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近年、BtoBマーケティングの世界で「ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)」に注目が集まっています。
そこで、「ABMツールを導入したいけれど、どれがよいのかわからない」と考える人も多いのではないでしょうか?
また、「おすすめのABMツールを紹介している記事はあるけれど、どのABMツールが適しているかわからない」と感じる人も多いのではないでしょうか?
この記事では、ABMツールの概要やメリット・デメリット、選定ポイント、主要なABMツール7つを紹介します。
ABMツールとは
ABMツールとは、収益性の高い顧客を選び、自社のリソースを集中して戦略を行うために、ターゲットの情報の統合と選定を行うツールのことです。
ABMツールによって、今まで商品やサービスごとに顧客管理されていたデータが企業単位で管理できるようになります。
それによって、自社の商品やサービスをターゲット企業に対して適切な時期に提供できます。
ABMツールのメリット
リソースの無駄が減る
企業の営業活動は、営業の機会損失が多いといわれます。これはデータに基づかず、闇雲に顧客にアプローチしていることが原因です。
近年では、ABMの考え方の元、SFA(Sales Force Automation)というツールの導入が進んでいます。
SFAとは、企業の営業部の情報や業務の自動化、分析をして、ボトルネックの発見や効率化を図るシステムです。
SFAを活用することで、売れるクライアントに売れるタイミングで最適な営業のアプローチができるため、営業の機会損失が減り、売上を上げることができます。
結果、人材や資金のリソースを無駄なく集中的に投下できます。
追跡や効果測定がしやすい
タイミングを逃すと営業は拒絶されやすくなってしまいます。みなさんも、自分が必要としていない時に営業のメールや電話が来たら嫌ですよね。
これを防ぐには、ニーズがあるタイミングでアプローチをすれば良いのですが、適切なタイミングを見計らうことは至難の技です。
しかし、ABMツールを導入すると効果を数字で計測できるので、自らフィードバックをして改善することができます。
営業部門とマーケティング部門の連携がスムーズになる
情報共有や施策での協力など両部門の連携が不可欠です。
ABMツールは個人単位ではなく会社単位で運用することが一般的なため、社内で情報を共有し、迅速にリードナーチャリング(見込み顧客の育成)が可能です。
具体的にはABMツールを導入することで、マーケティング部門が獲得したリード(お問い合わせ)に対して迅速に営業アプローチできます。
ABMのデメリット
取り組みをスタートしてから、運用が軌道に乗るまで大変
膨大な顧客がいる企業はガバナンスを整えたり、営業部隊を再編するのが大変です。
ときには従来の営業手法を根本から変える必要もあり、現場の抵抗もあるかもしれません。
対策としては、最初から大規模にツールを導入するのではなく、小規模からスタートするとよいでしょう。
導入後数週間~数カ月間(企業による)はツールの課題点を社員に定期的にヒアリングし、改善策をマニュアルにまとめておくと、全社導入した後もスムーズに運用が進みます。
「営業部門とマーケティング部門がそれぞれ独立して、別々の業務を行う」企業には不向き
メリットでも述べたように、ABMツールは個人単位ではなく会社単位で運用するものです。
そのため情報共有や施策での協力など、両部門の連携が不可欠になります。
しかし営業部門とマーケティング部門がそれぞれ独立している企業の場合は、組織同士の連携をスムーズにし、ABMツールを活用できる体制を整える必要があります。
「新規顧客or商談期間が短い顧客にアプローチする」企業には不向き
ABMは自社に大きな利益をもたらす大口顧客を特定し、その顧客に対して最適なアプローチを継続的に行う手法です。
そのため、これまで実績のない新規顧客や、商談期間が短い顧客の場合はあまり効果が期待できません。
ABMツールの選定ポイント
企業データの件数
ABMがどのような経路で企業データを収集・蓄積しているかがポイントです。
ABMツールはそれぞれ独自の企業データを保有していますが、データベース件数が多いツールを選ぶとベストです。
データベース件数が多いと、そこからターゲットを絞り込む精度が高くなり、ABMの効果も高くなるからです。
自社と同じ業種の実績
各ツールの導入実績として、自社と同じ業種の実績が多くあるかをチェックしましょう。
同業者が効果的な結果を出していれば、自社も同程度の結果が見込めるので、ツールを導 入する際の重要な判断ポイントになります。
主要ABMツール7選を徹底比較!
ターゲティングの精度が高い
FORCAS
独自の企業データと分析アルゴリズムの力で、成約確度が高い企業を特定し、ABMの実現を強力にサポートするツールです。
企業が抱える顧客データだけでなく、FORCASが所有する140万社以上の豊富な企業情報·顧客データを簡単に統合できるため、より成約確度の高い顧客データを見出すことが可能です。
【機能】
- 成約確度が高いターゲット企業リストを簡単に作成可能
- 既存の顧客傾向を解析し、相性の良い企業属性を特定
- MAやCRMと連携することで、マーケ施策の成果や効率がより向上
【料金】
FORCASでは固定月額制を採用
※詳細な金額は見積もりが必要
【導入事例】
- NECソリューションイノベータ株式会社
- 株式会社SmartHR
- 株式会社スマートドライブ
散在しているデータが一括管理できる
uSonar
顧客のあらゆる情報を名寄せして、デマンドセンターを構築できるツールです。
標準搭載している企業データベースをもとにデータクレンジング・名寄せを高精度かつ自動で行うので、ターゲット企業の選定にかかる工数を削減できます。
【機能】
- 社内に散在するリード情報を統合
- 顧客データと企業データベースを統合し、強味を発揮できるターゲット属性を把握
- SFAやCRM、MAといったツールと連携可能
【料金】
問い合わせが必要
【導入事例】
- PayPay株式会社
- さくらインターネット株式会社
- 株式会社ビズリーチ
法人営業などに必要な情報収集・分析を効率化できる
SPEEDA
ビジネスにおける情報収集・分析を効率化し、企業の進化を加速する経済情報プラットフォームです。
経営企画や法人営業に必要なリサーチを、スピーディーに行うことが可能になります。
【機能】
- 560業界の市場環境・競争環境・動向をまとめたオリジナルレポートを収録
- 国内企業を対象とした企業リストを、さまざまなシナリオから簡単に作成
- 有料メディアや専門誌も含む2000媒体のニュースを配信
【料金】
7日間の無料トライアルあり
※有料版の料金は問い合わせる必要あり
【導入事例】
- 株式会社セールスフォース・ドットコム
- 東日本電信電話株式会社
- ソニー株式会社
エンジニアでなくても、システムの構築ができる
SPIRAL
業界・業務の効率化を支援するWebアプリケーション構築プラットフォームです。
テンプレと組み合わせることで、メルマガなどを簡単に作成できます。
【機能】
- テンプレと組み合わせることで、メルマガなどを知識いらずで作成可能
- 社内に散らばったデータをまとめて管理
- 営業・マーケから社内(勤怠・給与管理など)までさまざまな業務・仕事に活用可能
【料金】
- 2週間の無料トライアルあり
- トライアル後は初期費用10万円+月額5万円
【導入事例】
- コクヨ株式会社
- 株式会社セガホールディングス
- 株式会社日経CNBC
コストパフォーマンスが高い
HIRAMEKI XD
驚きのシンプルさと低コストで、ビジネス成果が出るまで使い倒すことができるマーケティングプラットフォームです。
【機能】
- 一人ひとりのユーザーのアクセス履歴を全て記録
- 流入元別に訪問者一人ひとりを個別に計測して効果測定
- 離脱しそうな会員の特定
【料金】
- 30日間の無料トライアルあり
- アナリティクスプラン:¥ 40,000 /月〜+初期費用¥ 50,000 〜
- ログストレージプラン:¥ 5,000 /月〜+初期費用¥ 50,000 〜
【導入事例】
- 株式会社ANAP
- サニーヘルス株式会社
- 株式会社cinra
イベントや展示会、セミナーを効率的に行える
シャノン
顧客管理から見込み顧客育成まで、メールマーケティングを中心にセミナー/イベントの管理を実現するマーケティングプラットフォームです。
統合型マーケティング支援市場7年連続シェア1位を獲得しています。
【機能】
- 柔軟に設定できる条件を活用して、細かなターゲットリストが作成可能
- LP(ランディングページ)とWebフォームを自動生成して管理
- リードの獲得からコンタクトの状況、顧客の行動履歴などを総合的に管理
【料金】
問い合わせが必要
【導入事例】
- エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
- 株式会社オロ
- サイボウズ株式会社
ターゲットの購買活動の情報収集ができる
Marketo
全世界で5000社以上の企業に導入されているツールです。
顧客の行動データを集めて、長期的な関係を構築するのに役立ちます。
【機能】
- パーソナライズ機能を活用した顧客との強い結びつき
- SEO対策による検索結果での上位表示
- ターゲティング精度向上による広告コストの削減
【料金】
問い合わせが必要
【導入事例】
- 株式会社ビザスク
- 株式会社ビープラウド
- 株式会社リクルートキャリア
ABMツールを導入する際の注意点
営業部門に、ABMの導入の目的・メリットを共有する
すぐ数字に繋がる顧客を重視する営業部門は、長期的な取引を前提に顧客を選ぶABMに同意しないケースが多いです。
そのため、ABMを導入する前に営業部門とマーケティング部門が目的やメリット、ゴールを共有し、納得しておく必要があります。
自社の解決したい課題、予算を明確にする
ABMツールを導入する前に、自社の課題や予算を明確にしておくことは非常に大切です。
豊富な機能に惹かれて高額なシステムを選んだけれど、実際は最低限の機能で十分だったというケースが多くあります。
そのため、自社の課題を解決するために外せない機能を事前にリストアップしておくと、スムーズにツールを選ぶことができます。
まとめ
今回紹介したABMツールの導入によって、ターゲットを絞り込み、直接的にアプローチすることが可能になります。
そのため、無駄のないマーケティング活動が展開でき、タスクを大幅に効率化できます。
まず、自社の解決したい課題は何か、予算はどれくらいなのかを明確にした上で、自社に適したABMツールを導入しましょう!