HOME/ AINOW編集部 /【11/11 JDLA記者会見レポ】DX推進になぜ「デジタルリテラシー」が重要なのか。個人のマインドセットが組織に与える影響とは?
2021.11.22

【11/11 JDLA記者会見レポ】DX推進になぜ「デジタルリテラシー」が重要なのか。個人のマインドセットが組織に与える影響とは?

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2020年からDXが注目されるようになっています。多くの企業がこれまでの業務プロセスを見直し、デジタルシフトを図っています。さらに、2021年9月には日本政府がデジタル庁を発足し、官民一体となって「社会のデジタル化」に取り組んでいます。

また、DX潮流が加速している現在では、デジタルを“使う”人材の重要性も高まっています。ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指す「日本ディープラーニング協会(以下、JDLA)」は現代におけるビジネスパーソンのデジタルリテラシー「Di-lite」の整備と社会実装を目指して、データサイエンティスト協会(DSS)、情報処理推進機構(IPA)とともに「デジタルリテラシー協議会」を2021年4月に設立しました。

デジタルリテラシー協議会に関して詳しくはこちら▼

こうした社会全体のリテラシーレベルを向上を目指した情報発信や活動をさまざまに行なっているJDLAは11月11日、記者会見を開催しました。

「なぜ今、デジタルリテラシーが重要なのか」をメインテーマとして、JDLAのプロジェクトアドバイザーとデジタルリテラシー協議会の事務局を務める小泉 誠氏が話しました。その内容をレポートします。

デジタルリテラシーとは

小泉氏は冒頭、『リテラシー』という言葉が多様化していることについて触れ、今回の説明会における「デジタルリテラシー」という言葉を定義しました。(下記スライド参照)
「例えば、ディープラーニングの技術的な中身自体は分かってなくても、どのレベルまで発達していてどのくらい活用できるのか、どこにアクセスすれば技術を使えるのかを理解していることなどをデジタルリテラシーと言います。」

「デジタルリテラシーは今後、指針や構造を整理していく必要があると考えています。キャリアのゴールを設定したときにどういった道筋で進むべきかを考えるときに使えるフレームワークのようなものを作り始めています。」

DXに成功している組織の特徴

また、JDLAやIPAが行なってきたDXを推進するリーダーへのインタビューやデジタルリテラシー協議会として実施したパネルディスカッションなどの活動から、小泉氏は「DXで変革を起こしてきた組織の特徴、プロセスが見えてきた」と語り、これからのビジネスに求められる変化や必要なことを説明しました。

【ビジネスの基本が変わる】その1. 時間軸が早い

「複利計算式で考えると、当然ながらどの企業にも時間は一定のため、従来の企業の戦略アプローチは1年に1回の決算報告を基準として「r(リターン)」大きくすることに非常に関心を注いできました。」

「しかし、DXが推進されていくと、rを増やしながらも「t(時間)」も増やせる世界があるのではないかと考えています。tというターボを使うことで人間時間という制約が外れ、より早く動くことが可能になるというのがデジタル化のメリットなのではないでしょうか。より早く取り組み、より早く失敗して、より早く改善する時代が来ています。」

【ビジネスの基本が変わる】その2. 会社のあり方がソフトウェアのようになる

「もともと、(コンピュータの発展の背景には)人間の課題を機械に理解させて解かせるというコンピュータと人間の間を結びつけてきた歴史が存在しています。“問題の解き方”や“アイデア”をレイヤーとして積み重ねてきたことでデジタル技術は発展してきました。つまり、デジタル活用が進むとマインドセットも組織も横割りに変わっていくということが分かってきました。」

「横割りの発想」のお話はJDLAの特別顧問である西山氏の講演で詳しく語られています。▼

DXで成功する組織をつくるためには

次に、小泉氏はこうしたビジネス環境の変化に対応する組織を作っていくためには何をしていかなくてはいけないのか、という説明に移りました。

「DXで成功している組織のインタビューから、(下記スライドの)左のように失敗してきた事例や、右のように大胆な意思決定やグループの再編というようにDXを拡大してきた事例も多くありました。」

「こうして左から右へと変革を遂げるまでにどの組織も2〜3年かけているわけですが、その過程には、真ん中の組織能力を向上させてDXの兆しを掴む取り組みが存在していることがわかりました。」

小泉氏は、失敗からの学びを踏まえて組織能力を向上させ、DXを加速させるために重要なマインドセットチェンジの項目を3つ挙げ、説明しました。

  1. デジタルの受容性向上への波を起こす
    • 社員の中で”アンバサダー””インフルエンサー”として認定するなど。
    • 民主的に推し進める力を生み出し、社員たち自らが変革していく。
  2. 変革推進チームをつくる
    • 「最初の成功事例」をつくることで周りからの期待や部署間の連携、既存の業務からはみ出るきっかけを創出している。
    • 変革マインド(海外赴任経験者など)の強う人材を用いる。
  3. 小さな成功事例をつくる
    • 今ある組織の文化や価値観に抗いすぎないようにする。
    • 成功の定義を明確にする。

「インタビューを通して、DXのためには組織能力をあげなくてはいけないことが改めてわかりました。組織能力を評価する指標として、育成した人がどのくらい活躍したがゴールになってしまいがちですが、マインドセットがどのくらい変わっているのかを図ることが重要になると思います。」

デジタルリテラシー協議会の今後の活動方針

最後に、小泉氏は今後のデジタルリテラシー協議会の活動について触れました。

「現在私たちは、テキストを読んで検定を受けていただくような、基礎を理解する知識型中心のリテラシーを高める活動を行なっています。今後、理論的な判断が求められるような高次のレベルで必要になってくるリテラシーに対しては、その他の学び方が必要になってくると思います。そうした支援ができる活動も我々デジタルリテラシー協議会では行なっていきたいと思っています。」

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