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2017.12.22

6次の隔たりを1次の隔たりへ(Sansan株式会社 高橋寛治氏)

最終更新日:

2017年 アドベントカレンダー企画「AIの未来予測」の記事です。寄稿してくださったのはSansan株式会社の高橋寛治さんです。
みなさんこんにちは。

Sansan株式会社 Data Strategy & Operation Center, R&D Groupで研究員をしております高橋寛治です。

普段の業務では、自然言語処理に関する研究開発を行っており、研究開発の傍ら学会や各種イベント(Machine Learning 15minutesなど)に参加・登壇しています。

今回は貴重な場をいただき、SansanがAI技術を活用して目指す未来について述べたいと思います。

Sansanが科学する出会いとは

みなさま、「6次の隔たり」という言葉をご存知でしょうか。

6次の隔たりとは、世界中の誰かは知り合いの知り合いを6人経由すれば実はつながりがあるという仮説です。
1次の隔たりとは、自分の直接の知り合いということです。

通常、私たちはビジネスシーンにおいて、取引すべき相手と出会うために、多大な工数をかけています。例えば、情報を検索して相手を探したり、広告宣伝をしてタッチポイントを作ったり、アポイントメントをとるために社内のつながりを探したり・・皆さんにも経験があるかもしれません。

今後のビジネスの発展に繋がる人と効率的に出会えたら、とビジネスパーソンなら、一度は思うことでしょう。

Sansan株式会社は、”ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する”というミッションを掲げて、出会いの価値を最大化するクラウド名刺管理サービスに特化して事業を展開しています。

組織内の名刺をデータベース化して共有する法人向け名刺管理サービスSansanと、名刺をベースにした国内最大規模のビジネスSNSである個人向け名刺アプリEightという2つのプロダクトを提供しています。

Sansanが扱う「出会い」とは何でしょうか。それは、名刺管理なのでしょうか。
確かに、名刺は自分が何者かを説明する共通のツールであり、相手の肩書や連絡先などが網羅された情報です。
名刺交換によりこの情報を交換するわけですが、名刺交換は「出会いの証」といえる側面を持っています。
名刺交換をして互いの名刺を持つということは、あるビジネスパーソン同士が出会ったということなのです。
ビジネスパーソン同士が出会ったということは、その背景にある、「会社と会社」や「コミュニティーとコミュニティー」の出会いとも言えます。

名刺管理をするということは、ビジネスでの「出会い」を管理するということです。
「出会い」を管理する手段の一つとして、Sansanは名刺を起点としています。

Sansanのデータの価値

Sansan株式会社がこれまで構築したデータベースは、データの量、正確性、特異性といった特長を有しています。独自の名刺データ化システムを通じて、年間数億枚の名刺がデータ化されており、これは数億のビジネスにおける「出会いの情報」が蓄積されているということなのです。

これは他のSNSには存在し得ない量、そして網羅性といえます。

 

そもそも名刺が持っている情報の正確性に加え、『Sansan』が過去約10年に渡ってデータ化してきたデータベースは、テクノロジーとオペレータのチェックによって非常に高い精度を有しています。

この正確性は、機械学習のトレーニングデータとして大きな強みとなっています。データサイエンス技術による「出会いの科学」に取り組めるのは、価値ある膨大なデータがあるからです。

出会いを科学する未来

Sansanが保有するデータから生まれる価値には、どのようなものがあるでしょうか。

会いたい人や将来会うべき人を予測することはもちろんのこと、一緒に働く人との出会いも変えるでしょう。

こんな人を採用したい、プロジェクトメンバーを探したいというときに、ビジネスデータベースを活用して、ニーズにあった最適な人をリコメンドしてくれるかもしれません。

そんな未来への取り組みの一例として、「キャリアの推薦」と「キーパーソン検索」についてご紹介いたします。

キャリアの提案「Eight Talent Solutions」

Eight Talent Solutionsとは、Eightに日々蓄積される、キャリアビッグデータとユーザー自身のプロフィールネットワーク情報を元に、ユーザーにとって最適なキャリアを提案するサービスです。
転職とSansanのデータにどのような関係があるのでしょうか。

名刺を起点としたEightには、1年間に億単位の名刺が取り込まれており、転職などによる名刺のアップデート情報は、1日あたり数百件近く蓄積されています。
これらの情報を分析することで、その人にとって最適なキャリアの可能性・方向性をリコメンドすることができます。
別の捉え方をすると、会社とビジネスパーソンの出会いの機会を作っているということです。

リコメンドが高度化していくことで、どのような未来が待っているでしょうか。
ユーザーは日々Eightを使っているだけで、自分にとって最適なキャリアを知ることができます。
自分の評価されるポイントを客観的に捉えられることで、転職活動のためだけではなく、現職でのキャリアアップに活用することができるでしょう。それは確実に働き方を革新していくことにつながります。

キーパーソンは誰だ

キーパーソンに出会うことで、ビジネスが進展したという経験をされた人は多いのではないでしょうか。
しかしながら、現実にはキーパーソンと出会うためには、アポイントメントをとるためにつながりを探したり、そもそもの出会うべきキーパーソンが誰なのか情報を検索することで探したり、多大な労力をかけています。

攻めたい会社でもキーパーソンは一人ではありません、ビジネスの目的に応じてキーパーソンが誰なのかが変わります。それは勿論、相対する社内のキーパーソンも変わりえます。

キーパーソンになりえる人を意思決定者と読み換えると、意思決定のために情報を収集することが考えられます。経営学では、情報収集に長けている人の特徴の一つに、「ストラクチュアル・ホール」に位置することが重要とされています。「ストラクチュアル・ホール」とは、「複数のネットワークをつなぎ、最も情報収集が集まりやすい立ち位置」のことを言います。(詳しくは、弊社社員のブログ記事よりご確認ください。)

そんな立ち位置にいる人をネットワーク分析からあぶり出し、効率的に出会える未来がやってくると、ビジネスはおもいのほか進むことでしょう。

出会うべき人をレコメンドするということは、人と人との出会いを科学するということです。
データサイエンス技術により、自分の予想を超える出会いや、ビジネスを転換させるような出会いが生まれるかもしれません。

偶然の出会いを必然に

現代の出会いは偶然の重なりで、その度重なる偶然の先に実りが待っています。
Sansanは出会いを科学することで、偶然の出会いを必然に変えようとしています。

「それさぁ、早く言ってよ~」
今はあたりまえに聞くフレーズですが、出会うべき人と出会える未来ではどんなフレーズを使っているのでしょうか。

そんな未来にワクワクした方へ

Sansan株式会社は世界を変える新たな価値を生み出すべく、日々「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」というミッションに社員一人ひとりが向き合っています。

ご興味を持たれたならば、ぜひ一度、採用情報をこちらよりご覧ください。

編集後記

今回の記事制作にあたり、関わっていただいたみなさまに深謝しております。

SansanからみるAIの未来予測という抽象度の高いテーマであるため、執筆は難儀を極めました。
出会いを科学することを未来予測と考え、Sansanの持つビジネスデータベースを利用した転職の推薦やキーパーソンのあぶり出しについて、ご紹介いたしました。

余談ですが、先日、長谷川町子美術館を訪れ、サザエさん調の軽快な絵柄やストーリーに引き込まれて長谷川町子さんのエピソードを読みました。
そこでは、たまたま声がかかったことや、心の広い編集局長との出会いのおかげで、サザエさんの連載が継続していたという裏話が書かれていました。
出会うべき人に出会うとは、まさにこのことなのだろうと感じました。

みなさまにAIが実現する未来について、少しでも可能性やわくわく感を感じていただければ幸いです。

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