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近年は、企業の採用活動にもAIの導入が進んでいます。
特に今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、人との接触を避けるために就職活動はウェブで行うことが主流になりました。直接会わなくても就活生の性格や企業とのマッチング度合いを正確に計るために面接にAIの活用を検討している企業が増えてきています。
また、就活生の方や転職先を探している方の中には、AI面接を取り入れている企業にエントリーした方もいるでしょう。
しかし、AIによる面接は「どのような基準で合否が決められるのか」具体的な指標が分かりにくいため、導入する側も受ける側も不安があると思います。
そこで、今回はAIを生かした採用活動について、導入のメリット・デメリットや、就活生の影響をまとめていきます。
目次 [非表示]
AI面接を突破する対策・注意点
ご紹介してきたように、多くの企業がAI面接を取り入れ、その効果を実感しています。
また新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、学生と企業の出会いや直接会っての交流が難しくなっています。AIを導入する企業も増えてくるでしょう。
そこで、今回は「AI面接を突破するコツ」を以下の3つ紹介します。
今後、就活や転職でAI面接を受ける方は参考にしてみてください。
徹底した自己分析をする
AI面接では応募者が今までどのような経験をし、どのように物事に取り組んできたかが重視されます。そのため、ただ自分がやりたいことやできることを発言するだけでは、不十分です。
どのような状況下で、どのような課題があったのか。そして、それに対してどう行動してどんな結果をもたらしたのかをしっかりと答えられることが大切になります。学生であればサークルやアルバイト、社会人であれば仕事などで行なってきたことを言語化していきましょう。
これは対面の面接でも求められることですので、普通の面接対策と大きく変わることはありません。
AIが相手でも表情や姿勢、話し方に注意!
また、AI相手で人が見ていないからといって、手を抜いていいわけではありません。
身だしなみや雰囲気も評価されますので、裸やパジャマで受けてしまうと、そのこともレポートとして会社に送られることになります。
先ほど紹介したSHaiNでは質問内容だけでなく、カメラで観察された内容も評価対象となっています。
具体的には「インパクト、理解力、表現力、ストレス耐性」が項目としてあるようです。
実は筆者も就職活動期にはAI面接を受けたことがあります!(当たり前ですが、)スーツを着て姿勢よく座って受けました。話し方は普段より発音良く、ゆっくり、区切りをつけながら話すようにして行いました。
話す内容も大切ですが、相手に「自分の話を聞かせてあげる」ような話し方、姿勢も重要です。
カンペを読まずにしっかり話そう
これまで自身の過去について聞かれることが多かったAI面接ですが、最近では志望動機や入社してやりたいことなど企業に合わせた質問もされるサービスがでてきているようです。
これは、企業がエントリーシートで確認していた項目もAI面接で代替できるという企業側のメリットがあります。
そのため、自分のやりたいことをきちんと語れることが重要です。取り繕うのではなく、その会社でやりたいことを素直に語りましょう。
AI面接が行われるのは選考フローの序盤のため、志望動機を語ることが難しいかもしれません。
エントリーシートの提出が求められていなくてもその会社の志望動機などの聞かれそうな基本事項はあらかじめ準備しておけば、突然の質問にも対応できるでしょう。
参考:PRTIMES「AI面接サービスSHainに「フリー質問」機能が追加 ~エントリーシート(ES)の確認項目をAI面接で可能に~」
AIによる面接とは
AI面接とは、人事の人に代わりAIが面接官として面接をすることです。オンラインでできるという点で似ているWeb面接との違いはAIを活用しているかしていないかです。
AIに代わったとしても面接内容にほとんど変わりはなく、質問に対する回答の深堀をしたり、コミュニケーション能力をはかることもできます。
コロナ禍の影響もあり、オンラインで行うことが増えAI面接を導入する企業はますます増えています。
AI面接の内容と流れ
AI面接の内容は、100問程度の質問をする中で以下のような項目を評価しています。
- メンタル面
- リーダーシップ
- 柔軟性
- 感受性
- 計画性
- 表情
- 頭の回転力
細かい行動までAIは観察しているので、受検者は人と面接をしていると思って挑むことが大切です。また、カメラに向かって長時間自分について話すことは、集中力が下がってきやすいので最後まで姿勢や表情を油断せず意識することも大事です。
AI面接の流れの多くは専用アプリをインストールして始めることができます。質問に対して浅い回答であったりすると、「具体的には?」といったように深堀りもAIは可能です。
AI面接を導入するメリット
AIを面接に導入するメリットは次の3つがあります。
以下でそれぞれ説明していきます。
業務の効率化
従来の面接では応募者1人に対して1人以上の面接官が必要で時間と労力の負担が大きかったです。AIを導入することによって、精度の高い面接を応募者が好きな時間に受けることが可能になり、大幅な業務の効率化ができました。
コスト削減
対面の面接は、場所が必要で時間にも制限があります。AIを導入したオンラインの面接を導入することで、遜色ない精度の面接でありながら場所や時間、費用の削減につながりました。
応募者にとっても、会場まで行く交通費や他社とのバッティングを防げるので、応募者の増加も期待できます。
評価基準が平等
AIは人間のように印象で採用の評価に影響することもなく、平等な評価基準で行えるというメリットもあります。面接官が異なることにより評価も異なってくるのは今まで仕方がないことだとされてきましたが、AIを導入することによって解決することができます。
AI面接を導入するデメリット
AIを面接に導入するデメリットは2つあります。
以下でそれぞれ説明していきます。
過去しか見れない
過去しか見れないということは、AI面接では過去のことに関しての質問しかできなく、将来的なポテンシャルをはかりにくいということです。
もしかしたら、優秀な人材の能力を最大限引き出せず、落としてしまうかもしれません。そうなってしまっては、採用において効率的になるかもしれませんがあくまで採用は会社にとって貢献できる人材を探すためにあるので、本質を見失ってしまいます。
採用のミスマッチが増える
AI面接では実際に会社で面接を行うわけではないため、入社後に会社の雰囲気など想像と異なり、内定辞退や早期退職を招いてしまうかもしれないからです。
オンラインで行うことは面接官の印象がそのまま会社の雰囲気に影響されますが、面接官もAIになると会社に訪れたことがない人は会社の雰囲気がわかりません。
AI面接を導入している企業
AI面接を導入している企業は以下のような3つがあります。
それぞれ紹介していきます。
①ペッパーくんで面接-吉野家
吉野家は数多い応募者がいるので店側の負担軽減できたり、採用統一化することが利点として、AI面接を利用しています。いつでも面接を行うことができるので、日程調整をする必要性もなく、より応募者の好きな時間に受けられるようになっています。
ペッパーくんに面接官としてのAIを学習させることで、実際に人と話しているかのように面接を行えます。
※イメージ画像※

引用:https://japan.cnet.com/article/35103469/
②農場から移動を0に-アキタフーズ
株式会社アキタフーズは「皆さまの食生活をより豊かにする」というコンセプトのもと、卵の生産を行っている会社です。そのため仕事の現場は農場で、面接のために現場を離れる必要がありました。
そこで、AI面接を導入することによって農場からの移動をなくし、生産性の向上や経費負担の軽減につながりました。働きたい地方の人も応募するハードルは下がり、応募者の増加にもなっています。
③ベテラン人事のノウハウを学習-ソフトバンク
ソフトバンクは2018年インターンでより当社の理想とする学生を選抜したいという思いから始まり、2022年5月末からは新卒採用の動画面接にAIを導入しました。AIとベテラン人事の判断の比較とシステムの改善を繰り返して、人間が面接官をするのに遜色ない高い精度になっています。
AIを導入したことによって、学生側には時間とお金の負担が減り、採用側も時間と場所確保の負担が減る効果が主にありました。
AI面接のツール
AI面接のツールは主に2つあります。
以下でそれぞれの特徴を説明していきます。
SHain

引用:https://www.enpre.co.jp/service/jobs/shain/
SHainは株式会社タレントアンドアセスメントが運営しているツールです。国産の有名なAI面接サービスで、専用スマートフォンアプリから24時間面接が可能になっています。
独自に開発した「戦略採用メソッド」という面接手法をAIが学習しており、質の高い面接が可能になっています。また、専門スタッフが受検者の資質を分析して面接評価レポートを作成してくれたり、回答内容をすべてテキスト化してくれます。
料金体系はサブスクリプションになっており、初期選考向け、新卒・中途採用向け、アルバイト向けの3つのプランがあり、3,000円~10,000円で利用できます。
HireVue

引用:https://www.hrpro.co.jp/service_detail.php?ccd=00694&pno=2
HireVueは、世界の著名企業800以上で採用に利用されているアメリカ発のAI面接ツールです。使う言葉や声、表情などから25,000の特徴パターンを検出したり、その特徴を会社の優秀な人材の特徴と比較することができ、ポテンシャルの高さを測定できます。
録画面接機能とライブ機能といったAIを活用していないWeb面接のサービスやプログラミング能力をはかることができる機能、認知心理学に基づくゲームで遊ぶだけでできる適正検査など多機能です。
利用料金について公式サイトには明示されておらず、導入を検討したい企業はお問い合わせが必要です。
まとめ
大量の応募者一人一人と採用担当者が面接していては、多大な時間を取られてしまうだけでなく、一人一人と向き合う時間が限られてしまうことで応募者の人柄や能力が正しく把握できないこともあります。
しかし、面接にAIが導入されれば、今までかなりの時間を取られていた面接を自動化し、採用活動の効率化に繋がります。また、自社に合いそうな応募者にかけられる時間も増えるため、採用のミスマッチも増えにくくなると期待できます。
そういったことから、今後はAI面接を導入する企業は増加し、就活生はAIと面接をするのが普通の時代になるかもしれません。

AINOW編集部
CS専攻大学2年生・42Tokyo所属
情報発信を通して自分自身の知見も深めていきたいと思います