとは別に、レーティングが表示され、アプリそのものについてだけではなく、実際のユーザがどう考えているかを読める。そして、製品のポジティブな面とネガティブな面の両方を見極められる。

AppStoreにおけるYahoo ファイナンスに関するユーザのレーティングとレビュー。

OpenAIのGPT Storeには以上のような情報がない。だから、GPTアプリを評価する際に他人の選択に頼れない。

カスタムGPTアプリを使う

検索結果から最初のGPTアプリを試してみよう(そのアプリは、OpenAIが私の目標に最も関連していると考えているものだと仮定する)。そして、それが私たちの問題解決にどう役立つかを見てほしい。

検索結果から最初のファイナンスアプリを試す。

株式投資したいお金が1000ドルあり、2024年にTeslaの株を買うべきかどうか悩んでいるとする。ファイナンスGPTは比較的長い回答をしてくれたが、私の質問には答えてくれなかった。このGPTアプリにイエスかノーかの正確な答えを迫ることにしよう。

カスタムGPT(ファイナンス)にファイナンスのアドバイスを求める。

(※訳注3)以上のこの記事の著者バビッチ氏とファイナンスGPTアプリの会話は、以下のように翻訳できる。
あなた
2024年に1000ドルあったらTeslaに投資すべき?
ファイナンスGPTアプリ
Teslaのような特定の銘柄への投資は、あなたの財務目標、リスク許容度、投資スケジュール、現在の市況など、いくつかの要因によって異なります。以下は、判断に役立つ内訳です。
  1. 会社を理解すること:電気自動車とクリーンエネルギー製品で知られるTeslaは、人気のある投資先です。しかし、その株価は変動しやすく、技術の進歩、規制の変更、市場の感情など、さまざまな要因に影響されます。
  2. リスク許容度:Teslaは、他の個別銘柄と同様、ミューチュアルファンドやETFのような分散投資に比べ、高いリスクを伴います。潜在的な高いボラティリティや資金の損失を被るリスクに抵抗がないのであれば、個別株への投資が適しているかも知れません。
  3. 投資のタイムライン:長期的な投資をお考えなら、市場の浮き沈みを乗り切るのにより良いポジションにいるかも知れません。しかし、投資期間が短い場合は、Teslaのようなボラティリティの高い銘柄はベストな選択ではないかも知れません。
  4. 分散投資:一般的に、1つの銘柄に全資金を投資することは、さまざまな資産に分散投資するよりもリスクが高くなります。Teslaが、より広範に分散されたポートフォリオに適合するかどうかを検討してください。
  5. 調査と分析:Teslaの財務状況、市場動向、業界ニュースの最新情報を常に入手しましょう。業績報告、リーダーシップの決定、市場でのポジションを分析することで、今後の潜在的な成長または課題について洞察できます。
  6. 手頃な価格:前回更新した時点では、Teslaの株価は高いかも知れないので、1,000ドルであれば端株を購入する必要があるかも知れません。
  7. 専門家のアドバイスを求めること:財務状況に応じて個別のアドバイスを提供してくれるファイナンシャル・アドバイザーに相談することは、常に有益です。

株式市場への投資には常にリスクが伴うことを忘れないでください。

GPTアプリはイエスかノーで答えなかった。ファイナンスのアドバイスというのは厄介なもので、ツールが何かに投資すべき、あるいは投資すべきでないと言うことには法的リスクがあるのは事実だ。しかしそれでも、私の目的は財務アドバイスを得ることであって、お金の投資方法について一般的な回答を得ることではない。

カスタムGPTは具体的な質問に対して曖昧な回答を提供する。

(※訳注4)以上のバビッチ氏とファイナンスGPTアプリの会話は、以下のように翻訳できる。ただし、追加のテキストで一部文章が見えない同アプリ回答の第1段落は除く。
あなた
2024年に向けて買うべき銘柄ベスト10は
ファイナンスGPTアプリ
(中略)
  1. テクノロジー:革新的なハイテク企業、特に人工知能、クラウドコンピューティング、サイバーセキュリティなどの新興分野の企業に注目しましょう。
  2. ヘルスケアとバイオテクノロジー:ヘルスケアの革新、製薬、バイオテクノロジーに携わる企業は、長期的な成長の可能性を秘めていることが多いです。
  3. 再生可能エネルギー:世界的な持続可能性へのシフトに伴い、太陽エネルギーや風力発電などの再生可能エネルギー関連企業は有望です。
  4. 電子商取引:パンデミック後も電子商取引は成長し続けるでしょう。オンラインに強い企業は、キープレイヤーとなる可能性があります。
  5. 金融サービス:フィンテックや伝統的な銀行を含むこのセクターは、安定と着実な成長を提供することが多いです。

私は多くのカスタムGPTアプリを試したが、実際のところ、ほとんどのアプリはうまくいっていないと言いたい。多くのGPTアプリは、OpenAIがGPTsを発表した2023年11月に作られた中途半端なアプリのように感じる。だから、OpenAIは現在のGPTアプリをレビューして、凡庸なアプリはすべてストアから削除すべきだと思う。

操作履歴

ChatGPTは履歴に特定のGPTのロゴを表示しない。それゆえ、ネイティブChatGPTの結果もカスタムGPTの結果も、すべての結果が同じに見える。

質問履歴

つまり、以下の画像のように、ファイナンス GPTアプリは独自のロゴを持っているが、会話履歴にはそれが反映されていない。

ChatGPTの操作履歴

マーケティングとGPTアプリの発見性

マーケティングはAppStoreやGoogle Playのようなモバイルストアに不可欠な要素であり、どちらのマーケットプレイスもモバイルアプリを宣伝する方法を提供している。

AppStoreの有料広告

しかし現時点では、GPT Storeにはマーケティングツールが見当たらない。今後数週間で、多くの人がGPSを作ろうとすることを考えると、効率的なマーケティングツールがストアに組み込まれていなければ、製品を宣伝する手段がないに等しい。

カスタムGPTの設定ページ。

そのため、開発者が非常に便利なGPTアプリが作ったとしても、多くのユーザを獲得できないだろう。

結論として

GPT Storeは、まだマーケットへの第一歩を踏み出したばかりであり、最初の試みから完璧なものをリリースするのは難しいことは承知している。しかし、OpenAIのチームは完璧なものを作るためにベストを尽くしてくれる、と私は強く信じている。

・・・

原文:babich.biz


原文
『GPT Store is a UX disaster』

著者
ニック・バビッチ(Nick Babich)

翻訳
吉本幸記(フリーライター、JDLA Deep Learning for GENERAL 2019 #1、生成AIパスポート、JDLA Generative AI Test 2023 #2取得)

編集
おざけん

無料メールマガジン登録

週1回、注目のAIニュースやイベント情報を
編集部がピックアップしてお届けしています。

こちらの規約にご同意のうえチェックしてください。

規約に同意する

あなたにおすすめの記事

基調講演だけではない。OpenAI、Microsoft、Metaもビジョンを語ったGTC2024セッションまとめ

ChatGPTもGeminiも忘れて、これらの(信じられない)次世代AIツールをチェックしてみよう!

「Yahoo!知恵袋」でも活用、LINEヤフーの生成AI活用戦略

あなたにおすすめの記事

基調講演だけではない。OpenAI、Microsoft、Metaもビジョンを語ったGTC2024セッションまとめ

ChatGPTもGeminiも忘れて、これらの(信じられない)次世代AIツールをチェックしてみよう!

「Yahoo!知恵袋」でも活用、LINEヤフーの生成AI活用戦略