
Codexはエンジニア向けのツールと思われがちですが、Excel集計や資料作成などの業務もファイル操作まで含めて任せられます。本記事では、職種別の業務活用例12選と、任せる業務の選び方・頼み方を解説します。
Codexが業務に使えると聞いても、自分の部署で何を任せればよいのか想像しにくいでしょう。ChatGPTに集計を頼んでも、コピペと手直しが残って作業時間が減らないと感じている方もいるはずです。
Codexは、ファイルを直接読み書きして成果物の保存まで進めるAIエージェントです。OpenAIの発表では、利用者の約20%がすでにエンジニア以外の職種で占められています。
使いどころを決めずに様子見を続けると、周囲が自動化を進めるなかで手作業だけが残ります。反対に任せる業務を選べれば、定型作業の時間を判断や企画の仕事に回せるでしょう。
本記事では、職種別の業務活用例12選に加えて、任せる業務を選ぶ4つの基準と依頼文の5要素を中心に解説します。
読み終えるころには、自分の業務から最初の1業務を選び、Codexに依頼できる状態になります。自分の業務に当てはめながら読み進めてください。
目次
Codexは業務の作業まで実行するAIエージェント
Codexを業務で使う前に押さえておきたい特徴は以下の3つです。
- Codexはファイルを読み書きして成果物を仕上げる
- ChatGPTやChatGPT Workとの違い
- 非エンジニアの業務利用が広がっている
特徴を知っておくと、自分の業務のどこに使えるかを判断しやすくなります。
Codexはファイルを読み書きして成果物を仕上げる
Codexは、指示を受けてファイルを読み込み、編集から保存までを自分で進めるAIエージェントです。OpenAIが提供しています。
チャット型のAIは回答を画面に返すだけのため、結果をExcelに貼り付けて整える作業が人に残ります。Codexは作業用フォルダ内のファイルを直接開き、結果を新しいファイルとして保存できます。
たとえば「売上フォルダ内のCSVを月別に集計し、Excelで保存して」と頼むと、読み込みから集計、保存までを進めます。人は完成したファイルを開いて中身を確認するだけです。
回答をコピペして整える工程がなくなるため、依頼して完成物を確認する働き方に切り替えられます。
ChatGPTやChatGPT Workとの違い
2026年7月以降、ChatGPTのデスクトップアプリには「Chat」「Work」「Codex」の3つのモードがあり、業務の種類で使い分けます。
| モード | 向いている業務 | 表示のされ方 |
|---|---|---|
| Chat | 質問、Web検索、アイデア出し、文面の下書き | 会話形式で回答する |
| Work | 資料作成、ファイル分析、報告書作成、計画立案 | 完成度の高い成果物を優先して示す |
| Codex | コードの不具合修正、テスト実行、機能の実装 | コマンドなど技術的な詳細も示す |
ChatGPT Workは、Codexと同じ中核機能を日常業務向けに整えた機能で、利用枠もCodexと共通です。本記事では、WorkモードとCodexモードを合わせた「Codex」の業務活用として解説します。
資料やレポートが中心の業務はWork、ファイル整理の自動化やWebページの試作など技術寄りの作業はCodexモードを選ぶのが目安です。
出典:Get started with ChatGPT Work(OpenAI)
モードの違いを押さえておけば、「開発者向けだから自分には関係ない」と判断して活用の機会を逃さずに済みます。
非エンジニアの業務利用が広がっている
Codexは、すでにエンジニア以外の職種でも業務に使われています。
OpenAIによると、アナリストやマーケター、デザイナー、投資・金融職などの非開発者は、Codex利用者の約20%を占めます。増加のペースは開発者の3倍以上です。
出典:Codex for every role, tool, and workflow(OpenAI)
同じ発表では、非開発者がレポートやスプレッドシート、プレゼン資料、契約書の作成に使っていると紹介されています。データ分析やリサーチ、業務の自動化にも用途が広がっています。
同じ職種の人が使い始めている今のうちに経験を積んでおけば、部署内で活用を提案する立場に立ちやすくなります。
Codexに任せられる業務活用例12選
Codexに任せられる業務活用例は以下の12個です。
- 【全職種】Excel・CSVの集計とレポート化
- 【全職種】議事録からの決定事項とタスクの抽出
- 【全職種】フォルダ内のファイル整理とリネーム
- 【全職種】複数資料を読み込んだリサーチの下準備
- 【全職種】メールの仕分けと返信の下書き
- 【営業】顧客データからの提案資料の叩き台
- 【営業】商談後のフォローアップ文面の作成
- 【マーケティング】アクセス解析データの週次レポート
- 【マーケティング】LPや簡易Webページの試作
- 【経理】予実データの突合と異常値チェック
- 【人事】応募情報の整理と面接日程の調整表
- 【企画・管理】業務マニュアルとFAQの作成
自分の業務に近い例から読むと、明日試す1業務を見つけやすくなります。
【全職種】Excel・CSVの集計とレポート化
複数のExcelやCSVをまとめて集計し、レポートとして保存する業務は、Codexが最も力を発揮する領域です。
集計は手順が決まっており、正しいかどうかを数字で確かめられます。ファイルの結合や重複の削除など、手作業ではミスが起きやすい工程も一度に処理できます。
支店ごとに届く売上CSVを1つにまとめ、月別・商品別の集計表を作る依頼が代表例です。
salesフォルダ内のCSVをすべて結合し、月別・商品別の売上集計表を作ってください。 元のファイルは変更せず、結果はreport_2026-09.xlsxとして保存してください。 最後に、合計金額が元データと一致しているか確認して報告してください。
月末の集計に使っていた時間を、数字から次の打ち手を考える時間に回せます。
【全職種】議事録からの決定事項とタスクの抽出
会議の文字起こしやメモから、決定事項・担当者・期限を抜き出す作業も任せられます。
文字起こしは分量が多く、読み返して要点を拾うだけで時間がかかります。Codexはフォルダ内の複数の議事録をまとめて読み、同じ形式に整えられます。
週次定例の議事録を読み込み、「決定事項」「担当者別タスク」「未決事項」に分けた一覧表を作る使い方が一例です。
minutesフォルダ内の9月分の議事録を読み、「決定事項」「担当者別タスク」「未決事項」の3つに分けた表をExcelで作ってください。 タスクには担当者名と期限を列として入れ、期限が書かれていないものは「期限未定」と記載してください。
会議後の整理が早く終わるため、タスクの抜け漏れを翌朝までに共有できます。
【全職種】フォルダ内のファイル整理とリネーム
散らかった共有フォルダの整理と、ファイル名の一括変更もCodexの得意分野です。
ファイルを1つずつ開いて中身を確認し、名前を付け直す作業は単純なのに時間がかかります。Codexはファイルの中身を読んだうえで、決めたルールどおりに分類できます。
請求書のPDFを「年月_取引先名_請求書.pdf」の形式にそろえ、月別フォルダに振り分ける依頼が一例です。
invoicesフォルダ内のPDFを読み、ファイル名を「2026-09_取引先名_請求書.pdf」の形式に変更して、月別のフォルダに振り分けてください。 変更する前に、変更前と変更後のファイル名の一覧を見せて、確認を取ってください。
必要なファイルをすぐに探せる状態になり、チーム全員が探す時間を減らせます。
【全職種】複数資料を読み込んだリサーチの下準備
社内資料やWebの情報を読み比べ、比較表や要点メモにまとめる下準備を任せられます。
リサーチは情報を集める時間が長く、考える時間が後回しになりがちです。Codexは複数のPDFやWebページを読み、指定した観点で整理します。
競合3社のサービス資料と公式サイトを読み、価格・機能・導入実績の観点で比較表を作る依頼が代表例です。
researchフォルダ内の競合3社の資料と、各社の公式サイトを読んでください。 価格・主な機能・導入実績の3つの観点で比較表を作り、各項目に参照したURLかファイル名を添えてください。
参照元を添えさせておけば、人が事実を確認する手間も減ります。比較結果から自社の打ち手を考える工程に時間を使えるでしょう。
【全職種】メールの仕分けと返信の下書き
Gmailのプラグインを使うと、受信メールの仕分けや返信の下書きも任せられます。
OpenAIの公式ドキュメントでも、Gmailプラグインでメールの返信や管理ができると紹介されています。返信は人が確認してから送る運用にすると、誤送信を防げます。
前日に届いた問い合わせを緊急度で分け、急ぎの分だけ返信の下書きを作る使い方が一例です。
昨日受信した問い合わせメールを「至急」「今週中」「対応不要」の3つに分類して一覧にしてください。 「至急」のメールには返信の下書きを作成し、送信はしないでください。
朝のメール処理が短くなり、午前中に集中できる時間を確保できます。
【営業】顧客データからの提案資料の叩き台
営業部門では、顧客情報や過去の提案書をもとに提案資料の叩き台を作れます。
提案書は顧客ごとに細部が違うものの、構成は毎回ほぼ同じです。過去の資料と顧客の情報を渡せば、構成と要点を顧客に合わせて組み替えられます。
商談メモと自社の提案テンプレートを読み込み、顧客の課題に合わせたスライド構成を作る依頼が代表例です。Google ドライブのプラグインを使えば、Googleスライド上での作業にも対応します。
proposalフォルダ内の商談メモと提案テンプレートを読み、顧客の課題に合わせた提案資料の構成案を10枚以内で作ってください。 各スライドのタイトルと要点を3行ずつ書き、テンプレートにない情報は推測で補わず「要確認」と記載してください。
叩き台づくりの時間を減らせるため、顧客ごとに提案の中身を磨く時間が増えます。
【営業】商談後のフォローアップ文面の作成
商談メモから、お礼メールや次回提案までのフォロー文面を作る業務も任せられます。
フォローは早く送るほど顧客の記憶に残りますが、商談が続く日は後回しになりがちです。メモを渡せば、話した内容に沿った文面を短時間で用意できます。
お礼・合意事項の確認・次回日程の候補を含むメール文面を作る依頼が一例です。Slackのプラグインを使えば、社内の関係者へ共有する文面も同時に作れます。
今日の商談メモを読み、顧客へのお礼メールを作成してください。 「合意した事項」「次回までの宿題」「次回日程の候補を3つ」を含め、社内共有用の3行の要約も別に作ってください。
商談当日のうちにフォローを送れるようになり、顧客の関心が高いうちに次の一手を打てます。
【マーケティング】アクセス解析データの週次レポート
マーケティング部門では、アクセス解析データから週次レポートを作る業務を任せられます。
毎週同じ形式でデータを出力し、グラフを作って所感を書く作業は手順が固定されています。手順が決まった業務ほど、Codexに任せたときの再現性が高まります。
Google アナリティクス 4から出力したCSVを読み込み、流入経路別の前週比をまとめる依頼が代表例です。後述するオートメーションと組み合わせれば、毎週の定期実行にも広げられます。
analyticsフォルダ内の今週と先週のCSVを読み、流入経路別のセッション数と前週比を表とグラフにまとめてください。 前週比で20%以上増減した流入経路があれば、表の下に箇条書きで示してください。
集計をCodexに任せることで、施策の改善案を考える時間を増やせます。
【マーケティング】LPや簡易Webページの試作
施策のアイデアを形にするLPや簡易Webページの試作もCodexで行えます。
以前はデザイナーやエンジニアへの依頼が必要でしたが、Codexは日本語の指示からWebページのファイルを作れます。技術寄りの作業のため、Codexモードで依頼するのが目安です。
新サービスのキャッチコピーと特徴3点を渡し、社内説明用の1枚のLPを試作する依頼が一例です。完成したページはブラウザで開いて確認できます。
新サービスの社内説明用LPを1ページのHTMLで作ってください。 キャッチコピーは「〇〇」、特徴は「〇〇」「〇〇」「〇〇」です。 スマートフォンでも読みやすいレイアウトにし、完成したらブラウザで表示を確認してください。
企画会議に実物を持ち込めるため、アイデアの合意形成が速くなります。社外に公開する場合は、社内の制作ルールに沿って確認を受けましょう。
【経理】予実データの突合と異常値チェック
経理部門では、予算と実績を突き合わせ、差異の大きい項目を洗い出す作業を任せられます。
突合は件数が多く、目視ではチェック漏れが起きやすい業務です。条件を言葉で渡せば、差異の大きい勘定科目を一覧で抜き出せます。
予算表と会計ソフトから出力した実績CSVを読み込み、差異の大きい科目を表にまとめる依頼が代表例です。
budgetフォルダ内の予算表と、9月の実績CSVを勘定科目ごとに突き合わせてください。 予算との差異が10%を超える科目を抜き出し、「科目」「予算」「実績」「差異率」「確認メモ」の列で表にしてください。 確認メモの列は空欄のままにしてください。
確認すべき項目が先に絞り込まれるため、月次決算の時間を原因の調査に集中させられます。最終的な判断は担当者が行いましょう。
【人事】応募情報の整理と面接日程の調整表
人事部門では、応募情報の一覧化と面接日程の調整表づくりを任せられます。
応募が増える時期は、応募内容を一覧に転記するだけで時間がかかります。ただし個人情報を扱うため、会社が契約したChatGPT BusinessやEnterpriseの環境で使うことが前提です。
応募フォームから出力したCSVを読み込み、職種別の応募者一覧と面接官の空き時間を並べた日程表を作る依頼が一例です。合否の判断はCodexに任せず、人が行います。
recruitフォルダ内の応募者CSVを職種別に分けた一覧表にしてください。 あわせて、interviewer.xlsxにある面接官の空き時間と照らし合わせ、面接候補日を3つずつ並べた日程調整表を作ってください。 応募者の評価や順位付けはしないでください。
転記と調整の作業が減るため、候補者との面談準備に時間を使えます。
【企画・管理】業務マニュアルとFAQの作成
企画・管理部門では、既存の資料から業務マニュアルや社内FAQを作る業務を任せられます。
マニュアルは必要とわかっていても、作成に時間がかかり後回しにされがちです。手順メモや過去の問い合わせ履歴を渡せば、構成を整えた文書に仕上げられます。
経費精算の手順メモと社内問い合わせの一覧を読み込み、手順書とよくある質問を1つの文書にまとめる依頼が代表例です。
manualフォルダ内の経費精算の手順メモと、問い合わせ一覧.xlsxを読んでください。 新入社員向けの手順書を作り、問い合わせの多い質問を10個選んで、回答付きのFAQとして末尾に加えてください。 手順メモにない内容は書かず、「要確認」と記載してください。
同じ質問への対応が減り、担当者が不在でも業務が回る状態に近づきます。
Codexに任せる業務は4つの基準で選ぶ
Codexに任せる業務を選ぶ基準は以下の4つです。
- 繰り返しの頻度が高い
- ミスを後から確認できる
- 材料がファイルやデータでそろっている
- 完成の基準を言葉にできる
4つすべてに当てはまる業務から始めると、最初の依頼で成果を実感しやすくなります。
繰り返しの頻度が高い
毎週・毎月など繰り返し発生する業務ほど、Codexに任せる効果が大きくなります。
依頼文を一度作れば次回から使い回せるため、回数を重ねるほど1回あたりの手間が減るからです。
月次の売上集計や週次のレポートは、同じ依頼文で毎回処理できます。一方、年に1回しか発生しない業務は、依頼文を作る手間のほうが大きくなりがちです。
頻度の高い業務から任せると削減した時間を実感しやすく、社内へ効果を説明する材料にもなります。
ミスを後から確認できる
結果が正しいかを人が後から確かめられる業務は、安心して任せられます。
Codexの成果物には誤りが含まれる可能性があるため、確認の手段がない業務ではリスクが残るからです。
集計であれば、合計値を元データと照らし合わせて確認できます。
しかし、顧客への自動送信や支払処理のように、実行した後に取り消せない業務は向きません。
確認できる業務に絞っておけば、誤りがあっても影響が出る前に止められます。
材料がファイルやデータでそろっている
作業に必要な情報がファイルやデータの形でそろっている業務が向いています。
Codexは渡された材料をもとに作業するため、担当者の頭の中にしかない情報は使えないからです。
CSVや議事録のファイルがある集計・整理の業務は任せやすいといえます。反対に、取引先との関係性を踏まえた判断のように、記録に残っていない情報に頼る業務は向きません。
材料の有無で判断しておけば、依頼した後に「情報が足りない」とやり直す手間を防げます。
完成の基準を言葉にできる
「何ができたら完成か」を言葉で説明できる業務は、期待どおりの成果物になりやすい業務です。
完成の基準が曖昧だと、Codexは推測で作業を進めるため、意図と違う結果になりやすいからです。
「月別・商品別の表で、最下行に合計がある」のように条件を書ける業務は向いています。「見栄えのよい企画書」のように人によって評価が分かれる業務は、構成案づくりまでに範囲を絞りましょう。
基準を言葉にする作業そのものが、依頼文の質を上げる準備になります。
Codexを業務で使い始める4ステップ
Codexを業務で使い始める手順は以下の4ステップです。
- 【ステップ1】ChatGPTアプリでCodexを開く
- 【ステップ2】作業用フォルダを指定する
- 【ステップ3】小さな業務を1つ依頼する
- 【ステップ4】結果を確認して依頼文を直す
最初は1業務だけに絞って進めると、つまずく箇所を特定しやすくなります。
【ステップ1】ChatGPTアプリでCodexを開く
Codexは、ChatGPTのデスクトップアプリから使います。アプリはmacOS・Windows・Linuxに対応しています。
- OpenAIの公式サイトからChatGPTのデスクトップアプリをダウンロードする
- アプリを開き、ChatGPTのアカウントでサインインする
- 画面左上のメニューで「Work」または「Codex」のモードを選ぶ
2026年7月のアップデートで、従来のCodexアプリはChatGPTのデスクトップアプリに統合されました。以前のCodexアプリを使っていた場合も、同じアプリからモードを切り替えて使えます。
出典:「ChatGPT ワーク」を発表(窓の杜)
CodexとChatGPT Workは、Free・Go・Plus・Pro・Business・Edu・Enterpriseの各プランに含まれています。業務で使う場合は、会社が契約しているアカウントがあるかを先に確認しましょう。
出典:Pricing(OpenAI)
会社のアカウントで始めておけば、後から部署全体へ広げるときの手戻りを防げます。
【ステップ2】作業用フォルダを指定する
次に、Codexに作業させるフォルダを1つ決めて指定します。
Codexは指定したフォルダを作業場所として、ファイルの読み書きを行います。初期設定では操作できる範囲が作業フォルダ内に制限され、それを超える操作には承認を求められます。
- デスクトップなどに業務用の新しいフォルダを作る
- 作業に使うファイルのコピーだけをフォルダに入れる
- アプリでプロジェクトを作成し、作ったフォルダを開く
元のファイルではなくコピーを渡しておけば、万一の上書きや削除があっても元データは守られます。
【ステップ3】小さな業務を1つ依頼する
フォルダを開いたら、15分ほどで終わる小さな業務を1つ依頼します。
最初から大きな業務を任せると、うまくいかなかったときに原因を特定しにくくなるためです。前述の4つの基準に当てはまる業務から選びましょう。
たとえば、フォルダ内のファイルを一覧にする依頼は、失敗しても影響がなく最初の練習に向いています。
このフォルダ内にあるファイルの一覧を作ってください。 ファイル名・ファイルの種類・中身の要約1行を列にして、file_list.xlsxとして保存してください。
作業中にCodexから質問や承認の確認が表示されたら、内容を読んでから答えます。小さな成功を1回経験すると、次に任せる業務を具体的に考えられるようになります。
【ステップ4】結果を確認して依頼文を直す
作業が終わったら、成果物を確認し、うまくいかなかった点を依頼文に反映します。
Codexの成果物は依頼文の書き方で大きく変わるため、確認と修正を繰り返すほど精度が上がるからです。
- 保存されたファイルを開き、中身を元データと見比べる
- 違っている点があれば、同じ画面で修正を依頼する
- 最終的にうまくいった依頼文をメモに残す
残した依頼文は、後述するスキルとして登録できます。同じ業務を次回から一言で頼める状態への第一歩になります。
Codexへの業務の頼み方は5つの要素で決まる
Codexへの依頼文に入れる要素は以下の5つです。
- 目的と成果物の形式
- 使う材料の場所
- 守ってほしいルール
- 完成の判定基準
- 確認を挟むタイミング
5つの要素をまとめた依頼文のテンプレートは以下のとおりです。
【目的】〇〇のために、〇〇を作ってください。 【成果物の形式】ファイル形式:〇〇/ファイル名:〇〇/構成:〇〇 【使う材料】〇〇フォルダ内の〇〇ファイル 【守ってほしいルール】元のファイルは変更しない/〇〇 【完成の判定基準】〇〇が含まれていること/〇〇が元データと一致すること 【確認のタイミング】作業を始める前に計画を見せ、ファイルの削除や上書きの前には確認を取ってください。
5つの要素をそろえるだけで、やり直しの回数を大きく減らせます。
目的と成果物の形式
依頼文の最初には、何のために、どの形式で作るのかを書きます。
目的がわかると、Codexは表の粒度や強調すべき点を判断しやすくなります。形式を指定しないと、画面上の回答だけで終わりファイルが残らないこともあります。
「売上を集計して」ではなく、「部長会議で共有するため、A4用紙1枚に収まるExcelの表で保存して」と伝えましょう。ファイル名まで指定すると、後で探す手間も省けます。
目的と形式を先に示すことで、そのまま会議に出せる成果物に近づきます。
使う材料の場所
作業に使うフォルダ名やファイル名を、依頼文の中で明示します。
材料があいまいだと、Codexが古いファイルや関係のないファイルを読んでしまうことがあるからです。
「salesフォルダ内の2026年9月分のCSVだけを使って」のように範囲を絞りましょう。同じ名前のファイルが複数ある場合は、最新版がどれかも伝えます。Workモードでは、@に続けてプラグイン名を入力すると、Google ドライブなど参照先のツールを指定できます。
材料を正確に指定しておけば、数字の取り違えによる手戻りを防げます。
守ってほしいルール
作業のなかで守ってほしいルールは、箇条書きで具体的に伝えます。
人なら暗黙の了解で守れる社内ルールも、Codexには伝えない限りわからないからです。業務でよく使うルールには以下のようなものがあります。
- 元のファイルは変更せず、別名で保存する
- 金額は税込で表記し、千円単位で丸める
- 顧客の個人名は出さず、顧客IDで表記する
- 資料にない情報は推測で補わず「要確認」と書く
毎回同じルールを使う場合は、後述するAGENTS.mdにまとめると依頼文を短くできます。
完成の判定基準
「どうなっていれば完成か」を、確認できる条件として書きます。
判定基準があると、Codexは作業の最後に自分で結果を確かめ、足りない点を直してから報告します。人が確認する観点もはっきりします。
「合計金額が元データと一致すること」「全支店が含まれていること」のように、はい・いいえで判断できる条件が理想です。「確認した結果も報告して」と添えれば、Codexが検証した内容も読めます。
判定基準を渡しておくと、人の確認作業が短くなります。
確認を挟むタイミング
取り返しのつかない操作の前には、必ず確認を挟むよう指示します。
Codexは作業を自分で進めるため、指示がなければファイルの上書きや整理を一気に実行する場合があるからです。
「作業を始める前に計画を見せて」「ファイルを削除・上書きする前に一覧で確認を取って」と伝えましょう。メールやSlackを使う業務では、「送信は下書きまでにして」と加えます。
確認のタイミングを決めておけば、任せる範囲を広げても安心して見守れます。
Codexの業務活用を定着させる4つの機能
Codexの業務活用を単発で終わらせないための機能は以下の4つです。
- AGENTS.md:社内ルールを最初に覚えさせる
- スキル:同じ手順の業務を同じ品質で回す
- プラグイン:SlackやGoogle ドライブと連携する
- オートメーション:定例業務を決まった時間に実行する
単発の依頼から手順化、定期実行へと順に取り入れると、無理なく業務に定着します。
AGENTS.md:社内ルールを最初に覚えさせる
AGENTS.md(エージェンツ・エムディー)は、Codexへの追加の指示や前提情報を書いておくファイルです。
作業フォルダに置くと、Codexは作業の開始時に内容を読み込みます。毎回の依頼文に同じルールを書く必要がなくなります。
業務で使う場合は、以下のような社内ルールをまとめておくと便利です。
# 作業ルール - 元のファイルは変更せず、結果は「output」フォルダに別名で保存する - 金額は税込で表記する - 顧客の個人名は出さず、顧客IDで表記する - ファイルを削除・上書きする前に、必ず確認を取る
ルールをファイルで共有しておけば、チームの誰が依頼しても同じ基準で作業させられます。
出典:AGENTS.md(OpenAI)
スキル:同じ手順の業務を同じ品質で回す
スキルは、繰り返す業務の手順や形式を登録しておく機能です。
OpenAIは、週次の報告やキャンペーン概要、会議後のフォローなど、手順と形式が毎回同じ業務に向いていると説明しています。
- 繰り返す業務を1つに絞る
- Codexで「$skill-creator」と入力し、目的・手順・出力形式を説明する
- 作られた下書きを試し、必要に応じて直す
- インストールして、次回から「$スキル名」で呼び出す
ChatGPT Workでは「@skill-creator」で同じようにスキルを作れます。ワークスペースの設定で許可されていれば、チームで共有することも可能です。
出典:Skills and plugins(OpenAI)
ステップ4で残した依頼文をスキルにすれば、担当者が替わっても同じ品質で業務を回せます。
プラグイン:SlackやGoogle ドライブと連携する
プラグインは、普段使っている業務ツールとCodexをつなぐ機能です。
プラグインにはスキルと外部サービスへの接続がまとめられており、フォルダ内のファイル以外の情報も扱えるようになります。
OpenAIの公式ドキュメントでは、業務向けのプラグインとして以下が紹介されています。
- Gmail:メールの返信や整理
- Google ドライブ:ドキュメント、スプレッドシート、スライドでの作業
- Slack:チャンネルの要約と返信の下書き
- GitHub:開発タスクの管理
アプリのプラグイン画面で目的のプラグインを探し、「+」を選ぶとインストールできます。ツール間のコピペ作業が減り、情報をまたいだ業務も任せられるようになります。
出典:Plugins(OpenAI)
オートメーション:定例業務を決まった時間に実行する
オートメーションは、決まった時間やきっかけで作業を自動実行する機能です。
毎日・毎週といった時間での設定に加え、GmailやSlackでの出来事をきっかけに実行することもできます。依頼し忘れがなくなり、定例業務を人が起動する手間も省けます。
毎日の受信メールの要約や、週次のプロジェクト進捗レポートが代表例です。前述のアクセス解析レポートを毎週月曜の朝に作らせる使い方もできます。
ただし、デスクトップアプリでパソコン内のファイルを使う場合は、実行時にパソコンを起動しアプリを開いておく必要があります。Web版で設定すればクラウドで実行されるため、パソコンの起動は不要です。
出典:Automations(OpenAI)
定期実行まで仕組み化できれば、定例業務を人が意識しなくても回る状態に近づきます。
Codexを業務で使うときの4つの注意点
Codexを業務で使うときの注意点は以下の4つです。
- 機密情報を渡すルールを決める
- 成果物を人が最終確認する
- ファイル操作の権限を絞る
- プランごとの利用枠を把握する
注意点を知らずに使うと、情報漏えいや誤った数値の資料提出につながりかねません。
機密情報を渡すルールを決める
Codexに渡してよい情報と渡してはいけない情報を、使い始める前に社内で決めておきます。
OpenAIは、ChatGPT Business・Enterprise・Eduのデータを初期設定でモデルの学習に使わないと公表しています。一方、個人向けプランでは設定を自分で確認する必要があります。
出典:Business data privacy, security, and compliance(OpenAI)
社内ガイドラインでは、以下のような情報の扱いを具体的に決めておきましょう。
- 顧客や応募者の個人情報
- 公表前の決算情報や経営計画
- 取引先との契約書や見積書
ルールが明確であれば、現場が迷わずに安心して使えるようになります。
成果物を人が最終確認する
Codexが作った成果物は、社内外に出す前に必ず人が確認します。
Codexは作業を正確に進めることが多いものの、材料の読み違いや計算条件の取り違えが起きる可能性は残ります。
集計なら合計値を元データと照らし合わせ、リサーチなら参照元のURLを開いて内容を確かめましょう。とくに顧客への提出資料や経営層への報告資料は、担当者の確認を必須にします。
確認の工程を組み込んでおけば、誤った数字が上司や顧客に届く事態を防げます。
ファイル操作の権限を絞る
Codexに与える権限は、業務に必要な範囲だけに絞ります。
Codexの初期設定では、操作は作業フォルダ内に制限され、インターネットへのアクセスもオフになっています。承認を求められた操作は、内容を読んでから許可しましょう。
出典:Agent approvals & security(OpenAI)
とくにコンピューター操作の機能は、作業フォルダの外にあるアプリにも影響します。ログイン済みのWebページでCodexが行ったクリックや送信は、自分のアカウントの操作として扱われます。
出典:Computer use(OpenAI)
作業用フォルダにはコピーだけを置き、権限の範囲を絞っておくと、意図しない変更や送信を防げます。
プランごとの利用枠を把握する
Codexにはプランごとに利用枠があり、上限に達すると作業が止まります。
ChatGPT WorkとCodexは同じ利用枠を使うため、両方を使うと想定より早く上限に届くことがあります。PlusやProでは、上限に達した後にクレジットを購入して作業を続けられます。
月末の集計など作業が集中する時期の前に、設定画面で利用状況を確認しておきましょう。部署で使う場合は、利用量に応じたプラン選びも必要です。
出典:Using Codex with your ChatGPT plan(OpenAI)
利用枠を把握しておけば、業務の山場で作業が止まる事態を避けられます。
Codexの業務活用に関するよくある質問
Codexの業務活用に関する質問は以下の5つです。
- Codexは無料プランでも業務に使える?
- プログラミングの知識がなくても使える?
- Claude Codeとの違いは?
- Windowsでも使える?
- 会社で導入するならどのプランがよい?
質問に対する回答を確認して、社内でCodexを使い始める際の参考にしてみてください。
Codexは無料プランでも業務に使える?
CodexはChatGPTのFreeプランにも含まれています。ただし利用枠が小さいため、試用向けと考えましょう。
公式の料金ページでは、GoはFreeより広い枠で月8ドル、Plusは月20ドル、Proは月100ドルからと案内されています。継続して業務に使うなら、Plus以上か会社契約のBusinessが現実的です。
料金は公式サイトの米ドル表記のため、税の扱いは契約時に確認してください。
出典:Pricing(OpenAI)
プログラミングの知識がなくても使える?
プログラミングの知識がなくても使えます。依頼はすべて日本語の文章で行えます。
Codexモードでは、作業の途中でコードやコマンドが表示されることがあります。内容を理解する必要はなく、完成した成果物を確認すれば十分です。
技術的な表示が気になる場合は、成果物を優先して示すWorkモードを使うと、資料や表の作成に集中できます。
Claude Codeとの違いは?
Claude Codeは、Anthropic社が提供するAIエージェントです。ファイルを読み書きして作業を進める点はCodexと共通しています。
大きな違いは提供元と契約の形です。CodexはChatGPTの各プランに含まれるため、すでにChatGPTを契約している会社なら追加の契約なしで試せます。
どちらを選ぶかは、社内で使っているAIサービスの契約や、情報システム部門のルールに合わせて判断しましょう。
Windowsでも使える?
ChatGPTのデスクトップアプリはWindowsにも対応しており、Codexを使えます。macOSやLinuxでも利用可能です。
ただし、コンピューター操作の機能をWindowsで使う場合は、Codexがマウスやキーボードを操作します。その間、人は同じパソコンで別の作業をしにくくなる点に注意しましょう。
出典:Computer use(OpenAI)
会社で導入するならどのプランがよい?
部署やチームで導入するなら、ChatGPT Businessから検討するのが一般的です。
Businessは年間契約で1ユーザーあたり月20ドル、2ユーザーから契約できます。専用のワークスペースやシングルサインオンに対応し、データは初期設定で学習に使われません。
全社で大規模に使う場合は、監査ログなどの管理機能を備えたEnterpriseが選択肢です。料金は営業窓口への問い合わせで確認します。
出典:Pricing(OpenAI)
Codexは小さな定型業務から任せると成果が出やすい
Codexは、ファイルを読み書きして成果物まで仕上げるAIエージェントです。Excel集計や議事録の整理、提案資料の叩き台など、職種を問わず業務を任せられます。
任せる業務は、頻度・確認のしやすさ・材料・完成の基準の4つで選びます。依頼文には、目的と形式、材料、ルール、判定基準、確認のタイミングを入れましょう。
まずは今週の業務から4つの基準に当てはまるものを1つ選び、本記事のテンプレートで依頼してみてください。
1つの業務で成果が出たら、次はスキルやオートメーションでチームの業務へ広げる段階です。その際には、社内ガイドラインと利用プランの整備が次の課題になるでしょう。
出典・参考リンク
- OpenAI「Codex for every role, tool, and workflow」 https://openai.com/index/codex-for-every-role-tool-workflow/
- OpenAI「Use ChatGPT」 https://learn.chatgpt.com/docs/use-chatgpt
- OpenAI「Get started with ChatGPT Work」 https://learn.chatgpt.com/docs/get-started-with-work
- OpenAI「Pricing」 https://learn.chatgpt.com/docs/pricing
- OpenAI「AGENTS.md」 https://learn.chatgpt.com/docs/agent-configuration/agents-md
- OpenAI「Skills and plugins」 https://learn.chatgpt.com/docs/skills-and-plugins
- OpenAI「Plugins」 https://learn.chatgpt.com/docs/plugins
- OpenAI「Automations」 https://learn.chatgpt.com/docs/automations
- OpenAI「Agent approvals & security」 https://learn.chatgpt.com/docs/agent-approvals-security
- OpenAI「Computer use」 https://learn.chatgpt.com/docs/computer-use
- OpenAI「Business data privacy, security, and compliance」 https://openai.com/business-data/
- OpenAI Help Center「Using Codex with your ChatGPT plan」 https://help.openai.com/en/articles/11369540-using-codex-with-your-chatgpt-plan
- 窓の杜「ChatGPT ワーク」を発表 https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/2124021.html




















