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2016.10.11

転職者だけじゃない?企業もAIレコメンドに期待を示し始めた「キャリアトレック」

最終更新日:

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 若手向けの転職サイトが多くある中、ビズリーチが運営する「キャリアトレック」のターゲットは未だキャリアの軸が定まってない人も多い20代。キャリアトレックは、人工知能を活用することで、そんな若手も上手く自身にフィットする仕事探しができるサポートしています。
 今回はAINOW編集部のくぼちが、キャリアトレックのプロダクト責任者の鈴木康弘さんにお話を伺いました。初期のユーザー体験を良くするための工夫や、求職者と企業をつなぐ立場にあるがゆえの大変さなども見えてきました。

期待はずれ、ってならないの?

くぼち

イキナリなんですけど、「人工知能がレコメンド」をキャッチフレーズにしていますが、こういった見せ方をすると、「なーんだ」と早々に離れていってしまうユーザーさんが多く出てきたりしませんか?

鈴木さん

全てのユーザーの期待にお応えするには、まだまだ改善が必要です。ただ、現時点でも「自分では見つけられなかった仕事に出合えた」と価値を感じてくださる方も多くいらっしゃいます。

鈴木さん

キャリアトレックは、ユーザーの志向性や希望に基づいて毎日10個の仕事を提案し、ユーザーはそれらを「興味がある」or「興味がない」で判断します。このデータの蓄積によりユーザーにとって魅力的な求人を提案することができますが、特に登録時点では、ベストな仕事を提案するために十分なデータがまだ蓄積されていないコールドスタートの状態。ここは一番苦労していますが、様々なアルゴリズムを組み合わせて工夫しています。

くぼち

そういえば、リリース時点ではユーザー登録直後に「キャリア診断」で志向性を測定して、初期のレコメンドのもとになるデータを取得していたようですが、今はコンテンツの一つのような見せ方に変更されて、あまり積極的に回答させていませんよね。

鈴木さん

もちろん今でも「キャリア診断」のデータは活用しているのですが、登録時のレジュメ等の情報だけである程度は志向性を掴めるようになりました。

くぼち

初期の精度は保ちつつ、極力負荷をかけずにユーザーに期待を持たせられるように注力しているのですね。

企業側も人工知能に興味を持ち始めた

くぼち

人工知能の活用に関して、企業側の反応はいかがですか。

鈴木さん

キャリアトレックにはG-MARCH以上の学歴の30代手前の人材が集まっていますので、当初は人工知能よりも、若手優秀層がそろっているデータベースとしての価値の方が大きいようでした。

くぼち

採用する側である企業からしたら、一見、あんまり関係なさそうに見えますもんね。

鈴木さん

じつは最近、企業側の管理画面で「求職者レコメンド」を開始しました。その企業の募集ポジションでマッチングしやすいと思われるユーザーさんを表示します。こちらも使うほどに段々とレコメンドの精度が上がっていきます。アルゴリズムはユーザー側の画面で使っているものを応用しています。条件から検索する通常のスカウトとは異なり、企業にとっても新しい発見が得られると喜んでいただいています。

くぼち

なるほど!実際に使ってみるとわかる価値、かもしれませんね。

描く未来

くぼち

キャリアトレックが目標としている世界観を教えてください。

鈴木さん

まだ自身のキャリアの軸が決まっていない社会人2~3年目の方にとって、大手ナビサイトは情報量が多すぎて精査しにくいかと思います。そこで一生懸命探そうとして転職疲れを感じてしまう人も多いと聞きます。

鈴木さん

キャリアトレックでは、「自分で探さなくても理想の仕事に出合える」転職を目指しています。人工知能がキャリアコンサルタントのように求人を薦め、ユーザーの反応を見ながら提案の精度を高めていく。そのやりとりの中で、ユーザーが「やりたいこと」に気づけるようなサービスを目指しています。

くぼち

「気づく」仕掛け、みたいなものはあるのですか?

鈴木さん

レコメンド精度が上がり、求人を通して気づきが得られるという声をいただけています。また先日より、新機能として求人をレコメンドする際に「なぜおすすめなのか」という理由を表示するようにしました。

くぼち

ひとつひとつの求人で興味の有無を評価する…というのは少し作業的だなと思っていたのですが、理由が出れば立ち止まって自身のキャリアについて考えられそうですね。大変興味深いお話をありがとうございました。

編集後記

キャリアトレックのように人工知能をウリにしたサービスでも、企業側にとっては「人工知能のサービス」という印象をあまり持たれていなかったというのは驚きました。求人レコメンドの為に開発したアルゴリズムを、企業側の”求職者レコメンド”にも応用しているのも面白いですね。複数のサービスを展開されるビズリーチさんですが、エンジニアの横の連携も積極的で、展開するサービスで上手くいったアルゴリズムは積極的に他のサービスにも導入しているようですよ。

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