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2018.12.05

未来のAI社会を実現!日本政府が進める新たなAI戦略とは

最終更新日:

2018年6月15日の閣議によって、日本政府による新たなAI戦略「統合イノベーション戦略」が発表されました。

統合イノベーション戦略とは、人工知能(AI)などのデジタル技術の急速な進展による世界的な競争激化に伴って、日本が目指すSociety5.0の実現に向けた政府が進める新たなAI戦略です。そして、それの実現のために従来の人工知能技術戦略会議に代わって統合イノベーション戦略推進会議が設置されました。

▼人工知能技術戦略会議について詳しくはこちら

日本のAI戦略の司令塔 -人工知能技術戦略会議が進めるAI戦略-

今回は、政府が目指す次世代の社会に向けた統合イノベーション戦略についてご紹介します。

Society5,0:サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

参考:http://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html 

国内のイノベーションを促進する統合イノベーション戦略

統合イノベーション戦略とは世界で進む破壊的イノベーションに対抗し、日本社会のSociety5.0化を実現するための政府による新たな取り組みです。科学技術の成果を活かして国内のイノベーションを促進することが目指されています。

具体的に言えば、統合イノベーション戦略は知の創造・知の社会実装・知の国際展開の3点を基礎として以下のように展開されています。

参考:http://www8.cao.go.jp/cstp/tougosenryaku/tougo_gaiyo.pdf

知の創造

大学によるイノベーションの促進

  • 大学の再編や連携による経営改善
  • 年俸制の導入などによる人材流動性の向上・若手の活躍機会の創出
  • 研究費制度の見直しによる研究の強化
  • 海外へ積極的な挑戦

知の社会実装

世界レベルの企業環境の整備

  • 日本の開発型ベンチャー企業のエコシステム構築
  • 起業家の育成から起業支援までの一貫した取り組み
  • ムーンショットを生み出す開発整備
ムーンショット:困難だが実現すれば大きなインパクトとなるような目標・挑戦

政府事業・制度等における イノベーション化の推進

  • 新技術の積極採用(科学技術イノベーション転換)
  • イノベーションを生み出す制度整備

知の国際展開

  • SDGs達成のための 科学技術イノベーションの促進
  • 我が国の課題解決 モデルを世界へ

SDGs:2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標

参考:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html 

このように、政府は日本の次世代のAI社会を見据えて、AI・データサイエンス・数理の人材育成や研究開発支援、教育環境の整備に力を入れ、日本の将来の競争力強化を目指しています。

各分野を束ねる統合イノベーション戦略推進会議

統合イノベーション戦略推進会議とは

総合イノベーション戦略を推進するにあたり、政府は従来の人工知能技術戦略会議に代わって、統合イノベーション戦略推進会議を発足しました。

統合イノベーション戦略推進会議とは官房長官を議長として、他に以下の組織も含めて構成されています。

  • 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)
  • 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
  • 知的財産戦略本部
  • 健康・医療戦略推進本部
  • 宇宙開発戦略本部
  • 総合海洋政策本部
  • 地理空間情報活用推進会議

以上を横断的に管理し調整しながら、統合イノベーション戦略を推進する会議です。

統合イノベーション戦略を支える有識者会議(AI戦略実行会議)イノベーション政策強化推進チーム

政府は統合イノベーション戦略推進会議によるAI政策の推進を補助するために、有識者会議(AI戦略実行会議)、イノベーション政策推進チームを発足させました。

有識者会議の役割は、AI社会を実現するための5年以内の方向性を策定すること、また それを踏まえて、各省へ既存施策の見直しを含む当面3年間に必要となる施策(AI戦略パッケージ)を提言することです。

そして、イノベーション政策強化推進チームは研究成果を実用化することによるイノベーションを促進するために課題毎に開催されます。イノベーション政策の横断的な調整、統合イノベーション戦略に貢献することを目指しています。

参考:http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/humanai/6kai/siryo1-1.pd

世界への発信

日本はでAI分野での国際的地位を確立するために、日本国内で世界的なイベントを開催することにも力を入れています。

現時点では、以下のイベントの開催が予定されています。

2020年:第29回国際人工知能学会(IJCAI)(@名古屋)
    World Robot Summit (WRS)・RoboCup AP  2020(@愛知県)
2025年:大阪万博(@大阪)

▼Robocup APについて詳しくはこちら

AI Readyな社会へ ーMoonShot型のプロジェクトの重要性 / 実世界技術こそ日本の勝ち筋 ー【ソニーコンピュータサイエンス研究所 北野さん】

国際人工知能学会(IJICAI)

は1969年から世界各地で毎年開催されているAI分野最大規模の国際会議です。世界50カ国から2500人ものAI分野の研究者や実業家が参加する予定です。

World Robot Summit

人間とロボットが共存する社会を実現することを念頭に、世界のロボット技術を集めて開催する競演会です。ロボットの競演会「World Robot Challenge」と最新のロボット技術を展示する「World Robot Expo」から構成されています。

RoboCup AP

ロボット技術とAIの融合による自立型ロボットの研究発展を目的に開催される、ロボットの国際的な競技大会です。2017年にタイのバンコクで開催されてから、アジアを中人に毎年開催されています。

大阪万博

そして、世界各国から人・技術が集結する一大イベントである万博の大阪での開催も決定しました。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、SDGsやSociety5.0を達成すること目的です。大阪万博の開催によって、世界中の最新技術の集結、投資の拡大、経済の活性化などの効果が期待されています。

上記のように、AI関連の国際的なイベントを日本が主体となって開催することで、政府は国際社会でのAI分野における日本の地位の向上を目指しています。

まとめ

日本はSociety5.0の実現に向けて、AI領域における知の創造・社会実装・国際展開を目指す統合イノベーション戦略を進めています。それによって、国内でのAI分野の教育や研究、応用が今まで以上に加速され、社会の新たな発展に繋がることが期待されています。

さらに、2020年に開催される大阪万博などテクノロジーに関する世界的なイベントが国内で開催されることで、日本初の新たなイノベーションが生まれることも考えられます。

今後も、AIに関して国レベルでの新たな動きがあるかもしれません。将来のAI社会の実現に向けて、政府の計画からも目が離せません。

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