今さら聞けない!「ディープラーニング」とは?

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AIの技術に注目が集まると同時に「ディープラーニング(深層学習)」という言葉を耳にすることが多くなった方も多いでしょう。ディープラーニングは、特に画像認識の領域で人間を超え、AIのブームを牽引している技術だと言えます。

以下の画像はILSVRCという画像認識コンテストの歴代優勝モデルのエラー率変遷の様子をグラフ化したものです。2015年にはこのコンテストでディープラーニング(Deep Learning)を搭載した学習モデルが人間の画像認識エラー率4%を超えた3.6%のエラー率をも記録しました。

作成:AINOW編集部

しかし、AIについてはなんとなく理解していても、ディープラーニングとは何か、いまいちよくわからない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、AIのブームの火付け役となったディープラーニング技術について、みなさんにわかりやすくご紹介します。

ディープラーニングとは?

ディープラーニングは機械学習技術の一つ

簡単に説明すると、ディープラーニングとは人間の手を使うことなくコンピュータが自動的に大量のデータからデータの特徴を発見する技術のことです。ちなみに人工知能>機械学習>ディープラーニングであり、ディープラーニングは機械学習の一技術です。機械学習と同列に扱われることもあるので注意が必要です。

作成:AINOW編集部

また、もしAI(人工知能)全般や機械学習についてまだ不確かであれば、以下の記事で易しく説明しているので参考にしてみてください。

ディープラーニングとは

ここからはもう少しディープラーニングについて細かく説明します。ディープラーニングはニューラルネットワーク(Neural Network)という機械学習の手法をベースにしています。

作成:AINOW編集部

しかしディープラーニングは長い間解決されていなかったニューラルネットワークのx課題を”多層(ディープ)化”するなどの工夫で解決しています。

ニューラルネットワークは機械学習における”教師あり学習”の一種であり、人間の脳のニューロン(神経細胞)を模倣して作られています。

人間の脳内のニューロンは電気信号として情報を伝達します。その時にニューロンとニューロンをつなぐシナプスのつながりの強さによって、情報の伝わりやすさが変わってきます。

ニューラルネットワークではこの情報伝達プロセスを”重み”などの機械的な方法で模倣します。

作成:AINOW編集部

ニューラルネットワークは「入力層」→「隠れ層」→「出力層」で情報の表現を行いますが、それでは単純な情報しか処理、表現できないため、情報の複雑さに対応するように”層”の数を増やしたのをディープニューラルネットワーク(Deep Neural Network: DNN)と言います。

ディープラーニング(深層学習)は層を増やし、複雑さに対応したおかげで分析精度が飛躍を遂げているのが特徴なのです。

ディープラーニングの実用例

簡単にディープラーニングについて紹介しましたが、「ディープラーニングの仕組みはある程度わかったけど、それが実際に使われている事例あまり聞いたことないな。」といった声が聞こえてきそうです。でも実は意外と身近なところでディープラーニング技術は使われているのです。

今回は2つの例を紹介したいと思います。

囲碁チャンピオンを打ち破ったAlphaGo

2017年、米Google傘下のDeepMind社が開発した囲碁AI “Alpha Go”は人類最強と言われていた柯潔(カ・ケツ)棋士に全勝しました。ニュースでも大きく報じられ、ディープラーニングの能力の高さを象徴した事例でもあります。

Asia Societyより引用

ボードゲームで最も難しいと言われている囲碁には約10の360乗通りという天文学数的な組み合わせが考えられるため、人間最強の棋士に勝つには今までの機械学習方法では到底不可能でした。

しかし、ディープラーニングと強化学習 (強化学習とは?)などの既存の技術の組み合わせによってそれを可能にしたのです。

ちなみにAlphaGoが強くなりすぎ、これ以上成長しても仕方ないということで、Deepmind社はAlphaGoを囲碁の分野から引退させる決定したそうです。誕生してから5年弱で引退とは驚きですね。

競争が進む自動運転技術

また、AlphaGoよりも馴染みがあるディープラーニングの事例は自動運転技術(Autonomous Driving)ではないでしょうか?

自動車会社以外にもWaymo (ウェイモ: Google傘下)やTesla (テスラ)、百度 (バイドゥ)なども参入している競争が激しい分野です。国内ではトヨタやNISSANなどの自動車メーカーをはじめ、DeNAなどのIT企業や自動運転の要素技術を開発するベンチャーも生まれています。

NAVIDIA HPより引用

囲碁のようなゲームは完全情報ゲームと呼ばれ、環境が変わることはなく、ルールに則って勝敗が決定します。一方、自動運転車を実現するためには常に変動する環境への対応や、さまざまな物体の認識・処理の必要性などもネックとなっていました。

しかし、カメラの映像を通したディープラーニングによる環境認識や、LiDARなどのセンサーによって得られるデータによって、近い将来、自動運転レベル4 (特定の場所でなど条件付きで運転手が乗らずに走れる)までは実現可能な段階となっています。

自動車事故の90%以上は運転者の人為ミスが占めています。近年、自動車事故も多発している状況を考慮すると、自動運転の実現によりより安全な社会を構築できる可能性があります。

ディープラーニングの種類

ディープラーニング自体の基本的な技術構造については理解していただけたと思いますが、実はディープラーニングには複数の学習方法があります。今回はそのうちいくつかの手法について紹介したいと思います。

作成:AINOW編集部

ディープニューラルネットワークから発展した有名な技術は大きく分けて4つです。それぞれの手法が特定の分野に適しており、それらを組み合わせたりすることでより良い成果を出しています。

1, 畳み込みネットワーク (CNN)

畳み込みネットワーク (Convolutional Neural Network)は画像認識に適した手法です。ディープラーニングの研究の中で最も進められている画像認識、物体検出、領域推定などの画像分野で活用されています。

POSTD HPより引用

この分野で重要なのは、画像の特徴をどのように取り込むかです。これまでのニューラルネットワークでは画像処理の際に多くの画像特徴情報を失っていましたが、CNNによって画像をそのまま2次元で処理できる様になりました。

“畳み込み(Convolution)”という言葉の由来は二項演算という計算の一方法の名前です。ちなみにCNNでは画像から “特徴”を抽出する操作を畳み込みと言います。画像処理で不可欠な手法がCNNなのです。

2, 再起型ニューラルネットワーク(RNN)

再起型(リカレント)ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network)は時系列の情報に適した手法です。実は世の中には時間に依存する情報が多くあるため、RNNも非常に重要な手法です。

例えば電車の乗車率は朝6-9時と夕方6-9時が最も多かったり、SNSの使用は昼休みや帰宅時間帯に多くなるなど、時間軸に沿って何かパターンを持っています。

CNN同様、これまでのニューラルネットワークでは情報の喪失が多かったのですが、RNNによって時系列データをそのまま入力できるようになっています。

一般的にデータであれば新しく入力されたデータの方が基本的には重要度が高いですが、時系列データの場合は、「今の時点では関係ないけれど、将来の時点では関係ある」という可能性もあるため、一概に古いデータを軽視できません。

それに対して、RNNやRNNの発展形であるLSTM(Long-Short Term Memory)という手法は過去と将来のデータの重要度をバランスよく保てるような仕組みを兼ね備えており、上記の問題を解決できるようになっています。RNNやLSTMは音声認識や自然言語などにも使用されているだけでなく、Google 翻訳などにも活用されています。
以下はその音声認識の活用事例をまとめた記事になります。

3, オートエンコーダ

オートエンコーダ(自己符号化器)とは、ニューラルネットワークを利用してデータを抽象化する(次元削減する)手法の一つです。

AIが処理するデータはさまざまな複雑さをはらんでいます。オートエンコーダを複雑な情報をそのまま処理するのではなく、データを抽象化することで大規模な学習が可能となり、ニューラルネットワークの応用領域が広がりました。ニューラルネットワーク自体は長い間存在はしていたものの課題が解決できず、下火でした。

しかし、データを抽出化し、大規模な学習を可能にしたオートエンコーダが2006年に導入されたことで再び人気になりました。ちなみにオートエンコーダから発展した“変分オートエンコーダ(VAE)”といった手法の方がより利用されています。今回は説明を省略しますが、興味があったらぜひ調べてみてください!

4, 敵対的生成ネットワーク

最後に紹介するのはGANです。敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network)は現在、主に画像分野において好成績を残している手法です。GANは2つのネットワークで構成されており、一つは生成器(ジェネレータ)でもう一つは識別器(ディスクリミネータ)と言います。

  • ジェネレータ:ある値を入力値として受け取り、画像データを出力する。
  • ディスクリミネータ:ジェネレータが出力した画像データを受け取り、本物か偽物かを予測して出力する。

ジェネレータはディスクリミネータが間違えるような画像を作るように学習していき、ディスクリミネータは偽物をキチンを見抜けるように学習していきます。イタチごっこをすることで、お互いの精度をあげます。
GANはこれまで以上に驚くような成果をもたらしています。

以下の動画は”ディープフェイク”と呼ばれる動画です。本物のオバマ元大統領のデータを使い、GANを通して訓練、生成された偽オバマ元大統領が、本物のオバマ大統領の動画に合わせてリアルタイムで話しています。

ディープラーニングの導入プロセス

これまでディープラーニングについて説明していきました。では実際にディープラーニングを導入するにはどのようなステップを踏むべきなのでしょうか。

以下は基本的な機械学習のステップを図式化したものです。

作成:AINOW編集部

主な流れは

  1. 既存業務・事業にAIで何ができるかを知る
  2. Proof of Concept (PoC:概念検証)で実際のデータを用いて機械学習のモックアップ構築にトライする
  3. モックアップを本番運用レベルまで進化させ、その他のシステムの環境を整える
  4. 実際に機械学習を運用し、精度のモニタリングとチューニングをし、システムの監視や機能改善を測る

の様になり、これらはフェーズごとの最低必要コストの目安(推定額)で以下の画像のような平均になるそうです。

作成:AINOW編集部

しかしながら注意点として、ディープラーニングを導入するためには膨大案データが必要で、そのデータを学習するコストも必要とされます。技術的な指標だけでなく、売上などビジネス的な指標でディープラーニングをしっかり評価し、適材適所で活用していくことが重要です。

ディープラーニングを使わなくても、他の機械学習のアルゴリズムや簡単なデータサイエンスのモデルで代替可能なケースも多いため、事業ややりたいことの目的を明確にし、柔軟な機械学習の導入を行いましょう。

ディープラーニングの導入について、より詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

ディープラーニングについて学べる書籍

2019年2月4日、日本ディープラーニング協会(JDLA)ホームページ上にて、「日本ディープラーニング協会 G検定合格者が選ぶディープラーニング関連おすすめ書籍ランキング」が公開されました。

JDLAによるG検定は、「事業にディープラーニングを活用する人材」を対象とし、エンジニアだけでなく、経営者や企画者などビジネスサイドの人も受験する検定です。

この記事ではG検定の合格者約500人が選んだオススメ書籍や、テーマ別のオススメの書籍、またオススメのサイトやTwitterアカウントまで幅広く紹介します。漠然とAI・人工知能について学びたいと考えている方におすすめです。ぜひ自分に合った本からAIについて学び、奥深いディープラーニングの知識もつけてみてください!

ディープラーニング関連の資格&検定

AIについて勉強したいけど、何から取り組んでいいのか分からない。もしくは、自分のAIのスキルを証明して、就職・転職を有利に進めたいと思ってはいませんか。

そんな人は「資格」に挑戦するのがオススメ。

この記事ではAIの資格に挑戦するメリットと、それぞれの資格の概要を紹介します。

ディープラーニングの利活用を進める日本ディープラーニング協会(JDLA)

日本ディープラーニング協会(JDLA)は日本の産業がディープラーニングをより有効に活用して、産業競争力を高めていくことを目指し、東京大学大学院工学系研究科 特任准教授の松尾豊氏を理事長とし、ディープラーニングの有識者が中心となって、産業促進を促すために設立された団体です。AINOWのメディアパートナーです。

ディープラーニングの資格検定試験「G検定」や「E資格」を設けて人材育成に取り組むほか、ディープラーニングを活用したコンテストなども開催し、ディープラーニングの普及に努めています。

ディープラーニングの動向を知る

AINOWは、人工知能を知り・学び・役立てることができる国内最大級のAI・人工知能専門メディアです。

メールマガジンでも定期的にディープラーニングなどAIに関する情報を配信しています。

どうぞお気軽にご活用ください。

最後に

この記事を読み、ある程度ディープラーニングについて理解を深められたでしょうか?

ディープラーニングはニューラルネットワークをベースにさらに発展した手法であり、中には今回挙げた4つの手法以外にも発展した手法が多く世間で使われています。インターネットや本でさらに調べると面白いかもしれないですね。

自動運転やAlphaGoの様な人間の能力を超えつつも、人間界の可能性を広げてくれるディープラーニングにこれからも目が離せません。

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