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株式投資してお金持ちになりたい。
多くの人はそう考えたことがあるのではないでしょうか。しかし、将来の株価を予測し損をすることなく、儲け続けるのは投資のプロでも至難の技です。そのため、はじめのハードルの高さとリスクから、なかなか一歩を踏み出せない人がいるのも事実です。
そこで最近では、株式投資をAIがサポートしてくれるサービスが登場しています。株価の予測をAIが正確に行い、ユーザーがそれに従って投資をすれば今までよりも簡単に投資に手を出せそうです。
今回はAIによる株式投資サポートについて説明していきます。
AIなど最先端技術を生かしたFinTechの台頭
機関投資家は株式売買をシステムで自動化
機関投資家では株式のトレード業務にシステムを導入し業務を自動化する「アルゴリズム取引」が主流になっています。株価などの指標に応じて、システムが自動で取引のタイミングや数量を指定して取引を行います。
人手に比べて圧倒的に高速かつ正確に取引できるようになったことで、競合他社や個人投資家よりも有利に利益を出せるようになりました。
SMBC日興証券は「AI株価見守りサービス」を開始
個人ユーザー向けサービスも充実しています。
SMBC日興証券はHEROZと共にユーザーが保有する株の最適な運用を支援するAIをリリースしました。保有する株の売却タイミングを教えてくれたり、購入を検討している株の買い時を教えてくれます。
このように、FinTechによる株式売買は機関投資家だけでなく個人投資家まで幅広く使われるようになりつつあります。
ゴールドマンサックスはトレードにAIを導入し省人化を実現
AIは株式投資で利益を出すだけでなく、企業のコスト削減にも役に立ちます。
例えば、アメリカの大手金融機関ゴールドマンサックスは株式のトレードディング業務にAIを導入して自動化することで大幅な省人化を実現しました。
もともと600人抱えていたトレーダーをわずか2人にまで削減できたため、かなりの人件費削減につながったのではないでしょうか。
同じように今後も、金融機関の投資業務にAIを導入することで業務の省人化・効率化が進んでいくと期待できます。
ネット上の個人向けサービスも
最近では金融機関からは離れて、ネット上での個人向け投資支援サービスが誕生しつつあります。
例えば、FOLIO(フォリオ)はテーマ投資型オンライン証券サービスとして、ネット上から自分が興味のあるテーマに対して分散投資できます。
AIを生かして株価の予測情報を取得したり、最適なポートフォリオをユーザーのリスク許容度やニーズに合わせて自動で構成するなどサービスの幅は広がっています。
AIで株価の予測ができる?
株価の決まり方

AINOW編集部作成
株価に影響を与える要因は一株あたりの予想利益と資本コストの2種類があります。
一株あたりの予想利益はその会社の株を一株持つことで得られる株主利益です。資本コストはその会社の株を一株持つことで発生しうるコストのことです。
株価に影響を及ぼす要因は4つに分類できます。
企業の利益と株式発行数、金利、リスクプレミアムです。
利益
高い利益を出している企業の株式であれば一株あたりの利益も高いので株価が増加します。
なお、株価に反映されるのは市場参加者が予想するその企業の将来の利益の平均です。必ずしも、その時点での経営状態が反映されていない点に注意が必要です。
株式発行数
株式発行数によって一株あたりの利益が変わるため、株価に影響を及ぼします。
株式発行数が多ければ、一株あたりの利益は少なくなってしまうので株価は低くなります。逆に、株式発行数が少なければ一株あたりの利益が高くなるので、株価も高くなります。
企業が株式を新規発行して増資した際に、株価が下がるのは一株あたりの利益が減少すると予想されるからです。これを希薄化懸念といいます。
実際に株式新規発行が実施されなかったり会社の利益向上などから希薄化が起こらなくても、希薄化を投資家が予測した時点で株価は下がり始めます。
金利
金利と株価は負の因果関係があります。
金利が高い時期は投資家は資金を株で運用するより債権で運用する選択をするため株価は低下します。逆に金利が低い時期は投資家は資金を債権よりも株式で運用する選択をするため株価は高くなります。
実際に金利が上がったり下がったりしなくても、投資家が金利の変化を予測した時点で株価に影響を与えます。例えば、政府の金融緩和政策に関して政治家のちょっとした発言から将来の金融緩和政策を予測し、株価が高騰することもあります。(逆も同様)
リスクプレミアム
経営に影響を及ぼしかねないリスクの高い銘柄は株価が低くなります。
最近の例で言えば、米中の貿易戦争や中国の新型肺炎などは特にグローバル展開している企業にとっては大きなリスクです。
過去の株価の値動きから将来の株価を予測
AIで株価を予測する場合、過去の株価の値動きを予測します。
今までその会社の株価の値動きの特徴量をAIで学習することで、将来の株価の値動きを予想可能になります。
今まで人間が株価をチャートなどを用いて分析していましたが、AIによって人間以上の精度で分析出るようになればより効果的な運用が可能になるのではないでしょうか。
個人でもできる!AI株価予測サービス
Fisco AI

引用:https://www.fiscoai.com/
AIがこれから値上がりする株をわかりやすく教えてくれます。
また、月額料金も安く投資すべき銘柄がわかりすいことから好評を得ています。無料期間10日間が設けられているので、AIによる株式投資に挑戦してみたい人にはおすすめです。
AI株式ポートフォリオ診断

引用:https://www.smbcnikko.co.jp/products/stock/portfolio/index.html
SMBC日興証券がHEROZと組んで提供している株式投資支援サービスです。
株価や決算のデータを学習したAIが1ヶ月先の期待収益率をスコア化してくれますので、初心者でも安心です。
ユーザーのニーズに合わせて最適なポートフォリオを提案してくれるのも大きなメリットです。
MILIZEPro

引用:https://milize.co.jp/
定量データや非構造データそすてオルタナティブデータを分析し、将来の株価を予測します。株価を予測した上で、テクニカル指標や統計手法などを併用することでさらに高精度な予測ができるようになります。
ß版も公開されているので、試してみてはいかがでしょうか。
QuantX

引用:https://quantx.io/
日本最大級の株価予測サービスです。
会員登録をした後、複数のアルゴリズムから自分に合ったものを購入して運用する形になります。
プロの手法をAIで自動化し、初心者であってもプロレベルの運用が可能になります。
xenoBrain

引用:https://xenobrain.xenodata-lab.com/
膨大なニュースから企業の将来株価を予測する企業むけSaaSサービスです。
経済に関するニュースや決算情報を自然言語処理で分析し、会社の業績を高い精度で予測してリアルタイムで提供してくれます。
膨大すぎて人間では全て把握できないような情報量を高速かつ正確に分析できる点にAIの良さが現れています。
xenoBrainに関する記事はこちら▼
AIによる株価予測の問題点
一見すると万能に見えるAIによる株価予測ですが、問題点があるのも事実です。
経済現象の予測は自然現象の予測よりも高難易度

AINOW編集部作成
一言に予測と言っても、自然現象の予測と経済現象の予測の2種類があります。
株価の予測は経済現象の予測です。
自然現象は予測が現実に影響を与えない
自然現象の予測は経済現象の予測よりも比較的簡単と言えます。というのも、因果が現実から予測への一方向だけだからです。
例えば、現実のデータから将来の地震を予測したとします。この場合、私たちは将来の地震に備えて準備しておくことはできても、それが地震の発生有無に影響を与えることはありませんし地震の兆候が消えるわけではありません。
経済現象は予測が現実を動かす
それに対して、経済現象は予測の通りには動きません。
経済現象の予測では予測が現実を動かすからです。これを自己実現的予測といいます。
例えば、将来のある時点でのA社の株価上昇を予測したとします。その予測を知った投資家はその時点に備えてA社の株式を購入しておくのではないでしょうか。その予測を1人だけが知っているならまだしも、一度社会に広まるとその予測を知った投資家達は次々とその株式を購入し始めます。そのような投資家たちの動きを察知した他の投資家たちも株式を購入します。
結果的に、A社の株価上昇を予測したある時点よりもはるか前に株価が上昇してしまうことになります。上がりきった株価はその後低下していきます。
そうなると、ある時点でA社の株価が上昇するという予測はもはや何の役にも立たないことになります。
つまり、経済現象を予測しようとすると、その予測が現実を動かし予測に影響を与えるようになるので正確な予測は困難です。
AI株価予測サービスはユーザー数増加に伴って予測の自己実現性が強くなる
あるAI株価予測サービスのシェアが広まり、多くの投資家が同じサービスで同じような予測情報を得ていたとします。
そうなると予測の自己実現性が強くなり、一度ある会社の株価上昇の予測が出ると多くのユーザーがいち早くその株を買って瞬時に現在の株価に影響を与え、少し時間がたっただけでその予測の意味はなくなります。
早くに株を買った投資家は儲かるかもしれませんが、そうでない投資家は株を買おうとしたときにはすでに株価が高騰しておりその予測情報に従っても儲けることはできません。
つまり、AI株価予測サービスはユーザー数が増えるに従って、意味が薄れていくサービスだとも言えます。
まとめ
今まで初心者にとってハードルの高かった株式投資ですが、AIが自分に変わって企業の業績などを分析し投資をサポートしてくれれば気軽に取り組むことができます。
眠っている資金も銀行に預けているだけでは資産の増加を見込めません。利回りの投資をすることで将来に備えて効果的に資産を形成できるのではないでしょうか。
今まで投資には縁がなかったという人もAIの力を借りて投資に踏み出してみることをお勧めします。

慶應義塾大学商学部に在籍中
AINOWのWEBライターをやってます。
人工知能(AI)に関するまとめ記事やコラムを掲載します。
趣味はクラシック音楽鑑賞、旅行、お酒です。