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2020.06.08

Afterコロナには二極化が起きる!? 識者5名が語るコロナ時代を生き抜くデータサイエンティストのキャリアビジョン

最終更新日:

2020年6月現在、大きく社会のあり方を変えるきっかけとなったのは新型コロナウイルスの感染拡大です。印鑑の廃止やテレワークの導入、Web会議の普及など、急激に私達の働き方の変化が起きる今、データサイエンティストはどのように生存戦略を描いていくべきなのでしょうか?

この記事では、2020年4月に開催されたイベント「コロナ時代を生き抜くデータサイエンティストのキャリアビジョン」のレポートをお届けします。
※一部表現を記事向けに修正しています。

新型コロナウイルスの感染拡大により、緊急事態宣言が発出されていた当時の現状を元に、Withコロナ、Afterコロナをデータサイエンティストがどう生き抜くべきかを、立場の異なる識者5名が語りました。

登壇者一覧(画像左から)
  • ヤエリ氏(@yaesuri_man)
    IT企業でAIソリューションの営業推進を担当。大手金融・製造・流通業へのAI活用コンサルや定着、人材育成を支援する傍ら、執筆・講演活動も行う
  • 村上智之氏(@GreenGreenMidor)
    データラーニング 取締役CAO データラーニングギルド代表
  • 里 洋平氏(@yokkuns)
    DATUM STUDIO株式会社 取締役CAO
  • マスク・ド・アナライズ氏(@maskedanl)
    AI・IoT機械学習・データ分析を手掛ける”自称”AIベンチャーをクビになり、フリーランス(半無職)へ転身
  • 菅 由紀子氏(@kan_yukiko)
    Rejoui CEO / WiDS Ambassador / データサイエンティスト協会スキル定義委員

新型コロナで起きる変化 ーデータサイエンス分野への影響は?

村上

早速みなさんの周りで起こっている変化をお聞きします。リモートへの対応状況などはいかがでしょうか。

客先常駐の多いDATUM STUDIOですが、リモートにシフトできています。一方で社内研修などのセミナーは軒並み中止・延期になりました。代わりにオンラインセミナーの引き合いが増えました。

Rejouiもセミナーが軒並み中止となってしまい、早々にオンライン中心の戦略に切り替えました。その一方で働き方改革に関する分析ニーズが増えています。創業当初からピープルアナリティクスに力を入れており、この領域は順調です。

ヤエリ

私の周りではまだ目立った影響は出ていません。一方で春の展示会シーズンの大規模イベントが無くなったのは痛かったです。毎年この時期に大々的にPRしてリードを集め、一年かけて受注を取っていくスタイルでしたので。

 

実行中のプロジェクトは連休明けの政府判断を待つという様子見のお客様が多いです。恐らくそのタイミングで各プロジェクトにストップがかかるのでしょう。

マスクド

イベント登壇が全てキャンセルになったので、収入に響いています。また、イベント後に名刺交換して仕事につなげることも多かったのですが、今は営業活動そのものを控えている状態です。5月の連休明けで各企業がどう動くかを注視していますね。

 

なお、記事執筆はリモートでもできるので、お仕事お待ちしております!

どうなる!? Withコロナ時代のデータサイエンティスト!

村上

コロナの収束が長期化した時にデータサイエンティストにどんな変化が起こるのでしょうか。個人的には、医療や物流の現場のロボティクスの導入促進や、リモート勤務で新たに必要となるピープルアナリティクスなどは活躍できる場と思っています。

マスクド

そうですね、コロナに対しての企業の対応は二極化すると思います。リモートワークにすぐ移行できる会社とそうでない会社、DXが加速する会社と様子見で止まってしまう会社など、企業間の格差が拡がっていくという懸念があります。

私は、データサイエンティストの立場として物流系の分析業務が気になりますね。弊社は物流関係の案件も多いのですが、災害時の分析作業は非常に慎重に行う必要があります。「今回規模の疫病リスクを考慮してモデルを構築して」と言われたらかなり辛いですね。

 

また今の時期は考える時間があるので、「実はこの予測システムは不要なのでは?」というような分析断捨離が起きる気もしています。

村上

確かに、このタイミングでコスト削減する会社は多いでしょうね。

 

ヤエリさんはリーマンショックも経験されていると思いますが、景気がガクっと落ち込んだ時はIT投資にも影響が出ますよね。

ヤエリ

おっしゃる通り、IT投資にも大きく影響が出るでしょうね。私はリーマンショックが起きた当時、BIソリューションを扱っていたのですが、BIで直接的な利益を産み出せていないお客様は軒並み投資を辞めてしまいました。

 

今回の新型コロナウイルスの感染拡大でも、機械学習で利益を出しているお客様は継続して利益を出し続け、そうでないお客様はコスト削減として切り捨ててしまうという二極化が起こると思います。コスト削減した企業からの人材の流出も起こるでしょう。

村上

経験者が人材市場に出てくるとなると未経験者にはますます厳しくなりそうですね。

 

一方でリモートワークとなると、地方の人やフルタイムで働けない人にチャンスが巡ってくるというような側面は無いでしょうか。

まさにRejouiがそうです。女性ばかりの会社で、学校が一斉休校のタイミングで完全リモートワークに移行しましたが、うまく回っています。元々チーム内で工程や得意領域で分担しながらプロジェクトを遂行してたことが理由です。

 

人材育成できていることが前提にはなるものの、管理する人がしっかりすれば、未経験者がプロジェクトに入ったとしても問題なさそうです。

育成観点でいうと、今からデータサイエンティストを目指す人には大変な時期だと思っています。データサイエンティストが活躍するには、データ分析や機械学習という手法そのものだけではなく、実務をどれだけ体験しているかが大事です。

 

OJTから始めるのが王道ですが、今はそれが難しいうえ、代わりとなる手法も確立されていません。

 

もう1つはお客様の価値基準の変化です。常駐案件では一般的な人月ビジネスは、リモートになった瞬間に崩壊します。こうなるとアウトプット自体が価値となり評価されますので、これまで以上にビジネス価値を意識しないとすぐ切られてしまう。

 

一方、リモートになることで時間が作りやすくなります。この時期に勉強したり、自分が手を出せなかった領域に手を出したり、幅を広げることができるので、そこはポジティブに捉えています。

村上

他の側面で言うと、生産性が上がる人は本当に上がっていますよね。打合せの前後1時間の移動が無くなりますから。営業的には結構楽じゃないですか?

ヤエリ

個人的には楽になりました。移動時間が無くなったことに加えて、お客様から「今からWeb会議できますか?」と、ライトに声をかけてもらえるようになりました。会社に行かなくなったことでお客様との心理的距離が近づいたことは皮肉ですね。

村上

ありがとうございます。みなさんのご意見を総合すると、色々な歪みが拡張され、どんどん差が拡がるのは間違いなさそうですね。

 

いろいろなバランスが崩れるので、投資を続けられる企業や、業界構造が変わった時に有利な分野に事業ポジションを移していくことが、キャリア戦略において重要なポイントになりそうですね。

どうなる!? Afterコロナ時代のデータサイエンティスト!

村上

一方で、Afterコロナ時代に何が元に戻り、何が戻らないのかが気になっています。みなさんは何か考えていることはありますでしょうか。

直接教えるセミナーなど、人に会う行為自体が高い価値を持つ時が来ると思います。その時、教える立場としては「直接教わるとこんなに分かりやすいんだ!」となるようにしないといけない。リアルで会った時にいかに価値を提供できるかが大事な点と思っています。

マスクド

会いに行けるデータサイエンティストはアイドルみたいな感じですね。

 

オンラインイベントなら地方在住者でも気軽に参加できますし、メリットもありますね。言い換えれば良くも悪くも「田舎だから」「地方だから」という言い訳が通じなくなります。

 

一方で情報伝達だけならオンラインでも良いですが、登壇者として聴衆の反響や反応が分からないのが厳しいですね。

ヤエリ

オンラインでの相手の機微は読みづらいですよね。

 

加えて、営業の動きも変わると思います。「ちょっと年末挨拶でカレンダーを」というような文化は変わるかもしれません。間接的な動きより、一層直接的なビジネスインパクトを求められるのではないでしょうか。

同感です。ビジネスインパクトが無いと評価されない時代が来ると思います。。コロナの影響で企業に余裕が無いので、ちゃんと売上げを上げていく、実を取る、そこが重要視されるようになるでしょう。研究的な需要は減っていくと思います。

 

オンラインでのマネジメントのできる人が、このWithコロナからAfterコロナで活躍しやすいのでしょうね。

人事周りのデータ分析を行う中で、オンラインで業務を行えている人は、実は既にリアルでもやれていたのではないかと感じています。今までできなかったマネジメントができるようになった方も多いと思います。

 

Rejouiの場合、今まで月1回だった1on1が約週1に増えました。マネジメントにもいろいろありますが「俺の背中を見て育て」というスタイルは廃れていくでしょう。

 

リモートで磨き切った対話スキルやファシリテーション能力、コーチングスキルが研ぎ澄まされた人がアフターに生き残ると思います。

村上

同じフロアにいることで、これまで間接的に耳に入っていたことでも、オープンのチャンネルで話さない限りは入らなくなる。オンラインでのコミュニケーションの在り方や、求められるマネジメントスキルは変わるでしょうね。

データサイエンティスト視点では、データ分析や技術そのものに加えて、今回の時代のデータをどうするの?というビジネス感覚を持っていないと成果を出せないと思います。難易度は高いものの、データサイエンティストはやりがいが多く刺激的で、チャレンジングな職業になっていくのではないでしょうか。

マスクド

分析能力を身に着けるだけなら、ハードルが下がっている面もあります。一方でプラスアルファの能力が求められると考えます。経営陣に理解してもらうプレゼン力や、ビジネスとして利益を出す方法論であったりと、分析能力以外も重要視されるでしょう。個人としてのデータサイエンティストに求められるスキルが変わってくる時代です。

村上

コロナが収まっている頃にはAutoML(Google)も今よりもっと民主化されていそうですね。モデリング自体は難しくない技術になっていると思います。

 

そう考えると基本的な説明スキルや、価値へのコミット、いかに利益を生み出すかが大事なのだと思います。

対お客様の部署などフロント側の人はビジネス感覚やコミュニケーションをより求められますが、一方で中には技術力を持っている人も必要です。例えばディープラーニングの専門家の業務は、今とそれほど変わらないと思います。

マスクド

データサイエンティストとして、どんな能力を伸ばすかが大事です。前述のプレゼンやビジネススキルを伸ばすのもいいですが、不向きな能力を会社が指示して無理に身に付けさせると失敗します。

 

しかし会社組織であれば、エンジニアが技術、フロントが折衝という役割分担ができます。それなら「普通にコミュニケーションが取れれば良い」として、「得意な技術力を専門家レベルに伸ばす」とすべきでしょう。

まとめ ーWithコロナ・Afterコロナをどう生きるべきか

村上

リモート中心の働き方の中で、いかに円滑にコミュニケーションがとれるか?が重要になっています。また、二極化が進む中、良い状況に移らないと、じり貧の状況になりそうだということです。
直近2~3年は生き残る術を身につけたり、これまで通り基礎知識を身につけつつリモートワークの働き方に適応すれば乗り切れると思います。

コミュニケーション部分と、自分がやっているプロジェクトはどれくらい価値を出せそうか?というような、ビジネス価値を一層意識した方が良いと思います。

 

全然成果を出せていない分野で頑張っている方は「近いうちにヤバイかもしれない」と思った方が良いかもしれません。そこを意識できていれば、Afterコロナはそれ程気にしなくても、そのままの延長で行けば良いと思います。

ヤエリ

少し抽象的ですが、Afterコロナも各企業の「実を取る流れ」は続くと思います。会議室の上座に座って発言しない上司はWeb会議では空気になってしまったし、アウトプットの無い社員も存在意義が無くなっている。データサイエンティストもPythonを書けるだけでは評価されず、実務でROIを出す、実績を出すまで、しっかりフォローできる人が生き残ると思います。淘汰されないようにお互い頑張りましょう。

マスクド

誰が書いたかは存じませんが、Withコロナ・Afterコロナ時代の指針として「これからのデータサイエンスビジネス」という本があるので、不要不急の外出を避けてネット書店でご購入ください。

 

真面目な話をすると、時代の変化に対応する力が求められると思います。特にIT業界は移り変わりが激しいので、3年後、5年後には今のデータサイエンティストが不要となる時代が来るかもしれません。生き残るために、自分をどう変えていくか、何を学んでいくか、時代にどう適応するかというアンテナを立てておきましょう。

今は走りながら考えなければいけない状況だと思います。先が見えない中、自分で期限を決めて、ここまではこれをやる、走りながら区切り区切りで目標を持っておくのが大事です。

 

また、反対にチャンスの時代でもあります、こんなに激しい変化が起きるとは誰も思っていませんでしたし、そんな中で成長することができたら「精神と時の部屋」に入ったようなものです。

 

ピンチの後に強くなるサイヤ人は人間の本質だと思っており、不安に思ったらとにかく腕を磨く。行き詰ったら村上君に壁打ちしてもらいます(笑)

 

今は世界中の人とTwitterで簡単に繋がれるので、そういうった人に勇気や活力を貰うのも良いと思います。

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