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2021.10.14

ベンチャー企業におけるDX|推進のポイントから成功事例まで紹介!

最終更新日:

DXの推進は日本でも広がりを見せ、多くの企業が導入に乗り出しています。しかしその多くが大企業であり、ベンチャー企業・スタートアップ企業では依然として推進されていません。

今回は、ベンチャー企業におけるDX推進に焦点を当て、現状・重要性・推進のポイント・実施事例を紹介します。是非、ベンチャー企業での最新DX情報を取り入れましょう。

そもそもDXとは?基本をおさらい

DXとは、「デジタルトランスフォーメーション」の略であり、経済産業省によって発表された「DXレポート」で知られるようになった概念です。

デジタル技術を用いて、ビジネスモデルや業務を改革し、最終的には組織自体の変革をなし遂げることが目的とされています。

▼DXの概要について詳しくはこちら

ベンチャー・スタートアップ企業の定義

そもそもベンチャー企業、スタートアップ企業とはどういった企業を指すのでしょうか。

これらに明確な定義はなく、「新興企業」と言い換えられる言葉です。創設から若く、新しい視点のビジネスを展開するような企業を指す言葉として使われています。

スタートアップ企業とベンチャー企業の違い

スタートアップ企業とは、ベンチャー企業の中でも特に短期成長する会社のことを指します。

スタートアップ企業の中でも、その成長度合いによって名称がつけられています。

創業から10年以内に評価額が10億ドル(約1040億円)を超える未上場のスタートアップ企業は「ユニコーン企業」、100億ドル以上は「デカコーン企業」、1000億ドル以上は「ヘクトコーン企業」と呼ばれます。

ベンチャー・スタートアップ企業におけるDXの現状

IPAのレポートによると、DXの推進は会社の規模によって格差があると言います。

アンケートに回答した企業全体で、DXに取り組んでいると回答した企業は41.2%でした。
しかし規模別にみると、従業員数1001名以上の企業ではDX推進率が77.6%であったのに対し、300名以下の企業では平均33.6%でした。

このように、規模の小さい企業ではDXが進んでいない現状があります。

ベンチャー企業が必ずしも小規模とは限りませんが、小~中規模な企業が一般的であるため、ベンチャー企業では大企業のようにDXが進んでいないと言えます。

引用:IPA「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた 企業とIT人材の実態調査

ベンチャー・スタートアップ企業におけるDX推進の2つの重要性

ベンチャー・スタートアップ企業におけるDX推進は、「競争力の向上」「投資家へのアピール」の2点に繋がるため重要です。それぞれ解説していきます。

競争力の向上

ベンチャー企業では、特にDXの推進が重要です。その理由の一つが、効率化やサービス向上による競争力の向上です。

ベンチャー企業の多くが小規模のため、デジタル技術によって定型業務やデータの分析など一部業務を自動化・簡略化し、社員を付加価値の高い業務へ移行させることが重要です。

またDXを導入することで、ユーザーにとってより利便性の高いサービスを提供できる可能性があります。

投資家へのアピール

ベンチャー企業では、DXという最新の組織システムを取り入れることで、投資家にアピールが可能です。

日本でDXが広がったのは2018年の「DXレポート」に由来します。DXが認知され、導入されるようになってからまだ日が経っていません。

また、DXの推進は、企業にとって大きな変革です。そのため、DXを推進する企業は、既存のシステムに捉われず、時代の流れを読んで、時には大きな決断を下せる企業であると言えます。

ベンチャー企業は成長中の企業であるため、投資も重要な資金調達です。

DXを推進しているというポイントが、投資家に対してプラスの印象を与え得るため、ベンチャー企業ではDXの推進が重要だと言えます。

▶関連記事|DXの目的とは?《初心者必読》|IT化との違いから推進ステップまで解説>>

▶関連記事|DX導入のメリットとは?〜参考にしたい事例や導入ステップを解説!>>

ベンチャー・スタートアップ企業におけるDX推進の2つのポイント

ベンチャー・スタートアップ企業がDXを推進する際は、「バランスの取れたビジネスモデルの確立」「コンプライアンス」の2点がポイントです。それぞれ解説します。

バランスの取れたビジネスモデルの確立

DXを推進する際に重要なことは、明確でバランスの取れたビジネスモデルの確立です。

設定するビジネスモデルは、組織が理想とする姿です。

これを設定する際、まず自社の持つ強みを活かせているのか、そして提供するサービスと利益とバランスが取れているのかを確認する必要があります。

コンプライアンス

DXとは、組織を大きく変革することです。こうした改革を行う際に、特に気を付けなければならないのがコンプライアンスです。

改革に気を取られ、コンプライアンスを違反してしまうと、ベンチャー企業では命取りともいえます。その対策として、専門家へ相談しながらDX推進のプロセスを固めるなどがあります。

▶DX推進とは?|指標や課題・企業事例をガイドラインに沿って解説した記事はこちら>>

DXを推進したベンチャー・スタートアップ企業6選

今回は、特にDX推進が注目されている2つの業界から、ベンチャー・スタートアップ企業でDXを導入した企業と、上場したベンチャー・スタートアップ企業を紹介します。

今回紹介する企業は以下の6社です。

  1. 株式会社 アンドパッド
  2. 株式会社 助太刀
  3. CBcloud 株式会社
  4. 株式会社 Shippio
  5. 株式会社 ロコガイド
  6. 株式会社 グッドパッチ

それぞれ解説していきます。

建設業界

建設業界では、建設テック(ConTech)と呼ばれるデジタル技術導入の動きが広がっています。

この背景には、日本の建設業界が国内外における需要の拡大で事業規模は拡大する一方、人材不足で年々働き手が減少している課題があります。

課題解決のために、DXの導入が非常に注目されています。

株式会社 アンドパッド

2014年に設立した株式会社アンドパッド(旧:オクト)は、2016年にクラウド型施工管理アプリ「ANDPAD」をリリースしました。
僅か5年後の2021年7月には利用企業数10万社、累計ユーザー数26万人となり、現在シェアNo.1に位置しています。

「ANDPAD」では、アプリを通じて施工に関する最新データの共有ができます。

これにより、管理者は現場に行かずに進捗を確認できるようになりました。新型コロナウイルスによる移動制限や、複数の現場をかけ持ちする際に、こうしたツールへ需要があります。

同社は国内外から大規模投資を受け、2020年10月には総額60億円の資金調達に成功しました。

参照:株式会社アンドパッド

株式会社 助太刀

2017年に設立した株式会社 助太刀では、現場と職人のマッチングサービス「助太刀」もをリリースしました。

同サービスでは、人手不足の現場と働きたい職人がマッチングすることで、双方の需要に応える仕組みです。

更に、工事代金の支払い、道具のレンタル、労災保険など、職人に対する様々なサービスを提供し、アプリの利用事業者数は16万を突破しました。

同社は、2019年7月までに総額約7億円の資金調達を完了しました。

参照:株式会社 助太刀

物流業界

物流業界では、建設業界と同様に物流テックと呼ばれるデジタル導入の動きが盛んです。

物流業界への爆発的な需要の増加により、人手不足スペース不足、またユーザーが求めるサービスの質が向上し、変革が要求されています。

CBcloud 株式会社

CBcloud株式会社は2012年に物流テックベンチャーとして設立し、Uberのシステムを参考にした「PickGO」や、クラウドを活用したDXシステム「SmaRyu」を開発しました。

「PickGO」とは、配送パートナー数のNo.1の、フリーランスドライバーと軽貨物荷主のマッチングサービスです。更に、買い物代行や受取り代行などのサービスも展開し、法人から個人まで幅広いユーザーに利用されています。

「SmaRyu」では、物流業界の様々な業務における課題をDXを取り入れることで解決するサービスです。宅配業者向け、運送会社向けでそれぞれサービスを展開し、物流業界における業務の効率化を目指しています。

参照:CBcloud株式会社

株式会社 Shippio

2016年に創立した株式会社Shippioでは、主に国際物流・貿易業務におけるDXサービスを提供しています。

輸出入の際に必要な書類を画像解析と機械学習によって自動で作成するシステムや、タスク管理・スケジュール確認をクラウド上で効率的に行えるシステムを提供しています。

更に2018年より、これまでのサービスに加え、実際に輸出入貨物の運送を行うサービスも開始しています。

参照:株式会社Shippio

上場企業

DXの導入によって業績が上がり、上場の審査に合格するベンチャー・スタートアップ企業もあります。

株式会社 ロコガイド

2016年に設立し、2020年6月に上場の承認が下りた株式会社ロコガイドでは、地域のくらしをサポートするサービスを提供しています。

同社が提供するアプリ「トクバイ」は、スーパー・ドラッグストア掲載数No.1で、大手からチラシを配信していない地域密着型のお店まで、ユーザーが住む地域のチラシを閲覧できます。

よりみち情報サービス「ロコナビ」では、ユーザーたちが地域のスポットやイベント情報を書きこみ、共有できます。地元の住民のみが知るディープなスポットを発見できるため、自身の住む地域を知るだけでなく、旅行先で使用することも可能です。

参照:株式会社ロコガイド

株式会社 グッドパッチ

2020年6月に上場した株式会社グッドパッチは、2011年に設立し、デジタルプロダクト開発を軸に成長を遂げました。

デザインパートナー事業では、プロダクト開発、新規事業立ち上げ、ブランド構築、組織支援などのサービスを提供し、クライアントの課題解決に取り組んでいます。

デザインプラットフォーム事業では、デザインに関わるすべての人たちの活動を後押しするというヴィジョンを掲げ、デザインを学ぶ学生と企業のマッチングサービス、フルリモートのデザインチーム、クラウド型ワークスペース、プロトタイピングツールなど、デザインをDXするサービスを提供しています。

参照:株式会社グッドパッチ

▶DXの成功事例はこちらの記事で30個まとめて詳しく解説しています>>

まとめ

いかがでしたでしょうか。

現状、ベンチャー企業のみならず日本全体でDX推進の遅れが問題とされています。DX推進はコストがかかり、組織を変革するという大きなプロジェクトのため、一歩を踏み出せない企業が多くあるのです。

しかしDXを推進し、競争力を持ち成長している企業の例は多々あります。

ぜひ、この記事を参考に、ベンチャー企業でもDX推進を検討してみてはいかがでしょうか。

▶DXの進め方|参考にしたい3つの成功事例や推進のポイントはこちらで詳しく解説しています>>

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