120万人への個別指導のノウハウをAIに! 家庭教師のトライが診断型AI教育サービスをギリアと共同開発へ

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株式会社トライグループとギリア株式会社が全学力層の生徒を対象とした5教科対応の診断型AI教育サービスの開発・展開のために資本業務提携を行ったと発表しました。教育事業者が主体となり、5教科対応、全学力層生徒向けのオリジナルAI教育サービスを開発・展開するのは、教育業界初の取り組みです。

共同開発にあたり、全国47都道府県、70,000名を超える中高生を対象にタブレット端末によるAIを活用した効率的かつ高精度の学力診断実証研究を実施する予定で、2020年4月度から中高校生を対象とした、本格的なサービス提供を予定しています。

現在、日本の教育業界では、少子高齢化や2020年の大学入試改革を背景に、これまで以上に個別指導への期待が高まり、より高度に個別化したオーダーメイドの教育サービスが求められています。

この取り組みでは、個別教育のパイオニアとしてマンツーマン指導を長年行ってきた家庭教師のトライが、のべ120万人への個別指導により培ってきたノウハウと幅広い生徒層の学習者データを、AI教育サービス開発に活用。家庭教師のトライだからこそ実現可能な、あらゆる学力レベルの利用者に対応できる、全く新しいAI教育サービスの構築を、ギリア社と共同で進めていくとしています。

ギリア社は、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)などが出資して2017年6月に設立された合弁会社。「ヒトとAI の共生環境の実現」をミッションとして掲げ、単なるAI開発にとどまらず、AIソリューションの社会実装までを手がけることを目指したAI事業会社です。

家庭教師のトライがギリア社をパートナーに迎え、開発を進めるのは、これまでのAI教育サービスとは異なり、理解度を網羅的に測定する「共進化的アダプティブラーニング方式」を採用した新方式の「診断型AI」システムです。

家庭教師のトライが保有する全国の学習者データを新方式のシステムに活用することで、数学などの論理系教科に特化していた従来のAI教育サービスに対し、英語、国語、理科、社会も含めた5教科を対象としたAI教育サービスの開発が実現するといいます。

約1/10の時間で学力把握ができる診断型AI教育サービスをオリジナルで共同開発

創業以来、家庭教師のトライは、生徒一人ひとりに最適な教師・学習環境・勉強方法・授業を提供するために、教師とは別に各生徒を専任で担当する「教育プランナー」というコンサルタントを置き、教師との連携により目標達成に向けたサポートを行っています。

この個別教育の知見を活かしたAI教育サービスを開発することで、今後ますます多種多様な学習指導が求められる教育現場のニーズに対応していく予定です。

今回、家庭教師のトライと、ギリア社が共同で開発するAI教育サービスは、新たなアプローチである「共進化的アダプティブラーニング方式」を採用した「診断型」のAI教育サービスです。

「診断型」AI教育サービスでは、つまづきを個別に捉えるのではなく、学力を網羅的に測定することで全体像を把握し、生徒一人ひとりの弱点を総括して診断する解析手法を用いることで、従来と比較して約1/10の時間で正確な学力把握が可能になるといいます。

両社はこの解析手法を、生徒個別に最適化するだけでなく、全生徒のつまづき傾向を全体的に把握し、AI自身も共進化していくことから、「共進化的アダプティブラーニング方式」と名付けました。

この解析手法を用いることで、新たに共同開発を進める、「診断型」AI教育サービスは、生徒の学力レベルに関わらず、個人に合った学習計画の組み立てが可能になるほか、数学のみならず英語・国語・理科・社会も含む全5教科対応を実現したAI教育サービスの実現が可能となりました。

教育現場の現状と診断型AI教育サービスがもたらす効率化について

昨今、「EdTech(エドテック)」と呼ばれる、テクノロジーによって、教育にイノベーションを起こす取り組みが注目を集めています。日本を含め、世界各国で開催されるテクノロジーの展示会においても教育分野が設けられるなど、エドテック分野への注目は世界へと広がっています。

日本においては、少子高齢化や2020年の大学入試改革を背景に、個別学習の需要が高まっており、より高度に個別化された学習方法の確立が急務です。しかし日本国内の学校教育に目を向けると、教育現場でのICT活用について、海外に後れをとっているとの指摘がされています。

文科省は、2019年6月25日、小中学校などでのICT活用についての行程をまとめた「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」を発表し、2025年度までに児童生徒1人につき1台のタブレット端末を利用できる環境整備を打ち出すなど、後れを取り戻すための取り組みに注目が集まっています。

このような取り組みを基に、ハード面の環境整備が進む中、ソフト面に目を向けると、従来のAI教育サービスは「アダプティブ・ラーニング方式」と呼ばれる、つまずいた問題を起点として単元を部分的にさかのぼる方式が主流とされており、もともと基礎学力がある生徒にとっては効率的な指導法である一方、基礎がおぼつかない生徒にとっては、効果的に機能しないケースがあり、公教育への活用に向かない側面がありました。

今回、家庭教師のトライが共同開発を進める「診断型」AI教育サービスは、生徒の学力レベルに関わらず活用が可能な全5教科対応のサービスです。さらに、従来と比較して約1/10の時間で正確な学力把握が可能で、教わる側の生徒にとってはもちろん、指導する教師にとっても効率的に作用することから、将来的には学校や教育委員会への導入も目指し、教育現場の効率化への貢献も視野に取り組んでいくとしています。

家庭教師のトライ オリジナル「診断型」AI教育サービスに寄せる期待

日本におけるAI社会実装の第一人者であり、ギリア社の取締役会長を務める 北野 宏明氏のコメントです。

北野氏:国内で唯一、受験対策に限定せず、幅広い層の学習をサポートするトライグループさんと一緒に大規模な教育支援AIの社会実装ができることに大きな期待をもっています。

トライグループさんの持つ、個別指導のノウハウと大量のデータがあるからこそ、このようなアルゴリズムの開発が実現しました。特に、教育分野は国それぞれ異なる方針で動いており、我が国における教育を考える上では、日本国の教育システムに合致した教育支援エンジンを開発することは非常に重要です。

この実証研究が成功すれば、教育業界に大きなインパクトを与えるでしょう。今回の取り組みによって、ヒトとAI、そしてヒトとヒトが共生的に互いの知的能力を高めて行くことで、ギリアの掲げる「ヒトとAIの共生環境の実現」というミッションに大きく前進できると考えています。

北野 宏明 (ギリア株式会社 取締役会長):株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長、所長。特定非営利活動法人システム・バイオロジー研究機構 会長。学校法人沖縄科学技術大学院大学 教授。ソニー株式会社 執行役員。ロボカップ国際委員会ファウンディング・プレジデント。国際人工知能学会(IJCAI)会長(2009-2011)。World Economic Forum(世界経済フォーラム)AI & Robotics Council委員(2016-2018)。

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