AIで不在配送を9割減 ー電力データを人工知能が学習ー

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東京大学大学院情報学環・越塚登研究室、 東京大学工学系研究科田中謙司研究室は「不在配送ゼロ化AIプロジェクト」において、 開発した配送ルーティングエンジンによる配送試験を行い、 98%の配送成功率を得たと発表しました。 これは、 宅配における不在配送を9割以上削減することに相当するといいます。

不在配送ゼロ化AIプロジェクト

個人向け配送における「不在配送件数」は全宅配件数のおよそ2割、 数千億円のコストに相当し(宅配の再配達の発生による社会的損失の試算について 2015年 国土交通省 より概算)、 深刻なドライバー不足と労働生産性の課題を抱える物流産業の悩みの種となっています。 この取り組みは、 日本全体の労働力が低下するなか、 人工知能を活用した生産性向上に寄与するべく、 東京大学の研究室が東大発ベンチャーらの協力のもと、 実用化を前提に実施しました。

不在配送ゼロ化AIプロジェクトで開発された新たな「配送ルーティングエンジン」は、 各戸に設置されたスマートメーターから取得される電力データをAIが学習し、 配送時刻における在宅予測に基づいて、 在宅戸から優先的に配送するルートを自動生成します。

配送試験結果

配送試験は同システムを活用し、 2018年9月6日~10月27日、 東京大学構内にて実施されました。 人工知能が不在先を回避するルートを配送者に示したことによる配送成功率は98%にのぼり、 人の判断で配送した結果と比較すると、 現状発生している不在配送の9割以上が削減されることが実証されました。

不在配送に伴う再配送が削減することで、 移動距離も5%短縮されることがわかりました。 さらに、 これまで特定されていた“不在”というプライバシー情報が配送者に伝わることがなくなり、 より個人情報保護が強化される結果が示されました。

東京大学 越塚登教授のコメント

不在配送は、 現在の日本の個配物流における最重要問題の一つと考えています。 AIとIoTの技術を適用することで、 これを効果的に解決できるとわかったことは、 大きな一歩だと思います。 一方、 各戸のスマートメーターの情報を外部に出すことは、 プライバシー上の懸念があるかと思います。

ところが我々の手法の特徴は、 むしろパーソナルデータを利用して、 プライバシーを守る点にあります。 今回我々が開発した新手法のルート指示では、 各戸の在不在を隠すことができる様々な工夫がなされているのです。

配達の順番を決めるというプライバシーに関わる処理は、 人ではなくAIが行うので、 プライバシーは他の人から守られます。 これを発展させて考えると、 人に知られたくないこと、 プライバシーに関わることは、 むしろ積極的にAIやロボット、 機械に担ってもらうという新しいサービスコンセプトが、 今後はあらゆる局面で重要だと考えています。

2018年12月25日 2019年7月10日更新

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