データサイエンティストの仕事は”ツール”で変わる

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AI、データ分析におけるツールの可能性が高まっています。Googleをはじめとしたテックジャイアントから、小さなスタートアップまで、AI、データサイエンスを効率的にすべく、さまざまなツールが提供されています。

今回は、データ分析のツール化の潮流をつかむべく、データ分析ツール「nehan」を提供する株式会社nehanの中原誠代表取締役に「これまでのデータ分析を変えたい」という指針や、「データサイエンティストのあるべき姿」をお伺いします。

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データサイエンティストに求められる能力

ツールについて、触れる前にデータサイエンティストに求められる能力について伺いました。

マスクド・アナライズ
これまでさまざまな企業(コロプラ・ドリコム・DATUM STUDIO)で経験を積まれて、「データ分析を簡単にできる仕組みを提供したい」という気持ちから、nehanを起業された中原さんですがデータサイエンティストに求められる能力についてどうお考えでしょうか。
中原氏
データサイエンティストというテーマとしては、3つのカテゴリーに分けられます。

1つ目はデータをさばくエンジニアリングのスキル、2つ目が統計解析などアカデミックな知識、3つ目が企画力のデータをビジネスに活かせる能力があります。

それぞれに課題があります。例えば、エンジニアリングは汚いデータを整備しなければならず、ひたすらSQLを書くばかりでデータサイエンティストの仕事なのか疑問に感じる場面すらあります。

アカデミックな領域においても、専門家など一部の人だけが技術を理解するだけでは、実業務に反映されず閉じてしまいます。

だからこそデータや技術をビジネスにおける課題解決手段にまで落とし込んで、データ分析に価値があると証明しなければいけません。以前話題になりましたが、「囲碁でAIが人間に勝った」だけではダメなんです。

企業で働く人にとっては、「それが仕事に役立つのか」という視点ですからね。
ここで挙げた3点をバランスよく全部できる人は、ほとんどいません。

「こんなデータがあれば、新しい視点で分析できる」という感覚や、勘が鋭い人でも自分でデータを準備して分析するまではできません。エンジニアに依頼しても、時間も負担かかりますから。

データサイエンティストに不要な仕事をなくす

AIやデータ分析などの分野へツールを導入するとなると「データサイエンティストの仕事がなくなるのではないか?」という意見も散見されます。

ツールの活用が進む未来にはデータサイエンティストは不要になるのでしょうか?

マスクド・アナライズ
アイデアはあっても、実現するのが難しいジレンマですね。
中原氏
nehanはそれぞれの領域に強い社員がいるので、この課題を解決していきます。

まずはデータを準備する作業をもっと楽にしたいですね。データクレンジングでSQLばかりを書かざるを得ない人が、もっと本質的なデータサイエンティストの仕事ができるようにステップを進めるべきです。

データサイエンティストの仕事をなくすという考えではなく、不要な仕事をなくして新たな業務に取り組むべきという考えです。

人間がやる必要がない面倒な作業は、機械に任せるべきですね。一方で人間が取り組むべき作業をどう残すかも課題です。
人間がやるべきことは、新たな知見を探し出すことでしょう。新たな発見や理解は、自分が知っている何かと別の何かを接続して見つかるものです。そうした機会をnehanで提供したいと思います。

例えば、業務で保有しているデータと新しいアルゴリズムを組み合わせて、「今まで知らなかった新しい分析が出来る」という発見をしてほしいです。

自分で手を動かして初めて理解できる事がありますね。
自分でデータを準備して分析ができてこそ、ビジネス改善が進むと考えています。

データサイエンティストの仕事は変わる

Webの領域では、WordPressなどのCMS(Content Management System)が生まれたり、さまざまなブログのプラットフォームができることで、コーディングスキルがなくても自分のWebページを簡単に持てるようになりました。

しかし、Webデザイナーの仕事はなくなったわけではなく、プラットフォームでは作ることができない、複雑なWebサイトデザインに注力できるように進化しています。

同様にAIやデータサイエンス領域においても、今後、どのようにツールが整備され、どのように仕事内容が変わっていくのでしょうか。

マスクド・アナライズ
データ分析が身近になることで、仕事内容が変化していく点については、どうお考えですか?
中原氏
データ分析をビジネスで活かす上で、全ての業務はピラミッド構造になっています。

一番上の頂点が、わかりやすいAI導入やデータ分析結果の部分です。例えばメルカリさんが紹介するようなもので、頂点なのでニッチな事例でもあります。

対してピラミッドの頂点の下にある、Excelで分析したりSQLを書いたりレポート作成などの業務は98%を占めると言えるぐらい多いです。例えば人事担当者が社内アンケートを集計するだけで1日が終わるという現実もあります。分析業務に限らずデータを扱う業務は複雑化しすぎており、それらを全部含めてデータをうまく処理してもらうためにnehanを活用いただきたいですね。

こういった障壁を全て取り払って、本当に必要なデータを見ながら「ここはこうするべきだ」「こんなことをやってみよう」とディスカッションできるようにしたいです。

今はデータを集めてから、整備してレポートで見える化するまでが大変ですからね。常に最新のデータを見ながら議論にまで持っていける組織は、まだまだ少ないでしょう。
はい、ディスカッションの手前にすらたどり着けてないのが問題です。データ分析が進んでいる企業なら、他社のデータ分析ツールのように特定機能に強いものが適しているかもしれません。しかし大半の企業は、nehanのような汎用ツールで、データ可視化の前の段階で抱える問題を先に解決すべきでしょう。

nehanを活用してSQLばかりを書く仕事から卒業!

ツールが普及することで、データサイエンティストの仕事が変化し、よりデータサイエンスが課題解決のツールとして確立していくでしょう。

マスクド・アナライズ
さまざまなGUIデータ分析ツールがある中で、ユーザーとしてどれを選べが良いのかわかりにくいという問題があります。ユーザーに対して、どのような課題解決や目的でnehanを利用してほしいというアドバイスはありますか。
中原氏
データを作って準備する作業で日が暮れてしまう人はもちろん、分析したいが知識やスキルが足りない人、データ分析者が足りない企業などにnehanを使ってほしいですね。
現場で分析する人はこうした便利なツールの存在を知らず、ずっと前例を踏襲している人もいますね。思考停止にならず、他の方法があることに気付いてほしいです。
分析ツール導入では、導入費用が懸念されますが、まずは分析者の時間をどれだけ無駄にしているかを金額換算して考えて欲しいですね。費用がかかってもツールを導入して自動化することで、結果としてコストが浮く場合もあります。
実際に利用されているユーザーからのnehanに対する評価はいかがでしょう。
大きく2つあって、まずは「業務量が圧倒的に減った」「効率化が進んだ」という省力化の側面です。もう1つが「今まで出来なかった事が出来るようになった」という知見や発見の視点です。それまでデータを準備するだけでも大変な企業様も、導入支援を開始したらすぐにデータ集計から分析、ついには機械学習まで行えるようになりました。
nehanは分析処理のアイコンを組み合わせながら開発できるので、初心者でもわかりやすいのが魅力ですね。Excelによるデータ分析しか経験していない人でも、使いやすいと思います。
データサイエンティストでも、データを準備するのは面倒ですから。また、多人数で作成した処理を共有出来る点も大きいです。
先ほどピラミッドの話が出ましたが、頂点にある事例を模倣するのではなく、下から地道にデータ基盤を整備しなければいけませんね。データ基盤を蔑ろにしたままでは、データ分析プロジェクトの失敗は避けられません。
先程も申し上げましたが、ずっとSQLばかり書くのがデータサイエンティストの仕事ではありませんから。
将来に向けてnehanというプラットフォームで実装したい機能や、会社の展望などはいかがでしょう。
より本質的な意味でデータ分析をビジネスに活用するために、nehanを社内システムに組み込んで分析したデータをダイレクトに業務やサービス改善に活かせるようにしたいと思います。

例えばnehanで作ったレコメンドエンジンを自社サービスに組み込んだり、MA(マーケティング・オートメーション)やCRM(顧客管理)システムに組み込んで、「データ分析で検証しました」で終わらせないものを提供したいです。

nehanで分析レポートを作っただけで終わらせず、データの分析結果を現場業務や社内システムに反映しなければいけませんね。
データはあくまでデータであって、どう活用するかが主になるべきと考えています。そもそもデータを見るのは人間ですから。こうした発想を展開できるように、業務を刺激したいです。
現場担当者のほうが「データ分析でこんな事が出来る」というアイデアや発想が豊かですよね。業務知識との組み合わせは重要ですよ。
データ分析が主なのではなく、 データ分析で問題を解決するのが主なのです。
「データ分析ツールをリリースしました」というニュースはよく見ますが、「データ分析ツールを活用して成果を出しました」は聞きませんね。分析後のアクションまで踏み込んで、業務を変えるべきなのに。
こうした背景を含めてnehanを活用するために、トレーニングや教育を含めてデータをどう扱うかというコンサルタントの面も求められます。

また、システムへの組み込みではエンジニアのスキルが必要ですし、精度の向上にはアカデミックな面も求められます。

今後は弊社も人を増やして体制を強化しながら、3~4年後に完成形を目指すイメージですね。我々はデータ分析のコンサルティングも手掛けており、ツールの使い方だけでなく、「こうすれば分析で新しい知見が得られます」とアドバイスしたいです。

中原氏からお話を伺う中で、nehanによってデータ分析がより身近なものになると感じました。

ご本人の現場での苦労や経験を踏まえながら、データを活用して業務に貢献するというコンセプトが伝わってきました。

データ分析に馴染みがない人にもわかりやすく、データサイエンティストには働きやすい環境を提供する製品として、将来のバージョンアップを含めて期待しています。

2019年12月13日

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