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近年、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、多くの企業でテレワークが導入されています。
テレワークでは、移動時間の短縮により従業員の負担が軽減され生産性向上が見込めますが、一方で生産性が向上しない企業もあります。
そこで今回は、テレワークを導入しても生産性が向上しない理由と生産性を向上させる4つの方法を解説します。
テレワーク導入に不安がある方や導入後に悩まれている方は、今回の記事を参考にしてみてください。
目次
テレワーク導入と生産性に関するデータ
総務省の平成29年版『情報通信白書』によると、テレワークを導入している企業と導入していない企業で業績に違いがありました。
テレワークを導入している企業の方が、直近3年間の業績が増加しています。また、売上高よりも経常利益における違いが顕著です。
テレワーク導入により、生産性が向上することで良好な業績につながるサイクルになると考えられます。
テレワークで生産性向上しない理由
テレワーク導入により、多くの企業で生産性が向上しています。
しかし、アドビ株式会社が発表した『COVID-19禍における生産性と在宅勤務に関する調査』において、約4割の人が「テレワーク(在宅勤務)で生産性が低下した」と回答しています。
また、生産性が低下する理由は以下の3つが挙げられています。
- 勤務環境が整っていない
- 集中しづらい
- 同僚からの協力が得にくい
テレワークで生産性向上させる方法
スケジュールを立てる・タスクを管理する
上記の調査において、テレワーク導入で生産性が向上しない理由として「集中しづらい」点が挙げられました。
これを解消するためには、従業員に以下を実践してもらうことをおすすめします。
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スケジュールを立てることで「今、やるべきこと」が明確になるため、集中力が上がり生産性も向上するでしょう。
円滑にコミュニケーションがとれる環境を整える
テレワークで生産性が上がらない理由で「同僚からの協力が得にくい」点がありますが、円滑にコミュニケーションをとれる環境を整えることで解決できます。
コミュニケーションの手段として、メールは送信するまでのプロセスが多く、電話は気が引けると感じる方が多いと思います。
そこで、ビジネス用チャットツールの導入をおすすめします。ビジネス用チャットツールは、LINEやTwitterのように気軽にやり取りできるほか、スタンプ1つで反応できる機能もあります。
しかし、導入するだけではなく、従業員が発信しやすい雰囲気を作ることが大切です。チャットツールを通じて、意見を積極的に発信するだけでなく、しっかり反応しましょう。
業務報告や朝礼をする
テレワークで生産性が向上しない理由で「集中しづらい」「勤務環境が整っていない」ことが挙げられました。
そのため、テレワークでも従業員がプライベートと切り分けて集中できる勤務環境を作ることが重要です。
テレワークで従業員が集中できる勤務環境にするには、定期的に従業員の状況をリアルタイムで把握できる仕組みを作ると良いでしょう。
そこで、Web会議ツールを用いて1日の初めに朝礼、1日の終わりに業務報告を設けることをおすすめします。Web会議ツールでは映像・音声のやり取りのほか資料共有もできます。
ITツールを利用する
テレワークで生産性が向上しない理由の「勤務環境が整っていない」は、テレワークにITツールを利用することで解消されるでしょう。
以下で、テレワーク業務を円滑に進めるためのITツールを紹介します。
チャットツール
チャットツールとは、PCやスマートフォンを用いてリアルタイムでコミュニケーションをとれるツールです。チャットツールでは、社内だけでなく社外ともやり取りできます。
チャットツールの特徴は、メールのような形式的なやり取りではなく、会話する感覚で気軽にやり取りできることです。また1対1だけでなく、グループ機能を使い複数人でコミュニケーションがとれます。
気軽にやり取りできるチャットツールは、素早く情報共有できるため業務効率が上がります。しかし、過度なコミュニケーション量になると集中力が低下してしまうため、注意が必要です。
Web会議ツール
Web会議ツールは、遠方の相手と音声・ビデオ通信でコミュニケーションをとれるツールです。
多くのWeb会議ツールには、以下の機能が搭載されています。
- 音声・ビデオ通話
- 画面・資料共有機能
- チャット機能
- 録音・録画機能
Web会議ツールの中には、映像や音声が高品質のツールやアカウント不要で手軽に始められるツールなどさまざまです。
Web会議ツールに搭載されている機能をしっかり確認し、自社に合うツールを導入しましょう。
工数・プロジェクト管理ツール
工数・プロジェクト管理ツールとは、プロジェクトごとの仕事量と担当人数を計算して工数を管理するツールです。
工数・プロジェクト管理ツールの基本機能は以下の5つです。
- スケジュール管理
- タスク管理
- 進捗管理表の作成
- 情報共有機能
- レポート機能
正確に工数管理することは、企業の利益に直結します。プロジェクトごとの作業量・人員を管理することで課題を発見・解決しやすくなり、売上や利益率が向上します。
工数・プロジェクト管理ツールを利用すれば、テレワークでも働き方や進捗状況が可視化されるだけでなく、生産性向上への意識が高まります。
テレワークで生産性向上した企業の事例
株式会社WORK SMILE LABO(専門商社)
株式会社WORK SMILE LABOでは、2016年からテレワーク導入を推進しています。
具体的な取り組みは、以下の3つです。
- パソコンを全社員に支給するとともに、社外でも仕事ができるシステムを構築
- 直行直帰や在宅勤務を全社員対象に実施し、スマホで出退勤を管理可能に
- テレワーク活用の多寡を評価に連動し、時間当たり生産性を賞与に反映
上記の取り組みの結果、2016-2017の1年間で、残業時間40%減少・売上5%増加・生産性8%増加しました。
(引用: 『「働く、が変わる」テレワーク ~先進事例のご紹介』/ 総務省)
日産自動車株式会社(製造業)
日産自動車株式会社では、2014年1月より生産工程以外の全従業員の在宅勤務の利用上限を月5日(40時間)にしました。
在宅勤務する際は、以下のプロセスを義務づけています。
- 在宅勤務制度利用のためのe-ラーニングを事前に受講すること
- 前日までに在宅時の業務計画を提出し、上司の承認を得ること
- 業務計画の内容を職場内で共有すること
- 当日は、上司に業務開始・終了を報告
- Microsoft社のCommunicatorを立ち上げて在席状況を同僚に通知すること
在宅勤務導入の結果、以下の効果がありました。
- 1週間の業務のPDCAに合わせて、出社が必要な業務と在宅勤務が可能な業務を切り分けすることで、チーム全体の業務が可視化・効率化した
- 終日在宅勤務は通勤時間を削減でき、従業員のワークライフバランスを実現できた
(引用: 『テレワーク活用の好事例集』/ 厚生労働省)
まとめ
今回は、テレワークで生産性が向上しない理由と生産性を向上させる方法を解説しました。
テレワーク導入に不安がある方や導入後に悩まれている方は、今回の記事を参考に生産性を向上させましょう。