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2020.04.22

特別なAIのスキルがなくても、AI開発はできる ー算数ドリルの写真を撮るとAIがヒントをくれる『スタディメーター』

こんにちは。未来技術推進協会のKAZUNOです。

ついに2020年から義務教育が行われている小中学校では、プログラミング教育が必修化されました。
プログラミングは従来の教育科目に比べてかなり異質であったことから、その先の成果が想定できない範囲であることもあり、このことは義務教育至上、大きな変革が起きるのではないかとも言われています。

また年々、誰もがプログラミングが身近なものとして活用できなければならない時代が来ることが余儀なくされるといっても過言ではないと思います。

今回は、そのような教育現場の中で勉強することの楽しさをもっと広めていきたいといった思いを新しい教育のアプローチとして、AIを活かしたアプリ『スタディメーター』と、そのアプリ開発者である未来技術推進協会員の箕輪さんについてご紹介します。

もしかすると、これから『AIを活用したアプリを開発してみたいと考えている方』や、『人が使いたいと思うアプリについてお悩みの方』には、何かしらの新しい考え方やヒントとなるものが見つかるかもしれません。是非一読頂けましたら幸いです。

1. スタディメーターの説明

スタディメーターは簡単に説明すると、スマートフォンで算数の問題を写真に撮ると、AIが問題の内容を分析してその問題のヒントを提示してくれるアプリです

このアプリの最大の特徴としては、それ専用の問題集が別で存在するというのではなく、どんな問題集や教科書でも写真を撮るだけでAIが家庭教師のように解き方を解説してくれるところにあります。

実際の動作はサービスリンクもしくはYouTube動画でご確認ください。

現在、サポート範囲は小学1年生から小学6年生の範囲まで対応していますが、今後は中学・高校の数学へも対応できるように準備を進めています。

昨年(2019年12月)には「イノベーションストリームKANSAI」にも出展した際には、会場の中でも大きな注目を集めました。その開発者である箕輪さんがどのような思いでこのアプリを開発したのかについていくつかお話を伺ってみました。

2. アプリ開発者のこだわり『人に使って貰うこと』

〇 なぜこのようなアプリを開発されたのでしょうか?

箕輪)もともと数学が苦手な少年でした。あるとき急に面白くなった瞬間があって、そのときの体験をより多くの子供や学生たちにも経験して感じて欲しいと思いつくったのがきっかけです。勉強を『余生に必要だからやらなければいけないもの』としてではなく、確かにそれも大事なのですが、『面白いからやる』という形で学べるようにしていきたいと考えています。

〇 アプリ開発で特に苦労した部分はどのようなところでしたでしょうか?

箕輪)やはり『より多くの人が使いたいと思うアプリを考える』といった部分が一番時間を要しました。これまで多くのビジコンやイベント等でお会いした方々にも貴重なご意見やアドバイスをたくさん頂いたのですが、逆に不思議と自分の作りたいものから少しずつ遠ざかるような感覚を感じてしまいました。その後も息詰まってしまい、約半年以上の月日を費やしてしまいました。

結局、最終的にたどりついた結果は『自分の作りたいものを作ろう』というものでした。一度頭をリセットしたときにようやく納得感のあるアイデアがどんどん下りてきたのを覚えています。そのアイデアが思い浮かんでからサンプルができあがるまでは、わずか1週間程で完成しました。もともとAIの仕事をしていたこともあったからかもしれません。

前後のアイデアの違いは、はじめは『楽しい問題集を作る』といった発想で考えていたのですが、リセット後のアイデアでは『学校の教科書(既に持っている問題集)を楽しく学習できないか?』といった発想に変えることができました。
その結果がこの『スタディメーター』というアプリになっています。

〇 その他、このアプリ開発にこだわった部分はどういったところでしょうか?

箕輪)そうですね。アプリ開発するにあたっては、使って頂きたい方々に対して『人にオススメできるか?』という点には常にこだわりをもっていきたいと思っています。画面の見た目や、利用シーンをイメージしながら開発をしています。例えば、学校や塾に行かないと利用できない先生をサポートするシステムよりは個人でも手軽に使えるアプリにすることや、価格面においてもはじめは手軽に利用できるように無料で提供しています。

スタディメーターの画面

プログラミング上級者でなくても作れるAIアプリ

このように『使う人の目線』に常にこだわりを持ちながら開発されたスタディメーターですが、実は別の見方として箕輪さんは『開発容易性』においてもかなりのこだわりをもっていることがわかりました。

AIといったらPythonなどで難しいプログラミングを使って開発するイメージをお持ちの方もまだ多いとは思いますが、このスタディメーターは既存のAIサービスを組み合わせて開発されており、プログラミングをほとんど使わずに作られています。

箕輪さんがプログラミングを使った部分といえば、各サービスを繋げる部分や各サービスの機能として補填が必要となった箇所のみ手を加えているといった内容となっており、短期間でサンプルを作成できた背景もその点が注目すべきポイントとなっています。

今回は特別にその裏話もお話を伺うことができましたので少しご紹介させて頂きます。

AIアプリの裏側にはこのようにさまざまな開発技術が必要とされています。

しかし、この『スタディメーター』の開発手法は基本的には既にある『AIサービス』を繋げるだけで開発されています。

実際には上記(左画面)のような黒画面での開発はほとんどなく、数式もプログラムも出てこないブラウザ画面(右画面)を操作しながら開発していくだけといったノーコード/ローコードでの開発手法をとられています。

そうすることで開発スピードを各段と向上させることだけでなく、それぞれのサービスにおける保守性も含めてサービス提供側の方で担保されていることになります。結果的にメンテナンス性やセキュリティ面においても開発者の負担を大きく軽減しています。

こうして箕輪さんは『特別なAIのスキルがなくても、AI開発はできる』ということをご自身で実践し、体現されていました。

経済産業省の『未来投資戦略2018』では、『AI時代に対応した人材育成と最適活用』の中でこのように説明しています。

『AI時代には、高い理数能力でAI・データを理解し、使いこなす力に加えて、課題設定・解決力や異質なものを組み合わせる力などのAIで代替しにくい能力で価値創造を行う人材が求められる』

つまりAI時代に対応した人材とはこれらのAIツールを『開発をする人』、『実装していく人』、『組み合わせて価値創造する人』といったように、複数の役割や専門性が分かれていくのではないか?ということが推測でき、箕輪さんはこの最後の『組み合わせて価値を創造する人』に強いこだわりをもって開発を進めているというお話も頂きました。

開発者がこれからも伝えていきたいこと

日本国内において『働き方改革』が始まって以降、新しい技術が日々進化し続けている中で各種イベント会場でもAIツールやローコード、ノーコード開発ツールは目にすることは多くなったと思いますが、各製品ベンダーの紹介は目にすることができても、製品やサービスに捕らわれず上手に組み合わせ方をデザインして導入している事例というのはなかなか目にする機会はないと思います。

そうした多くのツールの特徴や使い方を知り、デザインし、活用できるようになる人材は、業務改善やアプリ開発においても実現できる可能性を大きく広げてくれるということをこのスタディメーターは教えてくれていると思います。

開発者の箕輪さんは、オンラインプログラミング講座で有名なUdemyで『手を動かして学ぶシリーズ』の講師をしているだけでなく、昨年(2019年)11月にもこうした実際にAIデザインを一日で体験できる講座『AIデザイン講座』の講師もされています。

このAIデザイン講座ではAIデザインの視点を解説し、実際のAIツールをいくつかご紹介して参加者の方々の課題解決にAIをどのように活用したらよいか?といったアクションに繋げる導入部分をサポートする内容となっています。

2020年度もこれらのコンテンツを見直し、新しく提供していく予定とのことですので、興味をお持ちの方は一度箕輪さんが開催する講座に足を運んでみては如何でしょうか?私たち協会員もサポート役としてこれからも引き続き箕輪さんおよびスタディメーターを応援していきたいと思います。

著者紹介:KAZUNO

独立系SI会社に勤める会社員。個人では社会の課題(未来技術推進協会所属/SDGs)
企業の課題(RPA HACK Writer and Evangelist/働き方改革)個人の課題(音楽を楽しむ
グループ代表/心を豊かにする活動)を3軸に置き啓蒙活動を行っている。

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