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新入社員のみなさん、ご入社おめでとうございます。AINOW編集部 デスクのおざけんです。
実は私も1年前の今日は、新入社員としてAINOWを運営するディップの300人の仲間と共に、入社式に参加していました。時が経つのは早いもので、あっという間に日々は過ぎていきます。みなさんも適度にプライベートを楽しみながら、自己研鑽に励んでくださいね。
さて、この記事では、新入生のみなさんに向けて「AI(人工知能)」についてお話ししたいと思います。なかなかAIって抽象的で、「まだAIのことよくわからない」という方も多いと思います。この記事を読んで、社会人生活でのAIの向き合い方の参考にしてくだされば嬉しいです。
ここで一つ、ソフトバンクの孫正義氏のコメントを引用して紹介します。
AIに取り組んでいないということは甘いということです。自分の仕事を真剣にやっていないことだと思います。 by 孫正義氏
目次
人工知能・AIとは
人工知能の定義
人工知能の定義は、専門家の間でもまだ定まっていないのが現状です。なのでみなさんがAIのことを「よくわからない」とおっしゃるのも当然です。
以下の表は13人の人工知能研究者による人工知能の定義をまとめたものです。なかなか定義がばらついていますよね。
(出典)松尾豊「人工知能は人間を超えるか」(KADOKAWA)p.45
では、人工知能って実際なんなの!?という疑問にお答えしていきたいと思います。
人工知能の種類
人工知能は「特化型人工知能」と「汎用人工知能」の2つに分けられます。
「人工知能を搭載!」「世界初!人工知能を使った○○」といったようなフレーズを最近よく耳にします。しかし、ここでいう人工知能は本当の意味での人工知能ではありません。本当の意味とは、人間と同じように振る舞うということです。
つまり、なんでもできるドラえもんのような人工知能はまだ作られていません。
特化型人工知能
特化型人工知能とは、一つのことに特化した人工知能を指します。
例えば画像認識や音声認識といった技術や自動運転技術、PONANZA(将棋AI)も特化型人工知能と言えます。現在では、人工知能関連の研究のほとんどがこの特化型人工知能の研究です。
汎用型人工知能
汎用人工知能は、簡単に言うと、「なんでもできる人工知能」です。まさにドラえもんのような人工知能のことです。
特化型人工知能は一つのことしかできませんが、汎用人工知能は与えられた情報をもとに自ら考え、応用することができる人工知能のことを指します。人そのもののようなふるまいをする、といったイメージです。
汎用人工知能が完成した時、シンギュラリティが起きるといわれており、汎用人工知能が人間最後の発明になるとも言われています。
シンギュラリティ
シンギュラリティという言葉を聞いたことがありますか?「技術的特異点」とも言うこの言葉もよく出てくるので覚えておきましょう!
シンギュラリティとは、人間を超える知能をもつ人工知能が発明されることを表現することが多いです。人間を超える人工知能が発明されたということは、その人工知能は、さらに賢い人工知能を生み出すことが可能になると考えることができます。つまり、爆発的に知能の高い人工知能が開発され、人間には到底想像も出来ない人工知能がどんどん生み出されて生活が一変すると言われています。
未来学者のレイ・カーツワイル氏はシンギュラリティが 2045年 に到達すると予想しています。ただし、今のビジネスに直結する話ではありません。有識者の間でもシンギュラリティが来るかどうかは意見が割れています。頭の片隅でシンギュラリティという言葉を覚えておくくらいで構わないかもしれません。
人工知能の歴史
現在さまざまな産業領域で人工知能を活用したモノやサービスが普及してきています。
その中でも私たちの身近にある人工知能と言えば、メッセージアプリLINEの女子高校生AI「りんな」や感情エンジンを搭載したロボット「Pepper(ペッパー)」などが思いつくでしょうか。最近では将棋AIが話題になるなど、生活の中でAI(人工知能)に触れる機会は多くなっていることが実感できると思います。
そこで、人工知能について歴史からひも解いていきたいと思います。
覚えるべきことは「人工知能はブームによって、言葉が指す技術が変わる」ということです。1956年に初めて「人工知能(Artificial Intelligence)」という言葉が使われて以来、50年以上の歴史があるのが人工知能で、今が3回目のブームだと言われています。これからも「人工知能」という言葉が示す定義は変わっていくかもしれません。とにかく曖昧な言葉が人工知能なのです。
(出典)松尾豊「人工知能は人間を超えるか」(KADOKAWA)p.61
第3次AIブーム 機械学習、深層学習
AIという言葉が盛んに取り上げられる今、AIの歴史では3回目のブームに当たります。ディープラーニングなどの「機械学習」の可能性に多くの人が注目してブームになりました。ちなみに機械学習は汎用型ではなく、特化型人工知能です。
機械のスペックが上がったことや、スマートフォンが普及するなどしてWeb上のデータが多く蓄積されるようになったことなどが起因して、第3次AIブームが巻き起こりました。この技術により、画像や映像を機械が認識したり、音楽や文字の生成などが可能となっています。AIについては曖昧に理解しながらも機械学習、ディープラーニングでなにかできるのかを覚えておきましょう。
では、知っておくと得をする「機械学習」「ディープラーニング」について簡単に解説します。
データを集めてサービス向上に努めてきたGAFA
GAFAという言葉が話題になっています。AppleやAmazon,Facebook,Appleのそれぞれの企業は、世界的に著名な企業でご存知の方も多いと思います。
なぜ、ここまで企業価値を向上することができたのでしょうか?
それは、「優れたサービスを提供することで多くのユーザが継続して利用し、データが集まり、そのデータを元にさらに優れたサービスを作る」という好循環のサイクルを回すことができているからです。
GAFAをはじめとする大手企業たちは主にWebやアプリでデータを収集し、サービスの改善を行ってきました。そして今、さらなる成長を求め、リアルへと活動の場を広げようとしています。
話題になっているケースでは、自動運転や無人コンビニなどです。
参考記事:レジがない未来のコンビニ「Amazon Go」ついにオープン! 現地からレポート!
機械学習が意味するもの
ここからは機械学習について説明していきたいと思います。
インターネット(ICT)が普及する以前の時代は企業が収集できるデータは限られたものでした。そして、その限られたデータに基づいて起こせる行動も非常に限定されたものでした。
インターネットが登場してからはユーザの行動は常にデータ化され、先述のようにサービスの向上などに柔軟に使われるようになりました。代表的な事例はamazonによる購買データを元にしたレコメンドシステムです。Webサイト上の購入過程のデータを活用することで、Webサイト上でのユーザ体験と企業の収益が改善されたのです。
そしてモバイルインターネットが加わりました。スマートフォンの普及などにより、位置情報などのデータも集められるようになり、今日ではWebやアプリでの顧客体験がさらにブラッシュアップされています。
では、これから本格的に普及するAI / IoTによってどのように変わっていくでしょうか。まずIoT(Internet of Things :あらゆるものがインターネットに繋がること)の普及が鍵になります。IoTによって、あらゆるものにセンサーが設置されてデータの生成・取得が可能になり、そのデータがインターネットを通じて収集できるようになります。
先述のサイクルで言えば、「大量にデータが集まる部分」がIoTで拡張され、従来、アプリやネット上のサービスに限定されていたデータソースが一気に多様化し、さまざまな対象の大量データが収集可能になります。
そうすれば、そのデータを解析し、さらなるサービス / プロダクトの改善につなげることができるようになります。つまり、これまでネットの世界に限定されていた、データを通じた現実の改善というサイクルが、リアルの世界にも展開されようとしているのです。
IoTによってセンサーデータを集め、活かすことができるようになると、Web上だけでなくあらゆる産業がデータの力で革新される可能性があります。 GAFAのような企業がWeb領域以外からも生まれる可能性もあるのです。
大量のデータをリアルタイムにさばくには
しかし、ここで直面する問題があります。IoTのネットワーク上に配置されたセンサーやマイク、カメラなどが集める膨大なデータを人間では処理しきれないという問題です。動静止画や音声を機械で認識することは難しい技術でしたし、機械が処理できない情報を人で処理しようにも、集められた膨大な音声や画像を処理するには、スピードや正確さに欠けてしまいます。さらに、単調で大量なセンサーデータの分析になると、人間にも難しい状況です。
特にスピードの面では、わざわざリアルタイムに集めたデータは即処理する必要性が出てきます。例えば自動運転など、認識の1秒の遅延も許されない場合も想定されます。
つまり、大量のデータが集まるようになるIoTの時代には「分析(Analyze)」の部分で革新が起きる必要があります。そこで機械学習(ディープラーニング)が活用されます。今、ディープラーニングによる画像認識の精度は人間を凌ぐレベルになっており、一部では人間を超える能力を得たともいえます。
機械学習は与えられたデータを基にプログラム自身が学習する仕組みで、大まかに三つに分類することができます。ディープラーニングは機械学習の中で「教師あり学習」に分類されます。
教師あり学習
「教師あり学習」はデータと問題の正解データのセットを与えることによって学習する仕組みです。ディープラーニングという言葉を聞いたことがある人がいるかと思いますが、この一種です。
過去のデータから未来を予測したり、画像に何が写っているかの判別をする分類を行うことができます。
教師なし学習
「教師なし学習」は、正解データを必要としない学習方法です。
与えられたデータの傾向を分析することができるクラスタリングなどがあります。
適用例として、ユーザーがショッピングサイトで買っているものの傾向を導き出すことができます。
強化学習
「強化学習」は与えられた問題に対してAIが試行錯誤をすることにより、問題を解決する行動を学習します。
AlphaGo(アルファ碁)という強化学習を用いて開発された囲碁AIは世界で活躍するプロ棋士を倒して話題となりました。
ただこれでもわからない人がいると思います。「目的に合った多くのデータを学習することで、賢くなるということは理解しておきましょう。
ディープラーニングとは!?
機械学習の一種として注目されているのが「ディープラーニング」の技術です。簡単に言うと「データと、データが何を表すのかを示したラベル」のセットを膨大な数、学習することで、新しいデータに対してもそれが何なのかを予測できます。
機械学習の具体的な学習の仕組みとして人間の脳の神経回路を模倣したニューラルネットワークと呼ばれるモデルがあります。
人工知能とプログラミング
人工知能の開発で人気のPythonとは?
汎用のプログラム言語のことです。他のプログラム言語に比べて、コードがシンプルで扱いやすいのが特徴です。そのため、プログラミング初心者でも学びやすい言語となっています。最近の人工知能ブームで 機械学習 というワードをよく耳にしますが、その機械学習によく使われるのが Python です。
人工知能開発に用いられる言語はいくつかありますが、その中でも最も人工知能関連でよく使われている言語であるのがPythonと呼ばれる言語です。
下の図は、AI関連のエンジニア・アナリストを募集する求人100件に記載されている「求める言語」の登場数を集計したもの。
ではなぜこの分野でPythonがよく使われているのでしょうか。
有名なプログラミング言語でいうとC、Javaなどがありますが、それに比べてPythonは、「型」と呼ばれるプログラムの書く上でのルールがとても少なく、大量のプログラムを簡潔に書くことができます。それゆえに膨大なデータを処理する必要がある人工知能開発に重宝されているのです。
型が無いということは、読みやすいということにも繋がります。読みやすいというのはすなわちパッと見た時に分かりやすいので、学び始めるときのハードルが下がります。だからPythonはプログラミング初心者でも学びやすい言語です。
実際に機械学習を使って開発をしたいと思っている人や、研究をしてみたいと思っている方は以下のような講座やサービスが提供されています。ぜひ参考にしてみてください。
7. 人工知能の活用事例
AIサービスマップ
最近では人工知能が様々なサービスに活用されています。
AINOWでは人工知能関連のサービスマップを紹介しています。
全232サービス!「AIサービスマップ 2017 Summer」9カテゴリ132サービス増加 ~新たな領域での活用に期待~
人工知能活用事例
会話
みなさん使っているであろうLINE。LINEでは様々な企業がチャットボットアカウントを動かしています。
数あるチャットボットアカウントの中でも多機能で優秀なものをまとめました。
ゲーム
FINAL FANTASY XVでは、数多くのAIが活用されていると話題になっています。
「FINAL FANTASY XV」の自由に動けるオープンワールドはAIのおかげ ~リアルでのメタAI活用がAI発展の鍵に!?~
ロボット
人工知能技術と相性がいいのがロボットです。ロボットはさまざまな環境に応じて対応することが必要で、画像認識などのAI技術が欠かせません。
医療
医療費の拡大などが社会問題となる中で、AIの活用も進んでいます。日本でも医療×AIを専門とした学会が創設されるなど、医療へのAIの活用が活発です。
ビジネスにおける人工知能活用
現在、日本における人工知能の職場への導入状況はどのようになっているのでしょうか。
中小企業においてもAIの導入率は低く留まっています。人口減少、労働生産人口の減少が社会問題になる中で、AIを活用した企業の生産性の向上は急務と言っても過言ではありません。
ビジネスにAIを導入する流れを以下の記事にて簡単に紹介しています。
人工知能を扱う専門メディア
AINOWは日本初のAI専門メディアとして発信をしています。
AIに特化しており、3万件以上のAI関連ニュースを公開する他、編集部もイベントや企業取材を通して発信・情報整理を行っています。
ぜひ空き時間にご覧いただけると嬉しいです。
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まとめ
活用事例に挙げたように、人工知能は既にさまざまな分野に活用され、成果を上げています。これからさらに研究が進むにつれ、幅広く利用されることは間違いないでしょう。それによって人間は仕事を奪われる、といったネガティブなイメージがありますが、ポジティブに捉えればやらなくてよい仕事が増えるとも考えられます。
人工知能が発達していくにつれ、世の中はさらに便利で住みやすくなっていくことでしょう。人工知能の今後の発展にますます期待が高まります。みなさんも社会人になったこの際にAIの可能性について、考えてみてください!
▼参考書籍
松尾豊(2015)『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』KADOKAWA
▼参考書籍
AIビジネス研究会「60分でわかる!AIビジネス最前線」技術評論社
▼参考記事
■AI専門メディア AINOW編集長 ■カメラマン ■Twitterでも発信しています。@ozaken_AI ■AINOWのTwitterもぜひ! @ainow_AI ┃
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