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AINOWは2016年のリリース以来、日本初のAI専門メディアとしてさまざまな情報発信を続け、累計1200本以上の記事を公開してまいりました。
この度、AIを活用してロゴを生成し、それに伴い、デザインを大幅にアップデートいたしました。
この記事では、AINOWがどのようにしてAIを活用してロゴをアップデートしたのか、その詳細をお伝えします。
目次
クリエイティブ領域で活用が進むAI
クリエイティブ領域でAIの活用が進んでいます。
有名な事例では、2020年2月27日に発売の週刊「モーニング」にて、手塚治虫の新作をAIによって生み出した「ぱいどん」が公開されて話題になりました。
また、AIで架空の人物を生成する「ディープフェイク」にも注目が集まり、その悪用が問題視されています。
その他、ロゴデザインからホームページ作成、バナー作成まであらゆるデザインの業務でもAIの活用が進み、PhotoshopやIllusratorなどを手がける世界的企業AdobeもAIを活用した「Adobe SENSEI」をリリースし、AIを生かした画像編集を可能にしています。
実際にAIでロゴを作成した裏側を全公開
AIでロゴを生成するにあたり、活用したサービスは、株式会社ガラパゴスの「AIR Design」です。クリエイティブに特化したAIを活用して、デザインやロゴなどを生成することが可能なサービスです。
ロゴ生成の流れ
- ロゴのデザインについてヒアリングを行う(Google Docs)
- AIを活用して30〜50の案を作成し、クライアントはイメージに近いものを選択する
- ロゴの選定と修正
- 最終的なロゴの選定
- ロゴのブラッシュアップ
- 納品
ロゴのデザインについてヒアリングを行う
AINOWのロゴ変更にあたり、まず最初に従来のロゴの課題を探り、その上で新しいロゴの要件を整理しました。
まず、課題として上がったのが、AINOWの旧ロゴの視認性の悪さです。タイポグラフィ(文字)が細く、目立たちづらいという課題がありました。
また、旧ロゴでは人間の脳の形をしたシンボルを用いていましたが、現行のAI(人工知能)は、ディープラーニングなどの活用が中心で、脳のイメージに直結せず、ロゴで脳を象徴することは適さないと考えました。
▼AINOWの旧ロゴ
そこで以下のようにロゴの要件を整理しました。
要件1:AINOWのミッション、特にAIの可能性を伝えることが解釈できること
要件2:AINOWのコンセプトが反映されている
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AIを活用して30 ~ 50のデザイン案を生成する
上記の要件をガラパゴスの担当者に伝えた上で、デザイン案を作成していただきました。
まず、第1弾として20案、第2案として29案、合計して59案をAIで生成していただきました。
AINOWのコンセプトとしてお伝えした「高級感」「日常」「安静的」「未来的」「遊び心」を基準に、さまざまなスタイルのロゴが生成されています。
依頼後3時間で、第1弾では1244個、第2弾では1295個のロゴが生成され、その中からAINOWのテーマに合うものを人的にピックアップして提案していただきました。
その後には、なんと第3弾のロゴ19個の案の一覧を生成していただきました。
ロゴの生成はAIを活用して自動化していますが、一覧のマッピングや、プレゼンシートをまとめる人力作業を含めて合計で15時間ほどの工数で提案までが完了しています。
AIで生成されたすべての案には、以下のようにコンセプトの詳細や、使用シーンが想定できる画像がついたプレゼンシートが添付されおり、スムーズにロゴ選定が可能でした。
ロゴの選定と修正
AIで生成されたロゴの中から、AINOWのテーマに合い、メッセージ性を込められるロゴを10個選定し、修正案も提出していただきました。
ブラッシュアップでは、AINOW編集部からのフィードバックを元に、AIでロゴを再度生成し、人力でカラーやフォント、カーニング(字間)を調整していただきました。
最終的なロゴの選定
ブラッシュアップしていただいた10個のロゴと、最初に提出いただいた68案を合わせ全78案の中からAINOWに適したロゴを選定しました。
最終的に選定したロゴは以下です。
このロゴを選定した理由は以下の3点です。
- AIのAをモチーフにした形になっている。
- 楽器 トライアングルの形をしており、AIの可能性を伝えるイメージが持てる。(音を響かせるようにAIの可能性を伝える。)
- 産学官の調和(ハーモニー)を生み出すイメージが持てる。
この後はこのロゴをさらにブラッシュアップしていきます。
ロゴのブラッシュアップ
選定したロゴをデフォルメし、人力で色やタイポグラフィ(文字)を調整した案をいただきました。
上記の中から右上のロゴを選定し、最終的な調整を行います。
タイポグラフィやシンボルの太さを調整し、最終的に以下のロゴに決定しました。
なぜAIでゴロが作れたのか!?その技術の裏側
そして今回、AINOWのロゴ作成を手がけていただいた株式会社ガラパゴス 代表取締役の中平健太氏にインタビューしました。
ーーどのような会社なのか、お聞かせください。
中平氏
ーーなぜAIでロゴ生成が可能になったのでしょうか。
中平氏
- ロゴを作るためのオーダー(要件)であるインプット情報
- 作られた画像データ(アウトプット)
- どのロゴがふさわしいかを評価するデータ
これらを集めやすかったのがロゴだったんです。
また、クラウドソーシングで取引されているロゴデータは公開されていて、どれが採用されたのかもわかるようになっています。そのデータを教師データとして使うことができました。
ーーどこまで人間の手が加わるのでしょうか。
中平氏
人間は1つのデザインを作るのに5時間かかると言われていますが、私たちのサービスでは、AIを使って5分でオリジナルデザインを15個作ることが可能です。人が行うよりも60倍の速さを実現しています。
さらにデザインの成約率も人間が提案したデザインよりも2.5倍高かったんです。ロゴ1つあたりの生産性がAIを使うことで飛躍的に向上しました。
ーーデザイン業界でAIはこれからどのように活躍していくと思いますか。
中平氏
これからの課題はAIの予測精度を上げていくことです。AIの予測精度を上げるには段階があります。特定のセグメントやユーザーに合った予測ができる段階、さらに細分化して予測ができる段階、最終的にはパーソナルなデザインをその場で作れるようになる段階にまで精度をあげるのが目標です。
そのためには、
- QCD(Quarity):品質
- Cost:コスト
- Delivery:納期
を最大化することが重要です。瞬時に人間の心が動くようなデザインを提供でききるところまで到達したいと思っています。
また、私たちの会社ではさらに大きな市場を目指して、ロゴのAI技術を活用した広告デザインを行うサービス『AIR Design』を開始しました。(2019年の7月〜)
高品質なランディングページ(LP)を圧倒的速さで作り提案するサービスです。ここでもAIの技術を活用して、幅のあるデザインで多くのパターンを提案しています。
おわりに
AIの発展によってその技術はデザイン業界にも大きな影響を与えています。デザインの提案をAIが担うことで、より効率的かつ低コストを実現することができます。
また、AIは繰り返し学習を行うため、次に新しいデザインを作るときには違ったものを生み出してくれるでしょう。人が考えると同じようなパターンになりがちですが、AIが代替することで常に完全オリジナルデザインを提供してくれるようになります。
これからのデザインAIの発展に注目です。
また、これを機に新しくなったAINOWは、引き続きAI専門メディアとして、発信を続けてまいります。
▼YouTubeでもこの記事について解説中!
■AI専門メディア AINOW編集長 ■カメラマン ■Twitterでも発信しています。@ozaken_AI ■AINOWのTwitterもぜひ! @ainow_AI ┃
AIが人間と共存していく社会を作りたい。活用の視点でAIの情報を発信します。
その会社では、職人のプロセスを可視化し、その技を誰でも再現し、生産性を高めるプロセステクノロジーという技術を企業に提案していました。
ここで学んだ技術が、ガラパゴスがAIの活用を進めるデザインやクリエイティブの分野に現在活かされています。
2009年にガラパゴスを創設した当初は、Webサイトやスマートフォンアプリの受託開発をしていました。そこで「デザインが依然とアナログである」と感じたんです。
そこで、プロセステクノロジーを活用して、デザイナーの独自性のある思考プロセスを可視化・標準化し、さらにAI技術を取り入れれば、このデザイン業界にも圧倒的な生産性を生み出すことができるのではないかと考えました。そのため、近年ではロゴだけでなく、さらに広いデザイン領域でAIの開発を進めてます。