自動運転とは? 各レベル説明と15の実例を紹介

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以下の動画は自動運転技術で世界1位のWaymo(ウェイモ)が2017年に公開した自動運転のテスト走行の動画です。運転席に誰もいない状態で公道を走るその様子は近未来感があふれていますね。

昨今、ニュースなどで度々取り上げられている自動運転ですが、自動運転とはなにか曖昧な方も多いのではないでしょうか。

また、現状の自動運転の技術レベルはどの程度なのか、完全な自動運転の実用化は達成されるのか、課題は何か、本当に安全なのかなど疑問は尽きません。今回はそれらの疑問を解決していきましょう。

自動運転とは

そもそも自動運転とは、どんな技術でしょうか?

実は、自動運転は世界的に定義が統一されていません。そこで、この記事では「人の手によらず、出発地から目的地まで人やモノを運ぶ自律的なシステム」と定義します。

自動運転はディープラーニングの注目分野!

自動運転はAI技術の結晶であり、昨今の第三次AIブームの発端となっているディープラーニングの主要研究領域(自動運転・医療・金融ファンド)のうちの1つになっています。
国を挙げて注力している分野の自動運転によって社会はどのように発展するのでしょうか?

自動運転で社会はこう変わる

自動運転システムの特徴は、人間よりも安全かつ円滑な運転可能なことです。

そのため、「交通事故の削減」・「交通渋滞の緩和」・「環境負担の低減」が期待できます。

また、自動運転技術はドライバーの負担軽減にも貢献します。

そのため、「運転快適性の向上」・「高齢者などの移動支援」なども期待できます。

それらに加えて、自動運転による運送コストなどを抑えられることで関連産業の生産性向上も見込めるため、産業競争力を向上させる目的としても、今、自動運転技術開発に多くの企業が名乗りをあげているのです。

自動運転の仕組み・AI技術はどこで使われている?

自動運転技術の簡単な仕組み

自動運転はどのような仕組みで動いているのでしょうか? 以下が簡単なイメージ図です。

作成:AINOW編集部

自動運転には大きく分けて

  • 認識(走行環境理解)
  • 行動を決定
  • 走行制御

という3つのステップがあり、それらを経て、初めて走行が可能となります。

自動運転に使われている技術とは

自動運転に必要な3つのステップを達成するために必要不可欠な技術は3つあり、画像認識など「認知」に不可欠な「ディープラーニング」と大量のデータをリアルタイムに高速実行する「超並列コンピューティング」、自動運転全体の処理を統括する「高性能CPU」の3つです。

「ディープラーニング」と「超並列コンピューティング」は画像内①の学習の際に特に必要となっています。

自動運転はAI技術の結晶と述べたとおり、自動運転にはディープラーニング技術が使われています。

「ディープラーニング」の中でも主に「CNN(畳み込みニューラルネットワーク)」と「RNN(リカレントニューラルネットワーク)」という手法がカメラやセンサーで取得したデータを処理する際に利用されています。

CNNとは画像認識に適した新たな手法で、RNNは時系列のデータに適した新たな手法です。より詳しい情報については以下の記事を参考にしてください。

自動運転にはレベルがある!

次に自動運転のレベルの説明をします。自動運転には6段階のレベルが設定されています。レベル0が一般車でレベル5が人の手を一切必要としない完全自動運転です。

作成:AINOW編集部

レベル0

概要:運転者が全ての運転タスクを行う。
例:一般的な自動車がこれにあてはまる。

レベル1

概要:自動ブレーキやACCなどいわゆる「安全運転支援システム」などを指す。
例:トヨタのノア・日産のセレナ など多数。

レベル2

概要:車の操作の加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが行う。たとえば車線を維持しながら前の車について走るシステムなどを指す。
例:トヨタのレクサスLS・アウディ A8(本来はレベル3だがダウングレード)
*日本ではレベル2までが法律で走行を許されています。

レベル3

概要:限定領域内においてシステムが全ての運転タスクを実施する。しかしシステムだけでは作業継続が困難な場合、運転者の対応を必要とする。
例:アウディ A8 (日本ではダウングレードされて販売されている)

レベル4

概要:限定領域内におけるシステムが全ての運転タスクを実施(作業継続が困難な場合でもシステムが対応する)
例:中国BYDの「秦Pro」
多くの自動車メーカーはレベル4を自動運転とみなす場合が多いです。自動運転を実用化する上で支障が多いとされるレベル3の自動運転車を作る代わりに、いきなりレベル4のほぼ完全自動運転を作ることを目指す企業もいます。米フォードなどがこの方針を発表しています。

レベル5

概要:あらゆる条件下でシステムが全ての運転タスクを実施する。
例:現在レベル5の実用化はありませんが、テスラのCEOであるイーロン・マスクは2020年にもレベル5の自動運転を可能にする。と言っているように、実現可能性は高いかもしれません。

日本でのロードマップ

日本政府は2020年までの実現目標として自家用車については高速道路での準自動パイロット(SAE レベル2 に相当)の市場化、移動サービスについては限定地域での無人自動運転移動サービス(SAE レベル4に相当)を掲げています。2020年の東京オリンピック・パラリンピックが重要なマイルストーンと位置付けているようです。

自動運転によるメリットは?

自動運転のレベルについては理解できたと思います、では将来的にどのような形で社会に浸透していくと想定されているのでしょうか。

MaaSとの組み合わせ

MaaS(Mobility as a Service)/「サービスとしての移動」という言葉をご存知でしょうか。車をはじめとするありとあらゆる移動手段がニーズに合わせてパッケージ化され、サービスとして提供されることです。

  • 自動運転タクシー
  • 自動巡回バスや自動観光バス
  • ビル間の移動や、工場間の移動を自動化
  • 荷物の自動運搬・自動搬送

といったことを実現するために多くの運転手を雇う代わりに自動運転車を採用することで最適化・効率化が見込めます。トヨタが2018年に発表した「e-Palette」はMaaSの良い例です。後ほど動画を含めて紹介します。

ラストワンマイル

「ラストワンマイル」という言葉自体は通信回線を利用者の家や会社までつなげて、ネットが使えるようになるまでの最終区間や最終行程のことを指します。自動運転における「ラストワンマイル」も同じで、卸売から実店舗まで、駅や空港から家まで、といった目的地までの最後の一移動手段として自動運転車を利用することを指します。特に2つの活用方法が考えられます。

  1. シェアライドのラストマイル
    今は車などの移動手段を持たない人はバスやタクシーを利用するしかありません。また車を持つ人は所有車を動かさない時間がほとんどなのが現状です (平均して都会では95%以上の時間は利用されていないとの調査結果も出ています)。自動運転のラストワンマイルシステムが整えば、移動手段のために車を持つ必要性がなくなり、車を持っている人は普段は利用されていない車を利用してもらうことにつながります。
  2. 物流のラストマイル
    物流にはどんなにテクノロジーが進んでも必要な物理的なニーズがあります。運送に人が必要なくなれば、より効率的に大量の物資を流すことが可能になります。実例として、エストニア発のCleveron社はその理想を形にしています。

実例とアプローチ方法

将来的な自動運転の実装に向けて現在、各社はどのようなアプローチを取っているのでしょうか?

産官学共同の動向

中国

中国では強く、大きな政府がAI分野に関して非常に力を入れています。他国と比べると政府が一部の企業をえこひいきするなどして、産学共同で全面的にサポートしているのが特徴的です。2017年11月には第1期国家次世代AI開放・革新プラットフォームとして医療、スマートシティ、自動運転、音声認識の4つのターゲット分野を定め、各分野の指定されたリーディングカンパニーは政府からの強いサポートを受けることが決定しました。例えば、自動運転分野ではBaidu(百度)がリーディングカンパニーとして選定、支援を受けているおかげで、米調査会社が2019年に発表した自動運転車のランキングで8位(日本1位のトヨタは9位)となりました。

ドイツ

ドイツは産官学共同で産業を発展させるのが上手な国の一つです。2015年という早い時期にドイツ政府は自動運転に関する文書を発表し、自動運転に備えた法整備の重要性を共通認識にしました。2017年にはレベル3の自動運転車を使った公道での運行を開始しました。日本がまだレベル2までしか許可していないことを踏まえると自動運転の分野においてドイツは先進国であることがわかります。ドイツは非常に早い段階から産官学共同で自動運転を進めてきたおかげで、2021年にはアウディやBMWなどがレベル4以上の自動運転技術の提供を目指せるまでに成熟しているのです。

アメリカ

アメリカは他国に比べ、州ごとの独立性が高く、州ごとに法律が定められているのが特徴です。比較的、個々のIT企業と自動車企業が連携して技術発展を進めています。例えば、サンフランシスコ州車両管理局は自動運転業界の雄である、Waymo(ウェイモ)に州内の公道でドライバーのいない無人運転を許可しているのをはじめとして、実に6つもの州が州内で自動運転のテスト走行を許可しています。一方で2017年9月には連邦法「SELF DRIVE Act」が米国下院にて法案可決されるなど、米国統一ルールの制定も検討されだしています。

日本

日本でも他国にやや遅れながら産官学共同プロジェクトが散見されるようになっています。日本政府は「Society 5.0構築」の1つにAIの発展を定め、産官学共同での施策拡大中です。企業による奮闘も見受けられます。例えば、2019年にはソフトバンクが神奈川県と「Society5.0」の実現に向けた連携と協力に関する包括協定を、また岐阜市と地域活性化と市民サービスの向上に寄与することを目的とした包括連携協定をそれぞれ結ぶなどです。

日系企業の動向

トヨタ

トヨタはNavigant Research(ナビガント・リサーチ)という調査会社が発表したランキングで全体9位(国内1位)にランクインした企業です。2019年7月には自動運転車の公道走行テストを欧州で開始すると発表したことでも話題にもなっています。2018年にソフトバンクと連携し、MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)の合併会社を設立しました。さらにはe-Palette Concept(イーパレット・コンセプト)を発表し、MaaSへの参入を強めているのも注目すべき点で、日系企業のリーディングカンパニーのひとつとしてこれからも目が離せない企業です。

日産

日産は仏ルノーと三菱と共にトヨタに次ぐ世界10位の企業です。2019年に、ナビゲーションシステムと連動して高速道路で高精度のハンズオフドライブができる技術を世界で初めて実用化したと発表しました。高級車「スカイライン」の国内向け商品に搭載するようです。さらに、2019年6月にはWaymoと自動運転車のサービス実現に向けて独占契約を締結。自動運転分野において一気に最前線に立つことを目指します。

海外企業の動向

Waymo

Waymoは2009年の段階から自動運転に着手した自動運転分野のトップ企業です。2017年11月にはドライバーのいない無人の自動運転車両の公道実験をアリゾナ州フェニックス近郊で開始しました。ウェイモの17年11月までの1年間の公道試験の走行距離は実に地球14周分に相当する35万マイル(約56万キロメートル)にものぼります。強豪を圧倒する走行距離から得ているデータ量が武器になっています。自動運転タクシーの商業化を限定的に開始もしています。

General Motors(GM)

GMは米自動車企業の中でも特に自動運転分野で優位に立っている企業です。無人の自動タクシーなど、量産車を近いうちに実用化すると発表しています。カーシェアリングにおいては2016年に米Lyft社に5億ドルを投資し提携を結んでいるだけでなく、ホンダとも提携しグローバルに展開していこうとしています。

Tesla(テスラ)

テスラ は2017年にレベル3の販売を開始した古参です。2018年にレベル2に相当する高度な運転支援システム「オートパイロット」を搭載した車種を販売するなど、実用化の面でも先進的な企業です。実現の可能性について懐疑的な意見も多いですが、イーロン・マスクが「2020年末までに完全自動運転機能(レベル5)の完成を公約する」と発言するなど強気の姿勢を貫いている企業でもあります。しかしながら、

Audi(アウディ)

2017年に世界初となるレベル3の機能(但し時速60km以下の高速道路上の交通渋滞時対応のみ)を搭載した新型「A8」を発表しましたが現状、レベル3に対応した車両安全基準が策定されていないため、レベル3の機能は利用できない形で発売しています。さらには2021年に事業者向けにレベル4の車両の提供開始をすることも目指しています。

BMW

BMWはドイツの企業で、日本国内で初となる ドライバーが前方を注視している状況下において利用可能な自動運転レベル2段階の『ハンズ・オフ機能付き渋滞運転』を搭載した車両を販売することを決定しています。完全自動運転車の開発促進に向け、米Intel社、イスラエルMobileye社など複数企業と提携もしています。2021年までに複数の完全自動運転車が連携して稼働するシステムの実現を目指しているそうです。

Baidu(百度: バイドゥ)

バイドゥは中国政府の設定した新世代人工知能発展計画で自動運転のAIリーディングカンパニーとして選定され、開発も後押しされている中国を代表する企業です。特に世間に注目されたのが、アモイ金龍連合汽車工業と共同で開発したバス「Apolong (アポロン)」でレベル4の自動運転を中国内20カ所以上で実現したことなどです。産官学共同で推し進めているバイドゥはこれからも世界を牽引する先進的な技術を導入するでしょう。

Pony.ai(小馬智行)

Pony.aiを知っている人は多くないと思います。Pony.aiは中国発の自動運転業界のユニコーンです。実はカリフォルニアの自動走行テストではBaiduよりも性能の良さを証明しているほどの企業です。中国内ではBaiduよりも早く(Baiduは2019年末の予定だった)、自動タクシーを社会実装化し、現在は30ものタクシーを広東州で走らせています。今年の8月にはトヨタと開発の協業をすると発表するなど、注目されているスタートアップです。

自動運転における実装課題

自動運転が社会でどのように実装されるのか、理解できたと思います。しかしアウディのA8などレベル3相当の技術が導入されていないように、自動運転の技術の完成度が高まっている一方で日本の社会実装は進んでいません。それには3つの課題があります。

開発に関わる課題

1つ目は開発に関わる課題です。自動運転技術を開発する際に生じる問題は3つほどあります。

  1. 技術の使い分け
    実装コストなどを考慮して、多数の技術の中から技術の使い分けと組み合わせを考える必要があります。
  2. 学習データの収集
    自動運転の研究開発には複雑で膨大なデータが必要となります。一企業だけで収集するのは難しいため、国が関与する必要があるようです。
  3. 安全性・信頼性の評価の仕組み
    ディープラーニングの学習済みモデルによる動作の安全性評価について何らかの共通評価システムを構築する必要があります。

人や社会に関わる課題

2つ目は人や社会に関わる課題です。自動運転を社会実装する際にもやはり課題はあります。

社会受容性

自動運転車の普及には車の利用者以外のすれ違う歩行者を含めた社会全体からの受け入れが必要となります。社会からの注目度も高いので事故が発生すればすぐにメディアで大きく取り上げられる可能性も高いです。リスクなどを理解した社会からのコンセンサスを得る必要があるようです。

ドライバーの運転技能の低下

これからさらに自動運転の社会実装が進むと、ドライバーの運転技能が下がる可能性が高いです。レベル3までの自動運転ではドライバーに運転を任せる場合もあるので技能が低下したドライバーが事故を起こすリスクがあります。そのためレベル3のかわりにレベル4の開発を進める企業もあります。

法制度に関する課題

最後に法制度に関わる課題です。法の制定は技術を普及させていく上でなくてはならない重要な要素です。

誰の責任なのか

これまでの自動車責任保障法では自動運転で誰が責任を負うのかを明示していません。社会実装する前に明示してなければ実装は難しいです。

保安基準の改正

現在、自動運転を実装する上で安全性を確保する基準は未整備です。100%起きない事故はないものの、1%でも事故は起きる可能性を下げる必要があります。

まとめ

自動運転にまつわる技術、社会的期待や課題などを理解することはできたでしょうか。
自動運転の技術には6段階ものレベルが存在しているため、今後、自動運転のニュースや記事を読んだ際に、果たしてそれがどのレベルの技術なのかを考えてみると面白いかもしれません。

またアメリカだけでなく、ドイツや中国の企業なども自動運転の業界を牽引しているので、注目してみてください。

レベル5の完全自動運転の社会実装まではまだ時間がかかりますが、上記した課題などが一つ一つ解決され、最終的に自動運転が社会に普及した未来が訪れるのは楽しみですね。

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