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2017.05.29

医療画像の解析精度99.6%を叩き出す秘訣はデータの前処理に! 全脳アーキテクチャ若手の会 カジュアルトークVol.24

最終更新日:

GW直前、エルピクセル株式会社にて開催された全能アーキテクチャ若手の会主催のカジュアルトーク勉強会に参加してきましたよ。
開催場所は、数々の有名なAI企業を排出している、東京大学のアントレプレナープラザ。
今回、参加された方は主に社会人の方が中心でした。

イベントの動画はコチラから。

エルピクセル株式会社について

エルピクセル株式会社は、ライフサイエンス領域の画像解析に強みを持つ東京大学発のベンチャー企業です。医療・製薬・農業などのライフサイエンス領域における画像解析に人工知能技術を最適化することで、最高精度のソフトウエアを開発してきました。現在、国立がん研究センターをはじめ複数の医療機関と連携し、人工知能を活用した医療画像診断支援の研究開発を進めています。

ホームページ: https://lpixel.net

エルピクセル(株) 医療事業本部GM 豊則 詩帆

「人工知能を活用した医療画像診断支援ソフトウェア」

10年間エンジニアとして働いた後、エルピクセルにジョインしたという豊則さんから事業内容について、講演頂きました。
現在の事業内容としては、以下の通り
・脳の構造解析
・医療画像解析による病状の診断
・細胞の毒性検査

特に強いのは画像解析の分野
99.6%程度の精度で医療画像を自動で診断できるそう。

現在は、マンモグラフィー・CT・MRIなどの医療画像の診断を受ける機会が増加傾向にある。
しかし、医療画像を判断する放射線科医は国内で医師全体の3%程度しかいないのだとか。(H26 12/31)

中盤では、未破裂脳動脈瘤をテーマにどのくらい疾患を発見できるのかご説明頂きました。
現在の、ベテラン医師による診断でも発見できる確率は64%、36%は見逃されている可能性がある….

エルピクセルでは、高い精度を出すため、前処理に時間を割くことを大事にしているそうです。
課題としては以下の2点
・データを増やす
・少ない症例数で予測できるようにする

どの分野でも精度を出すための課題は共通ですね。
コレだけ高い精度が出せるのだから、エルピクセル社の前処理工程における技術力の高さを改めて実感しました。

WBA若手の会 社会人支部代表 芦原佑太

「ライフサイエンスを囲むAIの周辺技術とその取り組み」

最近はAIという名前が先行して、適材な場所で活用されず失望してしまう例が増えてきた。本来は活用次第では十分に成果が期待できるのに、ブームにのるだけのサービスでは非常に残念に思うそう。

冒頭よりAIブームに関する危惧感をお話しされたクロスコンパスの芦原さん
今回はヘルスケア領域のAI導入について、最近の動向を報告頂きました。

昔のエキスパートシステムを自動化していくようにした感じ、特にワトソンを用いた医師サポートという面では十分機能してきている。
アルゴリズムに関しては、海外から優秀な分析サービス、アルゴリズムが登場してきているので、日本のエンジニアが目指す領域として、データを作成したり、前処理する分野から着手する方が成果にも繋がるのではと考えているそう。

そして、ヘルスケアの分野では、モデルとデータをつなぐ中間の役割が重要とのこと。
例えば、入院患者のライフログは存在するので、通院患者のライフログを取れるようにした方がそもそもの予兆を予め捉えることができるのでは?
このように、モデルを理解した上で取得するデータを設計できるエンジニアが活躍できそう。その為、今後はHealth Data から Health Dialogになるのではと言われている。

現在はプログラマーがアルゴリズムとデータでどうするかを議論しているがやはり、データを作る価値を見つけていけるといい。
そういった人材が貴重になってくるはずとの事でした。

WBA若手の会 副代表 島田大樹

「深層学習と自動診断システム」

機械学習はヒトの命を救えるのか考えてみたい。
乳がんを発見すると言われているのは、線虫・ハト・Deep Learningがあるとしたら何を信じますか?大変ユニークな質問から始てくださった島田さん

実はどの方法を選択しても、同等の精度が出ると研究されているのだとか。。
これにはとても驚きました!

現在の画像診断技術も進んでおり、メラノーマの自動診断コンペディションも開始されるそうです。画像解析は、領域分析・病変パターン抽出・診断の3タスクで行われており、性能も医者の判断と同等程度になってきているそう。今回は医療診断における深層学習を用いる際の課題や注意点を詳しくお話いただきました。

・Deep Learningは医者の夢を見るのか?
画像解析技術の進歩によって、医療も進んでいるが、データ数が少ない症例への適応は困難であるそう。これまでの医学知見は活かされず、誤認識の存在も大きいのだとか。

・課題解決に向けたアプローチ案
学習に活用できるデータが少ない場合、現在では2つの方法でデータを作成して増やす方法も選択できる。1つ目は、データを複製する「Data Augmentation」。回転させたり、色をいじったりする事でデータを増やすのだとか。そして、2つ目は、データを転写する「Transfer Learning」。あらかじめ全然違うデータで学習させて、古典的な特徴量と組み合わせる。最近話題になっているGANという手法で画像を生成するアプローチも研究されているそう。

 

まとめ

業界では大変有名なエルピクセル株式会社で医療×深層学習の実例を学ばせて頂きました。ベテランの医師しかできなかった診断がAIによって標準化されることで、さらに進む高齢化・長寿社会において非常に大きな役割果たしてくれそうです。しかし、カルテの電子化や患者のライフログといったデータはまだ取得出来ない部分も大きいです。その為、既存の業務や生活環境ITで自動化して、データ取得に目を向けていくことが大事になりそうです。

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