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2017.07.03

今さら聞けない「AI・人工知能」とは?

AI(人工知能)の話題が連日のようにニュースに登場するようになりました。

富士キメラ総研による「2019 人工知能ビジネス調査」によると2018年度には5,301億円だったAIの市場規模は、2022年度には1兆20億円に拡大し、2030年には2兆1,286億円になると予想されています。

しかし、まだAIの活用は十分に進んでいるとはいえない状況です。株式会社リアルインサイトによる「日本の中小企業のAI導入状況」に関する調査によると、日本の中小企業で、AIを導入している割合は5.5%に留まっていると報告されています。

みなさんはAI(人工知能)について、どのくらい知っていますか?機械学習やディープラーニングとAIの違いがわかりますか?

近い将来、AIが仕事を奪っていくというネガティブな意見まで散見される今、しっかりAIについて理解し、活用を進めることが大切です。

この記事では、そもそもAIとは何なのか、その歴史、活用事例まで幅広く解説します。

目次

1. AI(人工知能)とは

AI(人工知能)の定義|AIの略

AIとはArtificial Intelligenceの略で、日本語では人工知能と表されます。

AI(人工知能)の定義は、専門家の間でもまだ定まっていないのが現状です。さまざまな専門家がそれぞれの定義をしており、統一的な定義はありません。

以下の表は13人のAI研究者によるAIの定義をまとめたものです。

研究者(所属)
※敬称略
定義
中島秀之(公立はこだて未来大学)
武田英明(国立情報学研究所)
人工的につくられた、知能をもつ実態。あるいはそれをつくろうとすることによって知能全体を研究する分野
西田豊明(京都大学) 「知能を持つメカ」ないしは「心を持つメカ」である
溝口理一郎(北陸先端科学大学院) 人工的につくった知的な振る舞いをするためのもの(システム)である
長尾真(京都大学) 人間の頭脳活動を極限までシミュレートするシステムである
堀浩一(東京大学) 人工的に作る新しい知能の世界である
浅田稔(大阪大学) 知能の定義が明確でないので、人工知能を明確に定義できない
松原仁(公立はこだて未来大学) 究極には人間と区別が付かない人工的な知能のこと
池上高志(東京大学) 自然にわれわれがペットや人に接触するような、情動と冗談に満ちた相互作用を、物理法制に関係なく、あるいは逆らって、人工的に作り出せるシステム
山口高平(慶應義塾大学) 人の知的な振る舞いを模倣・支援・超越するための構成的システム
栗原聡(慶應義塾大学) 人工的につくられる知能であるが、その知能のレベルは人の超えているものを想像している
山川宏(元ドワンゴ人工知能研究所) 計算機知能のうちで、人間が直接・間接に設計する場合を人工知能と呼んで良いのではないかと思う
松尾豊(東京大学) 人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術。人間のように知的であるとは、「気づくことができる」コンピュータ、つまり、データの中から特徴量を生成し、現象をモデル化することの出来るコンピュータという意味である

(出典)松尾豊「人工知能は人間を超えるか」(KADOKAWA)p.45

AI(人工知能)の種類

AI(人工知能)は「特化型人工知能」と「汎用人工知能」の2つに分けられます。

「人工知能を搭載!」「世界初!人工知能を使った○○」といったようなフレーズを最近よく耳にします。しかし、ここでいう人工知能という言葉は、定義が曖昧なまま「賢い」「人間のような振る舞いをしてくれる」というニュアンスで使われていることが多い現状です。

なんでもできるドラえもんのようなAI(人工知能)はまだ実現しておらず、AI(人工知能)の種類をしっかり理解して、正しく区別することが大切です。

特化型人工知能

特化型人工知能とは、1つのことに特化したAI(人工知能)を指します。

例えば画像認識や音声認識などの技術や自動運転技術、AlphaGo(囲碁AI)やPonanza(将棋AI)なども特化型人工知能に区別されます。

▼特化型AIとして代表的な囲碁AI「AlphaGo」について詳しくはこちら

現在では、人工知能関連の研究のほとんどが、この特化型人工知能の研究で、さまざまな分野で新たな取り組みが行われています。

汎用人工知能(AGI)

汎用人工知能は、簡単に言うと「なんでもできる人工知能」のことを指し、AGI(Artificial General Intelligence)とも略されます。

特化型人工知能は1つのタスクに特化し、それ以外のタスクをこなすことができませんが、汎用人工知能は与えられた情報をもとに自ら考え、応用することができる人工知能です。

まさに「人のようなふるまいをする」イメージで、「ドラえもん」や「鉄腕アトム」のように、まるで人間のようなロボットを想像する人も多いでしょう。

汎用人工知能が完成した時、シンギュラリティが起きるといわれており、汎用人工知能が人間最後の発明になるとも言われています。

強いAIと弱いAI

AI(人工知能)は「強いAI」と「弱いAI」に分類することもできます。これらの言葉は哲学者のジョン・サール氏によって作られました。

ジョン・サール氏によると、強いAIとは、「正しい入力と出力を備え、適切にプログラムを与えられたコンピュータは問題を本当の意味で理解することができる。それは人間と同じように意識・思考を持っている」と定義されています。

強いAIは、人間のように自意識を備える人工知能とも言えるでしょう。「ドラえもん」や「鉄腕アトム」は強いAIとも言えます。

一方、弱いAIは「意識・思考を持たない人工知能」と定義されます。特化型人工知能と同じように、人間の知性の一部を代替し、特定のタスクに特化しています。

現在開発されているAI(人工知能)は意識を持っているものはなく、弱いAIに分類されます。

人間と「強いAI」、「弱いAI」の知能レベルを可視化すると以下の図のようになります。

「強いAI」は汎用人工知能に近い概念で、「弱いAI」は特化型人工知能に近い概念とも言えます。

シンギュラリティ|AIが人間を超える?

AI(人工知能)の技術に注目が集まると同時に「シンギュラリティ」という言葉を聞くことが多くなってきました。「シンギュラリティ」は「技術的特異点」とも言います。

AI技術が極端に進化を遂げた未来では、AIが人類の知能を超え、指数関数的に進化し、その進化の速度が予測できなくなると言われています。AIが人類を超える、そのポイントが、シンギュラリティ(技術的特異点)です。

人間が人間を超えるAIが発明されると、そのAIは、さらに賢いAIを生み出すことが可能になると考えられます。

つまり、爆発的(再帰的)に知能の高い人工知能が再開発され、人間には到底想像ができない人工知能がどんどん生み出され、生活が一変すると言われています。

未来学者のレイ・カーツワイル氏はシンギュラリティが2045年 に到達すると予想しています。

▼シンギュラリティについて詳しくはこちら

2. AI(人工知能)の歴史

現在、さまざまな産業領域でAI(人工知能)を活用したモノやサービスが普及してきています。

その中でも私たちの身近にあるAI(人工知能)と言えば、メッセージアプリ「LINE」のチャットボット「りんな」や感情エンジンを搭載したロボット「Pepper(ペッパー)」があります。

最近では将棋AIが話題になるなど、生活の中で人工知能に触れる機会は多くなっていることが実感できると思います。

それでも、「AIに関するニュースをよく耳にはするけど、あまりピンと来ない」という人がほとんどではないでしょうか。そこで、AI(人工知能)について歴史からひも解いていきたいと思います。

(出典)松尾豊「人工知能は人間を超えるか」(KADOKAWA)p.61

第一次AIブーム:推論・探索の時代(1950年代後半~1960年代)

この時代、コンピュータで「推論・探索」をすることによって問題を解決する研究が進んでいました。

人工知能」という言葉の始まりは、1956年夏、ダートマスで開催された「ダートマス会議」というワークショップです。ここには、ジョン・マッカーシー、マービン・ミンスキー、アレン・ニューウェル、ハーバード・サイモンと言った著名な学者が参加していました。

このワークショップでは、アレン・ニューウェルとハーバード・サイモンが「ロジック・セオリスト」という人工知能プログラムのデモを行いました。これは自動的に定理を証明するプログラムで、世界初の人工知能プログラムと言われていました。

※人工知能の概念自体は1947年の「Lecture to London Mathematical Society」で提唱されていたのですが、人工知能という言葉が使われたのはダートマス会議が初めてです。

第一次AIブームではコンピュータプログラムにおけるさまざまなアルゴリズムが考案され、特にトイプロブレムと呼ばれる、迷路からの脱出やパズルを解くなど単純なタスクを得意としていました。

このブームの中で、知的で解くことが難しい問題をコンピュータが次々と解いていき世間を驚かせました。しかし、よく考えてみると、解いている問題はすべて明確なルールが定義されているモノでした。

現実問題については、ルールが不明確なものも多く、その複雑な計算を処理する術がなく、解くことができませんでした。このことが発覚するとAI(人工知能)に対する失望感が増していき、1970年代に冬の時代(人工知能技術が停滞する時代)に突入してしまいます。

第二次AIブーム:知識をいれると賢くなる(1980年代)

エキスパートシステム」の開発・導入がきっかけとなり、第二次AIブームが起こりました。

第一次ブームでは高度な計算はできましたが、現実的な問題となると厳しいものがありました。

そこで開発された「エキスパートシステム」は、知識表現に重きを置いて作られました。医者などの専門家の知識から得たルールを用いて特定の領域についての質問に答えるプログラムです。

しかし、ここでも問題がありました。コンピュータには「常識」がないという問題です。

例えば、「熱を下げるにはどうしたらいいか」という質問に対して、「解熱剤を飲ませる」または「殺す」と答えたそうです。確かに死ぬと体温は下がりますが…。そもそも前提として命を守る必要があることは人間であれば必然と理解しています。

ただ、コンピュータにはそういった「常識」がないために、このような答えを出してしまうのです。人間の持つ膨大な常識を、ルールとして整備することはほぼ不可能で、結局、このような問題に直面し、第二次ブームは収束しました。

第三次AIブーム:機械学習・深層学習技術の発展(現在)

結果的に、2回ともAI(人工知能)の本質が見えないままブームは去っていきました。

そして、2010年代前半から第三次ブームが起こっています。この第三次ブームが起こった大きな要因として、ディープラーニング(深層学習)技術が発展したことやビックデータが普及したこと、計算機(GPUなど)の能力の向上が挙げられます。

ディープラーニングにより、画像や映像、音声から情報を抽出したり、音楽や文字を生成することが可能となっています。

ディープラーニングによって人物が認識されている様子

従来のAI(人工知能)の技術では、人間がルールを定義することで、問題を解決したり、知識を取り出す手法が主流でした。しかし、AIが目指すべきところは、「自ら学習し、推測する」ことです。それを可能にする技術がディープラーニングです。

ディープラーニングを活用することで、膨大なデータをAI自らが学習し、そのルールを自主的に取得することが可能になりました。

ディープラーニングがこれからのAIの発展に大きく関わってくることは間違いないでしょう。

▼AIの歴史について詳しくはこちら

▼AIの歴史をまとめた年表はこちら

3. AI(人工知能)と機械学習、ディープラーニングの違い、関係性

機械学習やディープラーニングなどの技術について解説する前に、AI(人工知能)と機械学習、ディープラーニングの関係性について解説します。

簡単に説明すると、機械学習は、AIの1つの要素技術であり、ディープラーニングは機械学習の1つの要素技術です。

機械学習とディープラーニングが同列に扱われることもあり、注意が必要です。

4. 機械学習とは

ここからは機械学習について説明します。

機械学習は与えられたデータ(問題)を基にプログラム自身が学習する仕組みになっており、大まかに「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つに分類することができます。

教師あり学習

「教師あり学習」は「データ」と「問題の正解」のセットを与えることによって学習する仕組みです。

過去のデータから未来の数値を予測する回帰と画像に何が写っているかなど判別をする分類を行うことができます。

回帰では、将来の売上など数値の予測、分類では、分類ではカメラ映像からの人物の検知など、現在でも活用が進んでいる機械学習の手法と言えます。

教師なし学習

「教師なし学習」は、「教師あり学習」のように正解データを必要としない学習方法です。

主な手法として、与えられたデータの傾向を分析することができるクラスタリングなどがあります。

例えば、ユーザーがショッピングサイトで買っているものの傾向を導き出すなど、情報の可視化に使われるケースが多い特徴があります。

強化学習

「強化学習」は与えられた問題に対してAI(人工知能)が試行錯誤をすることにより、問題を解決する行動を学習する手法です。

強化学習では、AI(人工知能)の行動結果に報酬を設定することで、その報酬が最大化するように行動パターンを自律的に学習します。イルカなどの動物に芸を覚えさせる際に、芸が成功したときだけに餌(報酬)を与える方法に近いでしょう。

最近では、強化学習とディープラーニングを組み合わせた手法「深層強化学習(DQN:Deep Q Network)」なども主流で、囲碁AI「AlphaGo」が世界最強の棋士を破るに至ったのもDQNを取り入れたことが一因となっています。

▼機械学習についてさらに詳しく知りたい方はこちら

5. ディープラーニングとは

ニューラルネットワークとディープラーニング

機械学習の具体的な学習の仕組みとして人間の脳の神経回路を模倣したニューラルネットワークと呼ばれるモデルがあります。

ニューラルネットワークの構造は、入力となるデータを入れる入力層、入力層から流れてくる重みを処理する隠れ層(または中間層)、結果を出力する出力層で構成されます。

ディープラーニング はニューラルネットワークの隠れ層をたくさん増やし、精度の向上を図ったモデルです。

隠れ層の数を増やすことにより、複雑なデータの学習を可能にしています。

▼ディープラーニングについて詳しくはこちら

6. AI(人工知能)のメリット・デメリット

ますます存在が身近になり、あらゆるところで活用が進んでいくAI(人工知能)ですが、どんなメリットがあるのでしょうか?

また、AI(人工知能)の活用が進むことによるデメリットは何なのでしょうか。

詳しく説明していきます。

AI(人工知能)のメリット

業務が効率化出来る

今、少子高齢化が進んでいます。厚生労働省によると、2053年に日本の人口は1億人を割ると予測され、合わせて労働人口も今後減少を続け、今後は人手不足がさらに問題視されるようになるでしょう。

帝国データバンクは、2019年に発生した人手不足倒産の件数が、2018年に比べて20.9%増え、4年連続で過去最多を更新したと2020年1月9日に発表しました。業種別では、サービス業が54件と最多で、増加率が最も高かったのは卸売業でした。
※参考:人手不足倒産」の動向調査(2019年1~12月)

今後も人手不足倒産が増えると予測される中、AI(人工知能)の活用に注目が集まっています。例えば、定型的なルーティン作業をAIに任せることによって、限られた人的資源を社内で有効に活用することができるかもしれません。

例えば、アメリカでは、レジなしのコンビニ「Amazon Go」が大きく注目されました。カメラの映像をAIで解析することによって、レジがなくても、商品棚から商品を取り出し、そのまま店を出るだけでで、自動的に決済が終わる仕組みです。これにより、レジ打ちを担当するスタッフが不要になりました。

▼「Amazon Goについて詳しくはこちら

レジなしコンビニだけでなく、今後もさまざまな分野でAIの活用が進むことで、人手不足をカバーすることができるかもしれません。

AI(人工知能)のデメリット

AI(人工知能)を活用していく上で、デメリットとなるのは、責任の所在の不透明さです。

AI(人工知能)のブームを巻き起こしたディープラーニングなどの機械学習技術は、膨大なデータを学習することで、時には人間以上の精度で判断を行うことができます。

例えば、自動運転においては、従来は人間が判断していたハンドル操作をAIが代替するようになります。

もし、事故が起きた場合は、責任はどこにあるのでしょうか?

AI(人工知能)を作った企業なのか、自動運転車に乗車していた人なのか、これらは明確に法律で定義されていません。

今後は、AIの活用を見据えた上で、議論を重ね、法律の整備を進めることも重要です。

▼AIのメリット・デメリットについて詳しくはこちら

7. AI(人工知能)を活用別に分類

ここでは画像認識や音声認識など、活用別に現在のAIについてご紹介します。

AIは、扱うデータによって、さまざまな活用方法があります。従来ではシステムで扱うことが難しかった画像やテキスト、音声を扱うことができることも特徴的です。

画像認識

AI(人工知能)の代表的な活用は、AIで写真や映像を認識する「画像認識」です。

従来のシステムで画像を認識するには、動画像内の物体に対して、色や形など、細かいルールを作る必要がありました。しかし、AIを活用すれば、膨大なデータを学習することで、物体の特徴を自律的に取得し、認識できます。

例えば、医療においては、内視鏡などから得た画像を解析することで、病変を検知する取り組みなどが進んでいます。また、店舗内の監視カメラの映像をAIが解析することで、万引の検知を行うことも可能です。

また、ロボットにAIが搭載されることで、障害物を避け、自律的に行動することが可能になります。

その他、AIの活用を語る上で、画像認識は欠かせないテーマです。以下の記事で、画像認識について詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

自然言語処理(テキスト解析)

「自然言語」とは人間が日常的に使用する言語のことを言います。人間が使う言語は、「おいしい」や「すごい」など、プログラミング用語に比べて曖昧性を持っており、今まで機械でうまく認識することが困難でした。

そこで、システムに人間の言葉を理解させようとする取り組み「自然言語処理」に注目が集まっています。

近年は、ユーザの言葉をAIが解釈することで、コールセンターの負荷を減らすチャットボット関連のサービスが急増しています。

また、その他にも、AIを活用して文章の要約を行ったり、SNSの投稿内容を解析するなどさまざまなサービスが登場しています。

▼自然言語処理について詳しくはこちら

音声認識

AI(人工知能)を活用して音声を認識することで、さまざまなデバイスを操作できるようになっています。また、会議の録音データから自動的に議事録を作成するなど、音声認識の活用の幅が広がっています。

また、近年はスマートスピーカー(AIスピーカー)が注目されています。

Googleによる「Google Home」やAmazonによる「Amazon Echo」、LINEによる「LINE Clova Wave」など、音声認識機能を搭載したさまざまなデバイスが登場しています。

▼AIスピーカー(スマートスピーカー)のまとめ

音声認識と自然言語処理の技術が組み合わさることで、まるで秘書のようにさまざまなタスクを処理することができるようになります。

▼音声認識について詳しくはこちら

予測

今、AIを活用して未来を予測できるようになっています。店舗の売上や、株価、経済や在庫量など、さまざまな場面でAIによる予測が活用されています。

過去の時系列データ(時間軸に沿って表されたデータ)を学習することで、未来の数値などを予測できます。

今まで、在庫量や株価などは人間による勘や経験によって予測されていました。その職業に従事してきたベテランであれば、勘や経験で高精度で予測可能かもしれません。しかし、人口が減少する中、勘や経験に依存する職業の継承が困難になる可能性があります。

▼伝統産業とAIの共存について詳しくはこちら

これからは、AIによる予測を活用していくことが重要です。

例えば、回転寿司の大手チェーン「スシロー」を運営するあきんどスシローは、AIを活用することで、1分後と15分後の寿司の需要を予測しています。各店舗の売上などのデータも蓄積することで、高い精度を実現しています。

▼AIによる予測について詳しくはこちら

8. AI(人工知能)と仕事 |人工知能に仕事を奪われる!?

発展を続けるAI(人工知能)に注目が集まると同時に、世間では「人工知能が仕事を奪っていく」とまで言われています。実際に、人工知能が仕事を奪っていく未来はすぐそこなのかもしれません。

株式会社野村総合研究所は、2015年12月2日、イギリス オックスフォード大学のA. オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究により、日本国内の601種類の職業について、AI(人工知能)やロボットなどで代替される確率を試算し、発表しました。

この結果によると、日本の労働人口の約49%が就いている職業がAI(人工知能)やロボットに代替されると推計されています。

この研究結果によると、AI(人工知能)に代替されやすい職業と代替されにくい職業は以下です。

【AI(人工知能)に代替されやすい職業】
  • 必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業
  • 例:一般事務員、行政事務員(国、県市町村)、銀行窓口係、警備員、タクシー運転者、データ入力係、電車運転士、ホテル客室係、レジ係、スーパー店員、新聞配達員、駅務員など
【AI(人工知能)に代替されにくい職業】
  • 芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業
  • 他者との協調や、他者の理解、説得、交渉、サービス志向性が求められる職業
  • 例:アートディレクター、アナウンサー、グラフィックデザイナー、ゲームクリエイター、コピーライター、スタイリスト、ファッションデザイナー、俳優、バーテンダー、シナリオライター、テレビカメラマン、経営コンサルタント、テレビタレント、作詞家、作曲家、雑誌編集者、映画監督、漫画家、ミュージシャン、料理研究家 など

1つの作業を繰り返すような業務は、人間が行う必要がなくなってきています。安定と言われる中央官庁職員などの上級公務員も、AI(人工知能)やロボットなどに代替されると推計されています。

しかし、それに伴って複雑な仕事が多くなってきているのも事実です。人間はこれから複雑な仕事をする役割を担っていかなければならないため、人間は、さらなるスキルアップが求められるでしょう。

参考資料:日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に(株式会社野村総合研究所)

▼関連記事:AIの発達によってなくなる仕事って?-今すぐするべきこと3選-

9. AI(人工知能)とプログラミング

人工知能の開発で人気のPythonとは?

Pythonは、汎用的に使えるプログラム言語のことです。

他のプログラム言語に比べて、コードがシンプルで扱いやすいのが特徴です。そのため、プログラミング初心者でも学びやすい言語となっています。最

近のAIブームで注目される機械学習の構築する際にによく使われるのが Python です。

AI開発に用いられる言語はいくつかありますが、その中でも最もよく使われている言語です。

ではなぜこの分野でPythonがよく使われているのでしょうか。

有名なプログラミング言語には、「C」「Java」などがありますが、それに比べてPythonは、プログラムを書く上でのルール「型」がとても少なく、大量のプログラムを簡潔に書くことができます。それゆえに膨大なデータを処理する必要があるAI(人工知能)開発でも重宝されているのです。

型が無いということは、読みやすいということにも繋がります。読みやすいというのはすなわちパッと見た時に分かりやすいので、学び始めるときのハードルも下がります。

Pythonはプログラミング初心者でも学びやすい言語であり、これからAIに特化したスキルをエたい人にはおすすめの言語といえます。

▼AI開発に不可欠なPythonの学び方について詳しくはこちら

10. AI(人工知能)の活用事例 / サービス

この章では、具体的なAI(人工知能)の活用事例やサービスを紹介していきます。

農業

農業の領域でもAIの活用が進んでいます。画像を解析することで、作物の育成状況を管理するだけでなく、ロボットを活用した自動収穫など、さまざまな事例が生まれています。

医療

医療領域でもAIの活用が進んでいます。特にAIによる画像認識を活用し、病気の傾向を見つける事例などが増加しています。

チャットボット(会話AI)

ユーザが話して楽しめるだけでなく、業務効率化の手段としてもチャットボット技術に注目が集まっています。

小売

スーパーなど小売業界で活用されるAIは「リテールAI」とも呼ばれ、店舗運営のコスト削減などの目的で活用が進んでいます。

採用

AIを導入することにより、作業効率がアップすることが注目され、一次選考や面接で活用されることが多くなってきました。

実際に、作業効率が75%カットされたという事例もあります。

広報

広報は「発信」が肝です。

しかし、「その発信を聞いた人がどのように感じているのか」「発信を魅力に感じている人の属性は何か」を分析しないと、発信を届けたいのに、なかなか届かなかったり、効率が悪くなってしまったりします。

その分析を人間の手で行うとキリがありませんが、例えば「顧客の反応を分析するAI」が開発されています。

軍事

技術と軍事は、常に表裏一体の関係にあります。重工業などの分野は、軍需によって大きく発達してきた側面もあるのも事実です。

その他の事例

さまざまな分野で活用が進むAIは、膨大な事例やサービスが生まれています。

AINOWでは、AI関連のサービスをまとめた「AIサービスマップ」を公開しています。合わせてご覧ください。

11. ビジネスでのAI(人工知能)の活用法

ビジネスにおいて、AI(人工知能)の導入を進めるプロセスは主に以下です。

  1. 課題を把握し、AIプロジェクトを企画する
  2. AIプロジェクトの要件を定義する
  3. 必要なデータを集め、精査する
  4. 実際にモデルを構築し、検証を行う(PoC)
  5. 本格的に開発を行う
  6. AIをシステムに組み込む

PwCコンサルティングが実施した調査によると、47%のAIプロジェクトは④のPoCに至らないと結果が報告されています。また、AIのプロジェクトを進める上で、どんな課題があるのかを理解することが大切ですが、約4割の企業が「課題が不明」を回答しています。

引用:「平成30年度成果報告書 産業分野における人工知能及びその内の機械学習の活用状況及び人工知能技術の安全性に関する調査」より

▼参考記事

また、冒頭で紹介した通り、多くの企業ではまだAIの導入までに至っていません。

▼参考記事

もしかしたら、上司に「AIが流行っているらしい…とりあえずAIで何かしてよ」なんて言われるかもしれません。

ビジネスにAIを導入する流れを以下の記事で紹介していますので、ぜひご参考ください。

12. AI(人工知能)関連スキルの学び方

AI(人工知能)について学べる講座

今、オンラインだけでなく対面式の講座や、学習サービスが多く提供されています。以下の記事を参考に、AIについて学べる講座をぜひ受講してみてください。

▼AIについて学べる講座まとめ

AI(人工知能)関連の資格検定試験

AI関連の資格検定試験の受験もおすすめです。日本ディープラーニング協会が実施するG検定・E資格をはじめ、さまざまな資格検定試験が実施されています。資格検定試験のシラバスを網羅することで、体系的にAIについて学ぶことが可能です。

▼AI関連資格まとめ

AI(人工知能)関連の書籍

AIに関連したさまざまな書籍が発売されています。

以下の記事では、ディープラーニングに関連した書籍を中心に、AIについて網羅的に学べる書籍も紹介しています。ぜひご覧ください。

▼ディープラーニング関連おすすめ書籍のまとめ

AI(人工知能)関連の研究室

AINOWでは、AI関連の研究を行っている約300の研究室を地方別にまとめて公開しています。

AIについて学びたい方だけでなく、産学連携を模索している方も、ぜひご参考ください。

▼「AI Lab Map 2018」

13. AI(人工知能)関連の団体 / コミュニティ

人工知能学会(JSAI)

人工知能学会(JSAI)は、AI(人工知能)に関する研究の進展や正しい知識の普及などの活動を通じて、社会の発展に寄与することを目的として1986年に設立されました。

学歴や年齢を問わず会員になることができる非常にオープンな団体で、会員数は約5200名(2020年3月末現在)です。

年に1回、AIに関する日本最大級の学会の「人工知能学会全国大会」を開催する他、学会誌の発行など、さまざまな活動をしています。

▼人工知能学会(JSAI)について詳しくはこちら

日本ディープラーニング協会(JDLA)

JDLAは日本の産業がディープラーニングをより有効に活用して、産業競争力を高めていくことを目指して2017年に設立されました。

東京大学大学院工学系研究科 教授の松尾豊氏を理事長とし、ディープラーニングの有識者が中心となって、産業促進を促すために設立された団体です。

▼日本ディープラーニング協会(JDLA)について詳しくはこちら

Machine Learning 15minutes! (Facebookグループ)

「Machine Learning 15minutes!」は毎月最終土曜日に開催しているイベントです。

「Machine Learning 15minutes!」は、機械学習について15分以内で語るLT(Lightning Talks)を6~9人程度で行い、ディープラーニングなどの先端的な事例、強化学習などの流行の技術、ビジネスへの応用例など、さまざまな角度から機械学習についての知見を広げ、懇親会でネットワーキングを行うイベントです。

Facebookコミュニティは2700人を超え、機械学習関連のニュースが日々シェアされています。(2020/05/19現在)

AI Academy Community

AI Academy Communityは、AI Academyが運営するAI(人工知能)や機械学習、ディープラーニングに特化したAI研究コミュニティです。

参加者は5400人を超え、日本最大級のコミュニティといえるでしょう。(2020/05/19現在)

AIに関するニュースなどが日々シェアされているので、ぜひ参加してみましょう。

14. AI・人工知能関連情報を扱う専門メディア「AINOW」

AINOWは、国内最大級のAI(人工知能)専門メディアです。

週注目のAIニュースやイベント情報をAINOW編集部がピックアップしてメールマガジンを配信しています。

まとめ

活用事例に挙げたように、AI(人工知能)は既にさまざまな分野に活用され、成果を上げています。これからさらに研究が進むにつれ、幅広く利用されることは間違いないでしょう。それによって人間は仕事を奪われる、といったネガティブなイメージがありますが、ポジティブに捉えればやらなくてよい仕事が増えるとも考えられます。

AI(人工知能)が発達していくにつれ、世の中はさらに便利で住みやすくなっていくことでしょう。人工知能の今後の発展にますます期待が高まります。

参考書籍

  • 松尾豊(2015)『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』
  • KADOKAWA [参考書籍] AIビジネス研究会「60分でわかる!AIビジネス最前線」技術評論社