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2018.07.05

[HIKE VC NEWS] AIプロジェクトを考えるのに役立つPACフレームワーク/ブロックチェーン+AI/95%の精度で患者の死亡確率を予測

最終更新日:


本稿は、サンフランシスコ・東京を拠点のAIスタートアップ特化型シードファンド、Hike Venturesの配信するメールレターのバックナンバーです。Hike Venturesはアメリカ・カナダを中心に投資をしています。「人とアルゴリズムの協業によって豊かさを生み出すエコシステムの創出」をモットーにアメリカ、カナダ、日本のシード段階のスタートアップの支援を行っています。バックナンバーはこちら。メール配信を希望の方は、Hike Venturesウェブサイト内フォームより登録お願いします。


 インターネットやスマートフォンが盛り上がり始めた頃、世の中には、それらの技術を早く使わないと置いていかれちゃうよ!という風潮がありました。最近では、AIで同様のことが起こっています。Google, Facebook, Microsoftを例にとって、AIファーストカンパニーってすごく成功しているからうちもやろうとなるのですが、いざAIプロジェクトを始めようとすると、自社ではなにから手をつければいいのか悩むところです。そこで、今日は Rob May (AIスタートアップ Talla.com CEO) が提唱するPACフレームワークをご紹介します。

PACは、P: Prediction(予測), A: Automate(自動化), C: Classify(分類)の頭文字をとったものです。この3つは、AIが最も得意とする仕事です。このフレームワークでは、以下のようなテーブルをつくり、一番上の列にPAC、そして各行の先頭にビジネスの重要な要素を書いていきます。このテーブルを使ってブレインストーミングしていくわけですが、例として、Eコマースサイトの運営会社の表を作ってみました(汗)

n1.png
 もちろん、これらのいくつかは、既存の技術を使っても行うことが可能ですが、AIを使うことによって次のレベルに進ませることができるものあるでしょう。テーブルがある程度できたら、AIが活用できそうで、且つROIが高いと考えられるものから小規模なプロジェクトして検討してみましょう。実際の業務は、もっと多岐にわたり複雑ですが、少し整理して俯瞰してみるのにいいツールだと思いました。

 そして、AIシステムのROIを考える際には、短期的な視点だけではなく、データネットワーク効果のように、データが増えるにつれ、アルゴリズムが改善、そのアルゴリズムを使うサービスもさらに良くなり、ユーザとデータが増え続けるという少し時間はかかりますが、参入障壁を作るにはとても重要な要素の検討も重要です。


トピックス

ボイスファースト

  • GoogleがDuplexの試験を開始
    まずは、少数の店舗で開店時間、閉店日など簡単な質問で開始し、夏の終わり頃には予約の問い合わせも開始予定。Google IOでの発表後、Duplexは様々な倫理的な議論を呼んだが、電話の相手にGoogle Assistantであることを最初に伝える等、ユーザの不安に対処し始めている。Googleは、この分野で、早い段階で実験を始めることによりユーザの反応を学ぶと共に、業界スタンダードを設定しようとしているようだ。

ブロックチェーン

  • ブロックチェーン+AI
    Samsungがロジスティッククプラットホーム Cello 3.0を発表。グローバルEコマースプレイヤーに対してブロックチェーンを提供。また、Samsung SDSによると、ブロックチェーン単体ではなく、業界特有の問題を解決するようなソリューションを提供しないとブロックチェーンが生きてこないということで、Cello 3.0はAIも搭載し、スマートロジスティクスの機能も提供。

ヘルスケア

  • Googleが患者の生存確率を95%の確率で予測できるモデルを発表
    Stanford, UCSF, University of Chicagoのリサーチャーが作成したモデルをGoogleが216,221の匿名データを利用して教育。結果、従来よりも精度の高いモデルを作ることに成功
    入院期間が長くなるか: 0.86 (Google), 0.76 (従来の方法で予測)
    患者の生存確率:0.95 (Google), 0.86(従来の方法で予測)
    予期しない再入院の可能性:0.77 (Google), 0.70 (従来の方法で予測)

業界動向

  • SamsungがAI技術に特化したファンドを設立
    ファンド名は、’Samsung NEXT Q Fund’、サイズは$150M。Seed, Series AのAIスタートアップにフォーカス
  • Adobeが続々とAIを既存サービス改善のために導入
    AdobeはPhotoshop等で使える便利な機能をAIを活用し続々リリース予定。今回のアップデートでは、画像編集機能でオブジェクトの検出精度が改善。

【調達ニュース】

フィンテック

  • SigFig (San Francisco, CA) Series E $50M
    ホワイトレーベルのファイナスアドバイザー。Wells Fargo, UBS, Citizens Bank等が顧客。
    General Atlantic, Bain Capital Ventures, DCM, Raton Vance, New York Live, Nyca Partners, UBS, Union Square Venturesから調達
  • Cashshield (Singapore) Series B $20M
    オンライン・オフラインでのクレジットカード詐欺を発見するテクノロジー。Alibaba, Razer等を顧客に持つ。100%チャージバック保証も付いている。現在1000万人、5億ドルGMV/月を守っている。
    Temasek Holdings, GGV Capital等から調達
  • Brex (San Francisco, CA) Series B $50M
    スタートアップ向けコーポレートカードを5分で発行。経営者の個人補償や前払金が必要ない。銀行口座と接続し、口座残高のX%までの利用可能枠を与える。経費の内容確認にチャットボットを利用。
    Series BでY Combinator Continuity fund, Peter Thiel, Max Levchin, Yuri Milnerから調達。

ヘルスケア

  • Micrima (Bristol, UK) Series A $5.8M
    超音波センサーを使った乳がん検査システムを開発。
    Technology Venture Partners, The Angel CoFund, Venture Foundersから調達。
  • SigTuple (Bengaluru, India) Series B $19M
    メディカルイメージ画像解析。血液・尿・精液・眼底などの検査に利用。Accel Partners, IDG Ventures等から調達
  • Cedar (New York, NY) Series B $36M
    医療機関向けの医療費ペイメント+CRMプロダクト。患者に合った方法で、支払いの通知を行い、患者が好む決済方法で支払いが可能。現在10万人の患者が利用している。医療機関への支払い率も35%向上した。
    Kinnevik,  Founders Fund, Thrive Capital等から調達

マーケティング

  • Cheq (Tel Aviv, Israel) Series A $5M
    コンピュータビジョンと音声認識を使い、ブランドにとって一緒に広告を掲載すべきではないページ、動画、Podcast等を抽出。またボットによる不正クリックも自動検知し、ブランドを守る。
    Battery Venturesから調達。
  • Influential (Las Vegas, NV) Series B $12M
    ブランドが行うキャンペーンに最適なオーディエンスの抽出、インフルエンサーの選択、そしてキャンペーンの効果の測定を行う
    WME, Capital Zed, ECA Ventures, Paradigm Talent Agency, ROAR, Tech Coast Angelsから調達。
  • Cordial (San Diego, CA) Series B $15M
    スマートEメールマーケティング。Eメールに対するユーザのこれまでのリアクションや、過去のサイト来訪・購買などの情報を分析して、Eメールの内容を顧客ごとにパーソナライズする。
    PeakSpan, Upfront Ventures, High Alphaから調達

不動産

  • Reonomy (New York, NY) Series C $30M
    商業用不動産データベース。様々なソースから集められる全米5000万件の情報(物件の仕様、オーナーなどの同一物件に紐づく異なるソースから来た情報)を機械学習や独自のアルゴリズムで紐づけ、利用しやすくしている。
    Sapphire Ventures, Bain Capital Ventures, Softbank Capital から調達
  • Density (San Francisco, CA) Series A $4M
    独自のハードウェアで、部屋や会議室等の利用状況や出入りする人のカウントを匿名で行う。
    Upfront Ventures, Social Capital等から調達。    写真は、 Densityのホームページ から。  写真は、Densityのホームページから。

IOT

  • Crate.io (San Francisco, CA) Series A $11M
    30以上の顧客を持つマシンデータのストレージサービス。今回の調達に合わせて、Crate Machine Learning Platformの提供を開始した。
    Zetta Venture Partners, Deutsche Invest Equity, Chalfen Ventures, Momenta Partners,Charlie Songhurst, Draper Espirit, Vito Ventures等から調達

保険

  • Ethos (San Francisco, CA) Venture Round $11.5M
    性別、年齢、ニコチン製品を利用しているかどうか、現在の自分の健康状態を入力するだけで加入できる掛け金もお手軽な生命保険。
    Sequoia Capital から調達。
  • Fabric (Brooklyn, NY)  Series A $10M
    性別、年齢、タバコを吸っているかどうかを入力すると瞬時に見積もってくれる生命保険。実際の保険は、Vantis Life Insurance Companyという保険会社から発行される。
    Bessemer Venture Partnersから調達。
  • Digital Insurance Group (Amsterdam, Netherland)  Venture Round $15M
    オンライン保険ブローカー。ユーザのニーズにあったプロダクトをオンディマンドで用意する。現在ドイツとスイスにて1.1兆ユーロの保険取扱高がある
    Zurich Insurance, Fintech Capital から調達
  • Cape Analytics (Mountain View, CA) Series B $17M
    衛星、航空写真などの地理空間画像から、屋根の形状や状態、?の周りの木の情報等、損害保険会社が保険の査定に利用するデータを自動的に抽出する。
    LUX Capital, Khosla Ventures, Data Collective, Formation8等から調達

カメラファースト

  • Truepic (San Diego, CA)  Series A $8M
    写真がPhotoshop等によって撮影後編集されていないことを証明するウォーターマークの技術とDeepfakeを検知する技術を開発中。
    Dowling Capital等から調達

コアAI

  • Cambricon (Beijing, China) Series B $100M
    AIチップメーカー。Huaweiのスマートフォンへ同社のチップを搭載するべく協業中。
    SDIC Venture Capital, Alibaba Innovation Ventures等から調達

ロボティクス

  • Embodied (Pasadena, CA) Series A $22M
    コンパニオンロボットを開発中。プロダクトの全貌は未発表。
    Calibrate Ventures, Jazz Venture Partners, Osage University Partners, Intel Capital, Grishin Roboticsから調達
  • Bossa Nova Robotics (San Francisco, CA) Venture Round $29M
    リテールの商品棚をスキャンし欠品を知らせてくれるロボット。
    LG Electronics, Cota Capital, China Walden Ventruresから調達。

リテール

  • Nextail (Madrid, Spain) Series A $10M
    Eコマース向けの在庫の計画・管理プラットホーム。
    Keen Venture Partners, Sonae Investmentから調達

エンタープライズ

  • Seal Software (Walnut Creek, CA)
    企業が持つ契約書ファイル群を解析し、リスクの抽出などを行う。
    Toba Capital から調達。
  • Falkory (Sunnyvale, CA) Series A $4.6M
    企業のオペレーションに関するデータから、将来発生する可能性のある問題を予測したり、オペレーションの改善を提案したりする。Toyota Industrial Equipment Manufacturing, Ternium, Kawasaki等を顧客に持つ。
    Presidio Ventures, Basis Set Ventures, Polaris Partners, Start Smart Labs and Zetta Venture Partnersから調達
  • Tact.ai (Redwood City, CA) Series C $27M
    顧客対応向けにチャットやボイス等のユーザフレンドリーなインタフェースを提供。また社内のセールスワークフロー向けにAIアシスタントを提供。
    Amazon Alexa Fund, M12 (Microsoft), Salesforce Ventures, Comcast Venturesから調達。
  • Celonis (Munich, Germany ) Series B $50M ($1B post-money valuation)
    SAP, ORACLE製品、Salesforce, Avayaなどの業務システムから、企業内の業務プロセスを可視化し、プロセス上の弱点を指摘(理由も含む)しプロセス改善のサポートをする。RPAと平行して運用すると効果が最大化されそうです。
    Accell, 83Northから調達
  • Noodle.ai (San Francisco) Series B $35M 
    社内外の膨大なデータを分析し、企業にとっての将来発生しうるリスクとチャンスを見つけ、取りうる打ち手をシュミレーションし、ベストなものを提案する。小売、消費財、製造、旅行などの業界をターゲットにしている。
    Dell Technologies Capital, TPG Growth等から調達。
  • Signal Media (London, UK) Series B $16M
    オンラインのニュースやソーシャルメディア、テレビ、印刷物をスキャンし、企業が知っておくべき情報を抽出しリアルタイムでお知らせしてくれる。
    GMG Ventures, Frontline Ventures, Hearst Ventures等から調達
  • Ambit Analytics (San Francisco) Pre-seed $1.1M
    マネージャのコミュニケーション力改善アプリ。
    Romulus Capitalから調達。
  • Cerebri AI (Austin, TX) Series A $5M
    顧客の行動情報から、営業状況を数値化。成約に持っていくためにセールスマンが取るべきベストな行動を提案する。
    M12 (Microsoft), Horizon Fund (テキサス州立大学), WorldQuant Ventures, Leawood Venture Capital から調達。

教育

  • JoyTunes (Tel Aviv, Israel)  Series B $10M
    ピアノ練習用アプリSimply Piano, Piano Maestroを提供。スマホやタブレットのマイクからユーザの演奏を聞きて、リアルタイムにフィードバックする。
    Insight Ventures Partners, Genesis, Alephから調達
  • ApplyBoard (Waterloo, Canada) Series A CA$17M
    米国・カナダに留学をする学生に対して最適な大学とのマッチングサービスを提供。これまでの学歴、勉強した分野、経済条件などを入力するとApplyBoardが大学のコースとマッチング。このフィルタリングプロセスにより、大学側の受け入れ率が95%。ビザの申請もサポート。
    Artiman Ventures, 500 Startups, Candou Ventures, Think+等から調達

ボイスファースト

  • AI Speech (Jiangshan, China) Series D $76M
    音声認識テクノロジーを開発。車、スマートホーム、ロボットで利用されている。
    Oriza Holdings, China Minsheng Investment, Foxconn等から調達。

モビリティ

  • RideOS (San Francisco, CA) Series A $9M
    自動運営タクシー会社のための車体運営システムと自動運転者向けのWazeを開発。例えば、地図上に反映されていない、工事の情報などを他の自動運転タクシーとも共有し、円滑なナビゲーションをサポートする。
    Sequoia Capital, Graph Ventures, SV Angelから調達。
  • AIpark (Beijing, China) 
    スマートパーキングソリューションを提供。
    NIO Capital等から調達
  • Lyft (San Francisco, CA) Series I $600M (Post Money Valuation $15.1B)
    配車アプリ。
    Fidelity Management and Research Company, Senator Investment Groupから調達。

ドローン

  • Matternet (Menlo Park, CA) Venture Round $16M
    ドローンステーション間を自動飛行するドローンデリバリーサービスを提供。現在Swiss Postと医療関連アイテムの搬送サービスを行っている。またメルセデス・ベンツとバンと組み合わせた配送ドローンも開発中。
    HorizonX Ventures, Swiss Post, Sony Innovation Fund等から調達

セキュリティ

  • Cylance (Irvine, CA) Series E $120M
    マルウェアやランサムウェアから企業をプロテクトする。
    Blackstone Tactical Opportunitiesから調達。
  • Prifender (Belluvue, Wa) Seed $5M
    企業内にある個人情報を自動で検出する。
    Firstime VC, Shaked Ventures, iAngelsから調達。
  • Veriff (Tallin, Estonia) Series A  $7.7
    パスポートや免許証の社員を使って本人確認を行うAPIを提供。 利用料金は、€49/月と APIコール一回あたり€2と低価格。200以上の国をサポート。
    SV Angel, ACE Ventures等か調達
  • Tessian (London, UK)  Series A $13M
    重要なEメールの誤送信を防ぐ。
    Access, Amadeus Capital Partners, Crane等から調達
  • Agari (Foster City, CA) Series E $40M
    フィッシング詐欺などのEメールを介したサイバー攻撃から企業を守る。
    Goldman Sachs Growth Equity, Norwest Venture Partners, Scale Venture Partners, Battery Ventures, Greylock Partners, First Round Capital等から調達
  • Jask (San Francisco, CA) Series B $25M
    セキュリティオペレーションの自動化。
    KPCBから調達
  • BigID (New York) Series B $30M
    企業が持つ膨大なデータから個人情報を探し出し、どこにどういったデータが保存されているかを明確にする。他言語に対応。企業のGDPRへの対応が追い風になっている。
    Scale Venture Partners, ClearSky Security, Comcast Ventures, Boldstart Ventures, Information Venture Partners, SAPから調達

農業

  • Ceres Imaging (Oakland, CA)  Series B $25M
    航空写真から農地の水や栄養状態やストレスなどを分析する。
    Insight Venture Partners, Romulus Capitalから調達。

【買収ニュース】

  • Wave Computingが、MIPS Technologiesを買収
  • Microsoftが、強化学習プラットホームのBonsaiを買収
  • Paypalが、詐欺防止テクノロジーのSimilityを買収。($120M)
  • Twitterが、いじめやフェイクアカウントなどを防止するSmyteを買収
  • WalkMeが、DeepUI(ステルス)を買収
  • Nianticが、コンピュータビジョンのテック会社Matrix Millを買収

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