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2024.07.12

生成AI時代の人材育成|海城中学高等学校物理部がAI班を作ったワケ

最終更新日:

今回お話を伺ったのは、海城中学高等学校物理部のみなさん。「好きな研究を好きなように好きなだけ」の標語を掲げ、機械工学から自然科学まで、物理に関係することなら何でも研究できる自由な部活として知られています。

同校を卒業した勝山さんは、G検定・E資格を受験し、在学中は「AI班」として物理部に新たなグループを立ち上げました。高校3年生の夏休みには、G検定合格を目的とした短期集中のAI勉強会を物理部で開講。その後、後輩の岩田さん、森本さんがG検定を受験し、見事合格に至ります。

生成AIが盛り上がりを見せる中、なぜG検定を受験しようと思ったのか。今回は、岩田さん、森本さんのG検定合格までの道筋や、AI班の活動について聞きました。

勝山さん:卒業生

G検定2019#3合格 合格時中学3年生

E資格2021#2合格 合格時高校2年生

岩田さん:中学3年生(取材当時)

G検定2022#3合格 合格時中学2年生

森本さん:中学3年生(取材当時)

G検定2023#3合格 合格時中学3年生

中学生がG検定に興味を持ったきっかけ

ーー森本さん、岩田さんのお二人は、勝山さんの講義をきっかけにG検定を受験しようと思ったのでしょうか。

岩田:中学生になってからプログラミングを始めたのですが、AIはPythonを実装に使うことが多いので興味はありました。勝山さんの講義を聞いて、G検定がAIを勉強する足がかりになるかなと思ったのがきっかけです。

森本:物理部でウェブサイトの勉強をしていたのですが、ある程度勉強が進んだので、そろそろ別のチャレンジをしようかなと思っていた頃に、勝山さんの講義を聞きました。AIに興味を持ったのは、情報系ではない生物学などの研究者の方のお話を聞いた際、AIを研究に活用されている話をお聞きして。情報系以外の領域でもこれほど活用されているんだと感じたのがきっかけです。

合格への道筋:勉強会の復習を繰り返した

ーーもともと興味があり、勝山さんの講義がいいきっかけになったんですね。難しかった部分はありましたか?

森本:AIの進化などはすんなり頭に入ったのですが、あまり馴染みがない法律系の問題が難しかったです。実際に省庁が出している実例なども当たりましたが、なかなか理解できず苦戦しました。

岩田:暗記が求められる部分は結構できましたが、そうでないモデルの仕組みの理解が求められる問題に戸惑いました。GANとかはまだ簡単なほうで、EncoderとかDecoderが個人的にかなり難しく感じました。

勝山:G検定はそれぞれの知識がちゃんと扱われているので、私が受験した頃と比べてシラバスも結構変わっていたり、今テキストを見返すと見覚えのない単語もたくさんあって。そうした専門外の知識はきちんと元の論文を読むなどの対策は必要という話は伝えていました。

ーー具体的な学習方法についても教えてください。

岩田:基本的には、勉強会で習ったことを踏まえて、次の週までに該当する部分を読み込んで復習するというのを繰り返していました。受験が近づいたら、これまでに習った内容の総復習もしていました。

森本:基本は過去問を解いて復習を繰り返していました。勉強会の内容も、該当部分の過去問を解いて、該当する単元を総復習すると、ある程度わかるようになります。苦戦したのが数学で、G検定のテキストは高校数学が前提なので、調べてもわからなかったり。実際に試験で出たのは分かる範囲だったので助かりました。私は一回落ちているので、二回目はそれこそ休み時間なども勉強にあてていました。

勉強会は夏休みの夜9時から有志で実施

ーー夏休みに短期集中で勉強会を開いたとのことですが、どのように開催されたのでしょうか?

勝山:夏休みなので、みんなが共通で予定が空きやすい夜9時くらいからオンラインで週2回の頻度で開催しました。勉強会といっても私が一方的に話すことが多いのですが、10人くらいの応募が集まり、そのうち半分くらいが参加してくれました。参加は強制ではなく、好きなときに自由に学びに来てくれればいいと思っていて。あくまで目的はG検定合格なので、勉強会の参加が必要かどうかも各自判断してもらっています。

ーー物理部全体としての活動はどのように?

勝山:私が在籍していた当時は、人それぞれ好きなことを研究しようという方針だったのですが、それではあまりにバラバラすぎるので、ある程度班を作って活動していくことになったんです。そのときに電子工作やピタゴラスイッチ、モールス信号など多様な班ができて、高校2年生の頃に私もAI班を作りました。作ったもののあまり活動していなかったんですが、高校3年生の頃にようやく、まずは勉強会を開いてみようと。こうした先輩から後輩へ教える文化は部として根付いている気がしますね。

G検定で得た知識を活かしていく

ーーでは、今後もAI班の活動は後輩に続けて欲しいですね。

勝山:そうですね。理想としては、今後この2人(岩田さん、森本さん)が高校生になったときに後輩に教えられるように、勉強会が一回で終わらずに引き継がれていってほしいと思います。いずれは論文の輪読会なども開催されるようになってほしいと思いますね。

岩田:まだ人に教えられるかどうかわかりませんが、引き続きAI班で知識を広めていきたいと思っています。

森本:正直、人に教えられる自信はまだありませんが、今後AI班も人が増えていくだろうと思うので、続けていきたいと思っています。

ーーG検定合格で得た知識を活用して、今後やっていきたいことや、将来の夢はありますか?

岩田:直近では、今度兼部しているコンピューター部で文化祭の出し物をやるので、そこで音声認識を使ってみたいです。文字を四進数で分解して、0なら「ポ」というように鳩の鳴き声っぽい文章が作れるんですが、逆に自分の発話音声から文字を生成できるようにしたいと考えています。今はそのためにTensorFlowのチュートリアルを触っています。将来的にはまだ何も決まっていませんが、AIは活用の幅が広いので、どんな道に進むにせよ、取り入れて行きたいと思っています。

森本:AIの研究者の方とお話した際に、AIの分野は理系も文系も一緒に研究していると仰っていたのが非常に印象的でした。将来的にどの分野に進んでも、AIは必ず使っていくと思っています。

執筆:高島圭介

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