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2017.11.08

Google Homeで利用できる「ベストティーチャー」に聞いた、AIスピーカーのUXの設計の難しさ

最終更新日:

10月6日にGoogle Homeが日本で発売を開始したことは記憶に新しいだろう。
10月は他にもLINE Clova WAVEが発売されるなどAIスピーカーが大きく世間の話題になった。

Google Homeの特徴はいくつかあるが、国内で現在発売されているLINE Clova Waveとの違いは「第三者がサービスを提供できる」点だ。

今回、オンライン英会話スクール「ベストティーチャー」がGoogle Homeに対応したということで取材してきた。

ベストティーチャー

Speaking & Writingを一流講師から学べる24時間体制のオンライン英会話サービスを提供する。読む、書く、聞く、話すの4技能をバランス良く学ぶことを目指し、Skypeを活用した一流講師との通話などで実践的に学ぶことができる。

取材させていただいたのはこの2人。

宮地俊充さん

1981年静岡県生まれ。青山学院大学法学部卒。大学時代から作家活動を開始し、電波少年的放送局企画部 放送作家トキワ荘などに出演。大学卒業後、会計士試験合格。世界最大の会計事務所PwC、独立系M&AファームのGCAサヴィアン、EC系ITベンチャーのCFOを経て、2011年に英語4技能対策オンライン英会話スクールを運営する株式会社ベストティーチャーを創業。 ベネッセ、Z会、旺文社、ジャパンタイムズなど教育系大手と提携し、革新的なオンライン学習サービスを開発。2016年8月にSAPIX YOZEMI GROUPに参画。 現在ベストティーチャーでAI、IoTVR/AR/MTといった新規事業に取り組む傍ら、営業・マーケティング・ファイナンス・サービス開発・人事などのベンチャー支援を有志で行う。

甲斐 宏味さん

株式会社ベストティーチャーにてサーバサイドエンジニアに従事。以前は6年近いSEの経験を経て、電気通信大学にて夜間大学生と当社エンジニアの二足の草鞋を履いていたが、2017年3月に卒業。
好きな戦国武将は立花宗茂で、福岡在住時にゆかりの地を面倒臭がって探訪しなかったことを現在本気で後悔している。

「ベストティーチャー」AIスピーカーで英語の勉強が可能に

どのように使うのか!?

Google Homeで利用可能になったのは「ベストティーチャーから生まれた英語リスニングドリル100選」という教材。

以下のように利用できる。

利用手順
1.「OK Google, ベストティーチャーと話す」とスピーカーに呼びかける
2.Web版ベストティーチャーのレッスン内で作成された英語の会話文が読み上げられる
3.会話文の理解度を確かめる問題が3問出題される
4.回答は1、2、3、4の四択でスピーカーに話しかける
5.次の会話文に進むか、終了するかをスピーカーに話しかける

参考

実際にGoogle Homeを使って、ベストティーチャーを体験させてもらった。
OK Google, ベストティーチャーと話す」と呼びかけると、まずベストティーチャーについての説明が男性の声で読み上げられ、問題がスタートする。

難易度は少々高めだろうか。なんとかクリアすることができた。ちゃんと聞き取れるようになると、しっかりとしたリスニングスキルが定着しそうだ。今回は流れた会話をもとに、その会話がどの場所で行われているかを4択で答えるという問題だった。

リビングなどにおいてあるGoogle Homeに話しかけるだけでリスニングの体験ができるというのは気軽。

導入に至るまでの経緯

宮地さん

夏頃に英語系のアプリを開発してみないかということで、Googleさんからお話をいただきました。

甲斐さん

開発に関しては音声認識や自然言語処理の根幹はGoogleのDialogflowがやってくれるため、GUIで簡単に設定ができます。エンジニアはバックエンドに集中すればいいので大きな苦労はないと思います。

しかし、一点だけ大変だったのが音声モードに関することです。日本語モードでGoogle Homeに英語を話させると「マイ ネーム イズ ジョン」のように日本語読みをしてしまいます。そのため、英語データをMP3の音声データとして流れるように工夫するところが大変でしたね。量も多いので遅延が少ないように再生させるのは大変でした。

アプリ公開前には、Googleの担当者の審査やフィードバックがあったという。

こちらはActions on Googleの日本語版について詳しく書いてあるGoogle Developers Japanの記事。詳しく記載されているのでチェックしてほしい。

他にも11社が参画するActions on Google

2017年11月1日時点で11社のサービスがGoogle Home上で使用可能になっている。
Google Homeの日本国内販売開始に合わせて、サードパーティデベロッパー向けのプラットフォーム「Actions on Google」が日本語環境での利用へ対応したことがきっかけだ。

どのサービスも「OK Google,(アプリ名)」と話す」と呼びかけることでサービスがActions on Googleによって起動する仕組みになっている。

ベストティーチャーの英会話サービス以外にも、グルメや地図情報、特売情報やレシピなど生活する上で便利な情報が手に入れられる。

導入したアプリは以下にまとめてある。

  • Ameba

  • SUUMO

  • 絶対音感オーケストラ

  • 食べログ

  • トクバイ

  • なみある?

  • 日本史語呂合わせ

  • ベストティーチャー

  • ホットペッパーグルメ

  • Yahoo! MAP

  • 楽天レシピ

残される課題 UXデザインはどのように?

AIスピーカーは、まだ世に出て日が浅い。そのため、UXの設計が追いついていない部分もあるという。

前述のようにGoogle Homeが日本語設定のときはGoogle Homeは片言の英語を話してしまうなど、まだ課題がありそうだが、お二人は何を課題と感じているのだろうか。

宮地さん

話しかけているのに、認識してくれているのかどうかがわからないことがあります。例えば正解なのか不正解なのかを判断している状態なのか、そもそも答えを受け付けていない状態なのかがわからないということです。Google Homeの上部のライトがぐるぐる回っていれば受け付けている合図で、それを理解すればいいのですが、わざわざチェックするのがめんどくさいです。例えば、相槌を打ってくれるなどしたらわかりやすくなると思います。他には考え中のときは「考え中」と言ってくれたりですかね。

宮地さん

毎回「OK Google」と言わなければいけないのも大変だと思います。

甲斐さん

「そうですね。どういうUXがいいのか手探り状態です。実機で動作を確認してみると、「これはシミュレータとは挙動が違うな」と戸惑ったこともありました。UXがしっかりしないと継続性が低下してしまいます。

宮地さん

ユーザのみなさんはAIスピーカーを使うのが初めてですよね。なので、使ってどうだったのかというフィードバックがほしいですね。それを元に高速で改善していきたいです。

宮地さん

今後は問題のレベル分けなどもして、個人に合わせたサービス提供をしていきたいと考えています。それは、レベルをユーザに指定してもらうのか、クリアした難易度に合わせて変えるのか、話者識別をして難易度を調整するのかは決まっていません。しかし、日本のユーザーが今後どのようにスマートスピーカーを利用するかを注視しています。これは私見ですが、スマートスピーカーの最終形は「パーソナル秘書」みたいなものになると考えています。

AIスピーカーのUX設計は、今後も取り組んでいかなければいけない重要な分野なようだ。

編集後記

今までUXは「UI・UX」とUIとひとくくりにされることも多かった。それはAppleのiPhoneを筆頭にスマートフォンがサービスの体験を生み出す最前線に位置していたからだろう。

しかし、AIスピーカーの登場で、今後はUXのXの部分(Experience=体験)のデザインを本格的にやっていかなければならなくなったのではないか。

英語版はすでに多くのサービスがGoogle Homeに対応してきている。国内でも今後、多くのサービスがGoogle Homeへの対応を続けるだろう。そのUXをどのように改善していくかが、AIスピーカーが発売された今、真にユーザに使われるデバイスになるのかの鍵になるだろう。

ベストティーチャーは新たなユーザ体験を提供するサービスへの大きな一歩を踏み出した。英語を勉強しても話せない国、日本を変える大きな力になってほしい。

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