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2019.08.06

初心者でもわかるディープラーニング ー 基礎知識からAIとの違い、導入プロセスまで細かく解説

最終更新日:

AINOW編集部作成

AIの技術に注目が集まると同時に「ディープラーニング(深層学習)」という言葉を耳にすることが多くなった方も多いでしょう。

以下の画像はILSVRCという画像認識コンテストの歴代優勝モデルのエラー率の変遷の様子をグラフ化したものです。2015年にはこのコンテストでディープラーニング(Deep Learning)を搭載した学習モデルが人間が画像を認識する際に犯すエラー率(間違う確率)である4%を超え、3.6%を記録しました。

作成:AINOW編集部

AIについてはなんとなく理解していても、ディープラーニングとは何か、いまいちよくわからない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、AIのブームの火付け役となったディープラーニング技術について、みなさんにわかりやすくご紹介します。

ディープラーニングとは?

ディープラーニングとは人間が手を加えなくてもコンピュータが自動的に大量のデータからそのデータの特徴を発見する技術のことです。

以下の画像からディープラーニングの位置付けを理解できると思います。
人工知能機械学習>ディープラーニングであり、ディープラーニングは機械学習の一技術です。細かい説明は後ほど説明します。

AINOW編集部作成

なぜ今ディープラーニングが注目されているのか

ディープラーニングが注目されている理由は、それが多くのイノベーションを生み出す可能性で溢れているからです。

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これまでの技術では現実世界(環境)から得られるパターン(特徴)認識を機械に学習させることが非常に難しかったため、AIを生かした技術はなかなか発展しませんでした。

しかし、ディープラーニングは「パターン(特徴量)の学習」を自動でできるようになり、これまでの問題の原因を解消しました。それが衝撃的であり、多くの可能性を秘めていることからディープラーニングが注目されているのです。

ディープラーニングとAI・機械学習の違い

ディープラーニングとその他の技術の違いについてみていきます。

AIとは

AIとはArtificial Intelligenceの略で人工知能という意味です。AIの定義については確定したものがないですが、ここでは「人の知的な振る舞いを模倣したコンピュータ」とします。

そしてAIには「汎用人工知能」と「特化型人工知能」の2種類があると言われています。

汎用人工知能

汎用人工知能は、簡単に言うと、「なんでもできる人工知能」です。
多くの人が思い浮かべるのはこの「なんでもできる人工知能」ではないでしょうか。
汎用人工知能は与えられた情報をもとに自ら考え、応用することができる人工知能のことを指します。

特化型人工知能

特化型人工知能とは、1つのことに特化した人工知能を指します。例えば、音声の認識に特化しているAI、囲碁・将棋に特化しているAIなどが挙げられます。ほとんどのAIがこの「特化型人工知能」です。

AIについてより詳しく知りたい方は以下の記事がとても分かりやすいのでおすすめします。

機械学習とは

機械学習とは、AIという技術の中でも人が全てを指示して初めて動くルールベースとは異なり、人の代わりに物事の特徴を発見する手法です。機械学習に関しては

  • データからルールやパターンを発見する方法である
  • 識別と予測が主な使用目的である
  • 分析の精度は100%ではないが、従来の手法より精度をあげられる可能性は高い

という特徴があります。また機械学習は「教師あり学習」・「教師なし学習」・「強化学習」の3つに分類されます。

それぞれ得意分野があり、使用用途が異なります。代表的なものにエクセルなどでも使用可能な線形回帰などがあります。

機械学習についてより詳しく知りたい方は以下の記事がとても分かりやすいのでおすすめします。

ニューラルネットワークとは

ニューラルネットワーク(Neural Network)とは機械学習(基本的に教師あり学習)の一種です。

ニューラルネットワークは人間の脳神経の構造を模倣した作りになっていることから、「ニューラル(神経系)ネットワーク」と呼ばれています。

作成:AINOW編集部

人間の脳は基本的に神経細胞(ニューロン)と神経回路網(シナプス)で構成されています。

ニューラルネットワーク内ではそれらを 「ニューロン → ノード」・「シナプス → エッジ」として再現しています。そして、各層は複数の「ノード(もしくはユニット)」が「エッジ」で結ばれる構造をしています。

人間の脳内のニューロンは電気信号として情報を伝達します。その時にニューロンとニューロンをつなぐシナプスのつながりの強さによって、情報の伝わりやすさが変わってきます。

ニューラルネットワークではこの情報伝達プロセスをエッジという部分で”重み”という機械的な方法で模倣します。

ディープラーニングの仕組み

ディープラーニングはニューラルネットワークをベースにしています。

ディープラーニングは長い間解決されていなかったニューラルネットワーク特有のとある課題(以下に記述)を”多層(ディープ)化”するといった工夫で解決しています。そのためディープラーニングと呼ばれています。

作成:AINOW編集部

ニューラルネットワークは「入力層」→「隠れ層」→「出力層」で情報の表現を行いますが、それでは単純な情報しか処理、表現できないため、情報の複雑さに対応するように”層”の数を増やしたものをディープニューラルネットワーク(Deep Neural Network: DNN)と言います。

ディープラーニング(深層学習)は層を増やし、複雑さに対応したおかげで分析精度が飛躍を遂げているのが特徴です。

ディープラーニングで可能なこととは

ディープラーニング自体の基本的な仕組みについては理解していただけたと思います。

ではディープラーニングで可能なことは具体的に何でしょうか。

ディープラーニングで可能なこととして、「画像認識」「音声認識」「自然言語処理」「ロボットによる異常検知」の4つの分野が挙げられます。
それぞれ活用先として

  • 画像認識 → SNS の人のタグ付け・自動運転
  • 音声認識 → スマートスピーカー・Siri
  • 自然言語処理 → GoogleやYahooのブラウザー検索・自動翻訳
  • ロボットによる異常検知 → 空港・鉄道・製造現場

といった場面があります。もしディープラーニングでできること・できないことについてより詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。

ディープラーニングの4手法

今回はディープラーニングには複数の学習方法があるうちの主要な手法について紹介します。

作成:AINOW編集部

ディープニューラルネットワークから発展した有名な技術は大きく分けて4つです。それぞれの手法が特定の分野に適しており、それらを組み合わせたりすることでより良い成果を出しています。

ディープニューラルネットワーク (DNN)とは

有名な4つの技術の説明に入る前に、それら4技術のベースとなっているディープラーニングについて説明します。

ディープニューラルネットワーク(DNN: Deep Neural Network)はその名の通り、ニューラルネットワーク内の層が多層(ディープ)化されている仕組みになっています。

以下の画像をみても分かる通り、非常に多くの層が組み合わさっています。この多層化で情報の複雑さに対応しています。

freeCodeCamp HP より引用

畳み込みネットワーク (CNN)とは

畳み込みネットワーク (CNN:Convolutional Neural Network)は画像認識に適した手法です。ディープラーニングの研究の中で最も進められている画像認識、物体検出、領域推定などの画像分野で活用されています。

Medium -「Simple Image classification using deep learning — deep learning series 2」より引用

この分野で重要なのは、画像の特徴をどのように取り込むかです。これまでのニューラルネットワークでは画像処理の際に多くの画像特徴情報を失っていましたが、CNNによって画像をそのまま2次元で処理できる様になりました。

“畳み込み(Convolution)”という言葉の由来は二項演算という計算の一方法の名前です。ちなみにCNNでは「画像から “特徴”を抽出する操作」を「畳み込み」と言います。画像処理で不可欠な手法がCNNなのです。

再帰型ニューラルネットワーク (RNN)とは

再帰型(リカレント)ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network)は時系列の情報に適した手法です。

世の中には時間に依存する情報が多くあるため、RNNも非常に重要な手法です。

例えば電車の乗車率は朝6-9時と夕方6-9時が最も多かったり、SNSの使用は昼休みや帰宅時間帯に多くなるなど、時間軸に沿って何かパターンを持っている情報は意外と多いのです。

CNNやこれまでのニューラルネットワークでは時系列の情報の喪失が多かったのですが、RNNによって時系列データをそのまま利用できるようになっています。

一般的にデータであれば新しく入力されたデータの方が基本的には重要度が高いですが、時系列データの場合は、「今の時点では関係はないが、将来のある時点では関係がある」という可能性もあるため、一概に古いデータを軽視できません。

この時系列特有の特徴に対して、RNNやRNNの発展形であるLSTM(Long-Short Term Memory)という手法は過去と将来のデータの重要度をバランスよく保てるような仕組みを兼ね備えており、上記の問題を解決できるようになっています。

RNNやLSTMは音声認識や自然言語処理などにも使用され、Google 翻訳などにも活用されています。私たちの知らないところで活躍していますね。
以下はその音声認識の活用事例をまとめた記事になります。

オートエンコーダとは

オートエンコーダ(自己符号化器:Autoencoder)とは、ニューラルネットワークを利用してデータを抽象化する(次元削減するという)手法の一つです。

AIで処理するデータはさまざまな複雑さをはらんでいます。ニューラルネットワークでは「隠れ層」を利用して、その複雑なデータをシンプルなものに変えますが、オートエンコーダなら、同様のことができるだけでなく、ニューラルネットワークのみの時よりも性能の良いモデルを作ることができます。

オートエンコーダを行うことで、複雑な情報をそのまま処理するのではなく、データを抽象化し、データ量を減らすことで大規模な学習が可能となり、ニューラルネットワークの応用領域が広がりました。

昔からニューラルネットワークは存在していましたが、「勾配消失」という課題が解決できずに下火になっていました。しかし、その課題を解決することで、「データの抽出化」や「大規模な学習」を可能にしたオートエンコーダが2006年に導入されたことで再び人気になりました。

ちなみにオートエンコーダから発展した“変分オートエンコーダ(VAE)”が現在は主流です。今回は説明を省略しますが、興味があったらぜひ調べてみてください!

敵対的生成ネットワーク (GAN)とは

最後に紹介するのはGANです。敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network)は現在、主に画像分野において好成績を残している手法です。GANは2つのネットワークで構成されており、一つは生成器(ジェネレータ)でもう一つは識別器(ディスクリミネータ)と言います。

  • ジェネレータ:ある値を入力値として受け取り、画像データを出力する。
  • ディスクリミネータ:ジェネレータが出力した画像データを受け取り、本物か偽物かを予測して出力する。

ジェネレータはディスクリミネータが間違えるような画像を作るように学習していき、ディスクリミネータは偽物をきちんと見抜けるように学習していきます。この2つがイタチごっこをすることで、お互いの精度をどんどん上げていきます。

機械が自動的に精度を上げていくGANはこれまで他の手法ではなかなか達成できていなかった、驚くような成果をもたらしています。

以下の動画はGANを利用した”ディープフェイク”と呼ばれる動画です。本物のオバマ元大統領のデータ(画像、動画、音声など)を使い、GANを通して訓練、生成されたものです。

動画内では偽オバマ元大統領が、本物のオバマ大統領の動画に合わせてリアルタイムで話しています。

ディープラーニングの実用例

ここではディープラーニングの実用例について紹介します。一度は聞いたことのある例を3つほど取り上げました。

囲碁チャンピオンを打ち破ったAlphaGo

2017年、米Google傘下のDeepMind社が開発した囲碁AI “Alpha Go”は人類最強と言われていた柯潔(カ・ケツ)棋士に全勝した話です。ニュースでも大きく報じられ、ディープラーニングの能力の高さを象徴した事例となっています。

Asia Societyより引用

ボードゲームで最も難しいと言われている囲碁には約10の360乗通りという天文学数的な組み合わせが考えられるため、人間最強の棋士に勝つには今までの機械学習方法では到底不可能でした。

しかし、ディープラーニングと強化学習 (強化学習とは?)などの既存の技術の組み合わせによってそれを可能にしたのです。

ちなみにAlphaGoが強くなりすぎ、これ以上成長しても仕方ないということで、Deepmind社はAlphaGoを囲碁の分野から引退させる決定したそうです。誕生してから5年弱で引退とは驚きですね。

以下はAlpha Goの凄さの秘密に迫った記事です。気になる方はぜひ読んでみてください。

競争が進む自動運転技術

AlphaGoの他に馴染みがあるディープラーニングの事例は自動運転技術(Autonomous Driving)ではないでしょうか?

多くの自動車関連の企業に加えて、Waymo (ウェイモ: Google傘下)やTesla (テスラ)、百度 (バイドゥ)なども参入している競争が激しい分野です。

国内ではトヨタやNISSANなどの自動車メーカーをはじめ、DeNAなどのIT企業や自動運転の要素技術を開発するベンチャーも生まれています。

NAVIDIA HPより引用

囲碁のようなゲームは完全情報ゲームと呼ばれ、環境が変わることはなく、ルールに則って勝敗が決定します。一方、自動運転車を実現するためには常に変動する環境への対応や、さまざまな物体の認識・処理の必要性などもネックとなっていました。

しかし、カメラの映像を通したディープラーニングによる環境認識や、レーザー光を使ったセンサの一種で、対象物までの距離や位置や形状まで正確に検知できるLiDAR(ライダー)という技術によって得られるデータから近い将来、自動運転レベル4 (特定の場所でなど条件付きで運転手が乗らずに走れる)までは実現可能と言われています。

自動車事故の90%以上は運転者の人為ミスが占めています。近年、自動車事故も多発している状況を考慮すると、自動運転の実現により安全な社会を構築できる可能性があります。以下の記事も参考にしてください。

メルカリが取り組む「最高の出品体験」

近年は日本一ダウンロードされているフリマアプリであるメルカリは「売ることを空気にすること」、つまり限りなく簡単にすることを目指してAI技術を利用しています。

TECH PLAY HPより引用

出品してから売れるまでをAIで最適化する「Selling AI」にフォーカスして、質の良い大量のデータをもとにディープラーニングや転移学習、知識転移を駆使しています。

ディープラーニングの導入プロセス

これまでディープラーニングについて説明していきました。では実際にディープラーニングを導入するにはどのようなステップを踏むべきなのでしょうか。

以下は基本的な機械学習のステップを図式化したものです。これを参考にしてみてください。

作成:AINOW編集部

主な流れは

  1. 既存業務・事業にAIで何ができるかを知る
  2. Proof of Concept (PoC:概念検証)で実際のデータを用いて機械学習のモックアップ構築にトライする
  3. モックアップを本番運用レベルまで進化させ、その他のシステムの環境を整える
  4. 実際に機械学習を運用し、精度のモニタリングとチューニングをし、システムの監視や機能改善を測る

の様になり、これらはフェーズごとの最低必要コストの目安(推定額)で以下の画像のような平均になるそうです。

作成:AINOW編集部

しかしながら注意点として、ディープラーニングを導入するためには膨大なデータが必要で、そのデータを学習するコストも必要とされます。技術的な指標だけでなく、売上などビジネス的な指標でディープラーニングをしっかり評価し、適材適所で活用していくことが重要です。

ディープラーニングを使わなくても、他の機械学習のアルゴリズムや簡単なデータサイエンスのモデルで代替可能なケースも多いため、事業ややりたいことの目的を明確にし、柔軟な機械学習の導入を行いましょう。

ディープラーニングの導入について、より詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

AIを学べる講座まとめ(無料講座も含む)

AIエンジニアの需要が急増しています。国内でも数々の企業が優秀なAIエンジニアに対して、高い報酬を提示するなど、AIに精通した人材の獲得に尽力しています。例えば、2019年秋頃に富士通は優秀なAIエンジニアには4000万円もの報酬を与えると発表し、話題になりました。

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そこで以下の記事では、AIエンジニアのスキルを習得することができる講座をオンライン・オフラインに分けてご紹介ています。

ディープラーニングについて学べる書籍

2019年2月4日、日本ディープラーニング協会(JDLA)ホームページ上にて、「日本ディープラーニング協会 G検定合格者が選ぶディープラーニング関連おすすめ書籍ランキング」が公開されました。

JDLAによるG検定は、「事業にディープラーニングを活用する人材」を対象とし、エンジニアだけでなく、経営者や企画者などビジネスサイドの人も受験する検定です。

この記事ではG検定の合格者約500人が選んだオススメ書籍や、テーマ別のオススメの書籍、またオススメのサイトやTwitterアカウントまで幅広く紹介します。漠然とAI・人工知能について学びたいと考えている方におすすめです。ぜひ自分に合った本からAIについて学び、奥深いディープラーニングの知識もつけてみてください!

ディープラーニング関連の資格&検定

AIについて勉強したいけど、何から取り組んでいいのか分からない。もしくは、自分のAIのスキルを証明して、就職・転職を有利に進めたいと思ってはいませんか。

そんな人は「資格」に挑戦するのがオススメ。

この記事ではAIの資格に挑戦するメリットと、それぞれの資格の概要を紹介します。

ディープラーニングの利活用を進める日本ディープラーニング協会(JDLA)

日本ディープラーニング協会(JDLA)は日本の産業がディープラーニングをより有効に活用して、産業競争力を高めていくことを目指し、東京大学大学院工学系研究科 特任准教授の松尾豊氏を理事長とし、ディープラーニングの有識者が中心となって、産業促進を促すために設立された団体です。AINOWのメディアパートナーです。

ディープラーニングの資格検定試験「G検定」や「E資格」を設けて人材育成に取り組むほか、ディープラーニングを活用したコンテストなども開催し、ディープラーニングの普及に努めています。

ディープラーニングの動向を知る

AINOWは、人工知能を知り・学び・役立てることができる国内最大級のAI・人工知能専門メディアです。

メールマガジンでも定期的にディープラーニングなどAIに関する情報を配信しています。

どうぞお気軽にご活用ください。

最後に

この記事を読み、ある程度ディープラーニングについて理解を深められたでしょうか?

ディープラーニングはニューラルネットワークをベースにさらに発展した手法であり、中には今回挙げた4つの手法以外にも発展した手法が多く世間で使われています。インターネットや本でさらに調べると面白いかもしれないですね。

AlphaGoの様な人間の能力をただ超える実例だけでなく、自動運転の例のように人々の生活の豊かさを上げてくれる可能性を秘めているディープラーニングにこれからも目が離せません。

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