新型コロナウイルスの影響で増加したテレワークやオンライン会議に伴い、議事録の作成や共有をオンライン上で簡単に行える「AI議事録自動作成サービス」の需要が高まっています。
AI議事録を導入すれば、人が手書きやタイピングで議事録を作成するよりも多くのメリットを得ることができます。
しかし、これまでAIによる議事録を使ったことがない方は、「どのサービス・ツールを使えばいいか」「どうやって使えば良いのか」など、分からないことだらけで不安ですよね。
そこで今回は、AI議事録サービス・ツールの「選び方」から「おすすめのサービス」、「それらをうまく使う方法」まで詳しく解説していきます。
目次
AI議事録サービス・ツールとは
議事録は、その会議で決まったことや話し合われたことを明確にし、多くの人に共有するための重要な記録です。しかし、会議の内容を文字に起こして、その要点をまとめるのは簡単な作業ではありません。
そこで、近年この作業を効率化しようとする試みが行われており、AIによって議事録を自動作成するツールが多くの企業によって開発されています。
AI議事録サービス・ツールの導入メリット
AIによる議事録自動作成ツールを会議に導入することで、次の3つのメリットを得ることができます。
業務の効率化とミスの軽減
会議の内容を手書きやタイピングで文字に起こす作業には、多くの時間と労力が必要です。しかし、議事録自動作成ツールを利用すれば、会議の発言をリアルタイムで文字に起こすことができます。
ツールの中には、会議の内容から発言者やTo Doリストを抽出できるものや、業種・業界ごとに辞書機能が調整されたものなど、さまざまなツールが開発されています。
また、人間が行う作業にはどうしてもミスがつきものですが、議事録作成にツールを導入することで、ミスの軽減も期待できます。
情報共有の簡略化
自動作成ツールで作成された議事録は、オンライン上で簡単に共有できます。会議に出席していない人に議事録を共有する場合は、ドキュメントファイルをチャットやメールで送信するだけです。
クラウドなどのオンライン上で議事録を管理することで、誰でもその議事録を編集・閲覧することが可能になります。
多言語に対応可能
多言語で行われる会議の場合でも、ツールを利用することで翻訳された議事録の作成や会話内容のリアルタイム翻訳ができます。これにより、出席者の話している言語に関わらず、円滑に会議のコミュニケーションが進むことが期待できます。
AI議事録サービス・ツールの選び方
次に、AI議事録サービス・ツールの選び方の紹介です。
現在、世の中では数多くのAI議事録サービスが展開されており、それぞれ特徴や機能が異なります。そのため、AI議事録サービスを選ぶ際は、自身が「なんのためにサービスを使うのか」という目的を明確にし、それにマッチしたサービスを選ぶべきでしょう。
ということで、ここからはAI議事録サービスを選ぶ上でチェックすべき項目を5つ紹介します。
ポイント① 費用
ポイントの1つ目は、「費用」です。
AI議事録サービスを導入するメリットの1番目に業務の効率化を挙げましたが、ツールの導入によって発生するコストが削減した労力に見合うかどうかを見極める必要があります。
できるだけ導入コストやランニングコストは抑えるためにも、検討しているサービスの初期費用の有無や月額料金を比較すると良いでしょう。
また、文字起こしなどの必要最低限の機能であれば、無料で利用できるツールもあります。次の章でおすすめの無料ツールを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ポイント② 利用枠
ポイントの2つ目は、「利用枠」です。
多くのAI議事録サービスには利用枠の上限があります。1月あたりの利用上限が200時間のサービスの場合、議事録サービスをそれ以上の時間使うと従量課金制に基づく追加料金が発生してしまいます。
費用を抑えるためにも、議事録サービスをどのくらいの時間と頻度で利用するのかを把握してから、最適なサービスを選ぶといいでしょう。
ポイント③ 音声認識の精度
ポイントの3つ目は、「音声認識の精度」です。
マイクからある程度離れた声もきちんと文字起こしできているか、音が同じ単語を文脈に応じて正しい漢字に変換できるか、などをチェックしましょう。
結果的に音声認識の精度がよくない議事録が出来上がってしまうと、後で誤字や誤表現を訂正する作業が大変になり、ツールを導入した意義が薄れてしまいます。
このポイントに関してはユーザーの使用感の問題であり、実際にサービスを利用してみないとわからないことも多いので、「まずは無料版を使用する」「ネットの口コミを参考にする」など、なるべく失敗しないよう慎重に検討してみると良いでしょう。
ポイント④ 多言語対応
ポイントの4つ目は、「多言語対応」です。
多言語で行われる会議では、翻訳ツールの補助があると便利です。会話の内容をリアルタイムで翻訳できるサービスを選ぶことで、円滑なコミュニケーションが可能になります。
また、AI議事録サービスの中には、英語や中国語だけでなく、多種多様な言語に対応しているものもあります。
ポイント⑤ セキュリティ対策
ポイントの5つ目は、「セキュリティ対策」です。
議事録サービスを利用する上で、会議の内容に対する不正アクセスや情報漏洩など、いくつかのセキュリティリスクが考えられます。
セキュリティ対策に懸念がある場合は、「スタンドアローン型」の議事録サービス・ツールを利用することをおすすめします。
スタンドアローンとは、ネットワークから切り離された状態を意味する言葉です。スタンドアローン型の議事録サービスは、ネットワークに繋がなくてもツールを利用することができるため、外部からの不正な侵入を防ぐことができます。
ただし、ファイルの送受信やWeb会議をする場合には同様のリスクがあるため、検討しているサービスのセキュリティ対策が万全かどうかをチェックしてみることをおすすめします。
おすすめのAI議事録サービス・ツール8選
続いて、おすすめのAI議事録サービス・ツールを紹介します。
有料で良質なAI議事録ツール
まずは、有料のツールの紹介です。多くの有料ツールは、無料ツールに比べて機能が充実しており、独自の特徴を持っています。
今回は、そんな有料ツールの中でも、特におすすめのツールを5つ紹介します。
AI GIJIROKU
サービス名 | AI GIJIROKU |
コスト | 月額1500円(個人)、月額29,800円(法人) |
利用枠 | 10時間/月(個人)、100時間/月(法人) |
翻訳 | あり、約30言語に対応 |
特徴 | 業種別音声認識、Zoom対応 |
「AI GIJIROKU」は、業種別音声認識機能を搭載しています。
業種別音声認識では、「金融」「医療」「保険」といったさまざまな業界でよく使われている単語や言い回しをAIに学習させることにより、指定された分野での音声認識の精度を向上させることが可能です。
また、AI GIJIROKUは、Web会議の主流ツールであるZoom上でも利用でき、ZoomミーティングにAI GIJIROKUのリアルタイム音声認識を字幕として表示できます。
AI GIJIROKUの費用は、月額1,500円(個人)または月額29,800円(法人)と低く抑えられています。
利用枠は10時間/月(個人)、100時間/月(法人)、超過分の従量課金は2円/1分であり、業種別音声認識などのオプションにも利用枠が存在します。
連続録音時間は個人プランで120分、法人プランで180分です。
スマート書記
サービス名 | スマート書記 |
コスト | 月額100,000円(法人) |
利用枠 | 200時間/月 |
翻訳 | あり、約90言語に対応 |
特徴 | セキュリティ対策プランがある |
「スマート書記」は、アカウントごとにPCやスマートフォンから録音できる議事録サービスです。そのため、会議の参加者それぞれが自分の所持している端末をマイクとして利用することができます。
また、スマート書記はセキュリティ対策プランに力を入れており、開発元のエピックベース株式会社は、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格の認証を取得しています。
スマート書記の費用は法人プランで月額100,000円で、利用枠は200時間/月、超過分の従量課金は500円/時間です。
セキュリティ対策プランの月額料金は120,000円で、別途アクセスログや監査ログを扱うことのできるプランも用意されています。
COTOHA Meeting Assist
サービス名 | COTOHA Meeting Assist |
コスト | 月額50,000円(参考) |
利用枠 | 50時間/月(参考) |
翻訳 | あり |
特徴 | 初期費用が不要 |
NTT Communicationsが提供する「COTOHA Meeting Assist」は、費用を抑えたい場合におすすめです。
COTOHA Meeting Assistは、用途や必要な機能に応じてさまざまな料金プランを用意しています。料金体系の詳細は、公式ホームページをご覧ください。
AmiVoice® MinutesWriter
サービス名 | AmiVoice MinutesWriter |
コスト | 2,300,000円~ |
利用枠 | 要問合せ |
翻訳 | 要問合せ |
特徴 | 独自開発の音声認識システム、スタンドアローン型 |
「AmiVoice MinutesWriter」は、専用ソフトウェアの開発に力を入れている議事録サービスで、独自開発のAI音声認識エンジン「AmiVoice」によって高い音声認識の精度を実現しています。
実際、AmiVoice MinutesWriterを開発した株式会社アドバンスト・メディアは、複数年にわたって音声認識市場シェアNo.1の認定を獲得しています。
また、AmiVoice MinutesWriterは、編集ソフトやデータ管理ソフトなど、周辺ソフトウェアも充実しているため、議事録の編集や管理を簡単に行えるのも魅力の1つです。
GIJI
サービス名 | GIJI |
コスト | ユーザーごとに、月額300円~ |
利用枠 | 要問合せ |
翻訳 | 要問合せ |
特徴 | 議事録の管理が容易 |
「GIJI」は、会議から3つのムダを省くことのできる議事録サービスです。
1つ目は「議事録の確認・承認のムダ」、2つ目は「議論が脱線するムダ」、3つ目は「清書と共有のムダ」です。
GIJIは、社内で行われた会議を全体的に管理(みえる化)する機能が充実しており、その機能によって会議時間の短縮や不要な会議を減らすことができます。
GIJIの費用は、ユーザー数によって決まります。
クラウド・プランの場合は1ユーザーにつき月額300円、自社サーバーやプライベートクラウドで運用する場合はユーザーあたり月額500円です。100名以上の場合はボリュームディスカウントが適用されます。
無料で使えるAI議事録ツール
次に、無料で使えるAI議事録ツールの紹介です。
Google ドキュメント
すでに活用している方も多いであろう「Google ドキュメント」ですが、ツールのいち機能である「音声入力機能」を使えば、マイクを通して入力された音声が文字に変換され、議事録を作成することができます。
また、Googleドキュメントは、PCだけでなくスマホやiPadなど多くのデバイスで環境を問わず利用可能であるうえ、容量や利用回数の制限がないことも大きなメリットです。
AI議事録取れる君β
「AI議事録取れる君β」は、議事録作成のために株式会社AIdeaLabが開発した無料ソフトウェアであり、インストールすることなくネット上で簡単に利用できます。
特徴は、議事録の要約機能が搭載されていることです。AIによって発言内容を整理し、タスクを管理します。また、チームでの共同編集も可能です。
Texter
「Texter」は、リアルタイムで文字起こしができるアプリ(iOS対応)です。マイクに入力された音声だけでなく、画像やPDFから文字を抽出することもできます。
Texterの特徴は、リアルタイム翻訳機能が搭載されている点です。iOSでサポートしているすべての言語に対応しています。
AI議事録サービス・ツールをうまく使うには?
ここからは、実際にAI議事録サービスを使う上で、配慮するべき3つのポイントを紹介します。
録音環境を整える
1つ目のポイントは、「録音環境を整える」ことです。
まずは、会議が始まるまでにマイク機器や端末のマイクが適切に音を拾うかどうかをチェックしましょう。マイクの位置や向きによっても、録音精度は細かく変わります。
この点を確認した後は、ツールが正しく音声を文字に変換できるかどうかを確かめましょう。環境音や周囲の雑音をなるべく抑えると、録音の精度がより向上します。。
辞書機能を調整する
録音環境を整えたうえで、辞書機能を事前に調整すると、さらに音声認識の精度を高めることができます。
多くのAI議事録サービスでは、文字変換の辞書機能を自分で調整することが可能です。会議でよく発言されるであろう単語や言い回し、製品名などをあらかじめ辞書に登録しておくことをおすすめします。
出席者にAI議事録サービスを利用していることを周知させる
会議が始まったタイミングで、会議の出席者に対してAI議事録サービスを利用していることを周知させるのも効果的です。
一人ずつ発言することや、できるだけマイクを通してはっきり喋ることを推奨するなど、出席者の協力をお願いすることをおすすめします。
まとめ
本記事では、おすすめのAI議事録サービス・ツールとそのポイントを紹介しました。
無駄な作業を省いて作業を効率化し、生産性を上げることは好循環につながります。この記事が、AI議事録サービス・ツールを選ぶ際の参考になれば幸いです。