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こんにちは、AINOW編集部のみかみです。
以前、不動産×AIのまとめ記事を書きました。
不動産テック(ReTech)という言葉は最近よく聞きますね。
しかし不動産テックが流行したのも2015年~2016年あたりで、多くの会社が類似サービスを出しています。さらに不動産業界は財閥系の大手不動産会社の力が強く、ベンチャー企業はどのようにして生き延びていくのでしょうか。
今回は「テクノロジーで不動産の在り方を変える」をミッションとしているイタンジ株式会社取締役CTOの横澤佑輔さんにインタビューしました。
不動産価格の設定やおとり物件まで…確かにユーザーの視点から考えると不動産業界には見えない情報が多く存在しているでしょう。
そのため人工知能では返答が不十分で、以前は10名以上のスタッフで対応していました。その中からよくある質問は類型化してデータの精度を高め、システム改修をした結果、質問の分類精度が9ヵ月間で約80%まで上がりました。正答率が60%を超えたため、対応するスタッフも数名ほどになり、対応コストを大きく削減することができました。
人工知能で応答できなかった質問は人間のスタッフが対応し、その内容をシステムに反映させていくことで、段階的に精度を上げることができました。
チャットはLINEなどで慣れているためユーザビリティーもよく、返答が早いため顧客満足度は上がっています。そのため、多くの不動産仲介会社様にも「nomad cloud(ノマドクラウド)」を導入していただいています。
自社で行うオンライン完結型の賃貸不動産サービスが「nomad(ノマド)」、その技術を多くの不動産仲介会社様に利用いただけるよう開発した顧客管理システムが「nomad cloud(ノマドクラウド)」です。
不動産テックがまだ浸透する前は、不動産=人が接客するというイメージの方が強いため、人工知能が自動接客してくれるという感覚に抵抗感がある方もいました。
先ほど出てきたnomadで実際の現場で運用することができたのが強みになりました。こちらで顧客満足度やエンゲージメント率が高くなり、対応コストを大幅に削減できたという実績をつくることができたので安心して導入いただけるようになりました。
それら1つ1つのステップを自動化するシステムについては類似したサービスも出てき始めているのですが、物件の検索から始まり内見、申込、審査受付まで一連の賃貸不動産取引のコミュニケーションの一元化を実現した企業はまだないかと思います。
大手企業様でも1つの事業所だけでテクノロジー化を試すより、全社同時に変革させた方が大きな導入メリットを得ることができています。
日本は米国と違い、物件データがオープンではないですが、人口減少にともなう空き家問題のように不動産に関する社会的問題も増加しています。
また、少子高齢化によって働き手が減ることからも、業務効率の向上は必須の課題です。そのため不動産業界も、情報がシームレスになりすべての人が素早く正確な情報を入手できる世の中に近づけていけると思っています。
そういった未来を見据え、直近ではボトムとなるサービスの開発に力を入れつつもデータ基盤やデータ分析や機械学習と言った分野の研究や技術投資にも力を入れています。
今回取材を受けてくださった横澤さんは、当初不動産には興味がなかったが、エンジニアリングの対象として「不動産」が面白いと感じるようになったとのことです。
金融業界のようなところは全部数式に当てはめるような言わば勉強してきた人が勝つ世界ですが、不動産は「この家はユーザーの好みか」というような定性的なデータも必要となります。
整備されていない大量のデータをいかにうまくモデリングするか考えることが楽しいと最後におっしゃっていました。
現在、社内のエンジニアは10数人。数値データだけでは物足りない!定性データも分析して不動産業界を変えていきたいという方は注目です。
ユーザーのライフステージが分かるようなデータまであるように、大前提として肝心なデータがあり、そこから人工知能を用いてサービスにしているところが面白かったです!
数多くある不動産テック企業はどのように生き残るか、また大手不動産会社は数年後どのような手段に出るか注目ですね!